【インタビュー】第98回▶りんどうヤングラガーズ(福岡県)

福岡県南部に根差し、明るく強い心をもった子どもたちを育てる
福岡県南部の久留米市を拠点として活動するりんどうヤングラガーズは、1974年に創部された伝統あるラグビースクールです。エンブレムは久留米有馬藩の家紋である笹りんどう。ユニフォームは、青と緑の横縞で、青は筑後川の色、緑は筑後平野の色を表しています。生徒数は幼児から中学生まで約150名。全体練習は毎週日曜日の9:30~12:00。中学の部は土曜日も練習があり、希望者が参加できる水曜日の夜間練習もあります。有名なOB選手も多く、日本代表のSH流大選手も卒業生の一人です。どんな雰囲気のスクールなのか、スクール全体の監督を務める梅野多加夫さん(58歳)にお話を伺いました。


朝は大きな声で元気にあいさつ
基礎練習と怪我をしない体つくり

村上 梅野さんはいつからラグビーに関わっているのですか。
梅野 私は中学までは剣道をしていたのですが、久留米工業専門高等学校でラグビーを始めました。アウトドアスポーツをしたかったのがひとつの理由で、もう一つは、私が中学3年生の頃に、久留米工専が高専大会で全国制覇していて、学生会館でそのトロフィーなどが飾ってあるのを見たからです。私はぽっちゃり体型だったので最初は走るのに苦労しました。ポジションは、最初はプロップで2年生にロックになり、3年生でフランカー、4年でセンターになって最後の5年生ではフルバックです。

村上 1番から15番までやったのですね(笑)。卒業後も続けたのですか。
梅野 地元で就職したので、地元クラブの「りんどうクラブ」に入りました。私は娘が2人いるのですが、次女が幼稚園の年中のころ、りんどうヤングラガーズ(YR)に誘われました。「引退したのなら、コーチとして来ないか」と。それで娘も連れてコーチ兼保護者として、関わり始めたわけです(2003年)。

村上 2003年当時はどんなスクールでしたか。
梅野 各学年に20名ほどいましたから約200名です。当時から指導理念は変わりません。「明るく強い心と体をつくります」、「みんな仲よく、力をあわせます」、「いつでもどこでも力の限りがんばります」、「約束は必ず守ります」、「大きな声であいさつします」、「自分のことは自分でします」の6つです。

村上 普段の指導ではどんなことを心掛けていますか。
梅野 練習開始前の朝礼では大きな声で「おはようございます」とあいさつします。試合は「全員が主役」という考えで全員を出場させるようにしています。小学2年生まではタグラグビーですので、とにかく楽しもうという考えで練習し、2年生の終わりごろからミニラグビーにスムーズに移行できるように基礎的なプレーの練習をしていきます。5年生の後半から県の新人戦、6年生になると県大会があり、試合も激しくなってきますので、怪我をしないような体作りにも取り組んでいます。

村上 チャンピオンシップの大会には機会があれば出場する考え方ですか。
梅野 大会には積極的に出て行こうとしています。ヒーローズカップにつながるものでは、トライドリームカップという九州大会があります。過去には参加希望のチームが手をあげて抽選で福岡県の代表を決めていました。多くのチームにチャンスを与えるためですが、他県は予選会をしていましたので、福岡県でも予選会をすることになりました。ただ、ヒーローズカップは6年生だけの大会ですので、その時の学年の考え方に任せています。

村上 小学3、4年生の大会はあるのですか。
梅野 西九州と東九州に分かれて行っていますよ。コロナ禍でなかなか開催できませんでしたが、2022年は6月5日に久留米で西九州の大会を行い、大分、福岡、佐賀、長崎から子どもだけで約1,000人が集まりました。みなさん、心待ちにしていたということでしょう。


スローガンは「ふるさとりんどう」
卒業生がコーチ、保護者として戻るサイクルを何度でも


村上 りんどうYRの特色はありますか。
梅野 子どもたちの笑い声が多い気がします。私たちのチームは、グラウンドの環境に恵まれていまして、福岡教育大学附属中学校グラウンド、久留米大学医学部グラウンド、筑後川河川敷グラウンドなどで、分散して練習することができます。コロナ禍が少し収まって来て練習再開できるようになったとき、福岡県では一番先に練習することができました。

村上 現在の生徒数は約150名ということですが、2003年当時から減少しているのは何か理由はありますか。
梅野 少子化が主な要因ですが、一時は90名ほどに減りました。その後、2015年のラグビーワールドカップ以降に体験希望が増えて、少しずつ人数が戻ってきました。いまも口伝えで増え続けています。

村上 お子さんを連れてくる保護者の皆さんはラグビースクールに何を求めているのですか。
梅野 元気がよくなるのが一番でしょうね。あとは挨拶をするとか、自分のことがしっかりできるようになるということが求められていると思います。

村上 精神的な面で子どもたちにお話をされることもあるのですか。
梅野 ようやく練習できるようになったときは、「まわりの多くの人の協力があるからできるんだよ。感謝をしましょう」ということは全員に伝えました。連れてきてくれる保護者の皆さん、消毒液を準備してくれるスタッフさんとか、自分たちがラグビーをするためにたくさんの人に感謝するということは、常日頃から伝えています。

