【インタビュー】第60回▶中条ラグビースクール(新潟県)

受けたサポートに対して、恩返しできる人間を育てたい

ラグネット第60回は、新潟県北部の胎内市で活動する中条ラグビースクールをご紹介します。1997年に創部され、スクール生が約30名と少人数ですが、県大会優勝、サントリーカップ(タグラグビー)北関東大会準優勝と着実に実績を積み重ねています。モットーは「ラグビーを通じての人間性育成と構築」。練習環境も良く、土曜の午前中の練習に加えて、昨年度の全国高校ラグビー大会に初出場した開志国際高校の人工芝グラウンドにて毎週水曜、木曜のナイター練習も行っています。コーチの統括を担当する松村裕さん(44歳)にお話を伺いました。


卒業生が強豪高校で活躍
女子の卒業生3名もセブンズアカデミーに

村上 松村さんは、いつラグビーを始めたのですか。
松村 地元の県立中条高校でラグビーを始めました。僕の小学校のときからの同級生に佐藤幸士君がいます。のちに横河武蔵野アトラスターズのキャプテンも務めた選手なのですが、彼に誘われたのが一番の理由です。高校卒業後は、地元のイーデンポールというクラブチームでプレーしました。

村上 中条ラグビースクール(RS)に関わり始めたのは、いつですか。
松村 息子が小学1年生のときに、いまもいらっしゃるコーチの方に声をかけていただいてからです。息子はいま中学2年生になり、ラグビーを続けています。私も保護者コーチから始まってずっと関わっています。

村上 このチームが創部された経緯は聞いていらっしゃいますか。
松村 1997年、中条高校ラグビー部のOBの方々がラグビー普及のために立ち上げたそうです。

村上 スクール生は約30名ということですね。
松村 小学生と10名の中学生も入れて、30名です。ここ数年、減ってきています。現在、新潟県の北部は子どもの数が激減していまして、小学校も統合し始めていますし、ほかのスポーツも競技人口は減っています。野球でも合同チームがあり、サッカーは人気があってやっている子どもが多いのですが、それでも年々減ってきているようです。

村上 試合はどうしているのですか。
松村 残念ながら他のラグビースクールに協力をお願いして、合同チームとして試合に出させてもらっています。近隣の新発田ラグビースクールとよく交流しています。

村上 開志国際高校のグラウンドでも練習しているようですね。
松村 4年ほど前からときどきお借りしていました。というのは、現在の開志国際の3年生に中条RSの卒業生が女子も含めて3名(伊藤大晟、渡邉陽平、小池くるみ)いまして、その子たちが中学生の頃に、どうぞ使ってください、と声をかけてくださったんです。現在は、水曜、木曜の夜間練習は毎週お借りしています。高校生が指導を手伝ってくれることもあって、子どもたちを可愛がってくれます。恵まれた環境だと思います。

村上 女子選手も活躍されているようですね。
松村 セブンズアカデミーに卒業生が3名選ばれています。小池くるみ(開志国際高校3年)、高橋夏未(國學院栃木高校3年)、向來桜子(関東学院六浦高校3年)の3選手です。この年代は優秀な選手が多く、男子でも目黒学院高校に小泉柊人、幸内良真がいます。コミュニケーション能力が高く、自分たちでチームを作り上げるということができていましたね。

村上 モートーが「ラグビーを通じての人間性育成と構築」ということですが、どんなことを心掛けて指導されていますか。
松村 挨拶、返事、練習に対する姿勢、集合のときに早く動くなど心掛けています。ラグビー精神については、難しい言い方をすると伝わらないので、一つのボールをみんなで運んで、協力しあいながらやる競技だということは練習中に声をかけています。能力の高い子もいれば、コンタクトを嫌がってしまうような子もいて、さまざまな人がいる中で自分に何ができるかを考えて行動しよう、ということは伝えています。技術的な練習については、うちのチームは体が小さい子が多いので、ハンドリングスキルの向上には時間をかけています。


新潟県全体のラグビー普及を目指す
まずは知ってもらうことから始めたい


村上 ラグビー以外の行事はありますか。
松村 コロナ禍でできないことが多いのですが、新潟県ということもあって、例年、年始の練習初めの際、杵と臼を用意して全員で餅つきをします。保護者の方に、ついたお餅で雑煮やきなこ餅など作ってもらって食べています。

村上 カレーパーティーもあるようですね。
松村 コーチ陣の中に農家の方がいて、新米ができあがったときに、ご飯を炊き、保護者の方にカレーを作ってもらうんです。

村上 あっ、カレーではなく、ごはんがメインなんですね。
松村 そうなんです。新潟米です(笑)。

村上 登山もするようですが、どんな山に登るのですか。
松村 地元の胎内市には日本一小さな山脈(櫛形山脈)があります。カレーを作っている間に登ってみることもあります。登山道も整備されていて、山頂まで1時間ほどで行けます。うちのスクールは高学年が低学年の面倒を見るというスタイルを取り入れていますので、そういう班分けをしてチームで登るようにしています。保護者の皆さんが、よく手伝ってくださることもあり、とても雰囲気のよいチームですよ。

村上 ゴミ拾い活動は、どんなことをしていますか。
松村 私たちが借りているのが、市の公園や開志国際高校なので、自分たちに何ができるかを考えて、グラウンドや施設の周辺のゴミ拾いをしています。みんなで一斉にやることもありますが、気づいた人がごみを拾うということも意識づけています。

