【インタビュー】第66回▶城陽ラグビースクール(京都府)

基礎体力を作り、仲間と助け合って前に進む心を育てる

ラグネット第66回は、京都府城陽市を中心に活動する城陽ラグビースクールをご紹介します。1985年に設立され、比較的小さな規模のスクールながら、NECグリーンロケッツで活躍した櫻谷勉さんほか、たくさんの選手を輩出してきました。ラグビーが盛んなイメージのある京都ですが、京都府南部にはラグビーをする場が少なく、城陽RSは貴重な存在です。「勝ち負けにこだわらず、ひとり一人が達成感を得ることができる場所の提供」が指導方針。どんなスクールなのでしょう。高学年コーチの福原章浩さん(55歳)にお話を聞きました。


ひとつでも成功体験を持つこと
それが子どもたちの財産になる

村上 福原さんはいつラグビーと出会ったのですか。
福原 高校(大阪府立寝屋川高校)のときに友達に誘われてラグビー部に入りました。それまでラグビーのことはまったく知らなくて、背が高いという理由だけでロックになりました(笑)。ただ、1年の冬に怪我をしてプレーができなくなり、マネージャーをしていました。そんなことで大学、社会人はラグビーから離れていて、2006年に息子が城陽ラグビースクールに入ることになって、またラグビーと縁ができました。

村上 息子さんは何年生の時に入団されたのですか。
福原 息子は3人おりまして、長男が小学2年生、次男が幼稚園のとき、次男の友達に誘われて始めました。同時に私もコーチを始めました。長男は最初から楽しかったようですが、次男はしばらく泣いていましたね。その後、三男も入りました。

村上 福原さんは怪我でプレーを断念されたのですよね。お子さんにやらせるのは怖くなかったですか。
福原 怖かったです。でも、小さな子どもは激しいプレーもないし、徐々に慣れていければいいかなと思っていました。チームメイトとは仲が良かったし、その関係性の強いスポーツだと感じていたので、息子たちがやってみるのは良いことだと思っていました。

村上 1985年設立の経緯は伝え聞いていますか。
福原 城陽市内の幼稚園で園児にラグビー指導を前校長の大野木が中心となり実施しておりました。小学生になっても指導を継続してしてほしいとの要望がありお引き受けしてラグビースクールを立ち上げたとのことです。

村上 当時から受け継がれる指導方針はありますか。
福原 ご家族にとっても、子どもたちにとっても楽しい場所を創生していこうということです。トップレベルの選手になるのはほんの一握りです。そうではない子たちが楽しくできることが大事です。京都府南部はラグビーが盛んではありません。中学のラグビー部もありません。他のスポーツをする子が多いですから、ラグビーを通じてスポーツの楽しさ、ボールゲームの楽しさ、仕組みなどを理解する。そうすればどんなスポーツも楽しくできるようになりますよね。友達を作って楽しくスポーツをする。そんなことを大事にしています。

村上 年代別に教え方は変えるのですか。
福原 方向性としては、低学年(幼児、小学1、2年生)は徹底的に楽しませる、中学年(小学3、4年生)は基礎を身に着ける、高学年(小学5、6年生)は考えさせるということです。

村上 長らく指導してきて、印象に残るシーンなどありますか。
福原 悔しかったことがまず思い浮かびます。ずっとトライがとれなかった子がいて、6年生の最後の試合でトライが取れそうになったのですが、一連のプレーで反則があってトライできなかったです。あれが一番悔しかったです。私が思うのは、RSのうちはプレーの上手い下手よりも、良いタックルができた、みんなでつないで良いトライができた、ひとつでもそんな成功体験を持つことが大事だと思うんです。

村上 成功体験を持って卒業していく子を一人でも多くしたいということですね。
福原 低学年の時、まっすぐきちんと走れない子がいます。そんな子に走り方をしっかり教えると速くなります。お父さんに「息子さん速くなりましたよ」と言うと、子どもはお父さんに見せたくて、「速くなったよ」と目の前で走ります。そういった日々の成功体験が自信になるんですよね。そんな子どもの姿を見ると本当に嬉しくなります。


