【インタビュー】第50回▶宝塚ラグビースクール(兵庫県)

第50回▶勝ち負けよりも、生涯スポーツとしてラグビーを楽しむ
ラグネット第50回でご紹介するのは、兵庫県宝塚市で活動する宝塚ラグビースクールです。1982年に創設され、2022年に40周年を迎える伝統あるスクールです。ラグビーワールドカップ2019の日本代表メンバーだった徳永祥尭選手(東芝ブレイブルーパス東京)、クボタスピアーズ船橋・東京ベイの近藤英人選手ほか、多数のトッププレーヤーを輩出しています。今回は、ご自身もこのスクールの卒業生で、報徳学園、日大、近鉄ライナーズでプレーした入江実さん(45歳)にお話を伺いました。入江さんは事務局で運営に携わり、中学生の主任コーチを担当しています。

イベント時にはたくさんのOBが戻り
スクールで培った友情をさらに育む

村上 入江さんはこのスクールの卒業生ということですが、どんなきっかけで入ったのですか。
入江 父が県立伊丹高校でラグビーをしていまして、全国高校大会が花園ラグビー場で開催されるようになる前年(1962年)、西宮球技場で行われた第41回大会に出場しています。宝塚ラグビースクールは伊丹高校のOBが作ったのですが、私は創立時に小学2年生で入りました。だから、私のラグビーキャリアはスクールと同じなのです。

村上 近鉄ライナーズを引退されてから、ラグビースクールに関わるようになったということですね。
入江 そうです。2002年に引退しました。いまも近鉄ホールディングスに勤めているのですが、恩返しの思いもあって指導を続けています。

村上 宝塚ラグビースクールが作られた経緯は聞いていらっしゃいますか。
入江 当時、兵庫、伊丹、西ノ宮、甲子園にラグビースクールがあったのですが、宝塚にはなかったそうです。宝塚市に住んでいた伊丹高校OBの方が地元に作られたということのようです。

村上 指導方針を聞かせていただけますか。
入江 まずは安全に、楽しくやることを優先しています。コーチは、勝ち負けに関してあまり言わないようにしています。山本隆継校長は、生涯スポーツとして、子どもたちにラグビーを続けてほしいという願いを持っています。

村上 大切にしている理念の中に「ノーサイド精神」があるようですが、どのように子どもたちに伝えているのですか。
入江 「相手を尊敬しなさい」と言ってもなかなか理解が難しいと思いますので、「相手の良いプレーは受け入れ、すごいなと思えばいい。人をなじったりすることはやめよう」と伝えています。私が子どものころは、試合後に相手チームと握手をしないと叱られることもありました。服装についても非常に厳しかったです。ソックスを下ろしているも許されなかったですね。今はそこまで厳しくは言っていませんし、暑い日には体温を下げるためにソックスを下ろすように言います。寒いときは暖かい服装で練習してもらいますし、そのあたりは合理的になっていますね。

村上 徳永選手はじめ、たくさんの卒業生がトップレベルの選手として活躍していますが、戻ってきてくれることはありますか。
入江 よく戻ってきてくれますよ。高校のラグビー部員は特によく来てくれます。報徳学園はラグビー部として休みの時はラグビースクールに行くように指導されているようですね。お正月などイベントのときは中学生の相手をするチームが2つ作れるくらい戻ってきてくれます。そして、中学生の相手をした後は、みんなで食事に行ったりするようです。コロナ禍でそういうこともできなくなっていますが、このスクールで培った友情は続いているということですね。

村上 徳永選手はいつ頃、戻ってきてくれたのですか。
入江 リオのオリンピック後、ラグビーワールドカップ日本大会の後に来てくれました。子どもたちのヒーローですよ。子どもたちにアドバイスもしてくれました。クボタの近藤英人は里帰りを兼ねて年に2、3回は顔を出してくれますね。


安全第一の指導を徹底
ジャッカルより、素早いサポートを

村上 いま、生徒数は124名ということですが、小学生と中学生の割合はどうなっていますか。
入江 中学生が28名で、それ以外が幼児と小学生になりますね。2015年のラグビーワールドカップで日本代表が南アフリカ代表を撃破したあたりから急激に増え始めました。それまでは全部で90名くらいでした。以降は、卒業する人数より、入ってくる人数のほうが多くなって、コンスタントに増えています。2015年のときは、中学3年生の子が2人「ワールドカップを見てやりたくなりました」と入ってきて、1人はSCIXラグビークラブに行き、1人は報徳学園に行きました。