村上 これまでの指導歴で何か印象的なエピソードはありますか。
松村 運動が得意ではない子や集中力に欠ける子がいたのですが、自分にできることをひたむきに考えて、6年間ラグビーを続けて卒業してくれると嬉しいですね。我々コーチも他のスクール生と同じように一貫性をもって接し、その子たちも応えてくれました。たまに練習を休むこともありましたが、「それはそれでいいし、自分がやりたいときにグラウンドに出てきて、自分でやると決めたらやろう
と声をかけていました。

村上 アンケートの「生徒にどんな大人になってほしいか」という説問の答えに「人々のサポートができる人間」というコメントがありますね。
松村 スクールは通過点でしかないと思っています。世に出て、生きていくなかでは、誰もがいろんな人にサポートを受けながら成長していきます。その受けたサポートに対して恩返しできるような人間になってほしいねと、コーチの中で話をすることが多いです。

村上 課題はありますか。
松村 人数を増やすことが課題です。自分も新潟県でラグビーに携わらせてもらっている立場として、ラグビーの普及、楽しさが伝わるイベントなどができればいいかなと思っています。新潟県は中学生の育成の部分が遅れていると思います。県内に中学校のラグビー部はありません。

村上 まったくないんですね。
松村 新発田市で学校の枠を越えた広域型の「新発田市ラグビー部」があります。しかし、新発田市だけです。新潟県は広いので一か所に集まるのは難しい。だから、中学になるとやめてしまう子が多いです。中条RSだけではなく、高校の先生方と一緒に、育成と普及をしていかないといけないかなと思います。そこにうちのスクールを盛り上げていくヒントがあるのではないかと、他のコーチと話をしています。

村上 スクール生募集の告知活動などは、どのようにしているのですか。
松村 保護者の方にお願いをして、いろんなお店にポスターを貼らせてもらっています。中条でラグビーをやっているのを知らなかったという人もいるので、もっとアピールをしないといけないですね。運動が得意じゃなくても大丈夫ですし、ラグビーはボール持って走るだけで楽しいチームスポーツです。ぜひお気軽に中条RSに遊びに来て下さい。



ラグビーキッズ
ラグビーネットワークインフォメーション(ラグネット)
アンケート


1、ラグビースクールの名前
 中条ラグビースクール

2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等


3、代表者
 荻間

4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先
 担当:松村 連絡先:bristol.no18@gmail.com

5、活動場所・練習場所
 胎内市内 国際交流公園・開志国際高校グランド

6、練習場所は天然芝、人工芝、土等
 天然芝・人工芝(照明環境あり)

7、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等
 小学部:通常練習 毎週土曜日9:00―12:00(夏季期間は7:30―10:00)

      夜間練習 毎週木曜日19:00―20:30
 中学部:夜間練習 毎週水曜日19:00―20:30

8、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの
 入会金:2,000円(保険料含む) 会費:年間10,000円 用具等:ユニフォーム・スパイクなど(おさがりやサポートあり)

9、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等
 30名(内女子選手2名)

10、コーチ人数、指名、経歴等
 コーチ10名・ラグビー経験者・保護者コーチ

11、モットー・大事にしている事・理念
 ラグビーを通じての人間性

12、特徴・全員試合出場など他のスクールとの違い
 全員出場

13、歴史・活動実績
 県内大会優勝・サントリーカップ(タグラグビー)北関東大会準優勝

14、指導方針・教育方針
 お互いを信頼し前向きにチャレンジする

15、合宿・場所・期間・参加年齢等
 菅平高原合宿 期間:7月 参加年齢:低学年より

16、ラグビー以外の行事
 餅つき大会・カレーパーティー・登山・ゴミ拾い活動

17、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか
 15名以上

18、保護者の活動への参加・サポート
 保護者に練習参加のサポートをいただいています。

19、どんなスクールを目指すか(将来像)
 地域の皆様の支えがありここまで継続できました。
 今後もいろいろなスポーツがある中でラグビーが必要とされ、愛されるスクールでありたいと思っています。

20、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)
 ラグビーを通じて培ったリーダーシップやチャレンジ精神を活かし、社会に必要とされる人間。
 人々のサポートができる人間

21、プレースタイル
 全員ラグビー・チームで考え選択できる自由なラグビー

22、交流する他のラグビースクール
 県内各ラグビースクール
 県北部より新発田RS・新潟市RS・新津RS・ニシカン・三条RS・長岡RS・ワセダクラブ

23、交流するラグビー団体(学校・協会・トップリーグ等)
 開志国際高校



保護者へのアンケート

1、このスクールを選んだ理由
 保育園から仲の良いお友達に誘われて

2、このスクールの良い点
 コーチ・保護者・スクール生みんな仲が良い

3、スクールに改善して欲しい所
 特にないですが、スクール生がもっと増えて欲しいです。

4、お子さんの変化・スクールに入って変わりましたか
 仲間が失敗したり、くじけそうになったり、怪我をしてしまったりした時は自ら進んで声をかけ励ましている姿が多く見られるようになりました。

5、お子さんがスクールに入って生活に変化がありましたか
 大きな変化はいまのところありません。

6、スクールを卒業してもラグビーを続けさせますか・続けて欲しいですか
 本人が続けたいという気持ちがあれば全力で応援したいと思っています。

7、ご自身もラグビーをしていましたか
 両親ともしていません。

8、ご自身もラグビーが好きになりましたか
 はい。好きになりました。

9、どんな大人になって欲しいですか
 One for all,all for one の精神をもった大人になってほしいです。

10、スクールに入れてよかったですか
 はい良かったです。


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