【インタビュー】第58回▶東海ラグビースクール(愛知県)

新日鉄釜石の流れをくみ、知多半島でも胸に「はまゆり」が咲いている

第58回のラグネットでご紹介するのは、愛知県知多半島を拠点に子どもたちにラグビーの楽しさを教える東海ラグビースクールです。赤いジャージーの胸に「はまゆり」の花とくれば、ピンと来る人も多いでしょう。校長を務めるのは、日本ラグビー界の名門チームである元富士鉄釜石(新日鉄釜石)ラグビー部でプレーした佐藤恒朗さん。新日鉄釜石が日本選手権7連覇を達成した直後の1987年に設立され、現在は、幼児から中学3年生まで約180名が楕円球を追いかけています。今回は、小学6年生担当のコーチ竹内直哉さんにお話を伺いました。


ラグビーの楽しさを知り、
心と体をたくましく育てる指導

村上 竹内さんと東海ラグビースクール(RS)の関りから教えてください。
竹内 私は子どもが4人いるのですが、全員が東海RSに通っています。上から中学2年生の長女(愛香 まなか)、小学6年生の長男(瑛馬 てるま)、小学4年の次女(梨花 りんか)、小学1年の三女(花咲愛 かえら)です。私はラグビーの経験はありませんでした。

村上 では、なぜ子どもたちをRSに入れようと思ったのですか。
竹内 長男がお友達のお父さんから誘われたこともあって、ラグビーをやりたいなって話していました。そんなときに、2015年のラグビーワールドカップ(RWC)を見て、始めることになったのです。長男が幼稚園の年長の頃でした。他の3人も、私もやってみたいと言い始めて、後になって入りました。

村上 ラグビーを始めてお子さんに変化はありましたか。
竹内 周りとのコミュニケーションがとれるようになり、責任感が強くなって、学校でも率先してみんなを引っ張っていくようになりました。内気だった長女や妹たちも、学級委員に立候補するなど積極性が増したと思います。長男は我が強いタイプだったのですが、自分が犠牲になっても周りを生かすようなプレーができるようになっていきました。

村上 お子さんと一緒に竹内さんもRSに関わるようになったのですね。
竹内 私は大学(国際武道大学)まで陸上競技の十種競技をやっていました。体を動かすのが好きだったので、一緒にラグビーをやってみたかったんです。これから資格なども取得していきたいと思っています。

村上 ラグビーに携わり始めて、どんなことを感じましたか。
竹内 高校時代に陸上の練習をしているとき、隣でラグビー部が練習をしていました。痛そうなスポーツだというイメージでした。でも、指導員の試合に出してもらうと、なんて楽しいスポーツなんだろうと思いました。WTBで出場したのですが、ステップでタックラーを何人かかわしてトライしました。そのとき、なんて気持ちがいいんだろうって思ったんです。なぜもっと若いときに出会わなかったのかと後悔しました。

村上 1987年にチームが創立された経緯はご存じですか。
竹内 佐藤恒朗校長が新日鉄釜石ラグビー部の出身で、いまもスクールを引っ張っていただいています。松尾雄治さんの少し上の世代です。ここ東海市にも日本製鉄の名古屋製鉄所があり、かつて釜石市(岩手県)からもたくさんの従業員とご家族が移住されていました。そのお子さんたちが昼間に時間を持て余していたので、みんなを集めてラグビーを始めたそうです。

村上 現在、スクール生は約180名という比較的大きな規模ですね。
竹内 私が関わり始めた6年前は120名くらいでした。2015年、2019年のRWCを機に増えました。

村上 どんな指導方針で子どもたちに接していますか。
竹内 東海RSの一番良いところですが、基本的には子どもたちにラグビーの楽しさを知ってもらうことに重きを置いています。ラグビーの練習の中に鬼ごっこや、かけっこ、体の使い方など、いろんな要素を入れて指導しています。

村上 体の使い方などは十種競技をやっていた竹内さんの得意なところでしょうね。
竹内 たとえば、三段跳びのジャンプや、立ち幅跳びのジャンプなんかも取り入れています。どうすれば瞬時に足に力が入るのかイメージしてもらうためです。タックルをかわすために、体を違う方向に向けたときの足の踏ん張り方といったところには生きていると思います。


母の日は「お母さん、ありがとうタックル」で盛り上がる
6年生の目標はすべての試合に勝ち切る!



