【インタビュー】第39回▶麻生ラグビースクール(神奈川県)

第39回▶スローガンは「次代を背負う若者づくり」

ラグネット第39回目は、神奈川県川崎市に本拠地を置く麻生ラグビースクールをご紹介します。1979年に設立された伝統あるスクールですが、今年の2月に一般社団法人となり、より活発なスクール運営を行っています。現在、幼稚園、小学生で155名の生徒が在籍し、中学生はグリーンクラブラグビースクールと合同の「神奈川DAGSラグビースクール」に加入して活動しています。今回は、11代目の校長である杉浦輝明さん(45歳)にお話を伺いました。


ティーチングよりコーチング

子どもたち自身が考えるように促す


村上 ラグビーとの出会いを教えてください。

杉浦 私は法政大学第二高校でラグビーを始めました。高校ではもともとアメリカンフットボール部に入ろうとしていたのですが、ラグビー部の同級生に猛烈に勧誘されました。その頃、すでに身長は180㎝を越えていて、体格的にもラグビーに向いていると言われました。ポジションはプロップでした。法政大学では大久保直弥と同期でした。清水建設でラグビーを続け、34歳で引退しました。しばらくラグビーから離れていたのですが、息子にラグビーをやらせたくて、近所にあった麻生ラグビースクールに入ることになりました。そんな縁で、4年前から校長を務めています。

村上 今年の2月に一般社団法人化をしたのですね。

杉浦 神奈川県では法人格をとっているラグビースクールがいくつかあります。そのほうが信用されますし、行政や大学のグラウンドに関しても借りやすくなります。また資金管理の面でも透明性が増します。

村上 スクール自体は1979年に設立されたそうですが、そのいきさつはご存知ですか。

杉浦 伝え聞いたところでは、初代校長の福山博寿さんが、ラグビーの好きな子を小学校のグラウンドに集めて教えているうちに口コミで広がったそうです。先生の素晴らしい人格もあって大きくなったと聞いています。

村上 ジャージーの柿色には何か意味はありますか。

杉浦 川崎市麻生区に王禅寺というお寺がありまして、そこで発見されたという「禅寺丸柿

というのが有名なんです。その柿から色をとったようです。

村上 チーム理念の「次代を背負う若者づくり」というのは、以前からあるのですか。

杉浦 そうです。20年ほど前に当時の校長先生を含めて、コーチの方々が議論をして決めたそうです。我々は「ラグビー選手」ではなく、「ラグビー好き」を増やそうとしています。ラグビーを通じて、人間性を養っていくというところに重きを置き、ラグビーのコーチングだけではなく、礼儀、作法も含めて教えて行こうとしています。練習前後に挨拶をする、練習中にヘッドキャップを投げ捨てずにきちんと揃える、仲間がミスしたときは責めるのではなく励ます、仲間を思いやろうという話などをしています。

村上 ラグビー精神を学ぶ座学もあるようですね。

杉浦 私が校長になってから、ラグビー憲章を広めましょうという話をしています。たとえば、ラグビー憲章をどう思うかというテーマを与えて、その学年の選手たちなりの尊重とは何かということを考えてもらったり、幼稚園児には、コーチが考えた紙芝居形式で、品位、尊重などの話をしています。

村上 ティーチングよりもコーチングを大切にされているようですね。

杉浦 一方的に教えるというよりも、このプレーにはどういう意味があると思う?と問いかけるスタンスです。このプレーが正解だよ、ということではなく、こんなプレーがあるんだけど、どう思う?と考えてもらうような練習メニューを組み、指導をしています。コーチが持っているラグビー観がいつも正しいとは限らないということを、みんなで意識しています。

村上 試合のメンバー編成はどう考えていますか。

杉浦 勝負にこだわるよりもラグビーを楽しむことが大事で、全員がプレーすることにこだわっています。いろんな大会に参加し、勝利を求めるのですが、それよりもみんながプレーする機会を作りたいと思っています。


