【インタビュー】第100回▶京葉ラグビーフットボールクラブ(千葉県)

ラグビーに真剣に向き合い「人間」としての成長をうながしたい
千葉県習志野市内を中心に活動する京葉ラグビーフットボールクラブは、2019年に設立されたばかり。2022年4月からは中学部も発足させ、小・中学校の生徒たちが熱心に活動しています。練習は、習志野市内の公園や大学のグラウンドを使用し、小学部は土曜、日曜、祝日の午前中。中学部は土曜、日曜の午後に加え、平日の夜間練習も行っています。練習の目的を理解させていく「京葉流」のコーチングに、ラグビーと勉強の両立をしながら取り組んでいます。100チーム目のラグビースクールインフォメーションは、クラブの代表を務める嶌田由寿さん(44歳)にお話を伺いました。


ラグビーは誰にでも平等にチャンスがあり、
誰一人手を抜けないスポーツ

村上 嶌田さんのラグビーとの出会いから聞かせていただけますか。
嶌田 僕がラグビーに出会ったのは、2019年のラグビーワールドカップ(RWC)です。ラグビーと言うスポーツの素晴らしさに感銘を受けて、当時小学3年生の息子を連れて、京葉ラグビーフットボールクラブ(RFC)に入り、ラグビーに関わり始めました。

村上 なぜ京葉RFCだったのですか。
嶌田 知人が知っていたクラブだったこともありますが、いろいろ調べてみて、クラブの指導方針や保護者、コーチ、選手に素晴らしいものを感じたからです。

村上 ラグビーのどの部分に魅せられたのですか。
嶌田 平等にチャンスがあるスポーツだと感じました。私は高校まで野球一筋で、娘がバレーボールをしていましたが、多くのスポーツが体格差や足の速さ遅さに左右されます。ラグビーというスポーツはそういうことが、時に強みになるのだなと思いました。誰もが活躍できるようにルールが作られているのですね。

村上 RWCを見て魅力を感じ、実際に関わって知ったラグビーの魅力はどんなところですか。
嶌田 学んだのは誰一人手を抜けないスポーツだということです。たとえば野球は攻守交替で休むことができます。ラグビーは動き続けないといけない。一人が気を抜いた瞬間に負けるスポーツだと感じました。体を張って確保してくれたボールを簡単に落としちゃいけないし、タックルされて簡単に相手にボールを渡してもいけない。それはラグビーの良いところだと思います。

村上 京葉RFCは2019年に設立されたそうですね。
嶌田 小学4年生10人と、その保護者がラグビーに真剣に向きあい、ラグビーの楽しさ、素晴らしさだけでなく、そこから学ぶ人としての成長をうながしていくクラブをつくろうという思いに共感して集まり、2019年に立ち上げました。

村上 チーム名を「スクール」ではなく、「クラブ」にしていることには、どんな意味がありますか。
嶌田 弊クラブとしては、校長がいて、指導者がいて選手へ教えていくという形ではなく、保護者も含む全クラブ員が一つの目的を理解して全力で取り組む。その結果、選手は指導者や保護者から学ぶ、指導者も選手や保護者からも学びます。クラブにかかわる全ての人がラグビーを通じて成長していく。そんな思いもあり『クラブ』にしました。

村上 2022年春に中学部はどのような思いで立ち上げたのですか。
嶌田 10人で発足したチームですが、チームの思いに共感する仲間は3年間で約50人に増え、そのなかで、中学生以降のラグビー環境に不安を持つ声が出てきました。全力で頑張る選手たちを見ていると、大人たちこそ負けられない、との気持ちで発足に至りました。京葉の小学部から上がった選手だけでなく、小学校の時までライバルとしてお互いに戦ってきた選手が共感して集まってきてくれ、千葉県外、関東圏外も含め、計30名ほどの中学1年生が在籍しています。

村上 具体的にはどんな練習をしているのですか。
嶌田 選手によってラグビーのスキルの差や、運動能力の差、体格差がありますので、基本的には毎週平日にコーチミーティングをして、選手目線に立って練習を組み立てています。原則としてはコンタクト、ラン、パスといった基本スキルの徹底ですが、個々の選手を分析し、それぞれに適した練習を組み立てるのが京葉流です。高校生以降もラグビーを続け、京葉でラグビーやっていてよかったと感じてもらえるようなラグビーを教えていきたいです。

村上 練習の成果を確認するために練習試合などは頻繁に入れるのでしょうか。
嶌田 ラグビーの練習がうまくなるための練習ではなく、試合でアウトプットできるために練習していますし、選手たちも試合が一番楽しく成長できるようです。そのため、交流戦は毎週のように入れています。


