
「こんなの撮れない…」。見返すたびにそう感じる。写真から伝わってくる熱気、聞こえてくるたくさんの言葉、目を閉じるとその場にいるような気持ちなってくる。第1回ラグビーキッズフォトコンテストに寄せられた作品の多くが、No.1を超えるOnly1だった。
高校ラグビー、大学選手権、リーグワンそしてW杯、数多くの現場でそれなりにラグビーを撮ってきた。カメラもレンズもプロ仕様のものを使っている。経験と機材に時間とお金をたくさん費やした。
それでも撮れないものがある。
撮れない理由もわかっている。
それは『生きた』写真だ。
生きてる?写真が?
不思議に思うかもしれないが、写真は生きている。
その1枚から選手たちの声が響き、じわっと体温が伝わってくるような。土埃舞うグラウンドを風を切って走る音や、骨の軋むようなタックルの音が聞こえる。その奥からもれる歓声やため息は最高のBGM。生々しくその情景が浮かんでくる1枚。それはまさに生きた写真だ。


生きた写真を撮るためには高価な機材も卓越した技術も、豊かな経験も…、必要ない。大切なこと。それは被写体となる選手たちへの愛をどれだけ持っているかだ。
改めてフォトコンテストに寄せられた写真を見返した。痛みや、苦しみ、喜びをずっと見守ってきたお父さん、お母さん、そしてコーチの愛あふれる眼差しが捉える一瞬はどれも生きた写真だった。
そんな生きた写真を私も撮りたい。いつもそう思いながらカメラを構えている。それでもやっぱり撮れない。撮れているようで、撮れていない。いや、正確には撮りきれない。
自分は目の前のものを追いかけるばかりで、ひとつ一つのシーンに十分な愛を注ぎきれない。でもそれはきっと言い訳だ。まだまだ愛が足りないのだと思う。寄せられた200点の作品を見つめながら、しみじみとそう感じた。

あなたにしか撮れない写真がある。うまいとか下手とか、カメラとかレンズとかきっと関係ない。
そういう写真を撮れると本当に気持ちがいい。
うれしいことに「イワモトさんのような写真が…」と言われることもある。
でもそれは目指す所がきっと違う。
私には撮れない、あなただから撮れる写真がある。
その1枚を目指してカメラを構えてみてほしい。
今を残すことは、きっと未来につながっていく。
その気持ちがきっと写真に命を吹きこむ。







国内外から200点を超える作品をお寄せいただきました。
改めまして深く感謝申し上げます。
ありがとうございました。
来年1月、第2回ラグビーキッズフォトコンテストを企画しております。
皆様の力作を心よりお待ちしております。
