【インタビュー】第115回▶大阪中央ラグビースクール(大阪府)

ラグビーを通してスポーツの楽しさを伝える
大阪市東成区を本拠地とする大阪中央ラグビースクールは、2002年創部という比較的新しいラグビースクール(RS)です。現在(2024年2月)の生徒数は幼児か小学6年生までで147名。子どもたちに安心して運動できる場所を提供し、ラグビーを通して『スポーツの楽しさ』を知る機会を与えてあげたいという願いで、大阪市立相生中学校の卒業生が中心になって始まりました。いまも相生中学校のグラウンドが主な練習場所です。ドコモカップで大阪のラグビースクールのトップに立ち、ヒーローズカップに出場するなど、実力あるスクールでもあります。副代表の中岡淳也さん(43歳)にお話を伺いました。(2024年2月取材)


ラグビーが素晴らしいスポーツだと
子どもたちが教えてくれた


村上 中岡さんのラグビーとの出会いから聞かせていただけますか。
中岡 私は京都の平安高校(現・龍谷大平安)ではアメリカンフットボール部に所属していました。京都選抜でキャプテンを務めたこともあり、日大のフェニックスで続けようと思っていたのですが、父が亡くなり、実家(西勝寺)の住職を継ぐことになって龍谷大学に進学しました。すぐにお寺のことをしなくてはいけなかったので運動部には入りませんでした。ですので、ラグビーとの出会いは息子が大阪中央ラグビースクールに入ったときのことです。

村上 大阪中央RSとはどのように接点ができたのですか。
中岡 私の自宅の近くに大阪中央RSのホームグラウンド、大阪市立相生中学校があったのです。長男が小学2年生、次男が幼稚園の年中のときに友だちと体験会に行ったことがきっかけです。実は私はそれまでラグビーのことを詳しく知らなくて、ここまで素晴らしいスポーツだと理解していませんでした。子どものおかげで、ラグビーに出会い、多くの人に出会えました。それが嬉しくて、幸せな日々を送っています。

村上 ラグビーが素晴らしいスポーツだと感じたのは、どんなところですか。
中岡 私は経験者ではありませんので、ラグビーの細かい技術や戦略を教えることは難しいです。けれども、ラグビーは人間性を重んじるスポーツであり、ラグビーを通して、職業などの垣根を超えた出会いがあります。小学生のラグビーでも練習はしんどいですよね。それを仲間がいるからこそ頑張ることができる。勝っても負けても仲間とともに涙できるというのは良いですね。また、ラグビーはその人の性格が出るスポーツだとも感じます。自己中心的な考えではよいプレーヤーになれない。チームがあっての個人だと感じています。

村上 チームの理念である「スポーツの楽しさを伝える」というところは、どんな伝え方をされていますか。
中岡 大人も子どももラグビーを楽しみ、ラグビーを通して仲間意識や助け合いの精神を体感することで小学生なりに成長してほしいのです。学年によって、さまざまな色がありますが、私がこの立場になってよく話すのは、目の前のことを精一杯楽しむことで結果や成長につながるということです。ラグビー以外でも、挨拶をきっちりする、話をしている人の目を見る、人が嫌がることはしない、相手の立場に立って言葉を発しよう、という基本的なことは繰り返し伝えています。人として大切なことをできた上でラグビーが成長してくれたらよいと考えています。


今年度の6年生は「日本一」が目標だった
ヒーローズカップ決勝大会で貴重な経験


村上 他のラグビースクールの皆さんから、よく言われる言葉などありますか。
中岡 私は6年生の責任者もしていますが、たくさんのスクールの方々と仲良くなることができました。そのとき、大阪中央RSはまじめに激しいラグビーをしているけど、チームワークが大人も子どもも良いですね、とは言っていただいています。

村上 チームワークを醸成するためにどんなことを心がけていますか。
中岡 子どもたちが主役だということを指導員の皆さんには伝えています。周囲がいろいろ言ってしまうと、子どもたちが輝かない。自分の子どもが活躍することが親にとっては嬉しいのですが、一番大事なのは子どもたちみんなが輝くように、大人も協力して、それを成し遂げましょうと保護者の皆さんには話しています。

