【インタビュー】第59回▶神奈川DAGSラグビースクール(神奈川県)

麻生RSとグリーンRSの中学部が合同で独立し、ラグビー大好き人間を育成中

ラグネット第59回は、神奈川県川崎市で活動する神奈川DAGSラグビースクールをご紹介します。DAGSは、D=田園、A=麻生、G=グリーンのラグビースクールの頭文字。この3チームが合同チームを作って独立。田園はその後、中学の生徒数が多くなって抜けましたが、現在は、麻生とグリーンの卒業生が中心となって運営されています。スローガンは「次代を背負う若者づくり」。ラグビーを継続する人材育成に取り組んでいます。今回は、校長を務める小坂頼史さん(59歳)にお話を伺いました。


高校でもラグビーを続けてくれる
スクール生を育てるのが指導者の使命

村上 小坂さんのラグビー歴をお伺いできますか。
小坂 大分県の大分水産高校でラグビーを始めました。中学の先生がラグビー好きで、ラグビーをやってみないか?と勧めてくれました。東海大学ラグビー部、一般企業でもプレーしました。麻生ラグビースクール(RS)に関わるようになったのは、20年くらい前です。妻の妹の「ママ友」がお子さんを麻生RSに通わせていて、コーチを探しているということで打診がありました。

村上 そこから麻生RSで指導員を始めたのですね。
小坂 はい。その後、子どもたちや保護者のみなさんからの要望で中学部を立ち上げることになって、私も中学のコーチになりました。人数が少なかったので、1999年に麻生、田園、多摩という3つのRSで合同チームを作り、2001年に田園、麻生、グリーンの合同チームになりました。この3チームの頭文字をとって神奈川DAGSという単独チームを作り、私が校長に就任しました。

村上 その後、田園RSは抜けたのですね。
小坂 田園は人数が多くなったので抜けることになり、残った麻生とグリーンで2009年に単独チームとして神奈川県協会に登録しました。

村上 チームのシンボルマークが「オオサンショウウオ」ですが、なぜですか。
小坂 コーチの発案なのですが、「オオサンショウウオ」は川の王様と言われているので、神奈川の「川」の中の王様になろうということです。また、両生類ということで、2つのチームが力を合わせていくという意味も含まれています。デザインのカラフルな色は麻生のチームカラーのオレンジ、そしてグリーン、その中にDAGSという文字が浮き上がるようになっています。

村上 中学生世代の指導の難しさはありますか。
小坂 中学生は「オトナ・コドモ」とでも言いますか、どっちでもないようなところがありますよね。グラウンドは全面を使いますが、体の小さな子から180㎝を超えるような子もいて、体力的なばらつきも大きいです。そのあたり上手くバランスをとっていかなくてはいけない。長く続けてくれることを念頭に指導しています。高校になっても、ラグビーを続けてくれる子を育てるのが僕らの使命ですから。

村上 全国的に、中学生世代がラグビーをプレーする場がないというのが課題になっていますが、神奈川県はどうですか。
小坂 神奈川県では中学生がプレーする場は増えています。我々が中学専門のスクールとしては最初でしたが、合同チームが単独チームになるという同じパターンが増えてきました。逆に高校の道が狭くて、本格的にプレーして、全国大会に出たいような子は他県に行くことも多いですね。神奈川DAGSからは、國學院久我山、東京、目黒学院、國學院栃木、東海大大阪仰星にも進学しています。

村上 技術的な指導は細かく行われているのですか。
小坂 うちは技術というよりも、基礎体力強化に重点を置いています。中学で覚えた知識を高校でひけらかすよりも、「走れます」、「タックルできます」と、高校のコーチが指導しやすいような教え方をしています。技術的なことは、基本のパス、タックルといったところですね。

村上 卒業生にトップリーガーはいますか。
小坂 中央大学からヤマハ発動機ジュビロに行ったCTB白井吾土矛(アトム)という選手がいます。クボタスピアーズからNECグリーンロケッツに移籍したPR石田楽人選手も、神奈川DAGSの卒業生です。


