第40回▶交通の利便性の高さ活用し、幅広い地域のスクールと交流
40回目のラグネットは、広島県尾道市で1989年に設立された尾道ラグビースクールをご紹介します。エンブレムは、尾道市の木・花である桜。いまや全国屈指の強豪高校となった尾道高校ラグビー部のサポートを受けながら、中学生の平日練習や体験会などを開催し、子どもから高校生まで一貫して尾道でラグビーができる環境を作っています。どんなスクールなのでしょうか。今回は、代表の細谷淳さん(44歳)にお話を伺いました。
尾道高校ラグビー部の強力サポート
ママ友ネットワークで拡大
村上 細谷さんがラグビーを始めたのはいつからですか。
細谷 尾道北高校でラグビーを始めました。中学は野球部だったのですが、当時は、神戸製鋼が強い時代で、大学では早明戦などをよくテレビで放映していました。それですごく興味を持ったというか、憧れました。実際に始めてみると、本当に楽しかったです。野球もチームスポーツですが、個人でなんとかできる部分もありますが、ラグビーは一人では何もできない。仲間と力を合わせて強いチームに立ち向かっていくときの達成感がありました。そこがラグビーの真髄だと思いますが、プレーしたことでまた惹かれて行きました。
村上 卒業後も続けられたのですね。
細谷 立命館大学に入学したのですが、体育会のラグビー部には入らず、楽しむラグビーをしていました。就職してからは大阪のクラブチームでプレーして、転勤で岡山に行ってからは10年ほどラグビーから離れていました。その後、地元に帰ってきたのですが、ラグビーから離れていたからこそ、ラグビーに対する思いが強くなって、尾道ラグビースクールに関わるようになりました。6年前のことです。
村上 10年離れていたときも、ラグビーは見ていたのですか。
細谷 ラグビーワールドカップでは日本代表が大敗して叩かれたりしていましたよね。離れて見ていて、なぜ、こんなに面白いスポーツなのに人気がないのかと思っていました。テレビを見ていると、インタビューでも専門用語が飛び交いますよね。妻は何も分からないわけです。こういうところなのかなと思ったし、いろいろなことを考えました。そんなふつふつとした思いが地元に帰って爆発しました(笑)。高校のラグビー部の先輩、後輩に誘われて尾道ラグビースクールに行きました。同時に小学1年生の息子もラグビーを始めました。
村上 いまは代表を務められていますね。
細谷 尾道ラグビースクールの現状は何も知らなかったのですが、1989年に始まってずっと子どもたちにラグビーを教えてきた指導員の方々が高齢になり、生徒数も15に足りず、これ以上運営するのが難しいというタイミングで僕が入ったんです。僕は大阪で大規模のラグビースクールを見たこともあったので、広島の現状を知って、ぜったいに変えてやると思いました。前の指導員の皆さんから資料を引き継ぎ、「後を頼む。任せる」とバトンを受け取ったのが4年前です。
村上 何から手を付けたのですか。
細谷 認知度を高めることです。存在を知ってもらうために、SNSも含めて、どんどん発信することにしました。尾道市体育協会にお願いして、マイナースポーツの体験会にラグビーを入れてもらったりもしました。そして、縁が深くなったのが尾道高校です。尾道高校ラグビー部は地域のお祭りに参加するなど地域貢献に熱心です。「尾道産のラガーマンを作ろう」ということで尾道ラグビースクールも応援していただいています。
村上 現在は、生徒数も50名を超えていますね。
細谷 スタッフが真面目に一生懸命やってくれるからこそです。なにより、お母さん方のママ友ネットワークで「ラグビーは良いスポーツだし、ちゃんと教えてくれるよ」というメッセージが広がっていきましたね。
高校につなげる中学部を新設して3年
尾道産ラガーマンを育てる環境が整う
村上 モットーに「思いやり、助け合い、仲間づくり、最後まであきらめない、感謝、挨拶」とありますね。
細谷 前の指導者の皆さんから現在の40歳代のコーチが引き継いだときに、コーチ陣で話し合ってチームの「芯」を作りました。僕は、ラグビーは助け合うところに真髄があると思っています。たとえば、ボールを持って走って、落として、あーって天を仰いでいる子どもがいます。一人でやっているんじゃないんだよ。そのボールを拾ってみんなでつなげばトライになるんだよ、というようなことは常々言っています。試合でもみんなが力を出して、ワンチームで戦おうと。思いやり、助け合い、仲間づくり、すべてそこにつながるように話をしています。