村上 ラグビー精神を子どもたちに話すこともあるのですか。
竹内 モットーの中に、「思いやりと友情の輪を広げる」、「元気に大きな声であいさつする」が入っていますが、規律の面もしっかり教えています。

村上 試合のときに全員をプレーさせるという方針はありますか。
竹内 基本的には、1軍、2軍など作らずに、バランスよくみんなが試合に出るようにしています。ただし、ヒーローズカップなど全国大会につながるような試合については選手を選抜します。2年前、ヒーローズカップの東海北陸大会のセカンドステージで、あと1勝で全国というところで負けてしまいました。いまの6年生の目標は、すべての試合に勝ち切るということになっています。

村上 東海RSならではのイベントなどありますか。
竹内 母の日に「お母さん、ありがとうタックル」というのをやります。お母さんにタックルバッグを持ってもらって、子どもたちに全力でタックルをしてもらうのです。小学校の高学年、中学生は全力だと危ないので、そこは「そんたくしろよ」と話しています(笑)。

村上 印象的なスクール生のエピソードなどありますか。
竹内 幼児の頃から練習に来ていた子で、いつも芝生をいじったり、トンボを追ったりして遊んでいた子がいました。その子が6年生になった試合で、チームメイトがタックルで倒されてジャッカルされそうになると、真っ先に駆けつけて相手をオーバーしたんです。自然に動いて仲間を助ける姿を見て感慨深いものがありました。

村上 子どもは、変わる瞬間があるんですね。
竹内 そうなんです。何かのきっかけで変わります。僕は陸上競技をやっていたので、陸上の話もよくするのですが、何かがきっかけになって変わってくれればいいかなと思っています。なおかつ、RWCのように魂が震える瞬間ってありますよね。そういう思いを子どものときにしてほしいと思っています。

村上 2019年のRWCはみんなで見たのですか。
竹内 スコットランド戦や南アフリカ戦は、会場を借りて100名ほど集まって見ました。スコットランドに勝った試合は、めちゃくちゃ盛り上がりました。子どもたちには、「今は見ている立場だけど、みんなはいつかあの場所に立つ立場なんだよ」と話しています。

村上 地域に根付き、地域から愛されるスクールを目指しているとのことですが、地域と密着したような取り組みはありますか。
竹内 東海市は岩手県の釜石市と姉妹都市です。毎年、交流試合をしていまして、9月には東海市の代表として東海RSの6年生が釜石市に遠征し、釜石鵜住居復興スタジアムで試合をしてきます。釜石シーウェイブスのラグビークリニックにも参加します。

村上 スクールとしての目標を聞かせてください。
竹内 これまで卒業生のトッププレーヤーが少ないので、もっともっとラグビーを楽しんで、続けてもらって、たくさんのトップリーガー、これからはリーグワンですが、そんな選手を輩出したいですね。部員募集は随時受け付けています。気軽に体験してもらいたいので、事務局にメールなり電話なりで連絡していただければ対応いたします。みんなでワイワイガヤガヤ楽しく、元気に練習していますので、ぜひのぞいてみてください。




ラグビーキッズ
ラグビーネットワークインフォメーション(ラグネット)
アンケート

1、ラグビースクールの名前
 東海ラグビースクール

2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等
 エンブレム・・・さつき


3、代表者
 校長:佐藤 恒明(サトウ ツネアキ)

 事務局:赤石 和久(アカイシ カズヒサ)

4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先
 ・E-mail: tokairs.mail@gmail.com

 ・HP: https://www.tokai-rs.com/
 ・Instagram: https://www.instagram.com/tokai_rugby_school_official
 ・Facebook: https://www.facebook.com/tokai.rugby.rs/


