【インタビュー】第5回▶R's Rugby Academy(アールズラグビーアカデミー)

埼玉県北部でラグビースクール、中学部活の補佐的役割担う
埼玉県深谷市・熊谷市で活動するアールズラグビーアカデミーは、2020年2月5日にスタートしました。平日の放課後、基本的なスキル(パス、ラン、コンタクト、タックル、キックなど)をはじめ、安全面に配慮しながら身体の使い方などを身に付けてもらうことを目的に練習を行っています。指導するのは、埼玉工業大学深谷高校(現・正智深谷高校)、立正大、NECグリーンロケッツでプレーした片岡淳史さん(38歳)です。どんな思いでこのアカデミーを立ち上げたのか、お話を伺いました。


怒らなくても子どもは成長する
自分がしてほしかった指導をしようと一念発起


村上 NECグリーンロケッツでは6年間プレーされましたね。
片岡 2010年度シーズン限りで引退し、約8年間は社業に専念しました。その間、仕事が休みの土曜、日曜に、母校の正智深谷高校を中心に僕が住んでいる深谷市、熊谷市の中学のラグビー部、ラグビースクールなどで勉強を兼ねてコーチをさせてもらっていました。並行して日本ラグビー協会の公認指導者資格も取得しています。

村上 アカデミーを立ち上げようと思ったのはいつ頃ですか。
片岡 4年ほど前です。クボタスピアーズにいた伊藤邦行さん(行田工業高校卒)が千葉県を中心にアライブアカデミー(ALIVE RUGBY ACADEMY)を運営されていて、1年半ほど携わりました。そこでアカデミーという形に興味を持ちました。本当は中学、高校の教員になりたかったのですが、教員だと腰を据えてラグビーのチームを指導できないと感じて、方向性を模索する中で、アカデミーを立ち上げることにしました。

村上 どんな準備をしましたか。
片岡 昨年1月にNECを退職して退路を断ってやることにしました。ラグビースクールの関係者にお話をして、口コミでこのアカデミーの存在を知っていただきました。告知活動には苦戦しまして、小学生1名、中学生1名からのスタートでした。現在も農家で働きながらアカデミーを運営しています。

村上 なぜ、R'sなのですか。
片岡 アールズと名付けた理由は、RugbyのRを使いたかったことと、そこにキーとなる言葉の意味を込めたのです。ラガーマン、ラガールのRugger、Respect(尊敬する)、Reaction(反応)、そして、僕は選手時代にロボ(Robo)と呼ばれていました。すべてRなので、R's(アールズ)です。

村上 覚悟を決めて、子どもたちにラグビーを指導したいというのは、どんな思いからですか。
片岡 日本のスポーツ界では指導者が子どもたちを怒鳴り、感情的になるところがまだまだあると思います。僕もスパルタ教育の中で育ちました。そこを変えたいという気持ちがあり、僕が思うやり方で結果を出せば、指導者の皆さんも変わってくれるのではないかと思っています。怒らなくても子どもたちは成長するし、(指導が)腑に落ちれば子どもたちは素直に努力すると思うのです。自分が学生の時にしてほしかった指導をしようというのがきっかけでした。

村上 ラグビーというスポーツの特性については、どう考えていますか。
片岡 ラグビーは大人数でやるチームスポーツですし、コミュニケーションが必要です。人間性が大事だし、ラグビーを通してコミュニケーション能力を高め、初対面の人とでも会話をして歩み寄り、協力することを身に着けることができます。NECで仕事をしながら、ラグビーの経験が役に立ちました。ラグビーを通しての人間形成は、アカデミーの方針として掲げています。

村上 現在(取材時)は、深谷クラスは小学生6名、中学生6名、熊谷クラスが小学生5名、中学生1年が参加しているようですね。
片岡 人数は増減があります。中学3年生で高校入学前に少しだけ来る子もいます。いろんな活用をしていただければいいし、僕は来る者は拒みません。会費もかかりますので(年会費6,000円、月謝5,000円)、有効に使ってほしいと思っています。

村上 どんな子どもが来ていますか。
片岡 小学生はラグビーが楽しいから来ているお子さんが多くて、中学生は強い高校でプレーする前に、基礎的なことを身に着けたいというお子さんが来ていますね。深谷市、熊谷市はラグビーをする場所がいろいろありますので、ラグビースクール、クラブなど複数在籍している子もいます。部活動もコロナ禍で活動できず、基礎的なことが練習できていないチームもあり、そういうところの補助的な役割を果たせればいいと思っています。現状ではチーム活動はしていません。


常に前向きにチャレンジする姿勢を持ち
「人に優しく、心強い子に」なってほしい。

村上 どんな練習をしていますか。
片岡 基本的なスキルですね。安全面にも配慮していまして、たとえば、子どもたちに、「低くタックル」というと、目線だけ下げて、お尻が上がったりするんです。膝と股関節も曲がっていない。「実はこうなっているよ。これだと踏ん張ってタックルできないよね」と、スマホで動画を撮ってすぐに見せてあげたりもします。

村上 基本的には、褒めて伸ばすという方針なのですね。
片岡 なんでも褒めるというよりは、本当に上手だと思ったときに認めてあげるようにしています。逆にダメなときは、それはどうなの?と、考えてもらうようにしています。

