【インタビュー】第82回▶大阪みなとラグビークラブ(大阪)

ONE TEAMで、「強いカラダとココロを育てる」
大阪みなとラグビークラブは、大阪市港区で活動しています。創立されたのは、2000年。大阪市や大阪教員団のバックアップのもと、市立市岡中学の先生が中心になって地域密着のクラブを目指して立ち上げられました。現在は、幼児、小学生、中学生が対象です。大阪と言えば、小学生、中学生のラグビーが盛んだと思われがちですが、地域差があり、港区は子どもたちがラグビーをする環境が少ないのが現状です。2021年からは「ヴァイキングス」というニックネームがつけられ、コーチ、保護者、選手が一体となってラグビーを楽しんでいます。どんなチームなのか、小学2年生担当の松井隆明コーチ(37歳)にお話を伺いました。


プレースタイルは「堅守速攻」
タグラグビーでも前に出る

村上 松井さんはいつからラグビーに関わっていらっしゃるのですか。
松井 僕は近畿大学付属高校でアメリカンフットボール部でした。ラグビーとの出会いは、高校2年生のときのクラス担任の今西先生が天理大学ラグビー部出身で、「松井、ラグビーをやれ」と言われていました。友人との出会いもあって進学した杏林大学でラグビーを始めました。就職後、転勤で地元の大阪市港区に戻ってきました。

村上 転勤して大阪みなとラグビークラブと出会ったのですか。
松井 私は大阪青年会議所に入っているのですが、2019年のラグビーワールドカップを盛り上げるために、ラグビーのイベントをする話があり、NTTドコモレッドハリケーンズの協力で南港グラウンドでタグラグビーのイベントを開催しました。私の息子(崇太朗)も幼稚園の年中で参加したのですが、追手門学院大学ラグビー部のお兄さんと遊んでもらって楽しかったようで、「ラグビーがしたい」と言い出しました。そのイベントには、大阪みなとラグビークラブも参加していたのです。2018年のことですね。

村上 コーチになったのは、いつからですか。
松井 最初は息子の保護者として見学しているだけでした。ところが、2019年のラグビーワールドカップの開催で体験に来る子どもが増えまして、手が足りなくなっていたのでお手伝いするようになり、代表の馬醫(ばい)さんに、正式にコーチをお願いできますかと声をかけていただきました。

村上 2021年にヴァイキングスというニックネームをつけたのはなぜですか。
松井 僕は部外者としてクラブを見ていたのですが、違和感を覚えることがありました。試合に負けた子どもたちが笑っているんですね。子どもたちにラグビーを楽しんでもらうのは良いと思うのですが、体を動かすことが目的のスポーツクラブのような雰囲気がありました。もう少し、ラグビーをしっかり教え、危ないことはさせないということではなく、逆ヘッドのタックルはなぜ危ないかを理論的に教えていくことが大事だし、今のラグビーに合った指導も必要ではないかと思ったのです。戦う集団になってほしいし、子どもたちに親近感を持ってもらいたいという思いも込めて、ニックネームを提案しました。クラブの代表が「ばい」という名前で、代表だから「キング」、港区なので「ヴァイキングス」でどうかと考えました。

村上 練習はどんな雰囲気なのですか。
松井 メリハリが大事だと思いますので、厳しくするときはしますし、練習後は子どもたちと雑談もしますが、自分たちで決めたことについてしっかり取り組んでいるかは見ています。僕はどちらかというと尻を叩く感じで、他のコーチがフォローしてくれています。

村上 プレースタイルは「堅守速攻」とありますね。
松井 小学2年生まではタグラグビーですが、たとえば4回タグを取って攻守交替であれば、ディフェンスでどんどん前に出て相手を下がらせてターンオーバーになれば、すぐにトライできますよね。子どもたちのラグビーをタグだけで終わらせることなく、最終的には15人制をやってほしいので、ディフェンスでしっかり前に出ることを小さなころからやっておきたいんですよね。

村上 卒業生には、どんな選手がいますか。
松井 強豪大学で活躍している選手はいますが、OBで長くラグビーを続けてくれる子どもは少ないです。どうすれば続けてくれるのか、コーチ、保護者で話し合っていますが、僕の中でのひとつの答えが出ています。やはり、勝ちたいという思いを引き出さないといけないと思うのです。ラグビーをすることだけを目的にしていると継続してくれない気がします。中学、高校でラグビーをするまでラグビーが好きになってくれるように情熱を持って接していかなくてはいけないと思います。

