【インタビュー】第49回▶イーストレイクラグビースクール(滋賀県)

第49回▶「キッズ・ファースト」。すべての成果は子どもたちのものである
ラグネットの第49回は、滋賀県の東近江市で活動するイーストレイクラグビースクールをご紹介します。昨年度までは「東近江スポーツ少年団 楽苦備」としてヒーローズカップにも出場していましたが、今年度からチーム名を変更して運営されています。なぜ、以前はスポーツ少年団という名前だったのでしょう。そして、タグラグビーとミニラグビーを別の競技として各々練習するというスタイルもユニークです。今回は、チームの代表を務める中澤勝さん(60歳)にお話を伺いました。


ラグビーに危険なイメージがあり
チーム名から「ラグビー」を外した創設時


村上 中澤さんはいつからラグビーを始めたのですか。
中澤 八幡工業高校で友達に勧められてラグビー部に入りました。滋賀県の積水ハウスのラグビー部で40歳くらいまでプレーしました。後輩の結婚式で八幡工業高校ラグビー部の監督だった山野先生に出会い、「一緒にやろうよ」と声をかけられて、小学1年生の息子を参加させる目的で近江八幡ラグビースクールに関わるようになりました。20年くらい前のことでしたね。息子が6年生になったときに私が転勤で静岡に行くことになり、スクールから離れました。そして、2012年に戻ってきて、新たにラグビースクールを立ち上げました。

村上 それが「東近江スポーツ少年団 楽苦備」なのですね。なぜ、この名前をつけたのですか。
中澤 当時は、ラグビースクールと名付けても、東近江市では参加する人がいないと思ったのです。ラグビーが普及していなかったし、ラグビーは危険というイメージもあって、親御さんが参加させないのです。それで、ラグビーを押し出さない名前にしたわけです。そして、安全なタグラグビーをすることにしました。

村上 そのイメージは、2015年、2019年のラグビーワールドカップで少しは変わりましたか。
中澤 それ以降、生徒数は増えてきていますので(現在33名)、若干イメージは変わりましたね。ただ、ラグビーの認知度が上がっても、東近江市にラグビースクールがあることを知らない人が多いです。最近は、保護者の方にフェイスブックに情報を上げていただいて、それを見てくる人も出てきました。

村上 当初はタグラグビーだけだったとのことですが、ミニラグビーはいつから始めたのですか。
中澤 2016年からです。土曜日はタグラグビー、日曜日はミニラグビーという形で練習は分けています。両方に入っている子もいます。

村上 指導方針を教えてください。
中澤 「キッズ・ファースト」、子どもたちを第一に考えます。どうしても、コーチのためのスクールになりがちなのですが、そうではなく、我々は子どもたちが成長するための過程のひとつのカテゴリーだということを自覚して関わろうとしています。

村上 「キッズ・ファースト」という考え方は、創部当初から中澤さんが持っていた考え方なのですか。
中澤 そうです。ラグビースクールだと、お母さん方か負担に感じて子どもを連れてこない傾向があるので、子ども中心で、一緒にやっていきましょうという考え方で進めてきました。指導に関しても、一方通行ではなく、子どもたちに自主的に動いてもらうようにしています。

村上 試合に勝つために戦術的なことは練習するのですか。
中澤 最近は保護者の中でラグビー経験のある方にコーチになってもらっているのですが、経験者はどうしても勝つことを考えるので、コーチのやり方も変わってきます。行き過ぎているときは、僕が抑えるようにしています。

村上 練習場所はどういうところですか。
中澤 東近江市立八日市南小学校なのですが、ここはグラウンドが天然芝なのです。いま、東近江市は小学校のグラウンドの芝生化を進めていまして、あと、4、5校に芝生のグラウンドがあります。なかでも八日市南小学校が一番きれいで、野球のマウンドもありません。ミニラグビーのフィールドは十分にとれます。校長先生とも話しましたが、芝生にすることによって、子どもが外に出る機会が増えたそうです。ボランティアの方が手入れされているようですが、よく芝が維持されていますね。


広範囲から集う小学生たちが友達になり
ひとつのチームとして戦う好ましい環境


村上 今年の春、チーム名を変更されたようですね。
中澤 ラグビーのイメージも変わってきましたし、心機一転やっていこうということで変えました。

村上 東近江市ではどんなスポーツが盛んですか。
中澤 サッカーですね。東近江市にある布引グリーンスタジアムではサッカーの試合が多いので、サッカーファンも多いです。

村上 ラグビーの普及活動はどんなことをされていますか。
中澤 ここ6年ほど、小学校でタグラグビーの授業をさせてもらっています。3回ほど授業で練習して、試合をするスタイルです。コロナ禍で途絶えましたが、これからも要請があれば行きたいと思っていますし、小学校の体育の授業でタグラグビーを取り入れているところはありますよ。

村上 子どもたちがタグラグビーをして成長するという意味で、何か印象に残るエピソードはありますか。
中澤 いま小学6年生でスタンドオフとしてチームを引っ張る存在の子がいるのですが、小学3年生のときは消極的で体もぽちゃっとして、パスをキャッチするのを怖がってジャンプして捕るような子でした。それがチームの中心になって、タックルもバシっと入る。僕らコーチが教えたことの何がこの成果に結びついたのか、答えが見つからないほどです。

村上 中澤さんは長い指導歴の中で、ラグビーというスポーツがどんな部分が子どもたちに良い影響を与えると思いますか。
中澤 チームで戦うところですね。タグラグビーでは参加する選手の誰もがトライをするチャンスがあります。自分一人では勝てないし、チーム力で戦わないといけないスポーツです。そういうところは、これからも伝えていきたいですね。