村上 中学部ができて3年目になるそうですね。
細谷 最初は15人に満たない人数からのスタートですから、中学部をつくるイメージはありませんでした。すると、子どもたちの中から尾道高校でラグビーをやりたいという声が出てきました。全国的な問題ですが、広島県内にも中学生がプレーする環境は少ないのです。今の中学3年生の代が人数も多かったので、保護者の皆さんにも相談して設立しました。中学生は平日の夜も週2回練習していますし、尾道高校の練習にまぜてもらうこともあります。
村上 今年から中学も3学年揃って高校につなぐことができるようになったのですね。
細谷 そうなんです。7月からは尾道高校ラグビー部の「放課後ラグビー教室」が始まりました。小学5、6年生、中学生対象です。9月まで体験期間で、10月から本格的にやるそうです。関東、関西で放課後ラグビー教室というのは行われていますよね。ようやくこちらでも小学生が平日の夜にラグビーをする環境ができました。6年前には想像できなかった環境が整い始めています。
村上 他のスクールにはない尾道ラグビースクールの特徴はありますか。
細谷 尾道松江道という山陰につながる道路、しまなみ海道という四国につながる道路があって、広島、岡山は近いし、少し足を延ばせば関西にも行けます。こうした土地の利点をフルに生かして、さまざまな地域のチームと幅広く交流をしています。子どもたちは純粋で、知らない名前のチームと試合するだけでドキドキしています。見知らぬ土地で、違ったスタイルのラグビーを体感するのは良い経験だと思っています。
村上 今後の目標を聞かせてください。
細谷 小学生のチャンピオンシップはどうなのか、という意見もありますが、我々は子どもたちが目標に向かって最後まで頑張ることを大切にしています。負けて学ぶこともたくさんあります。ヒーローズカップという誰もが目標にしやすい大会が出来ましたので、それに向かって一生懸命頑張る。とにかく一つでも勝ち抜こうとしています。スタッフは、モットーの言葉を大切にして指導しています。子どもたちがラグビーを続けても、辞めたとしても、ラグビースクールで学んだ大事なことを実践できる大人になってほしい。そういう子が一人でも増えることが目指すところです。
村上 部員は随時募集中でしょうか。
細谷 ラグビーワールドカップ以降、ラグビーに対する関心は高まっています。ラグビーの体験会も大会後は最高で80人くらいが集まってくれました。それがコロナ禍で今年の5月も中止になりました。それでも、まだラグビーへの関心度は高いです。ラグビー体験会については、尾道高校と一緒に開催するもの、体育協会とのもの、独自でやっているものと、さまざまなスタイルで3カ月に一度は開催しています。ラグビーがどんなスポーツなのかご紹介していますので、ぜひご参加ください。
ラグビーキッズ
ラグビーネットワークインフォメーション(ラグネット)
アンケート
1、ラグビースクールの名前
尾道ラグビースクール
2、 シンボル・ユニフォーム・エンブレム等
3、代表者名
細谷 淳(ほそや じゅん)
4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先
住所:広島県尾道市栗原町8469 連絡先:090-7355-6339 担当:細谷まで
5、活動場所・練習場所
向島運動公園多目的広場 広島県尾道市向島町11098-289
6、練習場所は天然芝、人工芝、土等
天然芝のグランドです。
7、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等
練習は週1回、日曜日9:00~12:00 小学生・中学生
中学生は別に平日練習を週2回、火・木曜日17:00~19:00 尾道高校グランドにて
8、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの
年会費10,000円、新入生割引・兄弟割引7,000円、未就学生3,000円。入会費はなし。
年会費中学生は15,000円
9、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等
小学生35名、うち女子選手4名。中学生12名。
