平日にラグビーする場を作り、 小・中学生世代からの底上げを
第6回のデミネットは横浜市で活動するワイナスラグビーアカデミーをご紹介します。母体となるYNU Sports Academy(特定非営利活動法人YNUスポーツアカデミー)は、2005年12月に神奈川県から認証されました。YNSは、横浜国立大学の略称で「地域にスポーツ文化を拡げる」をモットーとして、横浜国大の協力支援を得て、各種スポーツ普及・振興事業を実施し、青少年の成長と市民の健康増進に寄与し、スポーツを通じてのコミュニケーションの場を提供することを目的としています。その中にあるワイナスラグビーアカデミーの活動内容について、狩野太志コーチ(27歳)にお話を伺いました。
週3日(火、水、木)の夜に練習
特徴的なコンタクトクラスもあり
村上 狩野さんは、世田谷区ラグビースクール、ブレイブルーパス府中ジュニアRC、法政二高でプレーされたあと、ニュージーランド(NZ)に渡って、リンカーン大学、ワイテマタクラブでプレーされましたね。その後、ワイナスラグビーアカデミーに関わることになった経緯を教えてください。
狩野 2年ほど前、NZから日本に戻ってきました。プレーするチームを探している中で、このアカデミーがコーチを募集しているのを知り応募しました。
村上 アカデミーが設立された経緯はご存じですか。
狩野 もともとは小さな規模で運営されていたのですが、現在の代表の小林亮平が2015年のラグビーワールドカップで日本代表が南アフリア代表を破った試合を見て、務めていた銀行を退職して個人事業主になりました。小林は横浜国立大学ラグビー部の出身で、アカデミーを本格的にスタートさせたと聞いています。地道に活動して次第に人数が増えてきたようです。
村上 どういう指導方針なのですか。
狩野 「エンジョイ・ラグビー」をモットーとしています。日本のスポーツは練習に厳しさを求めがちですが、まずはラグビーを楽しもうということです。僕もNZで同じようなことを感じたので、その理念に共感してコーチに応募しようと思いました。
村上 NZでは、ほかにどんなことを学びましたか。
狩野 個人的な思いですが、NZではラグビーは人生のひとつのピースであって、家族や友達、健康などラグビーより大事なことがたくさんあるということです。僕は高校まで日本でラグビーをしていて、「ラグビーが人生のすべて」、「ラグビーが一番」というのが普通だと思っていました。もちろん、子どもたちには、ラグビーを楽しみたい、上手くなりたいと思ってほしいのですが、ラグビーを辞めてもいいし、上手くならなくてもいいのだということを伝えたいし、それはNZのコーチングで学んだことです。
村上 帰国して日本でコーチングをしようと思っていたのですか。
狩野 もちろん、プレーヤーと両立するつもりでしたが、アカデミーは仕事として携わるコーチを探していました。プレーヤーとしては、トップイーストのビッグブルースに所属しています。
村上 アカデミーがどんな形で運営されているか教えてください。
狩野 週3日(火、水、木)、各2クラスずつ計6クラスあります。火曜と木曜は、BASE(ベース)クラスと、ADVANCE(アドバンス)クラスに分け、ベースクラスは小学校4年から6年生以下、アドバンスクラスは中学生以上。水曜は、PRIMARY(プライマリー)クラスといって、小学1年生から4年生までのクラスがあります。そして、水曜の後半がワイナスの特徴ですが、CONTACT(コンタクト)クラスになります。この時間以外は、ハンドリングとかタッチフットがメインなのですが、コンタクトクラスは、コンタクトスキルを教えます。
村上 一般のラグビースクールとは、まったく違う活動ですね。
狩野 9割の子どもは各ラグビースクールに所属し、土、日曜はそれぞれの所属チームで練習しています。平日にもラグビーがしたい、上手くなって週末の試合に出たいという子どもたちが多いです。スキルアップがメインですし、来ている子のモチベーションは高いです。
村上 代表の小林さんと狩野さんで指導されているようですが、各セッションの定員が20名というのはなぜですか。
狩野 しっかり見てあげたいからです。選手20名に対してコーチの人数が少ないと、練習を回転させることが目的になってしまって、個人個人にしっかり教えることができなくなります。
日本の子どもたちはまずパスをする
NZは個人で勝負する違いがある
村上 指導の中でパスとランをメインにしている理由はありますか。
狩野 ラグビーはボールゲームですから、ボールをしっかりキャッチしてパスができること、自分で走って勝負できるということがポジションに関係なくできるようになってほしいと思っています。コンタクトクラスは、「コンタクトを教えてほしい」という要望が多かったので新たに作りました。
村上 NZの子どもたちと、日本の子どもたちの違いは感じましたか。