村上 人として大切なことを重視しながらも、大阪のドコモカップで優勝し、ヒーローズカップでも上位に行くなど実績を作っていますね。
中岡 今年度の6年生は日本一という目標を掲げて週に4回練習していました。小学生で週4回集まるのは難しいのですが、コーチにも理解してもらって、火曜、木曜の夕方、土曜、日曜と練習しました。フィットネス向上に取り組んだので、しんどい練習だったと思います。6年生は29名いますが、平日も20名以上が集まってくれました。

村上 走ることを重視したチーム作りだったのですね。
中岡 今の6年生のチームスローガンは、FORTH(フォース、前へ)でした。デイフェンスでもアタックでも前に出ることを念頭に練習していました。この学年が日本一を目指すきっかけになったのが、2022年9月のラグフェス菅平でした。5年生、6年生で参加したのですが、ここで全国のスクールと仲良くなって試合をするなかで、2023年9月の菅平で日本一を目指してみようという考えが出てきました。

村上 今年度のヒーローズカップでは決勝大会に行き、日産スタジアムで戦うことができたのですね。
中岡 初日のブロック決勝で、豊田ラグビースクールにトライ数4本対5本で負けました。負けたのは悔しかったし、目標が達成できずに子どもたちも落胆していました。豊田RSとは、昨年の3月、9月に交流しました。コーチ同士も仲良くなり切磋琢磨してきました。全国の舞台で豊田さんと戦えたことは、チームの誇りです。

村上 豊田RSが優勝したわけですからね。
中岡 そうです。準優勝の相模原RSも、豊田RSさんと同様に切磋琢磨した間柄です。豊田スポーツセンターで3チームが集まって交流したこともありました。決勝に残れずに悔しかったのですが、豊田RS、相模原RSが優勝、準優勝というのは嬉しかったです。


勝利を目指す過程こそもっとも大切
子どもたちに自信と笑顔があふれる

村上 日本一を目指したことで、子どもたちにはどんな変化がありましたか。
中岡 ドコモカップでは初めて大阪ナンバーワンになることができました。そのあと、ヒーローズカップの関西大会があって、そこでも2回勝って全国大会に進出できました。その間、子どもたちの顔つきは緊張感がありました。コーチも厳しいことを言いましたが、子どもたちはそれに応えてくれました。次第にチームの結束が強くなり、円陣を組むときに選手同士が腰に手をまわし合うようになりました。コーチに言われたのではなく、そういう結束力の強いチームを自分たちで作ってくれました。そして、ヒーローズカップを終えて、大阪に帰ってきての練習では笑顔だらけです。とっても楽しそうです。日本一を目指した過程があったから、そういう顔になれたと思います。勝利至上主義はネガティブなイメージにもとらえられますが、勝利を目指すことは子どもたちの自信と笑顔につながると思います。理解してほしいのは、みんなで勝利を目指す過程が一番大切だということです。

村上  6年生はいつまで練習をするのですか。
中岡 3月の第3週の日曜日が卒団式です。その日まではみんなで活動します。

村上 指導員には元トップリーガーの方もいらっしゃるようですね。
中岡 指導員は55名ほどいますが、その中には三菱重工相模原ダイナボアーズでプレーした杉本剛章さん、クボタスピアーズ船橋・東京ベイでプレーした田中健太さんもいます。

村上 保護者のみなさんは、どんなかかわり方をしているのですか。
中岡 基本は子どもたちを見守っていただくことです。グラウンドの清掃などお手伝いはしていただいていますが、保護者会はありませんし、困ったときは助け合っていきましょうというスタンスです。

村上 月の会費が、1,000円で幼児は無料。保護者の方に優しい金額ですね。
中岡 たくさんの子どもたちに運動する機会を与えたいのです。まだ若くて小さなスクールですが、ラグビーの入り口は大きく広げておくことで、ラグビーの普及につなげたいと考えています。

