【インタビュー】第52回▶八幡ラグビースクール(京都府)

第52回▶地域に根差し、地域に貢献できるスクールを目指して
第52回目のラグネットは、京都府八幡(やわた)市で活動する八幡ラグビースクールをご紹介します。創立はなんと2020年で、生まれたてのラグビースクールです。子どもたちにラグビーを教えようと思い立ったのは、大阪府枚方市の啓光学園(現・常翔啓光学園)ラグビー部OBの木下弘幸さん(34歳)と、川畑直也さん(34歳)、2004年度の全国高校大会で4連覇を達成したとき、2人は3年生で、川畑さんはLOとして試合に出ていました。ラグビーが盛んとは言えない土地で、なぜ2人はラグビースクールを作り、活動を始めたのでしょう。今回は、チームの代表を務める木下さんにお話を伺いました。

ラグビー不毛の八幡市周辺で
新たな歴史を作り、ラグビーを根付かせる
村上 まずはラグビー歴から聞かせてください。
木下 僕は啓光学園高校からラグビーを始めました。控え選手だったのですけどね。中学まではサッカー、柔道をしていたのですが、中学3年生のときに大阪工大高校(現・常翔学園)の試合をみて、ラグビーをやりたいと思ったんです。

村上 大阪工大高校に感動したのに、啓光学園に入学したのですね。
木下 家が近かったからです(笑)。啓光が日本一のチームだということも知りませんでした。友達に「啓光やったら、花園(全国高校大会)に出られるで」と言われて、「ほな、行くわ」って受験して、日本一だと気づきました(笑)。入部したら、すごい選手ばかりで。立命館大学に進学したのですが、怪我もあって本格的にはプレーせず、サークルや、社会人のクラブチームでプレーを続けました。

村上 八幡ラグビースクール(RS)は、木下さんが代表として昨年(2020年)立ち上げたそうですね。
木下 川畑と一緒に立ち上げました。30歳を過ぎるまでクラブチームでプレーしていたのですが、転勤で関東に住んでいて、地元の八幡に帰ってきたときに、ちょうど川畑も関東から関西に戻ってきたので、ラグビーやりたいねっていう話をしました。でも、これからは、自分たちがプレーするより、子どもを育てたほうが良いのではないかと思い、八幡市にはラグビーチームがなかったので作ることにしました。

村上 最初の生徒はどうやって集めたのですか。
木下 ビラを作って公園やご近所に「ラグビー体験教室をします!」と配りました。そうしたら、2020年1月の最初の体験会に、幼児から小学4年生まで10名くらいの子どもたちが来てくれました。そこから徐々に増えて、いまは30名ほどになっています。SNSや口コミで広げています。

村上 ラグビーに馴染みがない土地では、生徒数を増やすのは大変でしょうね。
木下 親世代がラグビーをしていないので、八幡RSは「エンジョイラグビー
をモットーにして、大人も一緒にタグラグビーを楽しんでもらっています。子どもたちも楽しむことを大切にしています。まだ、小学生だし、高校、大学、社会人でプレーしてほしいし、海外にも出て行ってほしいですからね。土地のことでいえば、となりの枚方市(大阪府)はラグビーが盛んです。ラグビーがしたい子は枚方に行ってしまいます。だからこそ、この周辺でラグビーを根付かせたいと思っています。京田辺市、宇治市、京都市の久御山町あたりからも参加してくれています。

村上 練習グラウンドはどのように確保しているのですか。
木下 当初は河川敷のグラウンドを有料で借りていました。八幡市役所の社会教育課に、ラグビースクールを設立したという申請を出して、一年くらいかけて正式な団体として認めてもらうことができました。今では小学校のグラウンドを借りられるようになりました。


本気になれるのがラグビーの良さ
日常生活では経験できないことができる


村上 なぜ、木下さんはラグビーを広げたいと思っているのですか。
木下 ラグビーを経験した人はみんな好きになると思いますが、すごく魅力的なスポーツですよね。ボールを持ってぶつかりあうのも楽しいですけど、仲間がいるっていうのが一番楽しいです。自分も今、高校の同級生とラグビースクールを作っているし、たまたま保護者に高校の先輩がいて、来てくれるようになりました。

