【インタビュー】第43回▶アウル洛南ジュニア(京都府)

第43回▶チームミッションは日本一!

43回目のラグネットでご紹介するのは、京都市の南区、伏見区を拠点に活動するアウル洛南ジュニアラグビーフットボールクラブです。ヒーローズカップでの優勝経験もあり、現在のセブンズ日本代表の藤田慶和選手ほか卒業生も各チームで活躍する有名ラグビースクールです。目標は明快に「日本一」。高い目標を持つことで、強い身体、強い精神、強い絆が生れるという考え方で運営されてます。今回は、高学年のヘッドコーチを務める田中辰幸さんに(42歳)にお話を伺いました。


フィールドに出る背中に感銘を受けた

ラグビーの教育的価値、面白さを実感


村上 ラグビーとの出会いから教えてください。

田中 私はアウルのコーチの中で唯一ラグビー経験者ではありません。小学1年生から大学4年生までは硬式野球をしていました。京都成章高校の野球部だったので、ラグビー部の湯浅先生とは当時から仲が良かったですよ。息子には野球をやってもらいたかったのですが、妻の友人の息子さんがアウルでプレーしていた影響で、息子も体験会に参加したところ、「お父さん、ラグビーやってみたい」ということになったんです。私は父親から強制的に野球をやらされたので、常々、息子には自分で選びなさい、お父さんは協力するからと話していました。息子が自分で決めたのならということで、ラグビーをすることになりました。

村上 実際に息子さんのラグビーを見てどんなことを感じましたか。

田中 ラグビーの教育的な価値や面白さについて感じるところがありました。感銘を受けたのは、息子がフィールドに入っていく後ろ姿でした。防具も何もつけないで、腹を決めて戦いに出て行く背中が子どもながらにすごいと思いました。チームメイトのために体を張るところにも感動して、このスポーツは本当に面白いのだと思い、本を読み、いろいろな試合を見て勉強するようになりました。息子も変化していきましたね。

村上 息子さんにどんな変化がありましたか。

田中 人の気持ちもよく分かるようになり、優しくなりました。妹にも本当に優しいんです。ラグビーに育ててもらい、学んだことでしょう。いまは洛南中学3年生でラグビー部のキャプテンをしています。

村上 アウル洛南ジュニアは、目標を明確に「日本一」と掲げていますね。これは他のスクールではあまりないことのように思います。

田中 高い目標を持ち、実際に日本一になる、ならないということよりも、そこを目指すことが大事です。本気で取り組むことで、強い身体、強い精神、強い絆も生まれます。他のスクールに比べて基礎を徹底していますし、練習時間も長く、遠征にも行きます。トップリーグで活躍している卒業生も多いですし、これからも中学、高校、大学で活躍する選手が出るのではないかと思っています。

村上 戦略的なこともしっかり指導されているのでしょうか。

田中 大会が近くなってくると、チームを作り上げていかないといけませんし、強いチームに対してはこちらもしっかり戦術を組んでいかないといけません。

村上 日本一ということだと、ヒーローズカップが目標ですか。

田中 そうですね。優勝経験がありますが、ここ数年は決勝大会に進出していません。今年のスタートにあたっては、まずは関西大会を突破することを目標にしています。

村上 最近、勝っていないことの要因はありますか。

田中 少年ラグビーのレベルが全体に上がっているのが一つの要因だと思います。京都の中でもチーム数がじわじわと増えているので、アウルが活動する南区・伏見区にも競合するラグビースクールができています。子どもたちがちらばっているというのはありますね。


小さな成功体験、乗り越えたという思い

それが積み重なって子どもは成長する


村上 卒業生が練習を見に来てくれることもありますか。

田中 藤田慶和君も来てくれますし、小畑健太郎君(神戸製鋼コベルコスティーラーズ)も何かあれば帰ってきてくれます。輝いている選手が帰ってきてくれることが子どもたちの励みになるし、目標にもなっていますね。

村上 「勝つ」という目標を明確にすることで、悔しい気持ちも強くなる。アウルは、そういうことで子どもたちが成長するという考えなのですね。

田中 いまの中学3年生でラグビーを続けている子がいます。私はその子を小学2年生から見ていました。試合中に泣きだして、ボールも触りに行かない、逃げるような子でした。でも、練習の中で、しんどく、痛い思いをしながら、それを乗り越える経験をすると大人になっていくんですね。小学6年生になると、フォワードの柱としてたくましい子になっていました。いまではアウルの子たちの目標とされる選手になってきています。

村上 それも目標を高く置いているからこそだということですね。

田中 この練習をやめてしまって日本一になれるのか、しんどいところで足を動かさなくて日本一になれるのか、常にそういうところに立ち返る合言葉になっています。

村上 苦しい練習ばかりではなく、楽しい練習もあるわけですよね。

田中 そこは指導陣で工夫して、子どもたちがうまく育つ環境を整える努力はしています。まったく練習しない日を作って、カラーバットと柔らかいボールで野球大会をしたり、お正月明けには餅つき大会をしたり、年間の行事もあります。

