【インタビュー】第62回▶相模原ラグビースクール(神奈川県)

大人も子どもと一緒に成長できる場所であり続けたい

ラグネット第62回は、神奈川県相模原市で活動する相模原ラグビースクールをご紹介します。1995年に創部され、現在では幼児から中学3年生まで約200名の子どもたちが、毎週日曜日に市内のグラウンドでラグビーを楽しんでいます。勝ち負けにこだわることなく、「勝ちたいという思いを実現するために、仲間と流したたくさんの汗と涙と努力を称えよう」という理念の下で、コーチの皆さんは指導にあたっています。原則として、選手の保護者がずっと一緒にコーチとしても持ち上がるのが特徴で、子どもと一緒に大人も成長しようとするラグビースクールです。小林直人校長(65歳)にお話を伺いました。


嬉しい、悔しいという気持ちを、
信頼できる仲間と共有することが大切


村上 小林さんのラグビーとの出会いを教えてください。
小林 私は東京都立工業高等専門学校(現・東京都立産業技術高等専門学校)でラグビーを始めました。本当はバスケットボールをやりたかったのですが、体ががっちりしていたこともあって、ラグビー部の先輩につけまわされて、無理やりラグビー部に入れられました(笑)。

村上 相模原ラグビースクール(RS)とはいつ出会ったのですか。
小林 卒業後はクラブチームを作って3年ほど活動しましたが、会社との両立が難しく、いったんラグビーからは離れました。今から20年ほど前ですが、息子が小学校に上がる時に何かスポーツをやらせたいと思ったんです。住んでいた相模原市にラグビースクールがあったので、嫌がる息子を連れて行ったのがラグビーとの再会でした。

村上 その頃の相模原RSの規模はどのくらいですか。
小林 80名ほどで、学年によっては1チームできるかできないかという規模でした。1998年にかながわ・ゆめ国体が開催され、相模原市でラグビー競技が行われました。国体に合わせて相模原市ラグビーフットボール協会を立ち上げる動きがあり、相模原RSも立ち上げたということです。先頭に立っていたのが、相模台工業高校を全国高校大会2連覇に導いた松澤友久先生でした。

村上 スクール生はかなり増えているようですね。
小林 現在、200名弱ですね。20年前、ほとんどの子どもは野球かサッカーでなかなか人数が増えませんでした。友達が友達を呼んでくる口コミでじわじわと増えていった形です。

村上 2019年のラグビーワールドカップのあとは増えなかったのですか。
小林 さばききれないくらい人が集まったのですが、失敗したと思うことがあります。年度末まで3か月ほどしかなく、年会費をいただくのが申し訳ないので、体験という形で参加してもらって、年度が切り替わるところで入ってくださいというお願いをしたんです。そこにコロナです。市内のグラウンドが使えなくなり、しばらく活動を休止しているうちに、他のスポーツに流れてしまいました。

村上 それでも少しずつは増えたのですね。
小林 ラグビーに興味を持った方は多くて、その後も少しずつ増えています。残念なのは緊急事態宣言の下でいつもお借りしているグラウンドがすべて使用禁止になっていることです。また離れていってしまうのではと危惧しています。今は小学生が活動停止で、中学生だけ河川敷のグラウンドで「強化練習」という名目で活動しています。

村上 指導方針について聞かせていただけますか。
小林 勝った、負けただけにこだわるなと言っています。私自身の指導歴の中で反省点もあります。コーチが自己満足のために子どもたちを勝たせようとしてはいけない。大事なのは、勝ったら嬉しい、負けたら悔しいという気持ちを子どもたちが信頼できる仲間たちと共有することです。相模原RSはもともと勝利至上主義ではなかったので、私が校長になって、それを明文化して伝えるようにしました。

村上 保護者の方からのかかわり方にも特徴があるようですね。
小林 親と子どもが共有できる時間は大切にしようと言っています。グラウンドに入ってタックルバックを持ってもらってもいいし、一生懸命応援するのもいいし、お父さんもお母さんも、スクールを媒介にして楽しく集まれればいい。相模原はそういうラグビースクールでいいと思っているんです。ここはプロ選手の養成機関ではありません。みんなが集まって楽しむ場所、喜びも、苦しみも共有する場所にしてほしい。子どもも成長していますが、大人がそれ以上に成長しています(笑)。


コーチが細かく指導する前に
子どもたちが話し合う時間を設ける



村上 目指すプレースタイルはありますか。
小林 FW出身のコーチ、BK出身のコーチの担当する学年で差がありますね。スクール側がコーチを割り振るところが多いのですが、相模原RSは子どもの保護者がその学年を見ています。幸い三菱重工相模原でプレーされた方や、高校、大学での経験者もいるので、各学年にメインになるコーチはいらっしゃいます。ただし、コーチによって特徴が出ますので、それを埋めるために、5年生と6年生、6年生と中学1年生をミックスして、普段やっていないことを補完し合うような機会も設けています。

村上 自分のお子さんを、ずっと指導していくことになるのですね。
小林 そうです。幼児からだと中学3年まで12年間あります。そこで、子どもと一緒に成長してください、子どもの成長を応援してください、そして、家に帰るときに、お子さんときょうの試合や練習について話してくださいとお願いしています。

村上 子どもたちが成長する過程をご覧になって感じることはありますか。
小林 子ども同士で、「なんで、お前、あそこでパスしなかったんだよ」と責めるような言葉も出ることもあります。それをいさめ、お互いに良いところは褒め合い、悪いところは会話の中で修正し合うようになってほしいと思っています。コーチが何かを指摘する前に、2分間、子ども同士でチームトークするようにしています。子どもたちの話を聞いていると、この子たち、こんな話ができるようになったのかと感慨深いものがあります。

