【インタビュー】第86回▶京都プログレラグビーフットボールクラブ(京都府)

勝ちにこだわらず、エンジョイ・ラグビー!
京都プログレラグビーフットボールクラブは、2000年4月に発足し、京都市立上京中学校のグラウンドを中心に、原則として日曜日の午前中に活動しています。プログレには、「発展、発達、成長、進化」という意味があり、大人も、チームも進化していこうという思いが込められているそうです。目標は、勝利だけにこだわることなく、みんなでラグビーを楽しみ、将来もラグビーを続けてもらうこと。対象は幼児、小学生ですが、プログレを母体に作られた中学生のクラブチームもあり、いろんな形でラグビーを続けてもらうように工夫しています。運営委員長の宮本武史さん(46歳)にお話を伺いました。


試合に出られない悔しさを教えるより
みんなでプレーする楽しさを伝えたい

村上 宮本さんのラグビー歴を教えていただけますか。
宮本 私は京都生まれで、上京中学校でラグビーを始めました。その時の監督が現在の京都プログレ代表の平田健一郎先生なんです。私はラグビー一家で育ちました。親せきに同志社大学でラグビーをしていたお兄さんがいて、お正月に親せきが集まると、1月2日の全国大学選手権準決勝を観戦するのが楽しみでした。そんな環境で育ったので、ラグビーがしたいと思っていたんです。私が上京中学に入学したと同時に平田先生が赴任され、ラグビー部を創部されました。だから私は上中ラグビー部の一期生です。その後は、東山高校、大阪商業大学でラグビーを続けました。ポジションはフランカーでした。

村上 ラグビーを続けた理由を教えてください。
宮本 プレーして面白かったし、友達がたくさんできました。体をぶつけあった相手チームの選手とも仲良くなる。ラグビーって、いいなぁって、とりこになりましたよ。

村上 大学卒業後はどうされたのですか。
宮本 サラリーマンをした後、27歳で家業の「ふさ紐職人」を継ぎました。五代目になります。その後、家族を持って、4歳の息子(光一)と散歩しているときに、校庭でラグビーをしているのを見つけました。校門のすき間からのぞいていたら、平田先生に「宮本やないか、入ってこい!」と声をかけられたというわけです。2007年のことです。サラリーマン時代は仕事が忙しくてラグビーから離れていたのですが、プログレに関わり始めたらまたのめり込んでしまいました。現役の時よりもラグビーが好きかもしれません(笑)。

村上 プログレの練習に参加したとき、どんなチームだと感じましたか。
宮本 すごく楽しそうで、アットホームなチームだと感じました。10歳先輩のコーチの方に「仲良くやって行こうや」と優しく声をかけていただいて、ハードルが下がりました。

村上 2007年当時の生徒数はどれくらいですか。
宮本 一学年10~15名で、70人~90人の間くらいでしたね。生徒数増加について、2015年のラグビーワールドカップの影響がよく言われますが、プログレはその前から増加傾向にありました。あのチームは楽しくラグビーできるよ、という口コミですね。そして、2015年、2019年で弾みがついたという感じです。現在は約130名です。

村上 「勝ちにこだわらず、エンジョイ・ラグビー」を理念として掲げていらっしゃいますね。
宮本 チャンピオンシップ大会に挑戦はするのですが、勝ちにこだわらないでおこうということなんです。メンバーを絞って戦うと試合に出られない子が多くなります。そういう悔しさを教えるよりも、みんなでプレーする楽しさを伝えたいと思っています。

村上 あまり勝敗にこだわらない指導でも、生徒たちは中学でラグビーを続けますか。
宮本 プログレの目標は、中学、高校でもラグビーを続けてもらうことです。そこに重きを置いてラグビーの楽しさを伝え、卒業生の8割から9割がラグビーを続けてくれています。成果は出ていると思いますね。

村上 タグラグビーの大会にも出るのでしょうか。
宮本 はい、出ています。ベースはミニラグビーですが、小学5、6年生でも近所の下鴨神社でタグラグビーの大会などに参加しますし、タグだけではなく、たんぼラグビーに参加することもありますよ。イベントとして楽しんでいます。


