【インタビュー】第48回▶習志野ラグビーフットボールクラブ(千葉県)

第48回▶タグラグビーに特化した安心感あふれるクラブ
第48回のラグネットは、千葉県の習志野市で活動する習志野ラグビーフットボールクラブです。2006年に船橋市立三山小学校の正課クラブとして設立され、その後創設者の内藤寿典先生の異動にともなって課外クラブとなり、2009年に習志野ラグビーフットボールクラブ(RFC)が発足しました。今後の幅広い活動を念頭に「ラグビースクール」とはしなかったようです。現在はタグラグビーに特化しているのが大きな特徴で、誰もが安全に参加し、生涯ラグビーを楽しめる環境づくりを目指しています。今回は、チームの代表者である小林宏之さん(50歳)にお話を伺いました。


タグラグビーは低学年と
高学年が楽しく試合できる


村上 小林さんはいつラグビーに出会ったのですか。
小林 私は新潟出身で新潟高校のラグビー部に入りました。中学までは剣道をやっていたのですが、高校では団体競技をやりたかったのです。私の4期前の新潟高校が、花園(全国高校ラグビー大会)に2回連続で出場していて、しかも新潟の中では一番の進学校です。それに憧れて、この高校でラグビーをしたいという想いだけで受験勉強をしてなんとか滑り込みました。

村上 習志野RFCとかかわるようになったのはいつですか。
小林 大学卒業後は転勤でいろいろなところに行きましたが、十数年前に千葉県に住むことになりました。4年前、小学4年生の息子にラグビーをさせたいと思って、チームを探しました。習志野RFCはタグラグビーだけのクラブです。体力的に自信がない、メガネをかけているから、いろんな理由でラグビーを始めるのをあきらめていても、ラグビーには興味があるというような子どもさんはいます。そんな子が来られるチームです。

村上 クラブに入って、息子さんに何か変化はありましたか。
小林 最初はそれほど運動が得意ではなかったのですが、小学5年から6年生にかけて、ものすごく足が速くなりました。努力をしたと思いますが、チームの中心的なトライゲッターになり、小学校でもリレーの選手に選ばれました。タグラグビーと出会ったことは非常に良かったですね。

村上 タグラグビーに限定した活動だと、練習も普通のラグビースクールとは違ってくるのですか。
小林 コンタクトがなく、スクラム、タックルがありませんので、これを除いての練習になります。コロナ禍前は、未就学児から小学6年生まで一緒の練習もしていたのですが、いまは、未就学児、小学1年生から3年生、小学4年生から6年生の3つのグレードに分かれて練習しています。

村上
 試合もするのですか。
小林 タグラグビーは低学年と高学年がハンディをつけて試合することが可能です。遊びの要素が強いのですが、6年生は片手にマーカーを持たせて、未就学児と対戦します。コンタクトがないぶん、こうした遊びもできますね。


ミスを責めるのではなく、励ますもの
クラブ内交流試合は「ドンマイまつり」



村上 指導方針として、子どもたちが自ら考えて行動できるように手助けしているようですね。
小林 小学生以下は楽しいのが一番です。まずは楽しませ、もっと上手くなりたいと思うようになれば、仲間同士で話しあい、解決方法を自分たちで見つけるようになります。練習中に時間を区切って話し合いをするようにしています。

村上 「保護者体験会」というのは、どういう内容なのですか。
小林 保護者にもタグラグビーに参加してもらうということです。ミニラグビーを急にやることは難しいのですが、タグラグビーであれば初心者でもできます。保護者の方々は、子どもたちの試合を見ながら、「もっと声を出せ!」、「そのタイミングでパス!」と、思わず声を出すのですが、やってみるとその難しさがわかります。タグラグビーはボールを持った人が必ず先頭にいますよね。後ろの人から声をかけてもらわないと、どうしていいかわかりません。そのことを経験すると理解できます。「コーチが声を出せという意味が分かった」、「深くポジショニングするという意味が分かった」などの感想が出てきますね。

村上 安全であるということも理解できるのでしょうね。
小林 そうです。ラグビーは怖い、危ないというイメージで、親にとっては、子どもに参加させる精神的ハードルが高いのです。これなら子どもにやらせてみても大丈夫だと思ってもらうための体験会でもあります。そして、みんなにラグビーファンになってもらいたいのです。

村上 タグラグビーという競技の良さをどのように考えていらっしゃいますか。
小林 僕らがやっていたラグビーは、ボールを持ったらとりあえず相手に当たりに行くというようなところがありましたよね(笑)。タグラグビーは、相手に当たらないようにして、いかにスペースを作るかを考え、コミュニケーションをとります。ミニラグビーでもそういうことは大切ですが、タグラグビーで顕著な気がします。

村上 習志野RFCから、ミニラグビーのほうに行く子もいるのですか。
小林 土曜日は習志野でタグをやって、日曜日はほかのスクールでミニラグビーをする子はいますし、小学校の間は習志野でやって、中学からジュニアラグビーに挑戦する子もいます。チームを紹介することもできます。

