【インタビュー】第114回▶大和ラグビースクール(神奈川県)

次代を担う健全な若者を育成
神奈川県大和市を拠点に活動する大和ラグビースクールは、1992年に産声を上げました。当初は大和CCラグビースクール。CCとは、臆することなく勇気に立ち向かう勇気(Courage)、みんなのために努力を惜しまない協力(Cooperation)の思いが込められていたそうです。現在はCCを外し、一般社団法人大和ラグビースクールとして活動しています。創設者は現在会長を務める石見昭三さん。ラグビーを通して次代を担う健全な若者を育成することを目指しています。どんな活動をしているのでしょう。校長を務める小西康夫さん(60歳)にお話を聞きました。(2024年2月取材)


スイミングスクールの体育教室から
ラグビースクールが生まれた


村上 小西さんとラグビーの出会いから教えていただけますか。
小西 小学校6年生のころ、私は陸上競技をしていました。クラスの友達に、お父さんが大学時代にラグビーをしていた子がいました。その子が持っていたラグビーボールを持って走ったことがあります。その爽快感が忘れられませんでした。進学した中学、高校にはラグビー部がなく、大学に入って運動部ではなく学生クラブでラグビーを始めました。

村上 当時が各大学にラグビーのサークルがたくさんあった時代ですね。そこから大和ラグビースクール(RS)にどうつながるのですか。
小西 社会人でも30歳くらいまで東京都のクラブチームでプレーしました。長男が小学2年生のときに、住んでいた大和市にRSがあることを知り、門をたたきました。私が子どもを連れて行ったら、当時の校長の石見昭三校長(現・大和市ラグビー協会会長)から、「ラグビーやっていたのでしょう?コーチをやりませんか?」と言われて、そのままお酒を飲みに行ってコーチになりました(笑)。以降、20年以上続けています。

村上 大和RSの創立は1992年ということですね。
小西 県に正式に登録したのは、1996年になっています。初代校長の石見が日本体育大学のラグビー部出身なのですが、セントモニカスポーツクラブで指導員をしていました。スイミングスクールなのですが、そこの体育教室でラグビースクールを立ち上げたのが始まりです。

村上 当初はグリーンクラブのラグビースクールとして試合をしていたようですね。
小西 日体大の健志台グラウンドで活動するグリーンクラブという大人のラグビーチームがありまして、石見校長もここでプレーしていました。大和RSとして子どもは集まったのですが、正式登録していないので対外試合ができないということで、登録上はグリーンクラブラグビースクールの子どもたちと一緒に試合をしていたということです。

村上 大事にしていることとして、安全最優先の指導とあります。具体的にはどんなことをしていますか。
小西 指導員が90名いますが、安全第一を掲げ、セーフティアシスタントを受講するように勧め、ハード面では、ストレッチャー、AEDも2台用意しています。また、夏は暑さ指数をみて危険だと判断したら練習は即刻中止します。怪我が起きたときの情報共有も密にしています。

村上 グラウンドでの練習では、どんなことを重視していますか。
小西 怪我をしないようにウォーミングアップは入念に行っています。コンタクトもしっかりやっていから、チームプレーやスキルの練習に入っていきます。


活動範囲は神奈川県周辺に限定
保護者の負担をできるだけ少なく

村上 常に感謝の気持ちを持つ、時間厳守も大切にされているようですね。
小西 試合の時は大会本部に子どもたちが必ず挨拶に行くようにしています。運営してくださる方、参加チームへの感謝を伝えるためです。時間厳守については、年に一度、菅平高原で夏合宿を開催しているのですが、各部屋に時計を置き、集合時間を必ず守るようにして、「一人でも遅れたら、試合はできないのだ」ということを徹底しています。

村上 大和RSさんが他と違っている特色などはありますか。
小西 私は神奈川県のRSはみんな同じだと思っています。毎月一度、神奈川県ラグビー協会の普及育成委員会の執行部のみなさんと、各スクールの校長が集まって話し合いをしています。試合の時は全選手が出場すること、勝利は子どもたちが描くもので、指導員が描くものではないということは常に話しています。一つ一つのプレーが良かったところを誉めてあげたいという気持ちがありますね。

