ラグビーキッズ特派員レポート 第17回ヒーローズカップ決勝①

第17回ヒーローズカップ決勝大会開催される

第17回ヒーローズカップ決勝大会は2025年1月25日(土)26日(日)の両日神奈川県横浜市の日産スタジアム(横浜国際総合競技場)および日産フィールド小机で行われました。一日目、朝は7度と冷え込んだものの日中は晴。風が強いのは競技場の形の為でしょうか。青空のもと、全国各地区からの16チームで日本一を目指し、二日間にわたって熱戦が繰り広げられました。開会式では力強い入場行進が選手の掛け声とともに行われました。先頭には今年度は予選で敗れた前年度優勝の豊田ラグビースクール、プラカードは2年前に豊田と優勝を分け合った鎌倉ラグビースクールが持ってくれました。選手宣誓では八戸少年ラグビースクールの共同男女キャプテンがこれまでの練習のことや周囲への感謝の言葉を元気いっぱいの声で言ってくれ、その美しさに会場から大きな拍手がありました。
 さて、試合は16チームが抽選により4つのブロックに分かれて戦います。
 
Aブロックは東京都のしながわバンブーラグビークラブ、神奈川県の相模原ラグビースクール、北海道の山の手ラグビースクール、茨城県の水戸市ラグビー少年団が戦いました。まず、しながわ対相模原は関東の強豪同士。互いに相手のこともわかっているだけに注目の一戦となりました。前年度準優勝の相模原は開始からパワーある突進でトライを続け15-0とリードするも、初出場の硬さの取れたしながわが前半終了間際に1トライ返し15-5の相模原リードで後半に入ります。落ち着きを取り戻したしながわは、後半3連続トライで逆転。そこから互いにトライを取り合って最後はタイムアップ後のキックオフダイレクトタッチからのスクラム(ルール通り)から右隅にしながわが飛び込み、同点のノーサイド。抽選の結果、相模原が次戦に進出しました。山の手対水戸市は緊張冷めやらぬ間、互いに1トライずつ取り合いますが、パワーに勝る水戸市が徐々に点数を広げます。山の手もキックをうまく使い芸術的なトライをあげますが最終的には30-10で水戸市の勝利。ブロック一位を決める決定戦は相模原対水戸市の対戦となりましたが、初戦で気力を使い果たしたか相模原に元気なく、水戸市が立て続けにトライして前半を25-0。後半に入り相模原の動きがよくなり連続トライして波にのるかと思われましたが、前半の失点が大きく40-15で水戸市がAブロックの1位を取りました。
 
Bブロックは大阪府の八尾ラグビースクール、岐阜県の各務原ラグビースクール、大分県の大分ラグビースクール、山口県の山口ラグビースクールが戦いました。八尾対各務原は八尾が開始からリズムよく展開して差を広げます。八尾のいいところはみんながストレートランニングができるところ。そのことによってスペースが生まれ、埋めようとするとギャップができ走りこむ。そしてゲイン、トライへ。各務原も懸命にタックルに行くのですが、早いリズムについていけない。終盤各務原が中央にトライしますがそこまで。35-10で八尾が勝利。大分対山口はつなぎのうまいチーム同士。前半は山口が見事なつなぎを見せて連続トライするが大分もPKからトライ。前半を15-10の山口リードで折り返す。後半に入ると山口の相手後方を狙ったキックが伸びすぎデッドボールラインを越える。オプションの山口陣スクラムから大分がトライ。再び同じケースで大分がトライ。裏を狙うキックは判断に間違いはない。しかし、運悪く2度ともデッドボールラインを越えピンチを招いてしまったのが残念。大分は4連続トライで逆転。山口のトライで同点になるも最後にトライして25-20で大分勝利。決定戦となる八尾対大分は大分が先制するもすぐに八尾が追いつきその後は八尾らしいテンポの速い攻撃が見られ、次々にトライ。前半を25-5で折り返すと後半もその手を緩めず55-10と八尾が快勝。大分も早い球出しから展開を見せる好チームですが、八尾はそれを上回る速さと技術を見せました。
 