村上 中学生でラグビーを続ける環境は整っているのですか。
松井 大阪みなとラグビークラブの中学部は単独ではなくサウスモールというチームで活動しています。港区でラグビー部がある中学は、市岡中学、港中学くらいで、、隣の西区、福島区にもラグビー部がある中学はないので、NTTドコモレッドハリケーンズのアカデミーに行っている子もいます。ラグビーを続ける環境がないのも要因はあります。大阪でも地域差があるのです。


コーチと保護者がよく話し合い
学年を越えてチームが結束

村上 コーチ、保護者がよく話し合っているようですね。
松井 月に一度のコーチ会議には全学年の専属コーチ、OBコーチ、保護者コーチ、保護者の皆さんが集まって話し合います。馬醫代表は、いろんな意見を聞き、みなさんの意見に沿って物事を進めたい人なのです。ここまで学年を越えて話し合っているのは、他のスクールにはない、うちのクラブの強みだと思っています。

村上 ラグビー以外の行事もいろいろあるようですが、大みそかにタッチラグビー大会をするようですね。
松井 毎年12月31日に卒業生が集まります。石見智翠館高校や、尾道高校に行っている子もいて、花園の高校大会で戻って来てくることもありますし、コーチ、卒業生でタッチラグビーを楽しんでいます。「タッチ」と言いながら、けっこう激しくなるんですけどね(笑)。

村上 2017年には、ヒーローズカップで準優勝していますね。
松井 僕はいなかったのですが、体格の大きな選手も多くて、タレントが揃っていたそうです。

村上 2018年から指導されていて、印象的な子はいましたか。
松井 僕が印象的な子は2人います。年長で入ってきた子で、最初は練習していてもふてくされるし、グラウンドから出ていく、新しく入ってきた子には高圧的に話す。そんな子が今ではチームメイトという意識が生まれて、率先してみんなに声をかけ、できない子には教えにいくようになりました。そういうのを見ると、本当いいなって思います。もう1人は、NTTドコモレッドハリケーンズのパエア ミフィポセチ選手のお子さんです。2人兄弟で、お兄ちゃんが小学2年生で、弟が年中です。弟は明るくて、よくしゃべるし、すぐにチームに溶け込みました。お兄ちゃんは内気で、コミュニケーションが上手くいかずに泣いていました。ところが、いまは率先して声をかけて、パスする相手の名前を呼んでパスをしている。ポテンシャルは驚くほどで、スニーカーでアイランダーステップ踏みますからね(笑)。お母さんは気持ちの弱いお兄ちゃんのことを心配していたようですが、「ラグビーをやらせて本当に良かったです」と言っていました。嬉しいですよね。

村上 息子さんも変わりましたか。
松井 前は優柔不断なところがありましたが、自分の考えをしっかり言えるようになりました。それは嬉しいです。

村上 松井さんは、ラグビーの魅力はどんなところにあると思いますか。
松井 「ラグビーは少年をいち早く大人にし、大人にいつまでも少年の魂を抱かせてくれる」という言葉がありますよね。すごく印象に残っています。うちのクラブにラグビーが未経験の51歳のコーチがいるのですが、「息子のおかげで2回目の青春をさせてもらっています」とよく言っています。また、僕は大学からラグビーを始めましたが、啓光学園や常翔学園という強豪高校ラグビー部OBの皆さんと出会い、可愛がっていただいています。ラグビーは同じ高校かどうかが関係ないんですね。そういうところはラグビーの特徴だと思っています。


ラグビーキッズ
ラグビースクールネットワークインフォメーション(ラグネット)
アンケート

1、ラグビースクールの名前
 大阪みなとラグビークラブ

2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等
  ユニフォームは今秋に新規作成


 エンブレムは「舵」


 ニックネームは『ヴァイキングス』


3、代表者
 馬醫 伸夫(ばい のぶお)

4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先
 〒552-0007 大阪市港区弁天2-5-23 TEL.090-5967-7770
 Web: http://minato-rc.main.jp/ or  bybai@iris.ocn.ne.jp(mail
 info@minato-rc.main.jp
 ホームページは近々に変更予定です