村上 技術的な練習はどんな方針で指導されていますか。
入江 難しいことはせず、基礎練習をしっかりして、安全重視です。僕は中学生の指導をしていますが、ジャッカル(タックルで倒した相手からボールを奪うプレー)は教えていません。中学生は海外のラグビーを見て真似をするのですが、形だけ真似をして頭が下がると危険ですから、頭を上げて、良い姿勢で相手を押し込むことを優先させています。もちろん、相手と一対一で勝っている状態であればジャッカルをしてもいいのですけどね。小学生の指導者にも教えないようにお願いしています。それより、素早くサポートするほうを教えてほしいのです。早く行くことができれば将来はジャッカルができるようになりますから。

村上 目標にしている大会、交流試合などはありますか。
入江 小学生は11月の県大会があります。中学生は9月から秋季大会があります。この大会は、1,2年生だけの低学年の部と、3学年が全部出られる高学年の部があって、3年生にとっては引退試合になる可能性もあるので大事な大会です。

村上 大会以外でみんなが楽しみにしているイベントはありますか。
入江 ひとつは合宿ですね。去年、今年とコロナ禍で規模を縮小していますが、小学5,6年生の引き継ぎで、トーチからトーチに火を渡す儀式をします。また、各学年で流行っている踊りなどの出し物を考えてやっていますね。あと、1月の最初の練習を「初蹴り」と位置付けて、学年を混ぜてキックダッシュ(ボールを蹴って、みんなで追いかけてパスしながらゴールまで走る練習)をしますね。

村上 指導方針の「信頼」、「勇気」、「楽しむ」、「思いやり」というのは、昔からあるのですか。
入江 スクールができた当初からありました。私が大事だと思っているのは「勇気」ですね。タックルができなければ尊敬されませんし、人に迷惑がかかりますよね。人に尊敬されるようになってほしいです。

村上 「勇気」の説明に、「精一杯闘う勇気と、お互いの健闘を称える広い心を持つようにする」
とありますね。
入江 OB戦や、海外のチームと試合をしたときなど、アフターマッチファンクションはしていました。健闘を称えあうところが大切にしています。

村上 宝塚ラグビースクールの特徴はありますか。
入江 行儀がいい、という言葉がぴったりだと思います。それが試合にも出てしまうところがあって、きれいにプレーしようとしすぎるところはあります。それでも強いときは強いし、子どもたちは自信がつくようです。雰囲気はほんわか、ほがらかなで、どんな子も受け入れるような雰囲気があります。強い口調で言うコーチも少ないです。

村上 今後、どんなスクールにしていきたいですか。
入江 みんながラグビーを続けてくれるのが第一です。生涯スポーツとして、ラグビーの楽しさ、すばらしさを伝えていきたいです。そして、卒業生がコーチとして戻ってくることです。いま、60名のコーチの中で、卒業生が10名くらいです。若いときは仕事が休みの日はやりたいこともあるだろうし、その気持ちはわかりますので、毎回来なくてもいいとは言っているのですけれど、なかなか定着しないです。できれば、卒業生の指導員をもっと増やして、若返らせ、そういうサイクルが続けていきたいですね。




ラグビーキッズ
ラグビーネットワークインフォメーション(ラグネット)
アンケート

1、ラグビースクールの名前
 宝塚ラグビースクール


2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等
 シンボル:宝塚市の花である菫(スミレ)


3、代表者 
 山本隆継

4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先
 tel:080-4399-4837
 Maii:takarazuka.rs@gmail.com
 HP: http://trs.d2.r-cms.jp/
 ※入会問合せは上記の何れかより事務局入江まで


5、活動場所・練習場所
 ①宝塚市武庫川河川敷グランド (土と雑草)

 ②宝塚市立花屋敷グランド(人工芝)

6、グランドの種類
 ①は土と雑草
 ②は人工芝

7、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等
 ・活動時間
  毎週日曜日AM8:30~10:30
  ※中学生は日曜日に加え土曜日AM8:30~10:30
 ・年間スケジュール
  4月 入校式
5月 兵庫県中学生ラグビー大会
  6月 阪神リーグ(阪神地区RS交流会)
  8月 夏合宿(2泊3日)
  9月 兵庫県中学生ラグビースクール大会
  11月 兵庫県ラグビースクール大会
  12月 蹴り納め
  1月 初蹴り
  3月 北摂リーグ(北摂地区RS交流会)
  3月 卒業式


