私の1枚を目指して

「へっちゃら」黒崎智治さん(魚津市ラグビースクール少年団)


「こんなの撮れない…」。見返すたびにそう感じる。写真から伝わってくる熱気、聞こえてくるたくさんの言葉、目を閉じるとその場にいるような気持ちなってくる。第1回ラグビーキッズフォトコンテストに寄せられた作品の多くが、No.1を超えるOnly1だった。

高校ラグビー、大学選手権、リーグワンそしてW杯、数多くの現場でそれなりにラグビーを撮ってきた。カメラもレンズもプロ仕様のものを使っている。経験と機材に時間とお金をたくさん費やした。

それでも撮れないものがある。
撮れない理由もわかっている。

それは『生きた』写真だ。

生きてる?写真が?

不思議に思うかもしれないが、写真は生きている。

その1枚から選手たちの声が響き、じわっと体温が伝わってくるような。土埃舞うグラウンドを風を切って走る音や、骨の軋むようなタックルの音が聞こえる。その奥からもれる歓声やため息は最高のBGM。生々しくその情景が浮かんでくる1枚。それはまさに生きた写真だ。


「魂のタックル」杉浦凛哉さん(ケヤキッズ大宮RFC)

 「その笑顔!最高!!」松井久子さん(城陽ラグビースクール)


生きた写真を撮るためには高価な機材も卓越した技術も、豊かな経験も…、必要ない。大切なこと。それは被写体となる選手たちへの愛をどれだけ持っているかだ。
改めてフォトコンテストに寄せられた写真を見返した。痛みや、苦しみ、喜びをずっと見守ってきたお父さん、お母さん、そしてコーチの愛あふれる眼差しが捉える一瞬はどれも生きた写真だった。

そんな生きた写真を私も撮りたい。いつもそう思いながらカメラを構えている。それでもやっぱり撮れない。撮れているようで、撮れていない。いや、正確には撮りきれない。

自分は目の前のものを追いかけるばかりで、ひとつ一つのシーンに十分な愛を注ぎきれない。でもそれはきっと言い訳だ。まだまだ愛が足りないのだと思う。寄せられた200点の作品を見つめながら、しみじみとそう感じた。


国境なき楕縁」池松青史さん(KL Tigers マレーシア)

あなたにしか撮れない写真がある。うまいとか下手とか、カメラとかレンズとかきっと関係ない。
そういう写真を撮れると本当に気持ちがいい。

うれしいことに「イワモトさんのような写真が…」と言われることもある。
でもそれは目指す所がきっと違う。

私には撮れない、あなただから撮れる写真がある。
その1枚を目指してカメラを構えてみてほしい。

今を残すことは、きっと未来につながっていく。
その気持ちがきっと写真に命を吹きこむ。



「菅平 出逢って3日目 はじける笑顔」和田みゆきさん(鹿島スタッグスJr.ラグビーフットボールクラブ

「本気の悔しさが、本気の成長を促す」南谷奈甫さん(鳴門ラグビー スクール)

「ボクの番、まだかな‥」井上佐和子さん(姫路ラグビースクール)

「ブレイクタイムは笑顔満開!」 寺嶋栄司さん (江東ラグビークラブ)
「紅白戦ハーフタイム♪」川崎尭明さん(下関ラグビースクール)


「ヒーローたち」小林学さん(川越ラグビースクール)
「未来の景色」領毛 いづみさん(平塚市ラグビースクール)


国内外から200点を超える作品をお寄せいただきました。
改めまして深く感謝申し上げます。
ありがとうございました。

来年1月、第2回ラグビーキッズフォトコンテストを企画しております。
皆様の力作を心よりお待ちしております。







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