狩野 ワイナスで最初に感じたのは、タッチフットのときのパスの回数が多いということです。NZの子たちは、まず自分で勝負しようとします。日本はパスで数的優位を作ってトライしようとしますね。良し悪しではなく、自己犠牲の精神が強いのかもしれません。練習もディフェンスが1人、アタックが2人という形で、味方を生かすものが多い。それも関係しているのかもしれないと思い、1人対1人の練習を必ず入れるようにしました。すると個人で勝負する子が多くなってきました。
村上 日本の子どもたちが早めにやっておいたことが良いのはどんなことですか。
狩野 NZは試合の経験をする機会が多いです。タッチラグビー、タグラグビー、ラグビーリーグなど、いろんな種類のラグビーをオールシーズンプレーします。試合で培うものが多い気がしますね。
村上 狩野さんの個人レッスンもあるようですね。
狩野 一対一で教える場合もありますし、出張して少人数を教えることもあります。ありがたいことに、最近は申し込みが多いです。「花園に出たい」というような高校生もいますが、なかには子どもがラグビーを始めたばかりで、そのお父さんがラグビーを一から教えてほしいというような要望もありますね。昔の保護者はラグビー経験者が多かったと思いますが、最近はラグビー未経験の保護者も多いです。
村上 TOSHI(トシ)コーチの個人レッスンと呼ぶようですね。
狩野 僕の名前が、フトシなのですが、NZの人には言いにくいそうで、トシと呼ばれていたんです。また、個人的にステップのYouTubeで練習動画を上げていますので、ぜひご覧ください。
村上 ご自身が中学生のころよりも、今の選手のほうがレベルは上がっていますか。
狩野 確実にレベルは上がっています。上手な子たちはスーパーラグビー、トップリーグなどレベルの高い試合をよく見ています。そして、僕のところに来て、「○○選手のあのプレーを教えてください」と言ってきます。よく名前が挙がるのは、松島、姫野という選手ですね。海外だとオールブラックスの選手が多いです。
村上 理念の中に挨拶とか仲間を大切に、ということが書いてありますね。
狩野 「挨拶しろっ」と子どもたちに言うのではなく、コーチ陣が率先して挨拶しようとしています。そうなると子どももするようになります。仲間の大切さは、練習の中でのリスペクトが大事ですね。小学校4年生から6年生が一緒に練習すると、どうしても4年生でボールを触る機会が少なくなります。すると、6年生が4年生にボールを触らせるように工夫をするようになります。そういうところで自然に仲間の大切さを感じてくれていると思います。
村上 狩野さんは今後、このアカデミーでどんなことをしていきたいですか。
狩野 他にもこうしたアカデミーが増えて行って、切磋琢磨できたらいいと思います。小学生が平日プレーする場は増えていると思いますが、中学生になるとラグビーを辞め、他の部活に入る子が多いので、部活でラグビーがない子たちが平日にラグビーをする選択肢としてワイナスがあればいいと思っています。いま中学生は30名ほどいますが、学年が上がると受験などで減っていくのが現状です。人数を増やして、クラスの増設もしていきたいです。その中で子どもたちにとってより良い環境を作っていきたいです。
ワイナスラグビーアカデミー
2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等
3、代表者
小林亮平
4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先
神奈川県横浜市保土ケ谷区常盤台11
5、活動場所・練習場所
横浜国立大学フットサル場
6、練習場所は天然芝、人工芝、土等
人工芝
7、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等
毎週火・水・木曜日の夕方(学年などによりクラス分けあり)
8、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの
月謝5,000円(現在は活動が不規則な為、1回参加ごとに2,000円)
9、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等
約60名(女子は数名)
10コーチ人数、指名、経歴等
2人
11、モットー・大事にしている事・理念
ENJOY RUGBY
12、特徴・全員試合出場など他のアカデミーとの違い
コンタクトに特化したクラスもあり
13、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか
可能
14、保護者の活動への参加・サポート
可能
15、どんなアカデミーを目指すか(将来像)
お子様たちがラグビーを楽しみながら自発的にスキルアップを目指すアカデミー