「一流のラガーマン育成」を掲げ、
勉強を両立できるように練習時間を調整


村上 人を育てるという意味で、仲間への思いやり、リスペクトの精神など大切にされているようですが、それをどのように伝えているのですか。
嶌田 まずは、対戦相手や保護者にきちんと挨拶をする、道具の管理も丁寧にする、困っている仲間を率先して助ける等、当たり前のことを自然にできるようにしています。強そうに見えるから、ほめられるからではなく、なぜその行為が必要なのか、ラグビーの歴史、ラグビープレーにつながる理由など、丁寧に説明するよう心がけています。

村上 身体づくりの点はいかがですか。
嶌田 瞬発力、持久力、コーディネーションなど、その年代に必要な体づくりのためにメニューは工夫しています。回数を多くやるというよりも、一本一本それが試合の中でどのように活きてくるのか、なんのために実施しているのかをしっかり説明し、全力でチャレンジする。走力は個々で差がありますが、自分にできる100%を出すことが浸透しているので、誰も手を抜きません。コーチも個々の選手の性格、状況を踏まえて、前向きになる言葉を考えながら、熱意を持って声をかけています。

村上 ラグビーが子どもたちに与える影響について何か感じることはありますか。
嶌田 ラグビーに対する向き合い方は差がありますよね。体重が重くて走るのに苦労する子はFWに多いのですが、FWの子がフィットネスで走り負けないように本気で頑張るようになっていく姿は強く印象に残っています。俺たちが走って良いボールを出して、BKを走らせるんだという気持ちですね。手を抜きたくなることもあると思いますが、なんのためにフィットネスのトレーニングをしているのかを伝え続けているので、子どもたち自身が役割を理解し、FWのプライドというものを自分たちなりに感じ取っているのだと思います。

村上 どんなスクールと交流していますか。
嶌田 千葉県内や東京都、神奈川県のラグビースクールやクラブ、そのほか幅広く交流させていただいています。4月から発足した中学部も、既に10チーム以上に胸を借りています。積極的にさまざまなスクールに声をかけさせていただいています。

村上 中学部がターゲットにしている大会などありますか。
嶌田 太陽生命カップ(全国大会)です。

村上 チームの強化に力が入ると、コーチや保護者が熱くなりすぎて、スパルタ指導になるという見方もありますね。
嶌田 そのような指導はいっさいありません。むしろ、選手が熱く、コーチ、スタッフ陣はそれに負けないように追いかけている状況です。特に中学生は立派な大人です。コーチ、スタッフ、保護者がどのように子どもではなく、大人として、どのように付き合っていくか、そんなことを考えています。また、中学受験をする子が多く、文武両道で成功しようという方針です。受験時期になるとラグビーから距離をとる子もいますが、極力、そうさせたくなく、保護者に塾の事情を聞き、早朝に練習を切り替え勉強に影響の出ないよう調整しています。中学部も、高校受験に向けた勉強、塾などに並行して取り組めるよう時間を調整しています。みんなが集まって勉強するなど、自主的な取り組みもあり、コーチ、スタッフも勉強の自己計画の立て方などサポートしています。

村上 今後のクラブとしての目標を聞かせてください。
嶌田 ラグビーを通じて人間力を育むということには引き続き力を入れていきたいです。中学部を立ち上げましたが、中学生になるタイミングでラグビーから離れる子を一人でも減らすために、次のステージを提供し続けていきたいですね。クラブの方針に共感してくれる子どもたちを受け入れ、しっかりした大人になっていってほしい。そのための京葉でありたいと思っています。



ラグビースクールインタビューアンケート

1、ラグビースクールの名前
 京葉ラグビーフットボールクラブ

2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等

小学部ロゴマーク:1つのボールを一つになったみんなの思いが支え合う。そして、一人ひとりは弱くて倒されても、雑草(weeds)のように粘り強く、一丸となって、次から次へあふれてくるようなラグビーで、目標に向けてひた走る思いを、習志野市カラーをもって染み込ませたチームロゴ「weedsマーク」です。
中学部ロゴマーク:小学部の「weedsマーク」の思いをもとに、中学部は、より一層雑草のように、より一層躍動感を持って突き進んでいく、そんな勢いをチームロゴにあらわして、出発しました。

3、
代表者
 嶌田 由寿

4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先
 小学部連絡先:keiyorfc@gmail.com
 中学部連絡先:keiyorfc.jr@gmail.com
 ホームページ:https://keiyorfcchiba.jimdofree.com/

5、活動場所・練習場所
 小学部:茜浜運動公園等、習志野市内を中心としたグラウンド
 中学部:習志野市内大学グラウンド

6、練習場所は天然芝、人工芝、土等
 小学部:天然芝中心
 中学部:人工芝(フルコートサイズ)

7、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等
 小学部:土曜日・日曜日・祝日の午前中
 中学部:土、日曜日の午後
      平日夜間(火曜日)

