【インタビュー】第94回▶川越ラグビースクール(埼玉県)

楽しく! きびしく!! 元気よく!!!
川越ラグビースクールは、埼玉県川越市で1977年から活動する伝統あるスクールです。東京国際大学入間川グラウンドで、主に毎週日曜日の午前中に練習しています。モットーは、「楽しく!きびしく!!元気よく!!!」。楽しいだけではなく、厳しい練習もあり、それを乗り越えて成長していく子どもたちを温かく見守っています。ジャージーのエンブレムは小江戸と呼ばれる川越のシンボルともいえる「時の鐘」。保護者の皆さんに大好評だそうです。今回は、チームの校長を務める伊藤健司さん(53歳)に、保護者会が運営するというユニークなスタイルなどについて伺いました。


小・中学校のラグビー経験が
子どもをスクールに連れて行くきっかけに


村上 伊藤さんのラグビーキャリアから聞かせてください。
伊藤 川越市に高階地区というところがあるのですが、私が小学3年生の時、通っていた学校の近藤先生が「高階少年ラグビー団」を作りました。私は一期生です。卒業まで所属して、進学した寺尾中学でも必修クラブでラグビーをしました。私のラグビーキャリアはここまでです。

村上 部活ではやっていないのですね。
伊藤 やっていません。私は音楽が好きで、高校では吹奏楽部に入りました。教室の窓からラグビー部の練習をながめて、またラグビーをやりたいなと思ったりはしました。川越ラグビースクール(RS)でラグビーに関わるようになってからは、トップリーグやジャパンの試合はよく見てましたね。

村上 川越RSと関わるようになったのはなぜですか。
伊藤 私の長男(優輔)が小学4年生になったときに、川越RSがまだ活動していることを知って連れて行きました。次男(駿平)も一緒にラグビーをしていました。長男は大学まで、次男は高校までラグビーを続けました。

村上 高階少年ラグビー団が川越RSの前身なのですね。
伊藤 そうです。1983年に川越少年ラグビー団になり、1995年から川越RSという名称になりました。

村上 優輔さんにラグビーをさせようと思ったのはなぜですか。
伊藤 私がとても良い経験をしたからです。仲間がたくさんできますし、体がぶつかりあって痛いこともありますが、そういうところから学べることも多い気がします。

村上 お子さんを連れて行ったとき、川越RSの雰囲気をどう感じましたか。
伊藤 当時はまだ人数が少なくて、ラグビー経験のある保護者の皆さんが自分のお子さんとともにチームに関わっていて、アットホームなスクールだと感じました。楽しく活動していましたね。

村上 現在のスクール生は150人とのことですが、いつくらいから増えましたか。
伊藤 2015年のラグビーワールドカップで日本代表が南アフリカに勝ちましたよね。あの後からですね。現在は、幼児から中学生までが参加しています。

村上 モットーは、「楽しく! きびしく!! 元気よく!!!」とのことですが、現場ではどんな指導をしていますか。
伊藤 このモットーが根底にあってほしいということは指導者の皆さんに話しています。ラグビースクールは楽しければいいという考えもありますが、僕は学年によって、厳しさと楽しさのバランスを考えるべきだと思っています。学年が上がって厳しくやるようになっても、楽しさを忘れないようにしよう、子どもたちの元気を引き出すようなことをしようということです。

村上 指導者は保護者の方が多いのですか。
伊藤 そうですね。自分の子どもを通わせている人、子どもは卒業したけど残ってくれている人、さまざまです。

村上 試合には全員出す方針のようですね。
伊藤 ヒーローズカップなどチャンピオンシップの大会ではベストメンバーで臨むようにしています。いろんな意見があったのですが、そういう大会にエントリーするにあたって、ベストメンバーで臨むのが相手チームに対しても礼儀ではないかという考え方です。交流試合などは全員が出場します。ヒーローズカップでは試合に出ないメンバーもグラウンドサイドで応援するようにしています。