村上 小林さんの指導歴で大きな変化のあった子どもはいますか。
小林 幼稚園のときから、おじいさんと一緒に来る子がいて、最初はおじいさんの足をつかんで離れませんでした。この子、なぜここに来たのかなと思ったくらいです。それが今では1年生から3年生の子のなかでトッププレーヤーになっています。友達と仲良くなるにつれて、上手くなりたいという気持ちが芽生えたようです。

村上 習志野市の子どもたちに一番人気があるのはどのスポーツですか。
小林 やはりサッカーですね。野球も盛んです。千葉では子どものときにラグビーができる環境は非常に少ないです。どうやって広げるかといえば、口コミが一番だと思います。美味しいラーメンのお店もそうですよね。今回、保護者アンケートをとったところ、評価の高いコメントをいただいています。

村上 保護者のアンケートの中に「コーチの人柄が本当に素晴らしく、一言一言が心に響きます」というコメントがありますね。
小林 子どもたちのことを最優先に考えてくれるコーチが多いです。うちのクラブは、よく「ドンマイ」という言葉をかけていて、クラブ内の交流戦は「ドンマイまつり」と呼んでいます。失敗したら「ドンマイ」という声をかけるのです。ミスして「何やってるんだ!」と言われたら、チームの士気は下がりますよね。励ますことの大切さを感じてほしくて。

村上
 目標にしている大会はありますか。
小林 2017年にサントリーカップの県大会で優勝していますが、全国大会を目指すかどうかは子どもたちが決めることだと考えています。優勝を目指すのかどうか、夏くらいに確認します。勝ちたければ、チーム編成も考え、4年生でうまい子がいたら6年生と入れ替える可能性もあります。それでもいいのか?と問いかけます。子どもに考えてもらって、2週間ほど時間をとって、家庭で保護者とも相談してもらいます。自分が出られなくても、周りの仲間を応援するということを言う子も出てきます。

村上 それを考えることが子どもにとっては成長につながるでしょうね。今後はどんなクラブにしていきたいですか。
小林 子どもだけではなく、保護者や周辺の大学チームなどと連携し、いろんな場所でラグビーができる仕組みを活用できたら面白いと思っています。大学生と交流できるのもタグラグビーだからで、同じルールで、大学のお兄さんに挑戦するのは子どもにとって刺激的ですから。

村上 見学、体験は何度でもかまわないと書いてありますね。この意図を教えてください。
小林 一度だけだと、親が決めてしまいますから、子どもによく考えてほしいからです。





ラグビーキッズ
ラグビーネットワークインフォメーション(ラグネット)
アンケート

1、ラグビースクールの名前
 習志野ラグビーフットボールクラブ

2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等


3、代表者
 小林 宏之

4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先
 問合せ先 narashinotagrug@yahoo.co.jp
 ホームページ、フェイスブックより問い合わせください。

5、活動場所・練習場所
 習志野市立津田沼小学校グラウンド
 他、習志野市内近隣の公園

6、練習場所は天然芝、人工芝、土等
 学校グラウンドは土
 近隣公園は天然芝

7、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等
 原則土曜日 津田沼小学校グラウンド9:00〜
 近隣公園の場合 9:00〜    or13:00〜

8、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの
 クラブ費 月1000円 (スポーツ保険含む) 入会費無し
 ユニフォームは貸与します。特別に用意してもらうものはありません。

9、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等
 未就学児から小学校6年生まで46人(うち女子メンバー7人)

10、コーチ人数、氏名、経歴等
 大畑 佳士 ヘッドコーチ 高学年担当
 森下 崇  コーチ 低学年担当
 西川 慎一 コーチ 未就学児担当
 合計 14人のコーチ
 ※コーチはすべてボランティアです

11、大事にしている事・理念
 理念:自分で考える力 自分で行動する勇気を養う (HP掲載)
 大事にしている事: すべての子供が楽しかったと思える活動・すべての保護  者が安心できる運営

12、特徴・全員試合出場など他のスクールとの違い
 各グレードに分かれて練習もしますが、未就学児から6年生まで縦割りで一緒の練習も行います。試合には全員が出場します。また保護者の当番制度はありません。体験・見学には何度来ていただいてもかまいません。

13、歴史・活動実績
 2006年船橋市立三山小学校の正課クラブとして新設。その後課外クラブとして活動開始(内藤寿典先生 現しろいラグビークラブ代表)2009年習志野ラグビーフットボールクラブ発足。2017年サントリーカップ千葉県大会優勝。

14、OB・輩出トップリーガー
 トップリーガーいませんが、現在法政大学、日本体育大学、流通経済大学柏高校、専修大学松戸高校、県立佐倉高校等 ラグビー部で活躍するOBがいます。

15、指導方針・教育方針
 コーチは最初から答えを教えるのではなく、問いかけやヒントを与える事で、自ら考えて行動出来るよう手助けをしています。トライ&エラーをくり返し、自分で自分を成長させていける環境作りを目指しています。(HP掲載)