型にはめずに自由にプレーさせ
個性あってのチームにしたい



村上 スクール生は中学の部活と両立させている子もいるのですか。
小坂 ほとんど部活にも入っています。週末だけラグビーをしても体力はつかないので、平日は陸上部やバスケットボール部などで練習しながら週末はラグビースクールに来る子が多いです。部活の先生に「週末はラグビーがあるので、平日だけ練習させてください」とお願いしている子もいます。逆に学校の友達との関係もあって、「部活の試合に出るから週末のラグビースクールに行けません」という子もいます。それは子どもたちの選択肢なので、来られるときに来ればいいよ、と話しています。

村上 目標とする大会はありますか。
 4月、5月の県大会を勝つと、東日本大会があり、その先には9月の水戸での全国大会があります。そこが目標ですけど、なかなか難しいです。

村上 いま、スクール生は66名いるそうですね。
小坂 今年の1年生は、ラグビーワールドカップ(RWC)後の入校生が多いんです。昨年までは3学年で30名から40名でした。RWC効果は大きく、どこのスクールも小学5年、6年、中学1年あたりは人数が多いそうです。ほとんどのスクール生は、麻生RSとグリーンRSから上がってきますが、中学から始める子もいますし、中学3年生になって入ってくる子もいます。いつでも大歓迎です。

村上 これまでの指導歴の中で印象に残っているスクール生はいますか。
小坂 数年前、一つのことしかできない子がいました。同時に2つのことを指導すると混乱してしまうんです。中学1年生で入ってきたのですが、普通の子と少し違うと思って接していました。実は3年生になってお母さんから初めて発達障害だと伺いました。そういう子がいると雰囲気が良くなる面があります。周りの子がなんとかその子にトライをさせようとするんです。それまでは友達と交われなくて、話もできなかった子が、ラグビーをして、みんなと試合してニコニコ笑っているのが一番うれしいですね。

村上 中学生は精神的に難しい世代でもありますよね。
小坂 難しくて、学校に行かなくなり、スクールにも来られなくなってフェードアウトしてしまう子が年に1人、2人います。なんとか、仲間で家まで行って誘うのですが、近くの公園でボール遊びまではできるけど、スクールでみんなと対面するのはダメとか、最近多いですね。昔はやんちゃで、すぐにケンカするような子がいましたけど、今は精神的に苦しんでいる子が多いです。

村上 大半のスクール生は高校でラグビーを続けるのですね。
小坂 去年の卒業生は、11名中9名が高校で続けています。高校、大学、クラブで続けてほしいと思って教えていますので、クラブチームの試合を見たときに、卒業生がいると嬉しいですよ。スクールの指導をしていて幸せを感じる瞬間です。

村上 卒業生が戻ってきて指導員になってくれることもありますか。
小坂 多いですよ。今のコーチもみんなOBです。メインでやっているコーチは、桐蔭学園から慶應義塾大学です。法政大学を卒業して戻ってきた子もいます。ただ、若い子は自分の子どもができると離れていくことも多いです。だから、コーチの年齢層は高いですね。

村上 今後、どんなスクールにしていきたいですか。
小坂 勝ちにこだわらないチームにしたいですね。基本プレーをしっかりやっていたら、勝っちゃった!くらいでいいんです。コーチの戦略に子どもたちを当てはめるのではなくて、子どもたちの特徴を見て、僕らが上手く配置してあげられるようにしたいです。型にはめずに自由にやらせて、上手くいかないことは選手同士で話し合ってもらう。個性あってのチームにしたいですね。

村上 部員募集は随時ですか。
小坂 いつでも大丈夫ですよ。来るものは拒まず、去る者はちょっと追う。そんな感じです(笑)。




ラグビーキッズ
ラグビーネットワークインフォメーション(ラグネット)
アンケート

1、ラグビースクールの名前
 神奈川DAGSラグビースクール

2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等


3、代表者
 小坂頼史

4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先
 住所 川崎市多摩区栗谷3-10-7 
 連絡先 090-8685-6864 アドレス dags@axe-y.com   担当 小坂
 問い合わせHPアドレス http://dags-rugby.boo.jp/form.php
 担当者 小坂 湊 