8、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの
 入会費:なし
 年会費:10,000円(兄弟は半額、合宿費は別)
 用具費用等:年会費に含まれる
 必要なもの:練習道具(ジャージ等)は自己負担にて準備

 生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等
 スクール生 124名 うち、女子は7名 、※入会にあたって国籍は関係ありません

9、コーチ人数、氏名、経歴等
 60名(大学ラグビー、トップリーグ経験者多数在籍

10、大事にしている事・理念
 犠牲(奉仕の精神とフェアプレー)
 協調(チームワーク、友情)
 闘志(真の勇気と情熱)
 NO SIDEの精神
 ラグビーでは試合終了の合図をノーサイドとよびます。ノーサイド(No side)とは、激しく戦った両チームのプレーヤーがどちらの側(side)も無くなり、全員がラガーマンとして一つの友情で結ばれ、フェアプレーをたたえ、健闘を祝し合う仲間であるという意味です。ラグビーでは勝つことよりも、如何に立派に闘ったかが重要になります。勝ち負けよりも生涯スポーツとしてラグビーを選んでくれることを目標としています。

11、特徴・全員試合出場など他のスクールとの違い
 勝ち負けよりもラグビーを楽しむことを目的とする。交流戦、大会なでは全員出場が基本とする。


12、歴史・活動実績
 1982年4月設立。2022年に40周年を迎える。

13、OB・輩出トップリーガー
 入江実(近鉄ライナーズ)
 岸和田怜央(サントリーサンゴリアス)
 徳永祥尭(東芝ブレイブルーパス・元日本代表)
 近藤英人(クボタスピアーズ)
 森崎陸(サントリーサンゴリアス)
 木田晴斗(立命館大・元U20日本代表)
 三島琳久(近畿大)
 ※関東リーグ戦および対抗戦、関西リーグ所属大学への進学多数。


14、 指導方針・教育方針
 1.信頼(ラグビースクールでの出会いを大切に、一生を通じお互いの信頼を深める。)

 2.勇気(精一杯闘う勇気と、お互いの健闘を称える広い心を持つようにする。)
 3.楽しむ(ラグビースクール生が、勝ち負けで判断せず、自主的に楽しめる場とする。)
 4.思いやり(痛み、苦しみを通じて、他の人への思いやりの心を持つようにする。)


15、合宿・場所・期間・参加年齢等
 夏合宿
 場所:東鉢伏高原(兵庫県養父市)
 期間:8月中旬~下旬の2泊3日
 参加年齢:3年生~中学生(幼年~2年生はオープン参加)


16、校歌等

17、 他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか
 可能。習い事の試合とラグビーの試合が重なった場合は選手自身がどちらに参加するか決定する。


18、保護者の活動への参加・サポート
 保護者会あり。夏合宿、納会、通常活動および運営をサポート。


19、クラブハウスあれば
 The ClubHouse(非公式)
 URL: https://www.theclubhouse2015.com/


20、どんなスクールを目指すか(将来像)
 生涯スポーツとしてくれるようにラグビーの楽しさ、素晴らしさをスクール生に指導する。その結果、将来スクールOBがスクールに指導員として戻ってきて未来永劫に活動できるスクール。


21、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)
 感謝を忘れない人。「凡事徹底」を実践できる人になってほしい。


22、プレースタイル
 外までボールが回してサポートしてトライを取る。スタープレイヤーを作らない。


23、交流する他のラグビースクール
 兵庫県内のおよび近隣府県のラグビースクール


24、 交流するラグビー団体(学校・協会・トップリーグ等)
 兵庫県協会所属、中学生は春季大会を兵庫県内の私学も含めて実施。地元トップリーグチームのコベルコスティーラーズが県下の活動に協力してくださっている。


25、自由欄(付け加える事があれば)
 1986年スクール生の保護者、指導員が中心となって「宝塚ラグビースクールクラブ」が設立されました。現在は、「宝塚ラグビークラブ」として、スクールのOBから70代の指導員まで約60名で在席しており、多くのメンバーが、ラグビースクールの指導員として活動しております。
 今後も街のコミュニティとしてラグビークラブを継続していくつもりです。



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