スクールの運営は保護者会が担い、
任命されたコーチが指導にあたる


村上 どんなときに指導する喜びを感じますか。
伊藤 川越RSは、ラグビーエリートを育成する機関ではないと思っています。それよりも、運動が苦手で、体育の時間は下を向いているような子が、ラグビーをきっかけに元気になって、なんでも積極的にできるようになる。そんな話を聞くと、ラグビースクールをやっていて良かったと思います。

村上 スクール生が150名になってもアットホームな雰囲気は変わっていないのですね。
伊藤 そう思います。後から入ってきた保護者の方にも、川越は独特ですねと言われますね。厳しくやっているけど、楽しそうだよね、と。

村上 卒業生で、大学、トップリーグで活躍したような選手はいますか。
伊藤 埼玉パナソニックワイルドナイツに所属する本堂杏虎(あとら)選手(國學院栃木→日本体育大学)が出世頭です。3人兄弟で川越RSに所属していたのですが、元気で、能力も高くて印象に残っています。

村上 一年間の活動の中で、子どもたちが楽しみにしている大会はありますか。
伊藤 川越RSが主催する交流会は、川越市民体育祭(ラグビー小学生の部)がありまして、川越運動公園陸上競技場で5チームくらいを集めて開催しています。この交流会は川越市からメダルなどが提供されます。上位チームはメダルがもらえて、高学年の優勝チームにはカップも贈られます。メダルを取るのが一つの目標ですね。

村上 埼玉県のラグビースクールは勝敗を決めないということを聞いたことがあります。
伊藤 そうです。今でも埼玉県ラグビー協会の主催する交流会では勝敗は決めません。その中で、年に一回くらい勝敗を決める大会があってもいいのではないかと思って独自の交流会を始めました。僕としては、やるからには勝ちを意識しないと学ぶものはないのではないかと思っています。

村上 試合が終わったときの態度についても子どもたちに教えますか。
伊藤 勝つばかりでは負ける悔しさが分からない。負けてばかりでは勝つ喜びが分からない。勝ったり負けたりするのは一番いいんだよ、みんな勉強になってるんだよ、と声をかけますね。

村上 川越RSは保護者会が運営しているそうですね。
伊藤 事務局はありますが、それも保護者会で任命しています。すべての権限は保護者会にあるスタイルです。ですから、僕も保護者会から任命されて校長になっています。

村上 なぜ、そういうスタイルになったのですか。
伊藤 このスタイルは1995年からなのですが、過去に運営側と保護者の考え方が合わないことがあったそうです。自分たちの子どもを預けるのだから、自分たちが責任を持とうということなのだと思います。

村上 強制的に保護者会に参加させられることはないのですか。
伊藤 それはありません。仕事が忙しくて、子どもを送ってくるだけの保護者もいらっしゃいます。ただし、僕は子どもと親が一緒に活動できるのは小学生か中学生くらいまでかなと思っているので、できるだけ子どもの成長を目の前で見守っていったらどうですか?と、活動へお誘いしています。

村上 プレースタイルで、「体を当てる」ということが書いてありますね。
伊藤 現在、低学年はタグラグビーをすることになっていますが、本当はそこからコンタクト練習をして自然と身のこなしをおぼえれば、怪我をしない子どもに育つのではないかと考えています。積極的に体を当てる練習をして、試合もそういうことを重視しています。それにより心も身体も強くなると考えています。僕がコーチの時、体を当てる練習を重視しすぎていたら、試合でボールを動かさなくなったので、今はボールを動かすようにも指導しています。

村上 ラグビーが子どもたちに与える影響について、どう考えていらっしゃいますか。
伊藤 痛い思いをするからこそ、思いやる心が育つのではないかと思います。対戦相手でも痛がっている子に声をかけているし、仲間が怪我をすると「大丈夫?」とみんな集まってきたり思いやりが育っていると思いますよ。

