【インタビュー】第70回▶のみこまラグビースクール(石川県)

週5日の練習も楽しく安全に! タグラグビーで4度全国大会へ。
ラグネット第70回は、石川県の小松市と能美市で活動する、のみこまラグビースクールをご紹介します。1971年、小松市で「小松ラグビースクール」として始まったのですが、次第に隣の能美市の生徒の割合が多くなり、両方を合わせて「のみこま」(能美小松)となったそうです。現在の生徒数は小学1年生から6年生まで26名と比較的小さなスクールですが、タグラグビーをメインに取り組み、サントリーカップの決勝大会に「のみこまレッドウィングス」として過去4度出場するなど確かな実績を残しています。どんなスクールなのでしょう。金島敏士監督(49歳)にお話を伺いました。


タグラグビーで身に着けたスキルが
将来のラグビーにも生きる

村上 金島(かねしま)さんがラグビーを始めたのはいつからですか。
金島 小学5年生のとき、のみこまラグビースクール(RS)に入りました(当時は、小松RS)。当時の石川県では中学でラグビーをする環境がなかったので、進学した中学では野球部に入ったのですが、高校では花園(全国高校ラグビー大会)に行きたかったので、ラグビーの練習もしていました。石川県立金沢松陵工業高校(現・石川県立金沢北陵高校)ラグビー部に入部し、3年生の時に花園に行くことができました。卒業後は、国際武道大学、地元に帰ってクラブチーム(松陵クラブ)でプレーしました。

村上
 指導者としてのみこまRSに関わったのはいつからですか。
金島 2009年です。娘2人が所属していたのですが、当時の校長先生からタグラグビーのサントリーカップに出場する女子中心のチームを指導してくれないかと依頼があったのです。男子中心のチームもあって、この2つがサントリーカップの予選に出場しました。

村上 金島さんのお子さんは何歳からRSに入ったのですか。
金島 長女(珠璃亜)が小学4年生で、次女(瑠奈)が小学1年生からです。長女は柔道をやっていたのですが、ラグビーの体験会で仲良くなった子に誘われて、自分からラグビーがやりたいと言い出しました。次女は姉についていく子でしたから。2人とも石見智翠館高校ラグビー部に進み、現在、長女は東京山九フェニックス、次女は四国大学の1年生です。

村上 それはすごい! 2人とも本格的に続けていらっしゃるんですね。金島さんは、どんな思いでタグラグビーを指導しているのですか。
金島 タグは男女混合でできますし、将来、本格的にラグビーをしたときにも生きるパス、ストレートラン、ランニングコースが磨けるスポーツです。小学生のうちに、それらを身に着けることで、中学、高校、大学、社会人と続けていく上で武器になると思っています。

村上 タグラグビーでは実績を残していらっしゃいますが、強くなるために必要なことはどんなことですか。
金島 攻守ともに一対一ですね。組織ディフェンスの前に、一対一で抜く、止める、というのが大事ですね。

村上 練習は週5日(月、木、金、土、日)あるのですね。
金島 平日はほぼ100%タグラグビーの練習です。土、日曜はミニラグビーをやりますが、うちは人数が少なく、ミニラグビーでは単独チームが作れないので、他のチームと合同で出場することになります。大会の近くになるとタックルなどコンタクトの練習もしています。平日は4年生以上が中心で、19:30~21:00まで練習しています。常時集まるのは、15名くらいですね。

村上 年会費が3,000円は、とても安いですね。
金島 スポーツ保険と選手登録費だけです。ただし、1カ月に一度は遠征していますので、そういうときの費用は負担していただいています。コーチは全員マイクロバスの免許を取得しました。

村上 その会費ではラグビーボールなど用具をそろえるのが大変そうですね。
金島 それが、応援してくださる人が多くてラグビーボールはいただけるんですよ。大会で優勝するとラグビーボールがもらえることが多く、優勝するたびにボールが増えていくんです(笑)。


年に一度の「超強化合宿」で励まし合い、
子どもたちは大きく成長する

村上
 心を鍛えるという意味では、どんなことをしていますか。
金島 年に一度、秋に「超強化合宿」をしています。4年生以上になると通る儀式みたいなもので、2日間で5ラウンドの練習をします。筋トレ1000回ほか、ラウンドごとにフィットネストレーニングをするなど、しんどい練習なのですが、選手同士、励まし合いながら乗り越えます。

村上 
筋トレ1000回というのは、どういうことですか。
金島 ラウンドごとに、腕立て伏せ、腹筋、バーピーなどを200回、5ラウンドで合計1000回という形です。乗り越えることで子どもたちは精神的にすごく成長します。宿泊があると子どもたちも楽しそうで、みんなで乗り越えよう!と励まし合っています。

村上 子どもたちは具体的にどう変化しますか。
金島 自分のことしか関心がなかったような子が、周りの子を励ますようになり、一人一人がチームのために何をすればいいかを積極的に話し合うようになりますね。