第6回のデミネットは横浜市で活動するワイナスラグビーアカデミーをご紹介します。母体となるYNU Sports Academy(特定非営利活動法人YNUスポーツアカデミー)は、2005年12月に神奈川県から認証されました。YNSは、横浜国立大学の略称で「地域にスポーツ文化を拡げる」をモットーとして、横浜国大の協力支援を得て、各種スポーツ普及・振興事業を実施し、青少年の成長と市民の健康増進に寄与し、スポーツを通じてのコミュニケーションの場を提供することを目的としています。その中にあるワイナスラグビーアカデミーの活動内容について、狩野太志コーチ(27歳)にお話を伺いました。
週3日(火、水、木)の夜に練習
特徴的なコンタクトクラスもあり
村上 狩野さんは、世田谷区ラグビースクール、ブレイブルーパス府中ジュニアRC、法政二高でプレーされたあと、ニュージーランド(NZ)に渡って、リンカーン大学、ワイテマタクラブでプレーされましたね。その後、ワイナスラグビーアカデミーに関わることになった経緯を教えてください。
狩野 2年ほど前、NZから日本に戻ってきました。プレーするチームを探している中で、このアカデミーがコーチを募集しているのを知り応募しました。
村上 アカデミーが設立された経緯はご存じですか。
狩野 もともとは小さな規模で運営されていたのですが、現在の代表の小林亮平が2015年のラグビーワールドカップで日本代表が南アフリア代表を破った試合を見て、務めていた銀行を退職して個人事業主になりました。小林は横浜国立大学ラグビー部の出身で、アカデミーを本格的にスタートさせたと聞いています。地道に活動して次第に人数が増えてきたようです。
村上 どういう指導方針なのですか。
狩野 「エンジョイ・ラグビー」をモットーとしています。日本のスポーツは練習に厳しさを求めがちですが、まずはラグビーを楽しもうということです。僕もNZで同じようなことを感じたので、その理念に共感してコーチに応募しようと思いました。
村上 NZでは、ほかにどんなことを学びましたか。
狩野 個人的な思いですが、NZではラグビーは人生のひとつのピースであって、家族や友達、健康などラグビーより大事なことがたくさんあるということです。僕は高校まで日本でラグビーをしていて、「ラグビーが人生のすべて」、「ラグビーが一番」というのが普通だと思っていました。もちろん、子どもたちには、ラグビーを楽しみたい、上手くなりたいと思ってほしいのですが、ラグビーを辞めてもいいし、上手くならなくてもいいのだということを伝えたいし、それはNZのコーチングで学んだことです。
村上 帰国して日本でコーチングをしようと思っていたのですか。
狩野 もちろん、プレーヤーと両立するつもりでしたが、アカデミーは仕事として携わるコーチを探していました。プレーヤーとしては、トップイーストのビッグブルースに所属しています。
村上 アカデミーがどんな形で運営されているか教えてください。
狩野 週3日(火、水、木)、各2クラスずつ計6クラスあります。火曜と木曜は、BASE(ベース)クラスと、ADVANCE(アドバンス)クラスに分け、ベースクラスは小学校4年から6年生以下、アドバンスクラスは中学生以上。水曜は、PRIMARY(プライマリー)クラスといって、小学1年生から4年生までのクラスがあります。そして、水曜の後半がワイナスの特徴ですが、CONTACT(コンタクト)クラスになります。この時間以外は、ハンドリングとかタッチフットがメインなのですが、コンタクトクラスは、コンタクトスキルを教えます。
村上 一般のラグビースクールとは、まったく違う活動ですね。
狩野 9割の子どもは各ラグビースクールに所属し、土、日曜はそれぞれの所属チームで練習しています。平日にもラグビーがしたい、上手くなって週末の試合に出たいという子どもたちが多いです。スキルアップがメインですし、来ている子のモチベーションは高いです。
村上 代表の小林さんと狩野さんで指導されているようですが、各セッションの定員が20名というのはなぜですか。
狩野 しっかり見てあげたいからです。選手20名に対してコーチの人数が少ないと、練習を回転させることが目的になってしまって、個人個人にしっかり教えることができなくなります。
日本の子どもたちはまずパスをする
NZは個人で勝負する違いがある
村上 指導の中でパスとランをメインにしている理由はありますか。
狩野 ラグビーはボールゲームですから、ボールをしっかりキャッチしてパスができること、自分で走って勝負できるということがポジションに関係なくできるようになってほしいと思っています。コンタクトクラスは、「コンタクトを教えてほしい」という要望が多かったので新たに作りました。
村上 NZの子どもたちと、日本の子どもたちの違いは感じましたか。