村上 ヒーローズカップに参加されないのは、なぜですか。
小西 小学生のうちは、全国大会につながる試合は出場しないというのが大和RSの考え方です。また、遠征すると費用もかかり、保護者のみなさんの負担にもなりますので、夏合宿を除いては、活動範囲は神奈川県内か東京にとどめるようにしています。幸い、神奈川県にはたくさんRSがありますので、充実した活動ができています。多いときは月に2、3回は対外試合もしています。

村上 一番の目標になる大会はありますか。
小西 秋の県大会は交流試合をいう形で参加し、小学6年生については、神奈川県のファイナルカップがあります。ジュニア(中学)は春季大会、秋季大会があります。そちらは目標になります。

村上 ラグビーが子どもたちに与える影響をどのように感じていますか。
小西 仲間づくりですね。特に小学校の高学年から中学生は思春期で気持ちが揺れ動く時期ですよね。最期に戻ってくるのは仲間がいるから、というところがあります。ラグビーは仲間を作るスポーツですね。学校ではうまくいかない子も、ラグビースクールでは生き生きと活動している。居場所があるというか、好きなラグビーを仲間とできることが楽しいのだと思います。

村上 体をぶつけ合うスポーツの良さもあるかもしれないですね。
小西 私は陸上競技から転向したので、チームスポーツになったことが楽しくてはまりました。仲間と一緒に痛い思いをして最後は笑いあえる。これを経験できるのはラグビーの良さだと思います。


卒業生にブラックラムズの池田悠希選手
日本代表候補入りで子どもたちの憧れに


村上 ラグビー以外のイベントで盛り上がるものはありますか。
小西 7月の終わりに、前期納会と称して「流しそうめん」をやっています。幼い子は、スーパーボール、ヨーヨーすくい、スイカ割りなど楽しんでいます。流しそうめんは、倉庫にセットが置いてあります。

村上 専用の倉庫があるのですね。
小西 練習グラウンドは、南林間にある聖セシリア学園グラウンドを借りていて、倉庫も一角をお借りして、餅つき大会の杵と臼も置いてあります。

村上 保護者の皆さんの役割はありますか。
小西 流しそうめん、餅つき大会のとき、各学年の保護者の皆さんの中で、代表、副代表を決めていただいて、そのお2人だけは手伝っていただいています。普段は保護者の皆さんの役割はなく、基本的に練習が現地集合ですが、一人で来ることになるお子さんはコーチが車に乗せて連れてくることもあります。遠征などではコーチが引率して電車で行く場合もあり、できるだけ保護者の皆さんの負担にならないようにしています。

村上 卒業生でトップレベルの選手はいますか。
小西 リーグワンのブラックラムズ東京の池田悠希選手がいます。彼が在籍したのは小学4年から6年の3年間です。その前は高崎RCにいたようです。親御さんに転勤で大和RSに来て、小学校卒業と同時に大阪に転勤になったようです。私は彼が4年から6年にかけてのヘッドコーチだったので、今もLINEで連絡を取っています。日本代表のトレーニングスコッドにも選ばれていたので、祝福のメッセージを送りました。今は大きいですが(身長186㎝と)、小学校のときは体が小さかったのですけどね。

村上 今後、どんなスクールにしていきたいですか。
小西 指導員のコーチングのスキルを上げていきたいと思っています。まだまだ自身の経験で教えていることが多いので、日本ラグビー協会が主催する講習会などに積極的に参加してもらって、コーチングを磨いてもらいたいと思っています。レフリーもレベルアップしたいですね。良いレフリングで試合をすると、子どもたちのプレーの質も上がりますので。

村上 生徒数が現在160名ということですが、これは近年増えていますか。
小西 2019年のラグビーワールドカップのときに増えて、そこから維持されています。小学生高学年は9人制なので、2チームを作って試合ができる状態ですがこれをキープしたいですね。ジュニアのほうは、もう少し人数が欲しいです。部員は随時募集していますので、ホームページから体験入部の申し込みをしていただければ対応します。