 
5、活動場所・練習場所
 ①日体大 健志台グランド ②日大稲城グランド (現状はコロナ禍で使用不可)
 ③多摩川の河川敷グランド
 練習場所は天然芝、人工芝、土等
 ②は人工芝 ③は土のグランド

6、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等
 毎週 土曜、日曜の午前中

7、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの
 入会費なし、年会費 18,000- ラグビーの練習が出来る格好、スパイク、ヘッドキャップ マウスガード

8、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等
 生徒の構成は中学生のみ 総勢 66名 女子 2名

9、コーチ人数、指名、経歴等
 コーチ人数 10名 明治 青学 慶応 大阪体育大 東海大

10、モットー・大事にしている事・理念
 神奈川県川崎市の麻生区周辺,横浜市青葉区周辺の中学生を対象とし、「次代を背負う若者づくり」をスローガンとしたラグビースクールです。川崎市の“麻生RS”と横浜市の“グリーンRS”が手を組み、中学部を立ち上げたジュニアスクールです。指導方針は年齢に合わせた体力強化を重点に置き強化する。ラグビーを通してスポーツの楽しさを体験させ、運動の得意・不得意、身体の大きい小さい等分け隔てなく全員で勝つ喜びを得ることを目標にしています

11、特徴・全員試合出場など他のスクールとの違い
 試合に勝つことよりも継続して長くラグビーを続ける人材作り、高校でもやって行ける体力作り スキルアップ。ラグビー大好き人間を増やすこと。

12、歴史・活動実績
 沿革:1999年 麻生RS 田園RS 多摩RSの3校合同チームが発祥
   :2001年 田園RS 麻生RS グリーンRSの3校の合同チームを発足
   この合同チームの名前をそれぞれの頭文字をもじって【DAGS】と命名。
   :2009年に田園RSが、独立し 麻生RS グリーンRSの2校合同なり、
   【神奈川DAGSラグビースクール】として単独チームを立ち上げました。

13、OB・輩出トップリーガー
 ジュビロ 白井君 クボタ 石田君

14、指導方針・教育方針
 楽しく 厳しく

15、合宿・場所・期間・参加年齢等
 菅平高原 7月24日~27日

16、ラグビー以外の行事
 餅つき
 

17、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか
 学校の部活 習い事 塾等 掛け持ちがほとんど

18、保護者の活動への参加・サポート
 保護者の参加は ビデオ、写真撮影 夏合宿のお手伝い

19、どんなスクールを目指すか(将来像)
 中学 高校 女子を対象に怪我のないラグビーからだつくりが出来るスクール

20、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)
 人に優しく、自分に厳しい

21、交流する他のラグビースクール
 川崎RS 大和市RS 相模原RS 横浜RS 鎌倉RS
 世田ヶ谷RS 練馬RS 東京ベイ
 高崎RS 同志社香里

22、交流するラグビー団体(学校・協会・トップリーグ等)
 川和高校 リコー




保護者へのアンケート

1、このスクールを選んだ理由
 兄(現在、相模の高3)も通っており、とてもお世話になっていたため。

2、このスクールの良い点
 礼儀の面では厳しくご指導頂けるのはとてもありがたいです。

3、スクールに改善して欲しい所
 現時点では特になし。

4、お子さんの変化・スクールに入って変わりましたか
 ラグビーの練習のために、自ら早起きして準備するようになりました。

5、お子さんがスクールに入って生活に変化がありましたか
 自分の使ったものを、片づける習慣が身に付き始めました。

6、スクールを卒業してもラグビーを続けさせますか・続けて欲しいですか
 本人の意思に任せます。

7、ご自身もラグビーをしていましたか
 私はラグビー経験ありませんが、兄の影響で5歳ごろから始めました。

8、ご自身もラグビーが好きになりましたか
 2014年から、一家でラグビーファンになりました。

9、どんな大人になって欲しいですか
 仲間と助け合いつつ、責任感のある行動がとれるようになって欲しいです。

10、スクールに入れてよかったですか
 ラグビーを通じた人間形成、自分磨きに役立っていると感じるので、よかったと思います。




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