狩野 ワイナスで最初に感じたのは、タッチフットのときのパスの回数が多いということです。NZの子たちは、まず自分で勝負しようとします。日本はパスで数的優位を作ってトライしようとしますね。良し悪しではなく、自己犠牲の精神が強いのかもしれません。練習もディフェンスが1人、アタックが2人という形で、味方を生かすものが多い。それも関係しているのかもしれないと思い、1人対1人の練習を必ず入れるようにしました。すると個人で勝負する子が多くなってきました。
村上 日本の子どもたちが早めにやっておいたことが良いのはどんなことですか。
狩野 NZは試合の経験をする機会が多いです。タッチラグビー、タグラグビー、ラグビーリーグなど、いろんな種類のラグビーをオールシーズンプレーします。試合で培うものが多い気がしますね。
村上 狩野さんの個人レッスンもあるようですね。
狩野 一対一で教える場合もありますし、出張して少人数を教えることもあります。ありがたいことに、最近は申し込みが多いです。「花園に出たい」というような高校生もいますが、なかには子どもがラグビーを始めたばかりで、そのお父さんがラグビーを一から教えてほしいというような要望もありますね。昔の保護者はラグビー経験者が多かったと思いますが、最近はラグビー未経験の保護者も多いです。
村上 TOSHI(トシ)コーチの個人レッスンと呼ぶようですね。
狩野 僕の名前が、フトシなのですが、NZの人には言いにくいそうで、トシと呼ばれていたんです。また、個人的にステップのYouTubeで練習動画を上げていますので、ぜひご覧ください。
村上 ご自身が中学生のころよりも、今の選手のほうがレベルは上がっていますか。
狩野 確実にレベルは上がっています。上手な子たちはスーパーラグビー、トップリーグなどレベルの高い試合をよく見ています。そして、僕のところに来て、「○○選手のあのプレーを教えてください」と言ってきます。よく名前が挙がるのは、松島、姫野という選手ですね。海外だとオールブラックスの選手が多いです。
村上 理念の中に挨拶とか仲間を大切に、ということが書いてありますね。
狩野 「挨拶しろっ」と子どもたちに言うのではなく、コーチ陣が率先して挨拶しようとしています。そうなると子どももするようになります。仲間の大切さは、練習の中でのリスペクトが大事ですね。小学校4年生から6年生が一緒に練習すると、どうしても4年生でボールを触る機会が少なくなります。すると、6年生が4年生にボールを触らせるように工夫をするようになります。そういうところで自然に仲間の大切さを感じてくれていると思います。
村上 狩野さんは今後、このアカデミーでどんなことをしていきたいですか。
狩野 他にもこうしたアカデミーが増えて行って、切磋琢磨できたらいいと思います。小学生が平日プレーする場は増えていると思いますが、中学生になるとラグビーを辞め、他の部活に入る子が多いので、部活でラグビーがない子たちが平日にラグビーをする選択肢としてワイナスがあればいいと思っています。いま中学生は30名ほどいますが、学年が上がると受験などで減っていくのが現状です。人数を増やして、クラスの増設もしていきたいです。その中で子どもたちにとってより良い環境を作っていきたいです。
ラグビーキッズ
ラグビーアカデミーネットワークインフォメーション(デミネット)
アンケート
ワイナスラグビーアカデミー
2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等
3、代表者
小林亮平
4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先
神奈川県横浜市保土ケ谷区常盤台11
5、活動場所・練習場所
横浜国立大学フットサル場
6、練習場所は天然芝、人工芝、土等
人工芝
7、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等
毎週火・水・木曜日の夕方(学年などによりクラス分けあり)
8、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの
月謝5,000円(現在は活動が不規則な為、1回参加ごとに2,000円)
9、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等
約60名(女子は数名)
10コーチ人数、指名、経歴等
2人
11、モットー・大事にしている事・理念
ENJOY RUGBY
12、特徴・全員試合出場など他のアカデミーとの違い
コンタクトに特化したクラスもあり
13、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか
可能
14、保護者の活動への参加・サポート
可能
15、どんなアカデミーを目指すか(将来像)
お子様たちがラグビーを楽しみながら自発的にスキルアップを目指すアカデミー