村上 チーム活動をしていないということは、目標設定が難しいでしょうね。
片岡 難しいところですが、ラグビーの普及もひとつの目標ですし、ラグビーを楽しむことが続けてくれることにつながりますよね。ラグビー部のない中学に進学する子もいます。なんとなく部活がなかったからラグビーから離れちゃった、ということにならないように、いつでもラグビーを楽しめる場所を作っていきたいです。

村上 深谷市ラグビー協会には所属しているのですね。
片岡 2020年から所属しています。このアカデミーの活動を理解していただいていますし、深谷市のラグビースクールや、中学のラグビー部にはお知らせして、中学にも指導に行きます、ということは伝えています。

村上 小学生、中学生にスキルの指導をしていて感じることはありますか。
片岡 海外のラグビーを映像で見る機会が多くなって、かっこいいプレーや、トリッキーなプレーはよく知っています。ただ、それを実行するための体の強さやバランスがないのに、無理すると怪我をしますよね。アカデミーとしては、派手なプレーをする前の基礎的な動きを指導したほうがいいと思っています。

村上 生徒には「人に優しく、心強い子に」なってほしいという願いがあるようですね。
片岡 人に優しく接する人になってほしいし、ちょっとしたことで凹んでいないで、次に進んでいってほしいと思っています。失敗はいっぱいしていいし、そこで悩んでいる時間があるのなら、2回、3回とチャレンジしてほしいです。

村上 モットーの「耐えて勝つ」というのは、高校時代の森喜雄先生の教えなのですね。
片岡 そうです。いろいろな経験をしてきましたが、これが一番しっくり来ます。耐える力がないと、勝ちに持っていけない。「耐えて」と、「勝つ」の間にいろんなプロセスがあるのですが、端的に言えばこれです。僕は高校時代、チームメイトや環境にも恵まれて全国高校大会に出場することができました。のちに三洋電機、パナソニックワイルドナイツで活躍するホラニ龍コリニアシと同期でした。留学生を入れるなんてずるいとか、いろいろ批判されました。選手の目の前で言う大人もいました。そんなことにも耐えながらやってきたところもありまして、耐えて勝つ、という言葉を使っています。

村上 今後、どんなアカデミーにしていきたいですか。
片岡 いま、部活動を外部に出す話がありますよね。だとすれば、このチームもそういう方向に転換していきますし、そうでなければ、今のまま補佐的な役割と、地域に根差したラグビー普及、選手育成に貢献していきたいと思います。僕自身は、今、高校や大学のコーチもしていますが、プロのコーチとして仕事が成り立ち、グラウンドを持ち、自分のアカデミーだと胸を張って言えるようになりたいです。




ラグビーキッズ
ラグビーアカデミーネットワークインフォメーション
アンケート


1、ラグビーアカデミーの名前
 R's Rugby Academy(アールズラグビーアカデミー)

2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等


3、代表者名
 片岡淳史(かたおか あつし)


4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先
 rs.rugac.est.2020@gmail.com
 090-5777-4732


5、活動場所・練習場所
 活動エリア埼玉県深谷市・熊谷市
 深谷市=埼玉工業大学、熊谷市=大幡中学校体育館


6、練習場所は天然芝、人工芝、土等
 深谷クラス=天然芝、熊谷クラス=体育館

7、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等
 深谷クラス
  毎週水曜日18:00~小学生、19:30~中学生

 熊谷クラス
  毎週火曜日19:00~小・中学生
  

 ※通常時の場合です。
 緊急事態宣言中は実施していない場合があります。
 詳細はホームページ又はR's Rugby AcademyのSNSにて配信中

8、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの
 年会費6,000円、月謝5,000円
 運動出来る服装、水筒、スパイクやトレーニングシューズ(屋外はスパイク、屋内はトレーニングシューズ)

9、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等
 深谷クラス=小学生6名、中学生6

 熊谷クラス=小学生5名、中学生1

10、コーチ人数、指名、経歴等
 コーチ1名 片岡淳史
 立正大ーNECグリーンロケッツ
 引退後に社業専念、休日を利用して、
 中・高校生のコーチなどを経験しながら、
 コーチングを勉強。2020年に退職し、
 アールズをスタート。

11、モットー・大事にしている事・理念
 「耐えて勝つ」(高校恩師の教え)
 生徒が楽しむことを第一に、基礎やベーシックスキルを中心に練習を実施している。意欲を持ち、上達や成長に向けて努力すること、チャレンジすることの大切さを伝えている。

12、特徴・全員試合出場など他のアカデミーとの違い
 アカデミーとして、チーム活動をしない。
 各プレイヤーが所属する地域ラグビースクールや中学部活の活動+αになる補佐的な役割を担っていきたい。

13、歴史・活動実績
 2020.02.05にスタート

14、指導方針・教育方針
 怒らない指導を心掛けている(褒めて伸ばす)

15、合宿・場所・期間・参加年齢等
 合宿は今後検討
 参加年齢(推奨)小学校3年生~

16、ラグビー以外の行事
 なし(コロナ終息後、検討する)

17、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか
 在籍する子の多くは塾や他のスポーツの習い事と掛け持ちをしている。

18、保護者の活動への参加・サポート
 主に送迎。

19、どんなアカデミーを目指すか(将来像)
 グラウンドやクラブハウスを所有し、いつでも練習出来る場所を作りたい。

20、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)
 「人に優しく、心強い子に」

21、プレースタイル
 ミスを恐れず、チャレンジする。

22、交流する他のラグビーアカデミー・ラグビースクール
 今後検討していきたい。
  
23、交流するラグビー団体(学校・協会・トップリーグ等)
 深谷市ラグビー協会


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