村上 教育方針を聞かせてください。
木下 コーチが厳しく言うのではなく、子どもたちが自分で考えてプレーして、そのパスが成功すればほめるし、失敗しても次に頑張ればいいという考えで指導しています。啓光学園で経験したのは、常に継続するラグビーで、タックルしてターンオーバーしたら、そこからボールを出してパスでつないでトライまで行くのがラグビーだと教えられました。しかし、社会人になっていろんなチームと接すると、パスはパス、タックルはタックルと、パートごとの練習が多い。八幡RSでは、つながりのあるラグビーを教えていきたいと思います。

村上 ラグビーというスポーツの良さを感じるのは、どんな点ですか。
木下 本気になれるところだと思います。これほど熱くなれるスポーツはなかなかないですよね。子どもたちも顔を真っ赤にして、相手を止めに行く。真剣になれるスポーツです。普段の生活では経験できないことですよね。

村上 始まって1年半ほどの活動ですが、子どもたちの変化を感じることはありますか。
木下 みんな本当によく走るようになりました。保護者のお話を聞くと、「子どもが成長した」、「強くなった」、「泣かなくなった」という声があります。

村上 すでに京都府の大会などにも参加しているようですね。
木下 小学1、2年生が単独チームで出ていますが、3、4年生、5年生は合同チームで出ています。まだ1勝もできていません。

村上 どういうチームと合同でやっているのですか。
木下 いろいろなのですが、今年の9月に京都ウエストライオンズカップという大会があります。小学5、6年生の大会なのですが、八幡RSは6年生が0人で、5年生が3人しかいません。そんなチームがいくつかあり、京都府ラグビー協会のほうで、どのチームと組むかを決めてくれます。今回は福知山RSと合同チームを作ることになりました。

村上 それで、福知山との合同練習をしているのですね。
木下 そうです。7月11日には福井県の高浜少年RSと3チームで合同練習をしました。自分の車に5年生を乗せて2時間半くらいかけて行きました。高浜にある「青葉ふれあいドーム」は人工芝の屋根付きのすごく良い施設でした。福知山RSの外賀(げか)先生の教え方も上手で、自分も勉強になったし、子どもたちもやることが明確になって、良い経験になりました。

村上 八幡市民総合体育大会で、親子タグラグビー大会を開催したようですね。
木下 八幡市のスポーツ少年団に入れていただきました。少年団に入ると、年に3回は大会を開催しないといけないルールがあります。コロナ禍でなければ、枚方や城陽からチームを招いて大きな大会にしたかったのですが、今回は、八幡に限定して親子でやりました。

村上 八幡という土地ならではの活動はありますか。
木下 石清水八幡宮(国宝。日本三大八幡宮の一つ)が近いので、階段ダッシュをしています。ラグビーはまだまだ下手なので、体力勝負です(笑)。それと、八幡はレスリングが強くて、日本一にもなった八幡高校があります。コロナがなければ土曜日はレスリングの少年団でタックル練習をさせてもらう予定でした。

村上 ハイキングもしているみたいですね。
木下 身体づくりの一環ですが、石清水八幡宮、男山周辺を散策するハイキングコースが複数ありまして、幼児はそこを歩くだけで体力がつきますし、小学生は大人と一緒に走ったりして鍛えています。

村上 今後はどのように活動を広げていきたいですか。
木下 まずは人数を増やして、八幡近辺にラグビーを根付かせて、京都で一番になれるようなチームを目指していきたいです。



ラグビーキッズ
ラグビーネットワークインフォメーション(ラグネット)
アンケート

1、ラグビースクールの名前
 八幡(やわた)ラグビースクール

2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等
 バナナ・オレンジ色・ゴリラ

3、代表者
 木下 弘幸

4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先
 京都府八幡市川口西扇9-6
 08061214264
 yawata_rs@yahoo.co.jp
 インスタグラム yawatarugbyschool2020

