【インタビュー】第45回▶川崎市ラグビースクール(神奈川県)

第45回▶一緒に遊んだ仲間と手を取り合って一つのことを成し遂げる

ラグネット45回目は、神奈川県川崎市で活動する川崎市ラグビースクールをご紹介します。1975年に創部され、主に等々力緑地公園内のグラウンドで活動。シンボルは、川崎市の花アゼリアです。現在は、幼児から中学生まで約250人がラグビーを楽しんでいます。エンジョイラグビーで勝つことを目標に一生懸命練習し、昨年度はコロナ禍でのヒーローズカップ決勝大会に進出しました。今回は小学4年生主任コーチの佐久間象山さん(53歳)にお話を伺いました。


心がけるのは長所を伸ばす指導

ボール争奪戦を練習したら実力アップ


村上 佐久間さんは大阪の啓光学園(現・常翔啓光学園)でラグビーを始められたそうですね。

佐久間 そうです。正確には私が中学2年生の時、大阪体育大学卒の先生がやんちゃな3年生を集めてラグビーの同好会を作ったんです。私も遊びのようにラグビーをして、それをきっかけに高校から本格的にラグビーをやってみようと思いました。立命館大学に進学してラグビーを続けましたが、就職してからはしばらくラグビーから離れていました。2001年に転勤で大阪から関東に来て、川崎市の等々力緑地公園の近くに住むことになったんです。

村上 そこにラグビースクールがあったということですね。

佐久間 そうです。ラグビースクールを見つけたらラグビーがやりたくなって、小学1年生の長男に「頼むからラグビーをやってくれ。お父さん、ラグビーやりたい」とお願いしまして、そこからお父さんコーチで入ることになりました。

村上 その頃の川崎市ラグビースクールの規模はどうでしたか。

佐久間 今と変わらない規模でしたね。幼児から中学生まで各学年20人前後いました。現在は幼児から小学1年生が多くなっています。幼児だけで60名くらいで、将来的には有望だと思っています。

村上 何か要因はありますか。

佐久間 ラグビーワールドカップのイングランド大会(2015年)、日本大会(2019年)の影響が大きくて、幼児が増えていっていますね。

村上 川崎市ラグビースクールの指導方針について聞かせてください。

佐久間 試合には全員出すというポリシーがあります。どこのスクールも同じように指導されていると思いますが、子どもたちが第一。これは昔から変わらぬポリシーです。

村上 具体的にはどんな指導ですか。

佐久間 長所を伸ばす指導には気を付けています。得意なプレーができるポジショニングをまずは考えますが、苦手なことでも本人がやりたければ希望を聞きます。たとえば、足がすごく速いけど、フォワードがやりたければ、フォワードをやらせます。大人の既成概念で決めつけないようにしています。

村上 心の部分はどうやって育成していますか。

佐久間 挨拶から始まり、フェアプレーも徹底しています。嫌なことをされてもぜったいに仕返しをしない。きれいなプレーで返そうと、そんな話もしますね。あとは、みんなで一つのことをやり遂げるという部分を大事にしています。目立ったプレーをしたがる子もいますので、チームで目標を勝ちとることを教えています。

村上 年齢に沿ったアプローチも違うのですか。

佐久間 世代が上がるにつれて教える難易度が上がってきますので、そこは難しいところですね。たとえば、小学2年生まではタグラグビーですが、3年生からはコンタクトが入ってきます。ぶつかってはいけないと教えていたところから、急にぶつかって良くなるのでコーチ陣も苦慮しているところです。

村上 これまでの指導歴で印象的だったことを教えていただけますか

佐久間 私は去年の6年生の担当だったのですが、ヒーローズカップの決勝大会に出ることができました。スター選手がいるわけではなかったので、一対一のボールの争奪戦にこだわって練習しました。争奪戦がラグビーの原点だと思いますし、細かいことは言わずに、とにかくボールを獲ろう、あとは自由にやっていいよ、という感じで絞りました。結果的に、ボールが獲れるようになって、子どもたちはいろんなプレーができるようになりました。自分たちが持っているボールは素早く出して、相手がボールを持っているときは、ボールに絡んでターンオーバーを狙いました。良い結果が出たので、次の世代にも伝達していきたいと思っています。