10、コーチ人数、指名、経歴等
18名(経験者及びパパママコーチも含む)
11、モットー・大事にしている事・理念
思いやり・助け合い・仲間作り・最後まで諦めない・感謝・挨拶
12、特徴・全員試合出場など他のスクールとの違い
しまなみ海道等がある尾道の立地から、中四国地区中心に多数のスクールと交流を行っていること。
中学生が小学生の練習をサポートする。後輩の面倒をみる伝統。
13、歴史・活動実績
1989年設立
14、指導方針・教育方針
思いやり・助け合い・仲間作り・最後まで諦めない・感謝、高学年以上には責任。
15、合宿・場所・期間・参加年齢等
7月末~8月末の間、県内1泊2日、近隣スクール(福山・竹原)との合同合宿を実施。
16、ラグビー以外の行事
夏にBBQを実施。昨年今年と合宿ができておらず、今年は練習と体験学習(レク)を組み合わせた特別練習を7月に企画中。
17、他の習い事との掛け持ちが可能か
可能
18、保護者の活動への参加・サポート
伝統的に保護者会を作らず、保護者へのお願いは練習や試合への送迎のみ。一緒にラグビーを楽しみたい方にはコーチとしての参加をお願いしている。イベント時はコーチ スタッフと保護者で相談し、協力しながらすすめる。
19、どんなスクールを目指すか(将来像)
今年度中学部設立から3年目、念願であった小学生から中学3年生まで9年の指導体制が整いました。尾道でラグビーを始めて「ラグビーが好きで好きでたまらない」尾道産ラガーマンを育成したいと思います。
20、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)
スクールとして大事にしていること(上記)のうちの一つでも心に響き、行動に移せる大人になってほしい。あとはずっとラグビーを好きでいてくれたらうれしい。
21、交流する他のラグビースクール
広島県内スクール、岡山スクール、倉敷スクール、津山スクール、松江スクール、 愛媛小松スクールなど
22、交流するラグビー団体(学校・協会・トップリーグ等)
尾道高校ラグビー部 ブリカンズ
一緒に尾道のラグビーを盛り上げよう!という合言葉のもと、尾道高校ラグビー部には通常練習のサポートはもとより、中学生の平日練習や体験会のサポート等、幅広くまた強力なサポートをいただいています。
23、自由欄(付け加える事があれば)
尾道という小さな街の小さなスクールですが、選手・スタッフ・保護者みんな楽しんでラグビーをしています。全国のスクール関係者の皆様、こんなスクールですがフットワークは比較的軽い方です。ラグビーを通して交流しましょう!よろしくお願いします!
保護者へのアンケート
1、このスクールを選んだ理由
同級生のお父さんがコーチで誘ってもらったから
市内で唯一のスクールだったから
2、このスクールの良い点
コーチのラグビー愛たっぷりの指導。子供達を偏見なくみてくれている。
保護者に過度な負担を強いる事がない。逆にできることはしたい気持ちになる。
3、スクールに改善して欲しい所
終了時間がきっちりしていない。子供達には時間の使い方も学んでほしいので、延長があっても予定時間に一旦は終礼をしてほしい。
4、お子さんの変化・スクールに入って変わりましたか
自分から動くことが増えた。自信がついた。周りを考えるようになった。
協調性や周りを見ることができるようになった。
5、お子さんがスクールに入って生活に変化がありましたか
土日はラグビーのためにあけるなど、練習中心に予定をたてる。
自分で軌道修正できることが増えた
6、スクールを卒業してもラグビーを続けさせますか・続けて欲しいですか
本人に任せているが、続けていくつもりのようです。
続けてほしいし、続けたいと言ってくれると思う。
7、ご自身もラグビーをしていましたか
ラグビーをする環境ではなかったのでやってはいないが、昔からよく観戦はしていた。
していない
8、ご自身もラグビーが好きになりましたか
トライぐらいしか分からなかったが、子供と一緒にたくさん知るほどラグビーをいう競技が面白く、好きになった。
より楽しくより好きになった。
9、どんな大人になって欲しいですか
自分のことだけでなく、周りの人ことを思いやれる、大切にできるひとになってくれればうれしい。
人のためにすぐに動ける人
10、スクールに入れてよかったですか
もちろん良かった。
良かったです。