ラグビースクールインタビューアンケート

1、ラグビースクールの名前
 一般社団法人 大和ラグビースクール

2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等


3、代表者名校長
 小西康夫

4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先
 ホームページお問合せフォーム:https://www.rugby-yamato.jp/yccrs/contact.html

5、活動場所・練習場所
 ① 聖セシリア学園グラウンド(総合グラウンド、小学校校庭、幼稚園園庭)
 ② 大和ゆとりの森大規模多目的スポーツ広場
 他


6、練習場所は天然芝、人工芝、土等
 ① 天然芝、土
 ② 人工芝

7、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等
 [活動時間]
  毎週日曜日9;00~13:00
  ※土曜日・祝祭日の活動あり
  詳細はスクール公式ホームページ(https://www.rugby-yamato.jp/yccrs/)をご参照ください

 [年間スケジュール]
  4~7月  春季練習、交流大会
  7月    夏季菅平合宿、前期納会
  8月    夏休み
  9~12月 秋季練習、神奈川県大会、交流大会、プレ合宿
  11月   大和市キンダーカップ
  12月   神奈川県ラグビースクール運動会、後期納会
  1~3月 冬季練習
  3月 卒業式・修了式

8、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの
 入会金: 1,000円
 年会費:幼児        :16,600円/年
    小学1年生~2年生    :17,100円/年
    小学3年生~中学生    :19,100円/年
    ※ユニフォーム等の個人用具費用や、遠征・合宿費用は別途必要となります。

9、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等
 生徒160名(内、女子選手9名) ※国籍、性別等は問いません

10、コーチ人数、指名、経歴等
 コーチ90名 ※ラグビー経験・未経験は問いません

11、モットー・大事にしている事・理念
 ラグビーというスポーツを通して、次代を担う健全な若者の育成を目指しています。
  「安全」最優先の指導

  挨拶ができるようにしよう
  常に感謝の気持ちを持てるようにしよう
  時間の大切さ(時間厳守)を自覚しよう

12、歴史・活動実績
 1992年 セントモニカスポーツクラブ内の体育教室より単一種目でラグビースクール立ち上げ
 1996年 大和CCラグビースクールとして開校
 2015年 一般社団法人 大和ラグビースクールとして法人化


13、OB・輩出トップリーガー
 池田悠希 選手(リコーブラックラムズ東京)

14、指導方針・教育方針
 生徒個々の成長を重視し、ゴールデンエイジの身体能力を伸ばす指導を心がけています。
 また、目標に向けてチームメンバー全員で協力・工夫し、努力した過程を大切にしています。
 勝利はその結果の一部であり、決して勝利至上主義とならないよう、全員ラグビーを心がけています。

15、合宿・場所・期間・参加年齢等
 夏季菅平合宿(7月)    :小学3年生~小学6年生(二泊三日)、中学生(三泊四日)
 プレ合宿(10月)    :小学2年生(一泊二日)


16、ラグビー以外の行事
 7月  前期納会(流しそうめん、スイカ割り等)
 12月 後期納会(餅つき、お雑煮等)
 3月  卒業式・修了式(豚汁等)

17、他の習い事との掛け持ちが可能か
 何人いるか学校部活やその他習い事と掛け持ちしている生徒は多くいます。

18、保護者の活動への参加
 サポート幼児の練習サポート
 納会等での料理お手伝い、活動写真の提供 他

19、どんなスクールを目指すか(将来像
 卒業生が気軽にグラウンドに顔を出すことができ、現役生徒とラグビーをいつでも楽しめる地域に根差したスクールでありたいです。

20、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)
 リーダーシップと他者への思いやりを身につけ、自らの夢や目標に向けて努力を惜しまない豊かな人間性を備えた大人に成長してほしいと願っています。

21、交流する他のラグビースクール
 神奈川県下の各ラグビースクールとの交流をはじめ、関東圏のラグビースクールとの定期交流も行っています。

22、Facebookアドレス
 https://www.facebook.com/yrfu.yccrs

23、Instagramアドレス
    https://www.instagram.com/yamatorugbyschool/


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