村上 試合後に相手チームを称えるようなことも心掛けていることはありますか。
梅野 交流試合をするとき、ノーサイド直後に相手選手に感謝して挨拶をかわすのは当然として、チームが帰るときには、手でアーチを作って、「ナイスゲーム、ナイスプレー」など声をかけながら、そこを通ってバスに乗り込んでもらうようなこともしています。

村上 長く指導されていて印象に残っている子はいましたか。
梅野 いま当スクールのヒーローといえば流大君です。私がコーチを始めたとき、流君は5年生でした。そこから中学3年まで持ち上がりで流君の学年を指導しました。体は小さかったのですが、視野が広くて、よくディフェンスを突破していましたね。今の姿を見ると本当に成長したと感慨深いものがあります。12月に帰省した時に来てくれました。2時間半くらい各学年の練習に入って指導してくれました。そうして帰って来てくれる卒業生が多いです。

村上 流選手が小学生の頃、日本代表になると思っていましたか。
梅野 当時は思わなかったですが、彼の努力によるものと思います。また、流君の世代にもいい選手が多くて、明治大学、NTTドコモレッドハリケーンズ大阪で活躍した牛原寛章もいましたし、前後の学年には岩村昂太(三菱重工相模原ダイナボアーズ)、田代宙士(元・宗像サニックスブルース)もいました。今も沢山のOBが活躍されています。

村上 ラグビー以外の行事も多いようですね。
梅野 8月3、4、5日に久留米水の祭典がありまして、そのなかで「一万人のそろばん踊り」というのがあり、夏の思い出を作ってほしくて保護者やコーチ、生徒で参加しています。あとは合宿や、12月のクリスマス会もあります。

村上 今後、どんなスクールにしていきたいですか。
梅野 りんどうYRは、地域に根差したクラブチームをつくろうとしたのが始まりです。チーム名も有馬藩の家紋を使ったほうが親しまれやすいということで、りんどうYRと名付けられました。大人のクラブ「りんどうクラブ」、我々「りんどうYR」、女子のチームである「ナナイロプリズム福岡」、そして新たにうきは市に「ルリーロ福岡」というチームもできました。福岡県の南部でラグビーが知れ渡ってほしいし、地域とのつながりをしっかり作っていきたいです。そして、私が監督になってつくった「ふるさとりんどう」というスローガンの通り、子どもたちがりんどうYRを巣立ち、コーチ、親になって帰って来て、自分の子どもをりんどうYRに入れるというサイクルが何回転もしたら、それが地域に根を下ろしたことになると思っています。



ラグビースクールインタビューアンケート

1、ラグビースクールの名前
 りんどうヤングラガーズ 久留米有馬藩の馬験(うまじるし)りんどうより命名

2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等
 青と緑の横縞 青色は筑後川の色、緑色は筑後平野の色
 エンブレム 久留米有馬藩の家紋 笹りんどう

3、代表者名
 会長:桑野裕文、監督:梅野多加夫

4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先
 事務局長:鶴田敏之 福岡県久留米市中央町24-3 
 ホームページ http://rindoyr.com/ 

5、活動場所・練習場所
 福岡県南部の久留米市を拠点として活動
 練習場所 
 福岡教育大学附属中学校グラウンド
 久留米大学医学部グラウンド
 筑後川河川敷グラウンド 他
 練習場所は天然芝、人工芝、土等
 福岡教育大学附属中学校グラウンド:土
 久留米大学医学部グラウンド:人工芝へ改修中
 筑後川河川敷グラウンド:草

6、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等
 全体練習 毎週日曜9:30~12:00 夏場サマータイム8:30~11:00
 中学の部 土曜日9:30~12:00、水曜日 夜間練習18:30~20:30

7、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの
 入会費:3,000円、
 年会費:20,000円(第210,000円、第35,000円)入会月で変動
 遠征費:前後期各5,000円、合宿費別途必要
 活動に必要なもの(提携スポーツ店あり)
 全体 りんどうTシャツ、ジャージ、ヘッドキャップ、スパイク(低学年は運動靴で可)
 高学年以上 マウスガード ショルダーガード
 中学生 クラブポロシャツ クラブピステ上下

8、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等
 現在150名前後、女子選手10名程度、外国人0名(入会制限なし)

9、コーチ人数、指名、経歴等
 60名弱であり、低学年は保護者コーチが多く未経験者も多い
 りんどうOBコーチが多数在籍

10、モットー・大事にしている事・理念
 練習前の挨拶は大きな声で子供たちに分かりやすい言葉と速さを心掛けている
 子供たちは自分の子供と同じと思って接している
 子供たちの活動が安全に出来るよう安全と環境に配慮をしている
11、特徴・全員試合出場など他のスクールとの違い
 小学生は各学年ごとにコーチを配置し、子供たちに目が届く指導を心掛けている
 交歓会では全員出場し頑張りを褒める(特に低学年)

