【インタビュー】社会で活躍するラガーマン 元ローソン代表取締役 玉塚元一様~その3~


村上

そのエネルギーはどこから出てくるのですか。

玉塚

初めての海外駐在でシンガポールに行きました。そのとき、上司から「玉塚君、英語は大丈夫?」と聞かれて、まったくしゃべれなかったのに「問題ありません」と答ました。そうやって飛び込み、一年はもがき苦しみました。シンガポール人の英語はアクセントが強くて、聞き取りづらい。僕は組織のリーダーだし、決断を迫られる。仕事がどんどん舞い込んでくる。苦しかったけど、ラグビー仲間に英語を教えてもらって少しずつ成長して、ふっとトンネルを抜けた瞬間があった。そのとき、自分が成長していると実感した。それがすごく気持ち良かったのです。

村上

その気持ち良さが忘れられないわけですね。

玉塚

そう、だんだん「変態」みたいになってきました(笑)。難しい状況に陥ると、逆にわくわくする。よし、これをどうやって突破してやろうかと思う。僕はよく、部下に「悩むな、考えろ!」と言うのですが、壁に当たったとき、どうしよう、どうしようと悩んでいるのは生産的じゃない。どうしてこうなったのか、原因は何なのか、その原因をつぶすために、どんなやり方があるか、常に考えるモードになって壁に向き合うことが大事です。

村上

ラグビーをやっていて、一番良かったことは何ですか。

玉塚

心が強くなる。強い心があれば、なんでも乗り越えられる。ラグビーは、激しいし、大きな相手が走ってきたときに怖いこともあるでしょう、だけど乗り越えてタックルできるようになると強くなれる。二つ目は、チームワークとは何かを学べたこと。社会に出ると必ずチームで仕事することになる。一人でできることは限界がある。多くの会社が壮大なチームワークで成り立っている。ラグビーをするとチームで動くことについて学べます。最後は、ラグビーは勝っても負けてもノーサイド。この感覚は大事です。

村上

最後にラグビーに関わる子供達にエールをお願いします。

玉塚

ラグビーは大きな選手にタックルしなくてはいけない。走ってばかりできついときがあるかもしれないけど、ほんとうに素晴らしいスポーツです。フランスの元代表選手で、ジャン・ピエール・リーヴという人が、「ラグビーは少年をいち早く男にし、男をいつまでも少年のままでいさせてくれる」という言葉を残しています。ラグビーによって素晴らしい仲間ができて、いつまでも少年の心を持つことができる。力強く、フェアプレーの精神で動けるような大人に成長していける。ラグビーを続けることによって、将来、皆さんが素晴らしい社会人、大人になる可能性が非常に高くなる。ラグビーを続けることを私は強くお勧めします。頑張ってください。

ー完ー

玉塚元一様
株式会社ハーツユナイテッドグループ 代表取締役社長 CEO

ケース・ウェスタン・リザーブ大学大学院 MBA取得
サンダーバード大学大学院 国際経営学修士号を取得

1985年、慶應義塾大学卒業後、旭硝子株式会社入社。工場勤務、海外駐在を経て、日本IBMに転職。1998年、株式会社ファーストリテイリングに入社、2002年に同社代表取締役社長 兼 COOに就任。2005年9月に企業再生・事業の成長を手掛ける企業、株式会社リヴァンプを創業し、代表取締役に就任。その後2010年11月、株式会社ローソンに入社。

同社取締役代表執行役員COO経て、2014年5月より代表取締役社長、2016年6月に代表取締役会長CEO。2017年6月、デジタル製品のテスト及びQAを行う株式会社ハーツユナイテッドグループ代表取締役社長CEOに就任。現在に至る。


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