村上 勝利は目指すけれど、メンバーを固めたりはせず、全員で試合に出るそうですね。

佐久間 負けることも良い経験ですから、みんなで出て勝ち、負けもみんなで共有するという考え方です。みんなでやろう、助け合おう、というのは指導の軸ですね。


縦割りのグループで過ごすことで

高学年が低学年を応援するようになる


村上 最近の卒業生で印象に残っている選手はいますか。

佐久間 いま大学3年生の伏見拓翔(ふしみ・たくと)という選手がいます。川崎市ラグビースクールを卒業し、お父さんが関西に転勤になったので、自分も関西の高校でプレーしますと言って報徳学園に行き、全国高校大会にも出場しました。私も花園まで応援に行きました。その後、立命館大学のラグビー部に入ってくれて嬉しかったです。

村上 ラグビーが子どもたちに与える影響について、どう感じていますか。

佐久間 すごく仲良くなりますね。友情の輪が広がります。いま、4年生の担当ですが、どんどん仲良くなっていて、いじめがないんです。いじめほどではなくても、いじくるようなことは子ども同士でよくあると思うのですが、それもなくて、和気あいあいとしています。そんな雰囲気ですが、試合になると厳しいことも言い合っている。大人だなと思います。

村上 コロナ禍で夏合宿ができないようですが、例年は群馬県嬬恋村で合宿をするようですね。

佐久間 嬬恋に東海大の研修所がありまして、3泊4日で小学3年生以上が行きます。みっちり練習しますよ。一日6時間くらいですかね。でも、ゲーム形式が多いし、楽しくやっていますよ。

村上 ラグビー以外のイベントはどんなものがありますか。

佐久間 等々力緑地を使わせていただいているので、年に何度か清掃をさせてもらい、多摩川清掃のイベントに参加することもありました。地域貢献は積極的に参加しようと思っています。

村上 例年は、8月に八ヶ岳自然教室に行くそうですか、これはどんなものなのですか。

佐久間 八ヶ岳に川崎市が持っている施設がありまして、小学1年生から6年生を対象にしています。低学年の子にすれば、初めてのお泊りですから、いろんなことが起こります(笑)。ラグビーは一切せず、山に登り、虫を捕まえ、キャンプファイヤーをして、楽しく過ごします。高学年をリーダーにして、子どもたちを縦割りでグループ分けするのですが、秋に再会すると小さい子と6年生が仲良く遊んでいたりします。スクール内の縦の風通しが良くなって、高学年の子が低学年の子の試合を応援するようになります。

村上 卒業したOBも、いろんな高校、大学でラグビーを続けられているようですが、最近来てくれたOBはいますか。

佐久間 最近来てくれたOBでは、昨年の早稲田大学ラグビー部のキャプテンだった丸尾崇真君(早稲田実業中等部・高等部)がいますね。英国留学前に来てくれました。川崎市ラグビースクールには中学部もあるので、今年はたくさん残って続けてくれていますが、本郷、久我山、慶應などの私学に行く子もいます。どこに行ってもラグビーを続けてくれるのは嬉しいことです。

村上 スクールとしての目標を聞かせてください。

佐久間 各学年で県大会に出場していますので、切磋琢磨し、強いチーム作りを目標にしています。生徒数ももっと増やしたいです。川崎市ラグビースクールは、規模も雰囲気もちょうどいいラグビースクールだと思います。勝利至上主義ではなく、ラグビーを楽しく経験して、ラグビーを好きになってもらいたいと思っています。新入部員は絶賛募集中ですので、ぜひ見学に来てください。




ラグビーキッズ

ラグビーネットワークインフォメーション(ラグネット)