村上 今後、どんなチームにしていきたいですか。
伊藤 アットホームで、ラグビー以外の場所でも付き合いがあったり、そういうスタイルがいつまでも続いたらと願っています。ビッグスクールになろうとは思っていません。そこそこの規模で、活動を通じて子どもたちが積極的に生きて行くきっかけ作りになれば嬉しいし、そんな中からときどきトップレベルで活躍する選手が出てきてくれたら、これ以上嬉しいことはありません。



ラグビーキッズ
ラグビースクールインタビュー
アンケート


1、ラグビースクールの名前
 川越ラグビースクール

2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等
 ユニフォーム=紫紺、エンブレム=時の鐘


3、代表者
 伊藤 健司

4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先
 当スクールウェブサイト
 問い合わせフォームhttps://school.kawagoweb.com/

5、活動場所・練習場所
 埼玉県川越市鯨井
 入間川グランド

6、練習場所は天然芝、人工芝、土等
 天然芝

7、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等
 主に毎週日曜日午前中練習
 月に数回程度の交流試合 夏合宿など

8、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの
 年間12,000円
 入会費は不要 
 合宿費などは別途

9、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等
 150名 うち女子選手20名

10、コーチ人数、指名、経歴等
 50名

11、モットー・大事にしている事・理念
 楽しく!きびしく!!元気よく!!!

12、特徴・全員試合出場など他のスクールとの違い
 楽しさと厳しさのバランスを考えて指導しています。
 もちろんメンバー全員試合に出場します。

13、歴史・活動実績
 1977年川越市内の小学校で活動を始めて今年で45周年

14、OB・輩出トップリーガー
 本堂 杏虎選手(埼玉ワイルドナイツ)

15、指導方針・教育方針
 声を発し 会話をして 考えられる選手        
 積極的にコンタクトプレーに取り組み身体を当てられる選手を育成

16、合宿・場所・期間・参加年齢等
 夏合宿2泊3日菅平にて全学年対象(ただし低学年は保護者引率) 

17、ラグビー以外の行事
 学期末お楽しみ会にて運動会やドッジボール大会など

18、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか
 多くの子供たちが複数の習い事をしている。
 休みが多くなるとの相談を受けることがあるが、特に問題はありません。

19、保護者の活動への参加・サポート
 当スクールは保護者会により運営されています。
 当番制などはありませんが、できる方ができる範囲で活動に参加していただいております。

20、どんなスクールを目指すか(将来像)
 親子で楽しめるスクールであり続けたい

21、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)
 人とつながり仲間がたくさんいる 
 身体を動かすことが好き
 そんな大人になって欲しいものです。

22、プレースタイル
 小さな頃から身体を当てる事が、将来の怪我を防げるの考えのもと、コンタクトプレーを積極的におこなう

23、交流する他のラグビースクール
 県内外の多くのスクールさん

24、交流するラグビー団体(学校・協会・トップリーグ等)
 近隣の中学高校さん



保護者へのアンケート

1、このスクールを選んだ理由

 自宅から比較的近かったので、体験に行ったところ、全員参加型ですごく良い雰囲気だと思ったので。

2、このスクールの良い点
 誰でもウェルカムな雰囲気や運営全般

3、スクールに改善して欲しい所
 (希望者への)練習機会拡大

4、お子さんの変化・スクールに入って変わりましたか
 入会したのが未就学児(年長)の時でしたので、判断難しいですが、そう思います。

5、お子さんがスクールに入って生活に変化がありましたか
 上に同じです。

6、スクールを卒業してもラグビーを続けさせますか・続けて欲しいですか
 はい。本人もそのつもりのようです。

7、ご自身もラグビーをしていましたか
 高校時代に少し。

、ご自身もラグビーが好きになりましたか
 私はもちろんですが、ラグビーには全く興味のなかった妻もラグビー好きになりました。

9、どんな大人になって欲しいですか
 (ラグビーには関係ないかもですが)自分の意思をしっかりと持って行動する人間になって欲しいです。

10、スクールに入れてよかったですか
 はい。とてもよかったです!


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