12、歴史・活動実績
 1974年創部、2024年に創部50周年を迎える
 県内外のチームと交歓会や小学高学年と中学生の新人戦、県大会への参戦
 子供たちの思い出になる親子行事の計画実施 

13、OB・輩出トップリーガー
 向井陽(釜石シーウェイブスRFCアンバサダー)

 中園真司(日野レッドドルフィンズ)
 田代宙士(宗像サニックスブルース) 早田健二(九州電力キューデンボルテックス)
 秋山哲平(清水建設江東ブルーシャークス)

 岩村昂太(三菱重工相模原ダイナボアーズ)
 牛原寛章(NTTドコモレッドハリケーンズ大阪)

 流大(東京サントリーサンゴリアス)
 古賀駿汰(クボタスピアーズ舟橋・東京ベイ)

 石松大空(九州電力キューデンボルテックス)
 中村彰(旧姓古賀)(NZ ポンソンビーIBM・サニックス・釜石シーウェイブス・近鉄ライナーズ)
 西田英樹(成城大学ラグビー部コーチ)  

 池松佑眞(セコムラガッツ)
*順不同(他にも多くの方がご活躍されています) 

14、指導方針・教育方針
 りんどうヤングラガーズ指導方針(会報に記載)
  ・明るく強い心と身体をつくります
  ・みんな仲よく、力をあわせます
  ・いつでもどこでも力の限りがんばります
  ・約束は必ず守ります
  ・大きな声であいさつします
  ・自分のことは自分でします

15、合宿・場所・期間・参加年齢等
 全体合宿 久重青少年の家(大分県)23日 原則小学生以上   

16、校歌等
 りんどうヤングラガーズの歌、ファイティングりんどう

17、ラグビー以外の行事
 全体 久留米水の祭典そろばん踊り(8月)、クリスマス会(12月)、ぜんざい会(1月)
 小学5年生以上 高良山参拝マラソン(12月)
 小学4・5・6年 スポーツ少年団駅伝大会

18、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか
 可能・詳細未調査

19、保護者の活動への参加・サポート
 保護者は育成部会所属で、幹事長・副幹事長・各委員と連携を図り、クラブの運営に
 御協力していただいている。又各学年ごとに学年幹事さんを選出し連携を図っている

20、どんなスクールを目指すか(将来像)
 諸先輩が活動されてきたクラブを継続させること(つなぐ)
 又、巣立ったOBOGが子供と一緒に戻って来てくれること(ふるさとりんどう)
 名前の由来でもある地域に根を下すラグビースクールにすること

21、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)
 あいさつが出来る、仲間や年下への思いやりを持つ、回りの方々への感謝を忘れない事が出来る人

22、プレースタイル
 FWを中心にしつこいアタックとディフェンスを行い、BKの走力を活かし得点に結びつける

23、交流する他のラグビースクール
 草ヶ江ヤングラガーズ、中鶴少年少女ラグビースクール、筑紫ケ丘ジュニアラグビースクール
 太宰府ラグビースクール、つくしヤングラガーズ、鞘ヶ谷ラグビースクール
 大分ラグビースクール、熊本ラグビースクール、長崎ラグビースクール 他
 交流するラグビー団体(学校・協会・トップリーグ等)
 浮羽究真館高校、明善高校、九州電力、りんどうクラブ




保護者へのアンケート

1、このスクールを選んだ理由
 2019年日本代表の流選手の出身クラブであったため。
 同じ小学校の友達から誘われたため。


2、このスクールの良い点
 学年ごとにチーム編成されており、それぞれの学年で試合が出来るところ。
 高学年だけでなく低学年も、みんなが主役となれるところ。

3、スクールに改善して欲しい所
 他学年との交流。
 他学年と関わることで、上下関係を学び、縦のつながりを築いてもらいたいです。
 上の学年は下の学年の手本となり、下の学年へ教えることを通して自分自身も成長し、下の学年は上の学年に対して尊敬を抱き、憧れ・目標としてほしいです。

4、お子さんの変化・スクールに入って変わりましたか
 変わりました。
 よく食べ、よく寝るようになりました。

5、お子さんがスクールに入って生活に変化がありましたか
 自分のことは自分でするようになりました。
 ラグビーだけでなく様々なことに積極的に挑戦するようになりました。
 

6、スクールを卒業してもラグビーを続けさせますか・続けて欲しいですか
 本人の希望に任せます。
 様々なことに挑戦してほしいです。
 もし、ラグビーを続けない選択をしたとしても、仲間を大事にしていくことは忘れずにいてほしいです。


7、ご自身もラグビーをしていましたか
 していません。
 

8、ご自身もラグビーが好きになりましたか
 大好きになりました!
 

9、どんな大人になって欲しいですか
 自分で考え、失敗を恐れることなく挑戦し、道を切り開いていくことが出来、困った人がいたら自然に手を差し伸べることができる大人   になってほしいです。

10、スクールに入れてよかったですか
 「良かった」の一択です!
 ありがとうございました。


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