16、ラグビー以外の行事
 バーベキュー大会(コロナ休止中)

17、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか
 近隣のミニラグビークラブと掛け持ちをしている子供もいます。野球クラブや、学校の部活と掛け持ちの子供も多くいます。

18、保護者の活動への参加・サポート
 隔月で保護者体験会を開催しています。それをきっかけに、練習のサポート  スタッフとして、低学年の練習に参加してくださる保護者が増えています。

19、どんなスクールを目指すか(将来像)
 タグラグビーという、誰でも安全に参加できるスポーツを通して、初心者、  子供、大人まで、近隣クラブや、近隣の大学などと連携して、生涯ラグビーを楽しめる環境作りをすることを代表個人の理想としています。

20、生徒にどんな大人に、なって欲しいか
 ますます多様性が求められるこれからの社会で、従来の常識や、固定観念にとらわれない、新しい発想を仲間と考え創造できる大人になって欲しい。

21、プレースタイル
 メンバーで話し合い、修正し、失敗を恐れず挑戦する。

22、交流する他のラグビースクール
 千葉県全域のタグラグビーチーム、近隣の小学校部活動チーム

23、自由欄(付け加える事があれば)
 ラグビー未経験者でもすぐに参加できるのがタグラグビーの良いところです。何かのきっかけでラグビーに興味を持った子供が、抵抗なく、末永くラグビーに関わってくれることを代表として望みます。また保護者が安全、安心を感じてくれて初めて、子供が深くラグビーに関わっていくベースができると考え運営しています。
 保護者がタグラグビーに興味を持っていただけることが多くなっています。家庭で、親子でキャッチボールをすることをお勧めしています。スキルアップは勿論、コミュニケーションが高まります。6年生の修了式の試合では、親子でチームを組んで『絆マッチ』を行います。保護者には感慨深いものがあるようです。これがタグラグビーのよいところです。



保護者へのアンケート

1、このスクールを選んだ理由
 ・弱点も個性ととらえて指導してくれる。たくさん褒めてくれる
 ・同級生がやっていたから(2票)
 ・楽しくラグビーができる雰囲気だったから
 ・近くだから
 ・運動能力の善し悪しに関係なく楽しく体を動かすことができる
 ・子供が行きたいと言ったからです
 ・お友達のすすめ
 ・アットホームなところ

2、このスクールの良い点
 ・子供の成長を大切にしている
 ・一人一人に毎回声をかけて関わってくれる
 ・楽しくラグビーに取り組めているところ
 ・子供のやる気を促すように声をかけてくれる
 ・未就学児から小学6年生までみんなが楽しんでラグビーをできるところ
 ・兼部OKで他のスポーツや活動と両立できるところ
 ・みんな仲が良い。コーチが親切
 ・コーチの人柄が本当に素晴らしく 一言一言が心に響きます。そんな大人の中で育つこと、同世代の子達と成長していけます
 ・運動が得意ではない子供も楽しくラグビーができる

3、スクールに改善して欲しい所
 ・ありません
 ・週二回あるとうれしいです
 ・失敗したときに他人のせいにしない指導を続けてほしい

4、お子さんの変化・スクールに入って変わりましたか
 ・チームプレイ、仲間と活動することを理解するようになった
 ・今まで食が細かったが、たくさん食べるようになった
 ・いつもだらだらした生活をしているので良かった
 ・一つのことに集中するだけでなくいろんな事を考えて行動しなければならないので脳も活性化されていると思います
 ・たくましくなったような気がする
 ・体力がついた
 ・社交的になった
 ・向上心が生まれました
 ・仲間を気遣うことができるようになった

5、お子さんがスクールに入って生活に変化がありましたか
 ・自信を持っている
 ・自分から朝の支度など取り組んでくれるようになった
 ・テレビなどでラグビーの試合を見るようになった(2票)
 ・家族ぐるみで活動に参加するようになった
 ・家族みんなで応援や練習に出向き楽しく過ごしています
 ・本人も勝ちたいという気持ちがありどうすればいいか父とよく話しいい感じです
 ・土曜日早起きするようになった

6、スクールを卒業してもラグビーを続けさせますか・続けて欲しいですか
 ・続けてほしい(6票)
 ・本人次第(2票)

7、ご自身もラグビーをしていましたか
 ・サッカーをしていました
 ・観戦歴は長い
 ・夫が経験者

8、ご自身もラグビーが好きになりましたか
 ・好きになりました(全員)

9、どんな大人になって欲しいですか
 ・仲間のために動く大人になってほしい
 ・明るく挨拶ができて人のために何でもできる人
 ・思いやりのある大人になってほしい
 ・相手を思いやれる優しくて強い大人になってもらいたい
 ・どんな形でも良いのでラグビーと関わっていてほしい
 ・いろいろなことにチャレンジしてほしい
 ・思いやりがありやり遂げる力を持った大人
 ・コーチ達のような大人になってほしい
 ・自己実現ができるよう考える力を持った大人

10、スクールに入れてよかったですか
 ・とても良かったです(全員)



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