ラグビーだけではなく、どんなスポーツも
楽しめるようにボールゲームを理解する



村上 試合は全員を出す方針ですか。
福原 カップ戦、交流戦、関係なく全員出します。みんなで楽しむということもありますが、そうしないと、上手い子も成長できないからです。どんな選手とでも一緒にプレーして、それぞれの良さを生かせないと上手くなれないと思っています。

村上 ラグビー精神とかメンタルの部分はどう伝えているのですか。
福原 今年の高学年には、初めてラグビー憲章のところから説明しました。友達を大事にしよう、普段の生活から規律はしっかり守ろうということです。最近よく言っているのは、ボールを持っていないときに何をするかが大事なんだということです。ふだんの生活でもそうですよね。「お母さんが料理しているときに、ぼーっとテレビを見ているのではなく、何か手伝えることはないか考えよう」と、そういう話をしています。

村上 城陽RS独自の活動は何かありますか。
福原 昨年度から部内マッチを定期的にやっています。目的は、親御さんに子どもの成長を実感してもらいたいし、一緒に楽しんでもらいたいからです。毎週、練習を見に来てくださっていていますが、ある程度緊張感をもった試合のほうが、子どもたちの気持ちも入りますからね。この試合を、「ゴリゴリカップ」と名付けています。

村上 スクールとしての目標を聞かせてください。
福原 スクール生を安定的な人数にしたいですね。一学年でぎりぎり1チームという状況ですので、練習試合はかなり厳しいし、もう少し増やしたいです。指導方針など今のスタンスは崩しません。ラグビーが上手くできないから辞めるということにならないように、どんな子でも楽しくスポーツができるということを伝えていきたいですね。

村上 人数を増やすためには、どんな告知活動を考えていますか。
福原 やはり保護者の皆さんの口コミが一番なのですが、もう少し広報的なことも動かないといけないと思っています。練習場も、活動拠点となっている鴻巣山運動公園は外から見えにくいんです。小学校のグラウンドでやれば近辺の人からは見えますし、もう少しチームの存在を知ってもらうようなこともしないといけませんね。半年に一回くらいは、近隣のスクールを招いて大会を開こうとしていたのですが、コロナ禍でできない状況になっています。

村上 城陽の地域で盛んなスポーツは何ですか。
福原 城陽RSがカバーしているのが、城陽市、京田辺市、八幡市、宇治市、久御山あたりですが、サッカーと野球ですね。城陽にはサッカーの京都サンガのグラウンドがありますし、京田辺市は京都国体のハンドボールの会場になったこともあって、ほぼすべての小学校にハンドボールのチームがあると思います。

村上 福原さんはボランティアですよね。ずっと指導員を続けるモチベーションは何ですか。
福原 子どもの成長が見られることでしょうね。卒業する前の最後の試合で、ここまでできるようになったのか、この子がこんなに成長したのか、教えたことができるようになっている。それを見ること、そこですよね。あと、私は製薬会社の開発の仕事をしていますので、ラグビーの仕組み、その年の子どもたちの能力でどうやって戦えばいいのか、どこを伸ばしていけばいいのか、そんな分析をしながら考えていくのがすごく楽しいです。

村上 生徒募集は随時受け付けていますか。
福原 随時受付中です。公式ホームページに体験入団の申し込みフォームがありますので、ぜひご連絡いただきたいです。


ラグビーキッズ
ラグビーネットワークインフォメーション(ラグネット)
アンケート


1、ラグビースクールの名前
 城陽ラグビースクール

2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等
   
  


3、代表者
 石田勝一

4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先 
 城陽ラグビースクールホームページにて体験入団、見学の申込を随時受付けしています

5、活動場所・練習場所 
 鴻巣山総合運動公園(城陽市)を中心に京田辺市などのグランドも使用しています。
 練習場所は天然芝、人工芝、土等 基本的には土のグランドです

6、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等 
 主に毎週土曜日の午前中です。

7、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの 
 年会費10,000円(保護者会費、スポーツ団体保険加入費含む)※合宿参加の場合は、費用は別途必要です。練習用ジャージ、パンツ、ソックス、ヘッドキャップ、スパイク(運動靴可)などは個人での購入をお願いします。正式入団後にチームジャージの提案と、チームカラーに合わせた市販ウエアの紹介をいたします。