村上 人間的に変わっていく子もいますか。
中澤 生徒は広い範囲から来ていますので10校くらいの小学校から来ています。そんな子たちが仲良くなり、学校の枠を超えた輪ができている。そしてチームになって試合をしている。子どもたちにとって良い環境だと思います。

村上 東近江市ならではのイベントなどありますか。
中澤 夏合宿はみんなが楽しみにしています。コロナ禍では宿泊しての合宿ができないので、2日間の日帰り合宿をします。1日目は、タグラグビーとミニラグビーをそれぞれ実施し、2日目はラグビーをせずに、レクリエーションがメインです。去年は保護者の皆さんも一緒になって水鉄砲合戦をしました。今年は、キックベースボールをやろうかと思っています。

村上 ライバルチームはあるのですか。
中澤 近江八幡ラグビースクールと、米原ラグビースクールとはよく交流していて、ここに勝つのが目標になっています。タグラグビーでは、草津市に山田小学校があるのですが、毎年全国大会に進出して10番以内に入ってくるような実力があります。ラグビー未経験者の先生がタグラグビーを教えて、全国大会に行くレベルのチームを作っています。東京のチームが試合を申し込んでくることもあるようですよ。合同合宿もやらせてもらうのですが、今年はなんとか勝てるように頑張っています。

村上 今後の目標を聞かせてください。
中澤 タグラグビーは生徒数が多いのですが、ミニラグビーのほうは人数が少なくて、去年やっと単独チームで大会に出られるようになりました。これを維持したいです。そのためにはいろんな活動を広げないといけないと思っています。




ラグビーキッズ
ラグビーネットワークインフォメーション(ラグネット)
アンケート

1、ラグビースクールの名前
 イーストレイクラグビースクール


2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等
 現在、作成中


3、代表者
 中澤 勝


4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先
 529-1563滋賀県東近江市横山町442
 090-8821-0194
 中澤 勝


5、活動場所・練習場所
 東近江市立八日市南小学校 グラウンド


6、練習場所は天然芝、人工芝、土等
 天然芝


7、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等
 毎週日曜日 9:00~12:00


8、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの
 入会費 3000円 活動費 1000円/月


9、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等
 33人 タグラグビー 27人 ミニラグビー 19人
 男子27人 女子6人


10、コーチ人数、指名、経歴等
 10人 


11、モットー・大事にしている事・理念
 キッズ・ファースト”子ども中心の考え方

 コーチのため、保護者のためでなく、
 子供たちが楽しみ、意思、成長が最も重要である。
 全ての成果は、子ども達のものである


12、特徴・全員試合出場など他のスクールとの違い
 タグラグビー、ミニラグビー2種目の競技として各々で練習を行い
 大会等の出場を行う


13、歴史・活動実績    
 東近江スポーツ少年団 楽苦備として昨年度までは活動
 今年度より 新規に活動を開始する
 東近江スポーツ少年団 楽苦備 では 
 ミニラグビー  ヒーローズカップ出場
 タグラグビー  サントリーカップ近畿大会 2回出場


14、指導方針・教育方針
 コーチのため、保護者のためでなく、
 子供たちが楽しみ、意思、成長が最も重要である。
 褒める事から始める


15、合宿・場所・期間・参加年齢等
 毎年 夏休み中に実施、近年はコロナ禍による 2日間の日帰り合宿の実施
 年齢制限無


16、ラグビー以外の行事
 クリスマス会。保護者とのレクリエーション会、運動会等


17、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか
 大半が掛け持ち


18、保護者の活動への参加・サポート
 保護者窓口担当を設け日々の活動で、救急事項等の対応を担当(当番制)


19、どんなスクールを目指すか(将来像)
 卒団性が指導者となって運営できるスクール

20、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)
 感謝の気持ちを忘れず、すべてと人と隔たり無く接する事ができる


21、プレースタイル
 ディフェンスからのアタック

22、交流する他のラグビースクール
 米原ラグビースクール、近江八幡ラグビースクール


23、交流するラグビー団体(学校・協会・トップリーグ等)
 滋賀学園高校ラグビー部




保護者へのアンケート
イーストレイクラグビースクール    

1、このスクールを選んだ理由は
タグラグビー、ミニラグビーともに活動しており、相互に良い影響を与えてプレーに幅が出るのではと期待したから。


2、このスクールの良い点は
 かけもちで色んなスポーツをすることも認めてくれるので、すでに何かクラブに入っている友達も誘いやすい。
 未就学児はその子のペースに合わせて楽しめる穏やかな雰囲気があり、高学年は各年代で子供たちが決めた目標に向き合って指導してくれる。


3、生活に変化はありましたか?
 スクールを通じ、別の学校の友達がふえた。

4、スクールを卒業してもラグビーを続けますか?
 中学校で部活として続けたいと言っているが、地域の中学校にラグビー部がないので困っています。 

5、ご自身もラグビーをしていましたか?
 いいえ

6、ご自身もラグビーがすきになりましたか?
 はい。

7、スクールにいれてよかったですか?
 2020年のサントリーカップ滋賀県大会において滋賀県で準優勝できました。
 このような経験ができたのは子供たちにとって本当に良かったと思います。
 子供たちは今年は全国大会を目指して頑張っています。
 今年のタグラグビーの全国大会、何としてでも開催してもらいたいです。




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