5、活動場所・練習場所
 愛知県東海市およびその周辺地域


6、練習場所は天然芝、人工芝、土等
 ① 土
 ② 天然芝

7、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等
 全体練習 日曜日、4年生~中学生は土曜あり
 夏は合宿を実施
 2ヵ月に1回程度 他スクールと交流会あり
 ヒーローズカップには毎年エントリー

8、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの
 年会費6,000円(幼児~小2)、7,000円(小3以上)


9、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等
 幼児~中学生:TOTAL約180名
 女子選手:16名
 外国人の方もいます。

10、コーチ人数、指名、経歴等
 コーチ:63名
 元トップリーガー在籍。逆にラグビー経験のないコーチも在籍。
 全コーチがボランティア

11、モットー・大事にしている事・理念
 ① ラグビーの楽しさを知る
 ② 心と体をたくましく育てる
 ③ 思いやりと友情の輪を広げる
 ④ 元気に大きな声であいさつ
 ⑤ ひたむきな姿勢のプレーを育成

12、特徴・全員試合出場など他のスクールとの違い
 校長、事務局、コーチ、保護者一体となり子供たちの活動をサポート。
 ヒーローズカップ以外のゲームは基本的に1軍、2軍などは作らず均等にチームを編成することを心掛けている。

13、歴史・活動実績
 1987年設立
 ヒーローズカップ東海北陸大会 2ndステージ進出

14、OB・輩出トップリーガー
 星野 玄太、大紀(コカコーラレッドスパークス)

15、指導方針・教育方針
 指導方針:ラグビーが好きで、ラグビーを続けたい子供を育てる

 心を一つにして、ボールをつなぎゴールを目指す

16、合宿・場所・期間・参加年齢等
 合宿:山びこの丘(愛知県新城市) 8月に1泊2日
 コロナ前は全学年。今年は日帰りで3年~中学生を予定
 堺RSとの交流(5, 6年生):毎年2月ごろ実施。実施場所は交互。行った先で子供はホームステイをする。コロナの現在は 見送り中。
 釜石との交流(不定期)

17、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか
 データ無しだが掛け持ち者は多数

18、保護者の活動への参加・サポート
 主に送迎。父母会や、お茶出し当番は無し。
 コーチは基本的に保護者の立候補で成り立っている。

19、どんなスクールを目指すか(将来像)
 地域に根付き、地域から愛されるスクール
 (東海市のみならず知多地域)

20、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)
 人のことを考えて行動ができる。

21、プレースタイル
 その年のメンバー特性に応じて決めている。

22、交流する他のラグビースクール
 愛知県内のほか、堺RS(大阪)、釜石と交流あり
 日本製鉄(株)の繋がりで上記都市と行政も交えて交流。
 創設者である佐藤校長は新日鉄釜石のOB

23、交流するラグビー団体(学校・協会・トップリーグ等)
 愛知県ラグビー協会、東海市ラグビー協会所属



保護者へのアンケート
    
1、このスクールを選んだ理由 
 A.子供の同級生のお父さんに誘われたから。

2、このスクールの良い点 
 A.姉妹都市や他県のスクールとも古くから交流があること。

3、スクールに改善して欲しい所
 A.現時点でも非常にスクールには感謝をしているが、一つ上げるとしたら練習場所の確保に関し、市や地域の企業ともう少し連携を強化して欲しい。


4、お子さんの変化・スクールに入って変わりましたか
 A.海外のラグビーなども見るようになり、将来は海外に行ってみたり、住んでみたいという意欲が出てきたこと。

5、お子さんがスクールに入って生活に変化がありましたか
 A.学校などでも周りの仲間を引っ張っていこうという責任感が強くなったように思う。

6、スクールを卒業してもラグビーを続けさせますか・続けて欲しいですか
 A.出来れば続けて欲しいと思います。


7、ご自身もラグビーをしていましたか
 A.全くの未経験です。

8、ご自身もラグビーが好きになりましたか
 A.大好きになりました。

9、どんな大人になって欲しいですか
 A.無理をせず、ありのままの自分を素直に出せる大人になって欲しいと思います。

10、スクールに入れてよかったですか
 A.子どもたちの輝く目を見ていると、スクールに入れて本当に良かったと思います



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