【インタビュー】 山中 竹春 横浜市長 〜その2〜

心に刻まれたラグビー精神
横浜市長として行政の方々と共に突き進む

村上 ラグビーをしたことは、その後の人生にどんな影響を与えていますか。
山中 とにかくラグビー漬けの生活ですから、毎日へとへとになっていました。そういう厳しい練習を通じて、ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンの精神はしっかり理解できたと思います。一人一人がそれぞれに与えられた役割を理解して、ときには自分を犠牲にしながら勝利に向かって突き進む。いまは横浜市長になり、行政の方々と共に突き進んでいます。ラグビー精神は心に刻まれていると思います。

村上 2019年のラグビーワールドカップ(RWC)は横浜がメイン会場になりましたね。
山中 アジアで初めて開催されたRWCでしたが、横浜では決勝戦を含む6試合が開催されました。あの大会は、日本全国が熱狂の渦に巻き込まれましたよね。日本ラグビーの人気向上にも大きく貢献したと思います。

村上 印象に残っている試合はありますか。
山中 日本代表戦はもちろんですが、決勝戦は最初から最後まで食い入るように見つめました。歴史的な大会の決勝戦が7万人以上の観客を集め、私が住む横浜市で行われたというのは、すごく嬉しかったですね。

村上 会場周辺の盛り上がりもすごかったですね。
山中 みんな、こんなにラグビーが好きなのだと嬉しかったですよ。これをレガシーとして引き継いでいくことも必要だと思います。現在、戦いの場となった横浜国際総合競技場では、世界最高峰の舞台を戦った選手になった気分をリアルに体験できるスタジアムツアーも実施しています。ぜひ、決勝の舞台で当時の興奮と感動を再び体感してみていただきたいですね。

村上 その決勝戦が行われた舞台では、日本の小学5、6年生の全国ラグビー大会であるヒーローズカップも開催されました。今年の大会は視察されたそうですね。
山中 感動しました。一つ一つのプレーに熱気があふれていますし、この選手たちが日本のラグビーを担っていってほしいと思いました。ヒーローズカップの開催に行政としても引き続き貢献していきたいと思っています。

村上 今年から始まったジャパンラグビー リーグワンに所属するキヤノンイーグルスが、横浜市を本拠地に決めて、横浜キヤノンイーグルスとなりましたね。
山中 地元のラグビーチームですから応援していきたいですね。シーズンオフには、イーグルスの選手たちが横浜市内での講演会、小学校でのラグビー教室に取り組むなど、地域と連携してくれています。

村上 横浜市は「自治体ワンチーム」のリーダーでもありますね。
山中 RWCで大きく盛り上がった機運を引き継ぎ、さらに発展させていくため、2020年に約140の地方自治体、日本ラグビーフットボール協会の皆さんと一緒に協議会を作りました。正式名称は「ラグビーとの地域協創を推進する自治体連携協議会」ですが、長いので通称「自治体ワンチーム」と呼んでいます。目的は地域からラグビーを盛り上げ、根付かせ、志をともにする自治体がひとつになって地域振興をしていこうということです。私は、前職の林文子市長を引き継いで、会長をさせていただいております。

村上 最後にラグビースクールに通う子供たち、保護者の皆さんにメッセージをお願いします。
山中 ラグビーはいろいろな個性を持った人たちが集まって、ひとつになって共通の目的に向かって進んでいくスポーツです。一人一人の役割があるのですが、チームのために自分の強みを最大限に発揮して、仲間とともに勝利に向かってベストパフォーマンスをする。この経験は大人になったときに必ず役に立ちます。そういった精神を、ぜひ、ラグビーを通じて学んでください。




山中 竹春(やまなか たけはる)
1972年9月27日生まれ


学歴
1991年 早稲田大学本庄高等学院 卒業
1996年 早稲田大学政治経済学部経済学科 卒業
1998年 早稲田大学理工学部数学科 卒業
2000年 早稲田大学大学院理工学研究科 修了


学位
2003年 博士(理学)早稲田大学


職歴
2000-2004年 九州大学医学部附属病院(現 九州大学病院) 文部教官助手
2002-2004年 アメリカ国立衛生研究所(NIH/NIEHS)研究員
2004-2005年 財団法人先端医療振興財団
(現 公益財団法人神戸医療産業都市推進機構) 研究員
2006-2012年 独立行政法人国立病院機構九州がんセンター 室長等を歴任
2012-2014年 独立行政法人国立がん研究センター 部長等を歴任
2014-2021年 公立大学法人横浜市立大学 特命副学長、医学部教授、
大学院データサイエンス研究科長等を歴任
2021年8月  第33代横浜市長に就任


市長就任までに、文部科学省科学技術・学術審議会専門委員、厚生労働省厚生科学審議会臨時委員、厚生労働省先進医療技術審査部会構成員、厚生労働省高度医療評価会議構成員、内閣府数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度検討会議構成員、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)専門委員、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)課題評価委員等を歴任

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