アンケート

1、ラグビースクールの名前

 川崎市ラグビースクール

2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等

 ユニフォームは4項のスクールホームページに掲載されています。
 シンボルは川崎市の花、アゼリアです。

3、代表者

 スクール校長 渡邉信博

4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先

 スクールホームページhttp://kcrs1975.net/wp/でご確認できます。

5、活動場所・練習場所

 川崎市中原区等々力緑地公園内

6、練習場所は天然芝、人工芝、土等

 練習場によって、天然芝、人工芝、土のグランドあり

7、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等

 4項のスクールホームページでのスケジュール確認できます。

8、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの

 4項のスクールホームページにも記載あります。


 スクール年会費、小学生以上17,000円、幼児12,000円

 親の会年会費、小学生以上5,000円、幼児1,000円

9、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等

 約250人

10、コーチ人数、指名、経歴等

 約70名

11、モットー・大事にしている事・理念

 4項のスクールホームページの入校案内から

 スクール開設の趣旨、2.指導の精神、3.指導の方針が掲載されていますのでご確認いただけます。

12、特徴・全員試合出場など他のスクールとの違い

 15項の指導方針に記載されていることと同様になります。

13、歴史・活動実績

 スクール開設は1975年になります。

14、OB・輩出トップリーガー

 これまで花園出場の強豪校及び公立高校及び有名私立高校ラグビー部、関東大学リーグ校、関東大学対抗戦校ラグビー部でもOBが活躍しています。

15、指導方針・教育方針

 4項のスクールホームページの入校案内から

 3.指導の方針が掲載されていますのでご確認いただけます。

16、合宿・場所・期間・参加年齢等

 8月夏季合宿(群馬県嬬恋村):小学3年生から中学3年生対象 期間3泊4日

 ※今年は新型コロナ感染防止のため中止

17、ラグビー以外の行事

 8月八ヶ岳自然教室(山梨県八ヶ岳):小学1年生から6年生対象

 1年生から6年生でチームを作り、オリエンテーリング、キャンプファイヤー、

 野外炊飯等の実施 高学年はリーダーシップ育成、中学年、低学年は団体生活、親元から離れて自立心の育成

 ※今年は新型コロナ感染防止のため中止

18、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか

 可能 サッカー、水泳、バスケットボール、陸上競技、塾、ピアノなど

19、保護者の活動への参加・サポート

 親の会として、学年内の連絡及び練習のための環境づくりサポート等

20、どんなスクールを目指すか(将来像)

 11項、15項と同様

21、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)

 11項、15項と同様

22、プレースタイル

 15項と同様

23、交流する他のラグビースクール

 主に県内、都内近郊のラグビースクール

24、交流するラグビー団体(学校・協会・トップリーグ等)

 神奈川県、川崎市のラグビー協会、県内、都内近郊の大学、高校ラグビー部、

 キャノンイーグルス、三菱重工ダイナボアーズ、リコーブラックラムズ、

 サントリーサンゴリアス等




保護者へのアンケート

※数名にご協力いただきました。

1、このスクールを選んだ理由

 コーチの指導がスパルタではなく、子供たちに寄り添って、子供たちのレベルにあった指導をしている。

2、このスクールの良い点

 練習場所が確保されている。

 全員試合に出ることができる。

 年会費が安い

3、スクールに改善して欲しい所

 指導員の人数。

 用具(タックルダミー、タックルバッグ、ボール)の充実

4、お子さんの変化・スクールに入って変わりましたか

 ラグビーが好きになった

 友達ができた

 自立心が芽生えた

 積極的になった

5、お子さんがスクールに入って生活に変化がありましたか

 朝早起きになった

 ご飯をたくさん食べるようになった

6、スクールを卒業してもラグビーを続けさせますか・続けて欲しいですか

 続けさせたい(本人の意志を尊重する)

7、ご自身もラグビーをしていましたか

 経験者のお父様が多くいらっしゃいます。希望者にはお父さんコーチとして協力いただいております。

8、ご自身もラグビーが好きになりましたか

 皆さん、好きになったとのことでした。

9、スクールに入れてよかったですか

 入ってよかったとのことでした。



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