5、練習場所は土等
 練習場所は「市岡中学校」「八幡屋グラウンド」他 すべて土のグラウンド
 全て大阪市港区内のグランドを中心に行っています。

6、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等
 毎週土曜日10時~12時 
 積極的な大阪府内のスクール交流戦・春夏の公式戦・9月に行う合宿・3月最終週の卒団/進級式 など

7、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの
 大阪市港区管理のもと
 ・「みなとすぽーつ」入会金500円・保険代800円(生徒)・6,000円/年
 ・「みなとラグビー」会費1,000円/月 の合算になります

8、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等
 88人(うち女子10%程度 外国人対応可 数名在籍されています)

9、コーチ人数、指名、経歴等
 32人(経歴 多種 コーチ資格にラグビー経験は問いません)
 保護者コーチを中心にOB生徒の父兄も参加しています。
 経験者のみならず未経験者の方々もコーチとして参加しています。

10、モットー・大事にしている事・理念
 3FFightFair PlayFriendship
 3Son Sideno Sidefor the Side
 「強いカラダとココロを育てる」

11、特徴・全員試合など他のスクールとの違い
 多くのスクールでは学年ごとが1つのチームのようになっていると聞きますが、我々みなとラグビークラブは学年ではなくクラブ全体を『ONE TEAM』として、全員がフラットな立場で喧々諤々『子供たち』を主語に話し合い、協力し合ってコーチ陣、保護者が共に運営していることは強みではないかと考えます。
土曜の午前中に練習を行っているため、土曜午後から日曜まで家族の時間を持てることも特徴的です。

12、歴史・活動実績
 2000年創立 現在創部21年目
 第10回ヒーローズカップ全国大会準優勝など

13、OB・輩出トップリーガー
 マツダスカイアクティブズ広島CP 崎口銀次郎
 明治大学 2年 為房慶次郎
 同志社大学 2年 岡野喬吾
 立命館大学 2年 木本佳佑 他
 20219月現在

14、指導方針・教育方針
 やればできる。できるまで、できるように挑戦する。
 子供たちの間で教え合ったり、指摘し合ったりして互いに高め合う。

15、合宿・場所・期間・参加年齢等
 ボスコヴィラ(奈良県)SORA RINKU(大阪府)
 92週目 2日間 宿泊は3年生以上 2年生以下は日帰り参加

16、ラグビー以外の行事
 運動会・BBQ大会・大阪女子マラソンファンラン・卒団進級式・体力測定
 年末恒例タッチラグビー大会(OB1231日に集まる大会)

17、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか
 もちろん可能です。人数は不明ですが、水泳・サッカー・柔道・レスリング・フィギュアスケート・パルクール・ドッジボールなど多岐にわたります。またラグビーアカデミーの掛け持ちも多いです。また習字やそろばん、プログラミング、進学塾などといった習い事をしている子供もいます。

18、保護者の活動への参加・サポート
 保護者さんにもコーチ登録をお願いしています(ラグビー経験問わず)
 その中でJFRUのスタートコーチやレフリー資格など自主的に取得されています
 また保護者会を作って貰っていて、運営協力をお願いしています

19、どんなスクールを目指すか(将来像)
 地域の誰もがどのようなカタチでも参加できるクラブ
 卒業したスクール生がコーチや親として戻ってきて後進の指導をしてくれるようなクラブでありたい。

20、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)
 ラグビーを通して、周りの人への感謝と優しさ、仲間の大切さ、一人で立ち向かう強さを養って欲しい

21、プレースタイル
 高学年は積極性・ディシジョンメイク
 低学年(タグ)は堅守猛攻 

22、交流する他のラグビースクール
 南大阪RS 橿原RS 岬・富田林・河内長野RS 守口RS他(順不同)

23、交流するラグビー団体(学校・協会・トップリーグ等)
 大阪ラグビー協会 市岡中学校 
 最近NTTドコモレッドハリケーンズの選手のお子様も入会いただいていますので、交流を図りたいと考えています。

24、自由欄(付け加える事があれば)
 大阪市港区を本拠地に隣接する西区・大正区・此花区、また福島区・西淀川区・住之江区などからたくさんの子供たちがラグビーをしにやってきてくれています。2019W杯のおかげで、部員の大量入部ができ、以前までとは違うクラブ内でのポジション争いが生まれ、そのことによる子供たちの成長は目を見張るものがあります。ラグビーを通じて、「強いカラダとココロを育てる」をモットーに、勝つ喜びに負ける悔しさを経験し、人の痛みや優しさなどにも触れることで大きく更に子供たちを成長させるものだと思っております。