子どもたちがオーバーワークにならないよう目配り
ラグビーを好きになり、続けてもらうことを重視


村上 指導上、気を付けていることはありますか。
宮本 コーチが感情的にならないことです。また、自分が現役時代に教わったことをそのまま教えるのではなく、現在のラグビーを勉強し、子どもたちに伝わるわかりやすい言葉で話しかけるようにしています。

村上 コーチが現在63名ということで多いですね。
宮本 これでも足りないくらいです。全員が毎回来られるわけではないし、幼児、低学年はどんな動きをするかわからないので、たくさんの目で見ていた方が安全ですから。練習は学年で分けていて、それぞれにヘッドコーチと運営委員という2人のリーダーを置いています。どちらか1人は保護者以外という決まりもあります。自分の子どもには感情的な部分が出てしまうことがあるので、その時はもう1人が軌道修正するようにしています。

村上 保護者の皆さんが自分の子どもが卒業したら一緒に卒業されるのですか。
宮本 半分くらいは残ります。子どもたちの練習の前に、40歳以上のメンバーで練習していて、それが続けたいから残る人も多いです。お母さんがタグラグビーを楽しむレディーズのカテゴリーもあります。お母さんも自分でやってみると難しさがわかりますからね。

村上 プログレ独自の活動はありますか。
宮本 子どもたちにはいろんな経験を大事にしています。たとえば、年に一回、京都サンガのサッカーの普及活動に参加しています。ラグビー脳に偏ることなく、スポーツに対する取り組みを学びたいからです。コーチも研修として参加するのですが、サンガのコーチはめったに笛を吹きません。集合させるときも笛を吹かず、子どもたちが気づいて集まってくるのを待つ。そんな新しい発見があります。

村上 京都市動物園に遠足にも行くそうですね。
宮本 上京中学のグラウンドから4キロほどありますが、幼稚園児も歩きます。休憩を入れながらなので1時間半ほどかかりますが、京都御所を抜けて、鴨川べりを歩いて向かいます。そこで子どもたちも、保護者の皆さんも仲良くなるんですよ。コーチと保護者の距離も近くなります。春は京都御所で花見もします。

村上 2007年からチームに関わっていて、印象に残るエピソードはありますか。
宮本 指導者として辛い思い出ですが、予定にはなかった試合を加えてしまって、子どもが怪我をしたことがあるんです。その子に辛い思いをさせました。でも、「僕はラグビーが好きだから続けます」と言ってくれました。それは嬉しいことですが、それ以来、どんな事情があってもオーバーワークさせてはいけないと肝に銘じています。これはコーチ陣に言い続けたいし、子どもたちが疲れていないか、集中力を欠いていないか、常に目配りをしようと、コーチ陣とは話し合っています。

村上 プログレの目標を聞かせてください。
宮本 もっともっとラグビーを好きになったもらおう。ラグビーを続けてもらおう。これが、チームとしてブレない大きな枠です。生徒数は増えていますが、練習場所が手狭になってきました。いろいろ工夫をしてはいますが、練習場所の確保は課題ですね。

村上 宮本さんが休日を使って指導を続ける理由は何ですか。
宮本 こんなに楽しいことはないですよ。子どもたちの成長を見ているのは、無償の愛と言いますか、お金に代え難い喜びがあるのです。幼少期から見ていると、木陰に隠れ、親の足元から離れなかったような子が、小学4、5年生になると自らボールを持って走り出します。幼児の頃にできなくても、いずれ上手くなるし、いずれラグビーが好きになるとわかると、子どもたちに優しく接することができます。新しいコーチや親御さんがイライラしていると、「大丈夫ですよ。いずれできるようになりますから」と言えます。コーチがそういう気持ちでいると、子どもたちも安心して来てくれるんです。プログレはそんなチームです。