村上 中学生は部活と並行しているのですか。
小林 陸上部、サッカー部、バスケットボール部、たくさんいます。神奈川県の中学にはラグビー部がほとんどありませんので、何かの部に入っている子が多いです。両立して、部活でもキャプテンをして、スクールでも活躍する子もいます。しかし、部活を中心にできないのなら辞めなさい、という部活もあります。また、内申点のことを考えると何か部活に入って活動していなくてはいけないので悩んでいる子もいます。あまり活動していない部活に入って、放課後ラグビー教室などに3つくらい通っている子もいますね。

村上 ラグビー以外で何かイベントは開催していますか。
小林 一番大きなイベントは卒業式ですね。幼児の頃からの過程をスライドショーにして、みんなで大笑いして、ご飯を食べ、大人は酒を飲むというイベントです。今はコロナでできませんが、クリスマスのお菓子つかみ、夏のかき氷、春と秋の豚汁大会、いろんなことをしています。スクールの中でタグラグビー大会をすることもあり、みんなで楽しんでいます。

村上 スクールの運営は無報酬ですね。何が続けられるモチベーションですか。
小林 去年の10月に退職しましたが、会社員時代は仕事が忙しかったんです。それでも日曜日は必ずグラウンドに立つと決めていました。そこで子どもたちの元気な顔を見ると、一週間、くたびれ果てた心が元気になります。子どもたちから、たくさんのエネルギーがもらえることが一番のモチベーションです。年々、成長する過程を見ているのも楽しみです。

村上 部員募集は随時行っているのですか。
小林 随時募集しています。現在は小学生の部が休止していますが、緊急事態宣言が解除になり、相模原の施設が使用できるようになれば再開したいと思っています。大人も子どもも楽しめる場所をぜひご利用ください。



ラグビーキッズ
ラグビーネットワークインフォメーション(ラグネット)
アンケート


1、ラグビースクールの名前
 相模原ラグビースクール

2、代表者
 校長 小林直人

3、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先
 info@sagamihara

4、活動場所・練習場所
 相模原市内(ギオンスクエア,フィールド,横山公園G,レクリエーションパーク,etc)

5、練習場所は天然芝、人工芝、土等
 天然芝(含む雑草),人工芝のグラウンドを使用,(土のグラウンドは使用していない。)
 

6、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等
 活動時間

  毎週土日,3-4時間程度実施(小3年~中学3年)
  (幼児~2年生は毎週日曜日のみ)
 年間スケジュール
  有(但し,グラウンド予約状況に変更等あり)
   (コロナ禍で緊急事態宣言等発令の場合は,自粛している。)

7、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの
 入会費無
  年会費:ジュニア(中学生) \20,000/人,ミニ(小3-小6年) \18,000/人
     ミルキー(小1-小2) \16,000/人,ミルキー(幼児) \8,000/人
  ☆合宿費等は別途徴収
 用具(スクールで準備するものは,年会費に含んでいる。)
  ①個人で準備:ジャージ,ヘッドキャップ,マウスピース,スパイク,ストッキングetc.
  ②スクールで準備:ジュニア用スクールジャージ(公式戦用ジャージ),ボール,マーカー,タックルバック
        その他練習等に必要な物はスクールで準備

8、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等
 生徒人数:総勢約180名(幼児~中3年生)
 女子選手数:各学年2~3名
 外国人対応等:近年は不在

9、コーチ人数、指名、経歴等
 コーチ人数:約90
 (基本選手のお父さんがコーチをしている。)
 経歴等:経験者は,中学~大学,社会人と経験豊富
 未経験者も対応している。(講習等を受講している。)・経歴等:経験者は,中学~大学,社会人と経験豊富
 未経験者も対応している。(講習等を受講している。)

10、合宿・場所・期間・参加年齢等
 春合宿:4月下旬頃相模原市内施設で実施。参加者:小1~小6
 縦割りで実施し,小6年生を部屋長にして下の学年を面倒みる。
 1泊2日
 夏合宿
  ①場所:菅平高原
  ②期間:小3~小6年:7月3週目に実施,2泊3日
       中1~中3年:7月4週目に実施,2泊3日
 ☆コロナの影響により実施出来ていない状況です。

11、ラグビー以外の行事
 ・練習後のかき氷配布,卒業式(中3),終了式(小6) etc.

12、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか
 ・掛け持ちは可能、人数は不明
 ・中学生のみ主登録、副登録の確認を実施。

13、保護者の活動への参加・サポート
 スクール活動全てにおいて、保護者様の理解、サポートは不可欠です。

14、交流する他のラグビースクール
 県内全てのラグビースクール、特に海老名ラグビースクール



保護者へのアンケート

1、このスクールを選んだ理由
 家から通える距離だから

2、このスクールの良い点
 たくさんのコーチが熱心に指導してくださるところ。

3、お子さんの変化・スクールに入って変わりましたか
 気持ちが強くなりました。

4、お子さんがスクールに入って生活に変化がありましたか
 ラグビーが生活の中心になりました。家でたくさんラグビーのことを話します。

5、スクールを卒業してもラグビーを続けさせますか・続けて欲しいですか
 卒業しても続けてほしいと思っていますが、本人の意思に任せます。

6、ご自身もラグビーをしていましたか
 していません。

7、ご自身もラグビーが好きになりましたか
 ラグビー大好きです。

8、どんな大人になって欲しいですか
 自分の意思で、選択に責任を持って自分の道を切り開いていける人。
 自分を大切にし、他者への思いやりを持てる強くて優しい人になってほしいです。

9、スクールに入れてよかったですか
 良かったです。ラグビーの日が楽しくて仕方がないです。

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