8、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの
 小学部:入会金10,000円 月会費1,000
 中学部:入会金10,000円 月会費3,000
 ※兄弟割引制度あり

9、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等
 小学部:約30
 中学部:約30人(1期生のため、現在はU13のみ)

10、コーチ人数、指名、経歴等
 小学部コーチ:12
  ※ヘッドコーチ コーチ歴:7年、プレーヤー歴:全国高等学校選手権大会出場、大学、社会人にてラグビー
 中学部コーチ:5
  ※ヘッドコーチ コーチ歴9年、プレーヤー歴;関東大学対抗戦、関東社会人1部リーグチームにてラグビー

11、モットー・大事にしている事・理念
 ケガをしない為の基礎スキルや体づくりといった「安全第一を最優先」のもと、ラグビーを通じた「人間力(礼節、仲間への思いやり、リスペクトの精神、真剣勝負の喜び、悔しさからの成長等)」を育ませるという目的をもって取り組んでいます。

12、特徴・全員試合出場など他のスクールとの違い
 上記目的を大前提とした上で、選手の意向をもとに学年ごとにチームとしての目標と、そのためのマイルストーンを定めています。目標達成に向けてて、交流会で得られた課題を練習で得られた課題を練習で改善し、また交流会で試すというサイクルを繰り返して成長を図っています。
 その選手、そのチームに必要な練習を考え、その目的が何かをしっかりと理解浸透させていく独自の練習方法「京葉流」のコーチングに取り組んでいます。

13、歴史・活動実績
 2019年:小学4年生10人とその保護者で設立

14、活動実績:Aカテゴリー(小学5・6年生)
 2020年:11月 ヒーローズカップ 関東大会準優勝(浦安会場)
 2021年:11月 千葉県ラグビー選手権大会優勝
          ヒーローズカップ 関東大会1stステージ突破
 12月 ヒーローズカップ 関東大会2ndステージ突破
 2022年: 3月 ヒーローズカップ 全国大会3位

15、活動実績:Bカテゴリー(小学3・4年生)
 2021年:11月 千葉県ラグビー選手権大会 ブロック優勝            

16、合宿・場所・期間・参加年齢等
 小学部:7月 菅平合宿 2~3泊 小学3~6年生
 中学部:7月 菅平合宿 2~3泊
 秋季 地方遠征 2泊

17、ラグビー以外の行事
 BBQなど(コロナ禍の状況も踏まえ、検討中)

18、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか
 小学部:将来のラグビーを踏まえ、中学受験を希望する選手が多くいます。そのため、休部せず、受験期まで大手進学塾など塾通いとの両立ができるよう、各選手のスケジュールも確認しながら、6年生の練習時間については柔軟に対応しながら取り組んでいます。
 中学部:高校受験に向けた勉強・塾、学校部活動、私立学校土曜日授業といった点を並行して取り組めるよう、練習時間を午後帯にするなど、「一流のラガーマン育成」の考えで活動しています。また、中間・期末テスト前も含め、ラグビーと勉強を両立継続できるよう、自己計画の立て方など、チームとしてのサポート活動も試行錯誤しながら取り組んでいます。

19、保護者の活動への参加・サポート
 父兄にも保険加入のうえ、積極的に練習参加して頂いています。
 練習、対外試合の送迎の都合がつかない場合には、会員家族同士で送り迎えを協力しています。

20、どんなスクールを目指すか(将来像)
 小学部:ラグビーを通じて、安全に取り組むことを大前提とし、人として成長することに重きを置いています。
 中学部:高校以降もラグビーを継続して取り組むことを前提に、行きたい高校・大学に入学し、各チームにおいて、プレーヤーとして活躍するだけでなく、選手自身が、「京葉ラグビーフットボールクラブで学んで良かったと思えるようなクラブを目指しています。

21、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)
 チームの指導方針そのものですが、ラグビーを通じ、礼節、仲間への思いやり、リスペクトの精神を持ち、真剣勝負の喜びや悔しさから成長できる大人になってもらいたいです。

22、プレースタイル
 礼儀、マナー、基本プレーを土台としたラグビー

23、交流する他のラグビースクール
 千葉県内をはじめ、関東のラグビースクールやクラブの皆さまと多く交流させて頂いております。とりわけ、中学部は、高校以降の舞台もイメージし、関東外も含めた全国のチームと交流をさせて頂けるよう、取り組んでいきたいと考えております。。

24、自由欄(付け加える事があれば)
 随時、新メンバーを募集していますので、経験問わず、お気軽にお問い合わせください。
クラブスタッフとしては、当クラブが永く継続し、地域にも愛され続け、さらには、「京葉」出身の選手が、ラグビー界、社会において活躍する姿も夢見ながら、全力で楽しく取り組んでまいります。


関連記事