ラグビーキッズ
ラグビースクールネットワークインフォメーション(ラグネット)
アンケート


1、ラグビースクールの名前
 京都プログレRFC

2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等

3、代表者

 平田健一郎(65歳)※同志社香里高・日本体育大・京都教員

4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先
 603-8115 京都市北区紫竹下本町48-1シャルマン北山堀川ハイツ4C
 平田健一郎
 ホームページ https://oneprogres.r-cms.jp/
 090-3160-2852(ショートメール問い合わせ可)

 メール rugby@ares.eonet.ne.jp

5、活動場所・練習場所
 京都市立上京中学校ほか
 練習場所は天然芝、人工芝、土等
 土

6、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等
 原則、日曜日午前中(9:30~11:30)

7、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの
 会費年間12000円・幼児6000円・その他ユニホーム代

8、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等
 幼児~小学生131名(女子5名)・外国人対応可※2001/10現在
9、コーチ人数、指名、経歴等
 63名(元高校・大学プレーヤー、保護者等)※女性コーチ2名

10、モットー・大事にしている事・理念
 ラグビーを通して社会に貢献できる人物へ成長を促す。
 勝ちにこだわらずenjoy Rugby!

11、特徴・全員試合出場など他のスクールとの違い
 ミニ (幼児~小学生)131名・ジュニア(中学生:オルカ40名)・シニア(大人30名)・over40(40名)・レディース(10名)の各カテゴリーで活動。
 全会員に多くの出場機会を与え、ゲームを楽しむ。

12、歴史・活動実績
 2000年4月発足・ミニ(小学生)2名、ジュニア(中学生)1名からスタートしました。
 今年で22年目を迎え、多くの方の理解と協力を得ながら楽しく活動しています。

13、OB・輩出トップリーガー
 藤井巧海(HONDA)・吉田太亮(キャノン)

14、指導方針・教育方針
 子ども達が笑顔でプレー出来る指導。常に新しい指導方法を取り入れ、感情で指導させない。
 子ども達には良い人間関係の構築とマナーを守る姿勢を身につけさせる。

15、合宿・場所・期間・参加年齢等
 菅平高原7月2泊3日(3年生以上)

16、ラグビー以外の行事
 低学年以下遠足(動物園など)・キッズサッカースクール・セミナー(コーチ・保護
者)

17、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか
 掛け持ち可・多数。多くのスポーツを経験することを推奨。

18、保護者の活動への参加・サポート
 保護者のサポートやお手伝いはなし。遠足などの行事は一緒に楽しんでもらう。

19、どんなスクールを目指すか(将来像)
 将来、ラグビープレーヤだけでなく、ラグビーファンやスポーツに関われるように育てる。

20、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)
 ルールは元よりマナーを自ら遵守し、それぞれが楽しく生活が送れる大人を目指す。

21、プレースタイル
 パス、ランニングスキルを中心に展開を重視したラグビーを目指す。

22、交流する他のラグビースクール
 京都だけでなく多くの地域のスクールと交流を行っている。

23、自由欄(付け加える事があれば)
 すべてのカテゴリーが楽しくラグビーを行い、カテゴリーを越えた交流を行いラグビーの向上だけでなく年齢を超えた良い人間関係の構築を行う。
 


保護者へのアンケート

1、このスクールを選んだ理由
 ラガーマンからの紹介

2、このスクールの良い点
 たくさんの会員がいますがアットホーム感があります。

3、お子さんの変化・スクールに入って変わりましたか
 仲間たちとの絆を大切にしたり、リーダーシップを持てるようになった。

4、お子さんがスクールに入って生活に変化がありましたか
 挨拶ができるようになった気がします。

5、スクールを卒業してもラグビーを続けさせますか・続けて欲しいですか
 ぜひ続けてもらいたいです。

6、ご自身もラグビーをしていましたか
 してはいなかったです。(母親ですので)

7、ご自身もラグビーが好きになりましたか
 好きになり過ぎて始めてしまいました(プログレレディース・タグラグビー)

8、どんな大人になって欲しいですか
 これからも仲間だけでなく色んな人にラグビーで培った思いやりを持った大人に

9、スクールに入れてよかったですか
 大満足です!




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