5、活動場所・練習場所
 八幡小学校グラウンド
 練習場所は天然芝、人工芝、土等、土

6、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等
 毎週日曜日9時から11時、

7、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの
 入会費0円、年会費1万円、運動できる服装、運動靴、水筒、汗拭きタオルがあればOK

8、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等
 生徒人数30名、女子選手8名

9、コーチ人数、指名、経歴等
 コーチ人数7名+保護者全員コーチです。
 経歴、全国高校ラグビー優勝経験者が数名。

10、モットー・大事にしている事・理念
 モットー、enjoyRUGBY・大事にしていること、子供も大人もラグビーを楽しむ・理念、ラグビーを通じて、人生を豊かにする。

11、特徴・全員試合出場など他のスクールとの違い
 特徴、石清水八幡宮の階段を走ったり、ハイキングしたり、体づくりをメインにしている。他のスクールとの違い、基礎基本しか教えていないので、プレー中は子供たちが自由に発想して試合を組み立てる。

12、歴史・活動実績
 歴史、2020年にできたばっかりのスクールです。京都府の大会に参加させてもらっています。また、近隣チーム、滋賀県のスクールさんにもお世話になっています。

13、OB・輩出トップリーガー
 0名。今後、スーパーラグビーにたくさん輩出する予定。

14、指導方針・教育方針
 日本人的な感覚も大切だが、ニュージーランドなどの外国の教育・指導方針を取り入れたい。

15、合宿・場所・期間・参加年齢等
 コロナのため未定

16、校歌等
 カマテ

17、ラグビー以外の行事
 マラソン大会、BBQ、夏合宿を予定しているがコロナのため未定

18、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか
 そろばん、公文、水泳、サッカー、体操、キックボクシング、レスリング、柔道等さまざまな習い事をほとんどの子供たちが掛け持ちしている。

19、保護者の活動への参加・サポート
 保護者には積極的に参加をお願いしています。(強制ではありません)
 保護者にもルールを覚えてもらい、子どもたちと一緒にプレーしてもらっています。 
 お母さんでもダミーをもって子どもたちと一緒にラグビーを真剣に取り組んでいます。

20、どんなスクールを目指すか(将来像)
 地域に根差し、地域に貢献できるスクールにしていきたいです。また、男女や障害の有無を問わず、だれでも気軽に遊びに来てくれるようなスクールを目指しています。

21、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)
 自分で考え、自分で行動できる大人になって欲しい。

22、プレースタイル
 ディフェンスが強み。

23、交流する他のラグビースクール
 城陽ラグビースクール、伏見ラグビースクール、アウルラグビースクール、アンツラグビースクール、枚方ラグビースクール

24、交流するラグビー団体(学校・協会・トップリーグ等)
 常翔啓光学園、京都府ラグビー協会、



保護者へのアンケート

1、このスクールを選んだ理由

 2020年にできた新しいチームでこれから創り上げていくことに魅力を感じた。

2、このスクールの良い点
 保護者も一緒になって体を動かせるので保護者も楽しく参加できる。自然と保護者同士も仲良くなっている。

3、スクールに改善して欲しい所
 単独チームで試合ができるように人数を集める。

4、お子さんの変化・スクールに入って変わりましたか
 間違いなく体力がついた。

5、お子さんがスクールに入って生活に変化がありましたか
 友達と仲よく遊ぶようになった。コミュニケーションがうまくなった?

6、スクールを卒業してもラグビーを続けさせますか・続けて欲しいですか
 ぜひ続けてほしい。

7、ご自身もラグビーをしていましたか 
 未経験です。

8、ご自身もラグビーが好きになりましたか
 好きになっています。

9、どんな大人になって欲しいですか
 自己犠牲ができる人

10、スクールに入れてよかったですか
 とても良かったです。もっと人を集めたいですね。



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