 ラグビーは少年をいち早く大人にし、その大人の心をいつまでも少年のままにさせてくれるスポーツです。


保護者へのアンケート

1、このスクールを選んだ理由
 【高学年】
  家から近い場所だったため。
 【中学年】
  みなとラグビースクールの雰囲気が厳しすぎず緩すぎず子どもにあっていた。
  保護者にも親切で参加を強制されない点もよかった。また金銭面でも親切。
  体験入部の際に、子供目線で丁寧に教えて頂いたから入部を決めました。
 【低学年】
  一番近いラグビースクールであったため。
  体験練習に参加して、子供が気に入ったため。

2、このスクールの良い点
 【高学年】
  コーチの皆さんの情熱と子どもへの愛情深さ。また、チームメイトや保護者の雰囲気がよいところです。
 【中学年】
  保護者に親切で金銭面ではコーチ陣にとても感謝している。
  コーチ陣がとても優しい。
  色々な学校の子どもが集まっているので、自分の学校以外の居場所や友達ができる。
  子供達の事を最優先に考えるところ。
 【低学年】
  保護者に対する厳しいルールがないこと
  保護者の負担が少ないこと

3、スクールに改善して欲しい所
 【高学年】
  学年独自で自由に考え、活動していける機会が増えると良いと思います。
 【中学年】
  上の学年さんともっと試合形式の練習を取り入れていただけるとありがたいです。
  古き良き伝統を継承しつつ新しい事にも取り組んで頂きたい。
 【低学年】
  学年があがるにつれて、より一層「勝ちたい」という意識を持たせて欲しい。
  チーム内(試合・試合外)では、役割と責任が伴うと思いますが、至らない時には厳しく叱って欲しい。

4、お子さんの変化・スクールに入って変わりましたか
 【高学年】
  身体も大きく動きが激しい為、幼少期から様々な場所で大人からきつく注意されることが多く、〝大人=怖い‘’が根づいてしまい、なかなかチャレンジしたくてもできない子どもでした。
  スクールでコーチの皆さんの指導を受けていく中で、大人への信頼感が深まり、様々な場所に飛び込んで行けるようになりました。
 【中学年】
  体力がついたと思います。
  スポーツに対して前向きに取り組めるようになりました。
  少しですが、協調性が身につきだした様に感じます。
 【低学年】
  周りの状況(チームメンバーの行動)を把握、興味を持つようになってきたように思います。

5、お子さんがスクールに入って生活に変化がありましたか
 【高学年】
  自分で考えて行動できる場面が増えました。
 【中学年】
  クラブで体を動かすことにより、日々のストレス発散に繋がっているようです。
  共通の話題が増え積極的になった気がします。
 【低学年】
  決めごとは守るようになりました。

6、スクールを卒業してもラグビーを続けさせますか・続けて欲しいですか
 【高学年】
  親としては続けて欲しいと思います。
 【中学年】
  本人に任せています。ラグビーで培ってきたものを活かしてほしいとは思います。
  本人に任せますが、続けて欲しいです。
 【低学年】
  続けて欲しいです。

7、ご自身もラグビーをしていましたか
 【高学年】
  未経験です。
 【中学年】
  していない。
  しています。
 【低学年】
  していません。

8、ご自身もラグビーが好きになりましたか
 【高学年】
  はい。今では見ていて1番面白いスポーツです。
 【中学年】
  はい。トップリーグやオリンピックを観るようになりました。
  好きになりました
 【低学年】
  好きです。

9、どんな大人になって欲しいですか
 【高学年】
  自分に負けない心で努力できる人。感謝の気持ちを持ち、人に尽くせる人。
  友達を大事にできる人。
 【中学年】
  いつでも笑って過ごせるメンタルと環境を手に入れてほしいと思います。
  コーチたちのように人に優しい大人になってほしいです。
  自分でしっかり生きていく力を持った人
 【低学年】
  人に優しく、自分に厳しい大人になって欲しいです。

10、スクールに入れてよかったですか
 【高学年】
  本当によかったと思います。
 【中学年】
  はい。(いつもありがとうございます)
  はい。よかったです。
 【低学年】
  良かったです。



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