村上 2009年から指導してきて、印象的な子のエピソードはありますか。
金島 幼稚園の頃から来ていた男の子がいました。何をしても上手くいかず、チームの練習では長距離を走っても短距離を走っても最下位で、練習中に逃げ出すこともある子でした。その子の学年は一人だけだったので、小学6年生でチームのキャプテンになりました。すると、一年間チームをしっかりと引っ張り、苦手だったフィットネスや走ることも全部一番になったんです。最後はサントリーカップ北陸ブロックの決勝戦まで行きました。残念ながら負けてしまったのですが、泣きながらみんなに「ありがとう」とコメントした時には、6年間のことが思い出されて私も泣きました。努力すれば、こんなに伸びるのだと改めて感じましたね。

村上 休日返上で長く指導を続けているのは、子どもたちの成長が見られるからですか。
金島 そうですね。成長する姿を見ることと、みんなで団結して目標に向かうことで、チームとしても成長していくのを見るのが嬉しいです。

村上 金島さんのお子さんもラグビーをして変わりましたか。
金島 2人は小学生の頃から割と上手だったので苦労をせずに育ちましたが、親元を離れて高校に行ってから苦労を知り成長したと思いますね。今までは簡単にレギュラーになれたのに、自分よりうまい子がいて競争してレギュラーを勝ち取らなくてはいけない。そこで人間的にも伸びたと思います。

村上
 のみこまRSは小学生までですね。中学生の時はどうしていたのですか。
金島 長女が中学生の時、関西ラグビー協会に関西ユースという中学生の選抜チームがあり、セレクションを受けて通っていました。次女が中学になったときは、石川県に石川撫子ラグビーフットボールクラブができたので、そこで練習していました。私は石川撫子の監督もしています。石川県は中学に上がると、ほとんどの選手が女子は石川撫子に入り、男子は中学生のために作られた石川ジュニアRSに入ります。

村上 スクール生が現在26名とのことですが、ラグビーを続ける子はどれくらいいますか。
金島 女子はほぼ全員が続けます。男子は中学に進学して違うスポーツの部活に入る子も半分くらいいますね。石川県の中学にはラグビーの部活がありません。来春、金沢学院中学が新設され、ラグビー部を作る動きがあります。部活動としては、これが県内初になります。

村上 のみこまRSとしての今後の目標を聞かせてください。
金島 目標は全国大会出場ですが、将来的には男子も女子もラグビーを続けて、トップレベルを目指して頑張っていってほしいです。女子は私が監督をし始めた頃からの子が成長して、石川県の国体チームのメンバーになり、北信越予選で優勝しました。そのメンバー10人のうち7人がのみこまRS出身でした。

村上 現在、スクール生が26名ということですが、もう少し増やしたいですか。
金島 これでも増えたんですよ。一学年5人以上いればなんとかなります。スクール生は随時募集しています。



ラグビーキッズ
ラグビーネットワークインフォメーション(ラグネット)
アンケート


1、ラグビースクールの名前
 のみこまラグビースクール

2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等


3、
代表者
 稲富隆夫(校長)

4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先

 担当:広上

 【HP】  https://nomikoma.grupo.jp/
 【Facebook】  https://www.facebook.com/nomikoma2rs/

5、活動場所・練習場所
 翠ヶ丘運動公園、秋常勤労者体育センター他

6、練習場所は天然芝、人工芝、土等
 天然芝、体育館

7、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等
 練習は週5日(月、木、金、土、日)

8、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの
 年会費3,000
 遠征費、合宿費等は別途必要

9、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等
 26名うち女子6名
 外国人はいませんが入校希望者がいれば歓迎します

10、コーチ人数、指名、経歴等
 10名

11、モットー・大事にしている事・理念
 タグラグビー、ミニラグビーを通じ 子供達の健全な心と体の育成を図ることを目的とし、楽しく・安全に・活発な 活動を行なっております。

12、特徴・全員試合出場など他のスクールとの違い
 メインはタグラグビーで全国大会(サントリーカップ)に出場すること

13、歴史・活動実績
 1971(昭和46)7月に開設(当時は「小松ラグビースクール」)
 第10,12,13,14回 サントリーカップ全国小学生タグラグビー選手権北陸ブロック大会優勝
 第10,12,13,14回 サントリーカップ全国小学生タグラグビー選手権決勝大会(全国大会)出場

14、合宿・場所・期間・参加年齢等
 超強化合宿(秋)

15、ラグビー以外の行事
 卒団式

16、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか
 可能

17、保護者の活動への参加・サポート
 特に必要ありません

18、プレースタイル
パスとスピードを武器にどこからでもトライが取れる展開ラグビーを目指している

19、交流する他のラグビースクール
 山田レッドタグスピリッツ(滋賀)、日進レッドブラックス(愛知)他、県外の強豪タグラグビーチーム




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