村上 アウル洛南ジュニア独自の活動はありますか。

田中 通常は、土曜、日曜に活動するのがほとんどですが木曜日にも吉祥院公園で夜練習をしています。そこで2時間ほどやりまして、最後に、坂道ダッシュを30分間やります。この積み重ねが試合で走り切る体力をつけ、精神力をつけることになっています。これも試行錯誤をしてきたなかで、30分が集中力も続き、肉体的には刺激にもなるということで取り組んでいます。

村上 例年、春先は走り込むのですね。

田中 はい、新チームになったらまずは走りますね。夏合宿は、コロナ禍でできなくなっていますが、例年は徳島、菅平で行っていました。試合が終わったら帰るのではなくて、アウルはまだ走っていると、そんなこともやっていますね(笑)。

村上 子どもたちは嫌がらないのですか。

田中 罰のように走るのではなく、みんなで声をかけながら走って、終わったら楽しい夕食が待っているような、楽しい感覚でやっています。

村上 いろんなところに乗り越えないといけない山を作るわけですね。

田中 小さな成功体験、乗り越えたという思いをたくさん積み重ねることが重要です。運動能力はさまざまですが、チームメイトと声をかけあって、みんなで乗り越えることが大事です。それをどうやって作るかという工夫はしています。試合は基本的に全員が出場します。ただ、厳しいようですが、9、10月になって全国大会が近づいてくると、子どもたちに、セレクションマッチをするという話をします。11月からはしぼったメンバーでチームの戦術を落としこんでいきます。

村上 保護者の方から反対意見は出ないですか。

田中 「グラウンドの横で見ているために、通わせているわけではない」と言われることもあります。首脳陣はいかに子どもたちと一緒に汗を流したかということが大事だと思っています。親よりも長くグラウンドで子どもたちと過ごしているからこそ、なぜメンバーに入っているのか、外れているのかを明快に説明できます。お話すれば納得してもらえますし、次の目標を持って進むようになります。アウルに入ってくる子は目標が明確なので腹が決まっていますよ。

村上 部員募集は随時行っていますか。

田中 はい、募集中です。毎年、春と秋に体験会をしていますが、いまはコロナ禍で大々的には難しくなっています。それでも、毎週、体験に来る方はいらっしゃいますし、随時受付中です。

村上 今後の目標を聞かせてください。

田中 今年で20周年なので、今度は30周年を目指します。OBが指導者として帰ってきてくれるように、また、卒業生が自分の子どもを連れて帰ってくるように、そういうつながりのあるチームを目指したいです。




ラグビーキッズ

ラグビーネットワークインフォメーション(ラグネット)

アンケート

1、ラグビースクールの名前 

 アウル洛南ジュニアRFC

2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等

3、代表者

 奥田 正樹

4、連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先

 09088275513

 owl_rakunanjr@yahoo.co.jp

5、活動場所・練習場所

 鉾立公園、吉祥院

6、練習場所は天然芝、人工芝、土等

 鉾立公園は土です。吉祥院公園は人工芝です。

7、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等

 土日は9:00から練習や交流試合

 木曜日18:00から吉祥院公園で夜練習

8、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの

 入会費なし、月会費1000円、入部時にユニフォームなどご購入頂きます。

9、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等

 38名・女子選手1名・外国人対応可

10、コーチ人数、氏名、経歴等

 10人、奥田正樹、三宅敦 他

11、モットー・大事にしている事・理念

 チームミッションは日本一!!

12、特徴・全員試合出場など他のスクールとの違い

 基本プレーを徹底して反復します。できるまで繰り返し根気よく指導します。基本プレーは将来に渡って財産になります。

13、歴史・活動実績

 今年で20周年になります。過去にヒーローズカップの優勝などの実績があります。

14、OB・輩出トップリーガー

 藤田慶和選手(パナソニック)小畑健太郎選手(神戸製鋼)など

15、指導方針・教育方針

 体力向上・ラグビーの基本の徹底を中心に勝つラグビーを目指して練習しています。

 子供達がこの厳しい社会に出たときに勝ち癖をつけ乗り越えていける精神力を付けていきたいと思っています

16、合宿・場所・期間・参加年齢等

 7月徳島合宿(全学年)7月菅平合宿(高学年)

17、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか

 可能です。

18、保護者の活動への参加・サポート

 練習、試合会場への送迎、2月に1度の公園掃除など

19、どんなスクールを目指すか(将来像)

 OBが帰ってこられる場所となる。

20、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)

 他人の気持ちがわかり、強いダーシップを持った大人になってほしいです。

21、交流する他のラグビースクール

 伏見クラブなど多数交流頂いております。




保護者へのアンケート

1、このスクールを選んだ理由

 厳しい環境で大きく育ってほしい

2、このスクールの良い点

 教育的な部分が非常に多い

3、スクールに改善して欲しい所

 部員を増やしてほしい

4、お子さんの変化・スクールに入って変わりましたか

 人の気持ちが考えられるようになりました。

5、お子さんがスクールに入って生活に変化がありましたか

 朝早く起きることに抵抗がなくなった

6、スクールを卒業してもラグビーを続けさせますか・続けて欲しいですか

 続ける予定です

7、ご自身もラグビーをしていましたか

 していません

8、ご自身もラグビーが好きになりましたか

 大変好きになりました

9、どんな大人になって欲しいですか

 人にやさしく、自分に自信を持った大人になって欲しい

10、スクールに入れてよかったですか

 はい、本当によかったと思います




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