Cブロックは愛知県の春日井ラグビースクール、東京都の江東ラグビークラブ、京都のKIWIS、兵庫県の兵庫県ラグビースクールが戦いました。春日井対江東は前評判高い強豪同士の戦いで注目が集まりましたが、春日井の気合十分のアタックに江東が受け身に。春日井があっという間に先制点を取り、ロングパスも決まって10-0。ここで目が覚めたか、江東もタックルを抜けて1トライを返したところで春日井がインタセプト。15-5で後半に入るとスクラムから春日井がトライ。20-5。ここから江東が追い上げる。流れるような連続攻撃、鮮やかなパスまわしを見せて連続トライをあげるも前半の失点を返すことができず結果25-15で春日井が勝利。江東は予選で接戦がなく余裕で勝ち進んでしまったことが試合の「入り」に影響したか。後半は五分以上の内容だっただけに惜しまれます。ノーサイドの瞬間、歓喜の春日井と呆然と固まった江東は対照的。兵庫県対KIWISは、KIWISが関西大会より一層展開力を増したBKが縦横無尽に走り回り、兵庫県を圧倒。兵庫県は予選時に見せた力強い突進がKIWISに前々で止められ思うような試合ができませんでした。KIWISが25-0の完封勝利。次試合の春日井対KIWISは春日井が先制。連続攻撃もさえ勢いに乗るかと思いましたが、KIWISがタックルされてもうまくボールをつないで逆転。春日井も追いついて10-10のイーブンでハーフタイム。後半に入ると春日井がノーホイッスルトライ。その後も早い展開を見せ35-15でKIWISを退けました。敗れたとはいえKIWISは予選の時の状態からレベルアップしたことに驚かされました。
 
Dブロックは青森県の八戸少年ラグビースクール、福岡の草ヶ江ヤングラガーズクラブ、千葉県の柏ラグビースクール、大阪府の吹田ラグビースクールの戦いとなりました。八戸対草ヶ江は草ヶ江が大きく展開して先制トライをあげると緊張感もほぐれたのか動きがよくなり前半を15-0と本来の力を発揮。八戸は小柄ながらも積極的に良く展開してゲインを試みますが草ヶ江のディフェンスを崩すことができない。後半に入っても草ヶ江の多彩な攻撃は続き結果八戸が1トライをあげて食い下がりましたが35-5で草ヶ江が勝利。柏対吹田。今年初出場の柏は攻撃力があり、関東で注目されています。対する吹田は決勝大会4年ぶりですが8度目の常連校。キックオフから猛ダッシュの柏はパスミスを抑え先制。これで動揺したか吹田は後手後手に回り、柏が15-0と圧勝ムード。しかし前半最後に1トライ返し15-5で前半を終了。後半に入ると吹田のBK展開が見事。大きく左右に振って3連続トライで逆転。柏が外側のWTBに焦点を絞ると広くできたギャップをついてトライするなど状況をよく読んでいました。柏も負けじとトライを返して同点になりますが吹田はさらに2トライ。結果30-25で吹田の勝利。吹田はハーフタイムによく修正できたこと。何より展開時に個々の判断の的確なことが印象的でした。草ヶ江対吹田となった決定戦は展開力が持ち味の両チームでしたが、吹田が一枚上。いきなり3連続トライでリード。スタンドの大声援を受けて草ヶ江対も1トライ返し20-5で前半を終了。後半に入っても吹田は速い球出しから4トライ奪い、草ヶ江を1トライに抑えて40-10で吹田の快勝となりました。吹田は小柄でもしっかりタックルに入るので草ヶ江は足をそろえられて倒されるシーンがよく見られました。
1日目を終了し各グループ1位は水戸市、八尾、春日井、吹田の4チームとなり、翌日のカップを目指して戦うことになりました。

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