8、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等 
 全学年で50名程度 女子選手1名外国人の受け入れも可能です。

9、コーチ人数、指名、経歴等 
 コーチの人数は各学年に5名程度。すべてボランティアでコーチングの長い方を中心に父兄が指導に参加することで子どもたちが飽きることなく楽しく参加できる環境を作っています。

10、モットー・大事にしている事・理念  
 保護者の皆様が安心し、子どもたちが安全にラグビーを楽しめ子どもたちの成長が優先される環境を提供する。

11、特徴・全員試合出場など他のスクールとの違い 
 城陽市だけでなく様々な地域からスクール生を受け入れ、低学年、中学年、高学年と2学年のカテゴリーに分けて練習や活動を行うことが同地域、同学年だけの環境では得ることができない協調性などの人間形成を養うことができ仲間ができると思います。

12、歴史・活動実績 
 1985年(昭和60年)9月に京都府スポーツ協会に登録。

13、OB・輩出トップリーガー 
 元トップリーガー 桜谷 勉さん(NEC) 藤田 大吾さん(セコム)を始め京都工学院高校、花園高校、東山高校など府内の伝統校、有力校で多数活躍した実績があります。

14、指導方針・教育方針  
 「勝ち負けにこだわらず、ひとり一人が達成感を得ることができる場所の提供」 他活動方針は城陽ラグビースクールホームページに掲載しています。

15、合宿・場所・期間・参加年齢等 
 毎年夏に全学年対象の合宿(1泊2日)を行っています。(昨年度、今年度は開催できていません)

16、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか 
 野球や空手など掛け持ちをしているスクール生は複数います。掛け持ちでの入団、活動は可能です。

17、保護者の活動への参加・サポート 
 普段の練習会では当番制の用務はありません。

18、どんなスクールを目指すか(将来像)
 ラグビーを好きになってほしい。ラグビーの魅力を感じでもらい、ラグビーを続けたいと思ってもらえる子どもたちを増やしたい。

19、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)
 あいさつのできる子、自分で考え行動に移せる子になってほしい

20、プレースタイル 
 ランニングラグビー

21、交流する他のラグビースクール 
 山城ラグビースクールさん、南京都ラグビースクールさん、京都ラグビースクールさん

22、交流するラグビー団体(学校・協会・トップリーグ等) 
 京都府ラグビーフットボール協会に登録しています。

23、自由欄(付け加える事があれば) 
 2015年2019年のラグビーW杯での日本代表の活躍もあり、スクール生も増え単独チームで大会に参加することができるようになりました。決して強いチームではありませんがひとり一人のスクール生と向き合い課題を克服できるように指導を行っています。



保護者アンケート

1、このスクールを選んだ理由
 『体験会に参加した際、スクール生の笑顔が多く見られすぐに輪に入れてもらえたからです。』

2、スクールの良いところ
 『仲が良く練習でも試合でも「仲間」を感じられ子供たちが安全にラグビーを楽しめる環境です。』

3、スクールに改善してほしいところ
 『コロナ禍で難しいとは思いますが他学年との交流の機会が増えればと思います。』

4、お子さんの変化、スクールに入ってかわりましたか
 『仲間意識が芽生え「人の為に」の行動が出来るようになってきたり、こつこつ努力が出来る人になってきました。』

5、お子さんがスクールに入って生活に変化がありましたか
 『「良く食べ良く動きよく眠る」ラグビー中心の生活になりました。』

6、スクールを卒業してもラグビーを続けさせますか、続けてほしいですか
 『本人の強い希望によりずっとラグビーを続けていきたいそうです。親も全力サポートで息子には続けていってほしいです。』

7、ご自身もラグビーをしていましたか
 『していません。』

8、ご自身もラグビーが好きになりましたか
 『大好きになりました。息子がはじめた4年生の時に初めてラグビーを見ましたが今では完全に虜になっています。』

9、どんな大人になってほしいですか
 『人の「痛み」がわかる大人になってほしいです。人との繋がりを大切にし、その笑顔が益々輝きますように!』

10、スクールに入れてよかったですか
 『良かったです。練習や試合などで息子も私もかけがえのない日々を過ごさせてもら
っています。



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