村上 中岡さんはどれくらい指導員をされているのですか。
中岡 7年です。いまの6年生は幼児の頃から見ています。小さなころは、やんちゃで泥遊びばかりしていた子どもたちが、まじめにラグビーに取り組んでくれる姿が印象的です。卒業生も気軽に練習の手伝いに来てくれます。ラグビーで活躍することも大事ですが、いい人間に成長してくれることが嬉しいですね。

村上 今後の目標を聞かせてください。
中岡 大きな変化は求めていませんが、ラグビーをするきっかけ、入り口をどれだけ広くして迎えてあげるか。一人でも多く、大学、社会人までラグビーを続けてくれたらと思っています。卒業生の多くが進学してラグビーを続けます。私の息子は、長男は常翔啓光学園で、次男は東海大大阪仰星中学に進学します。熱心な先生方に出会い、たくさんの縁をいただいてありがたいです。

村上 生徒募集は随時受け付けていますか。
中岡 何時でもグラウンドに来てください。ホームページにメールが書いてありますので、興味を持ったら連絡をいただければと思います。いつでも歓迎いたします。

ラグビースクールインタビューアンケート

1、ラグビースクールの名前
 大阪中央ラグビースクール


2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等


3、代表者名校長
 西原 政淳

4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先
 〒537-0012 大阪市東成区大今里1-25-9
 TEL:090-3723-5933 代表:西原政淳

5、活動場所・練習場所
 大阪市立相生中学校

6、練習場所は天然芝、人工芝、土等
 土

7、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等
 土曜日または、日曜日(平均 月3回)2時間程度

8、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの
 月会費¥1,000 別途入会時に協会登録費・保険料等必要

9、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等
 生徒数(幼児~6年生 2024.2現在147名 
 女子は1学年平均2名程度、外国籍の生徒は多数在籍

10、コーチ人数、指名、経歴等
 指導員55名在籍、元トップリーガーからラグビー未経験のお父さんやお母さんも在籍、

11、モットー・大事にしている事・理念
 子供達に安心して運動できる場所を提供し、ラグビーを通して
『スポーツの楽しさ』を知る機会を与えてあげたいとの理念の元に発足、現在に至っても『子供も大人もラグビーを通じて楽しむ』という理念で活動しております。

12、特徴・全員試合出場など他のスクールとの違い
 カップ戦等の1チームエントリーの大会では、全員出場の機会を作れない事もありますが、参加した子には何か持って帰れるような雰囲気作りには留意しております。

13、歴史・活動実績
 2002年創部、第11回ヒーローズカップ4位、第14回ドコモカップ優勝

14、OB・輩出トップリーガー
 山口達也(元NTTコムシャイニングアークス)

15、指導方針・教育方針
 子供も大人も楽しむ

16、合宿・場所・期間・参加年齢等
 合宿は、10月の最終週末に幼児を除く全学年にて大阪市内で実施

17、校歌等
 校歌は、ありません

18、ラグビー以外の行事
 BBQやクリスマス会

19、他の習い事との掛け持ちが可能か
 他の習い事をしている生徒も多数在籍しており、試合等であってもどちらを優先しても大丈夫です。

20、保護者の活動への参加
 指導員のほとんどが保護者でありますので、常にサポート頂いております。

21、クラブハウスあれば
 クラブハウスは、ありません。

22、どんなスクールを目指すか(将来像
 これからも、『ラグビーを通じてスポーツの楽しさを知る』という理念は変わらないので、より子供達がスポーツの楽しみを知れる環境を作っていきたいです。

23、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)
 スクール活動を通じて『思いやりの心』『協力の精神』『頑張る気力』を養いフェアプレー精神で頑張れる人間に育ってほしいです。

24、プレースタイル
 プレースタイルは、学年チーム毎で色は違いますが、フェアプレーです。

25、交流する他のラグビースクール
 大阪府及び関西圏に在籍するスクールと交流させて頂いてます。

26、交流するラグビー団体(学校・協会・トップリーグ等)
 大阪市立相生中学ラグビー部、レッドハリケーンズ大阪

27、自由欄(付け加える事があれば)
大阪中央ラグビースクール■子ども達に運動の機会を!! (ocrs.jp)
大阪中央ラグビースクール(@osaka_central_rugbyschool) • Instagram写真と動画



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