ラグビースクールにいることが楽しかった

そんなポジティブな感情を残してあげたい


村上 幼稚園、小学生で155とのことですが、これは最近増えたものですか。

杉浦 増えましたね。2019年のラグビーワールドカップ前は、年間で14、5の新入生が入ってきたのですが、大会後は2、3倍に増えています。テレビでもラグビーがよく取り上げられますし、ラグビーの認知度は上がっていると思います。

村上 保護者の皆さんのラグビーに対する見方の変化はありますか。

杉浦 ラグビースクールに子どもを連れてくる保護者は、ラグビー経験者や、口コミで来る方が多かったですね。しかし、2019年大会のあとは、まったくラグビーとは関係がなかったのに、「ホームページで調べてきましたというお父さん、お母さんが増えたというのが実感です。ラグビー経験はないけれど「ラグビーっていいですね」と感じて入ってくる人が増えました。

村上 生徒数は増やしていきたいですか。

杉浦 増やしすぎるとコーチの数が足りなくなります。できるだけ、たくさんのコーチで見てあげたい。3人の生徒に1人はコーチがいてほしい。いまコーチが60名くらいですから170名くらいが適当かなと思っています。なので、コーチも募集中ですよ。現在、半分くらいはラグビー未経験のコーチです。そういう方もスクール活動に参加しやすい雰囲気を作っています。

村上 卒業生はいろんな大学や社会人のチームで活躍されていますね。

杉浦 高校、大学のOBはよく来てくれます。古田京(慶應義塾大学医学部卒)はお父さんがコーチでいますので、その関係で大学のときは練習がオフの2月、3月に来てくれていました。

村上 古田さんは慶應義塾大学医学部で学びながら、ラグビー部のキャプテンも務めるという、まさに子どもたちのロールモデルですね。

杉浦 文武両道のアイコンですね。ヒーローですよ。古田君は子どもたちにも優しいし、人に対する視線がフラットですね。ラグビー、勉強以外のところでも良い影響を与えてくれる人です。

村上 チームとしての活動で、地域の清掃活動にも取り組まれているようですね。

杉浦 グラウンドや最寄り駅近辺のゴミ拾いをジャージーを着て行っています。チームの存在を知っていただきたいという宣伝の意味もあるのですけれどね。

村上 毎年、目標にしているような大会はありますか。

杉浦 神奈川県は秋に県大会があります。そこで勝利を目指しています。ヒーローズカップも4年前から参加しています。子どもたちのモチベーションになるので、これからもエントリーはしたいと思います。勝ちたい保護者の皆さん、コーチがいて、考え方が割れてしまうこともあるので、そこは私のほうでコントロールし、勝利優先ではなく、やった結果として勝てればいいねという話をしています。あくまで、子どもたちの自由な発想でプレーしてもらうことを大切にしています。

村上 今後の目標を聞かせてください。

杉浦 ラグビー好きを増やしたいですね。ラグビー選手よりも、ラグビーファンを増やす活動をしていきたいのです。試合で好成績を残すよりも、ラグビーって楽しいねっていう思い出をたくさん作ってあげたい。コロナ禍の前は、バーベキュー大会、花火大会もしていました。楽しい雰囲気の中でラグビーをすれば、お父さん、お母さん、本人も、ラグビーに対してポジティブな感情が残ると思います。子どもたちにラグビーを続けてほしいし、好きになってほしい。ラグビーを続ける環境、雰囲気を作っていくのが私の目標です




ラグビーキッズ

ラグビーネットワークインフォメーション(ラグネット)

アンケート

1、ラグビースクールの名前

 一般社団法人 麻生ラグビースクール

2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等

ジャージ:正(赤紺ジャージ)、副(柿色)

エンブレム→


3、代表者名

 11代目校長 杉浦 輝明(スギウラ テルアキ)

4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先

 麻生ラグビースクールホームページ:https://asaors.com/

5、活動場所・練習場所

 ホームグランド:スポーツ日大稲城ラグビーフィールド

 他:成城学園伊勢原グランド、多摩川緑地公園、稲城長峰ヴェルディフィールド

6、練習場所は天然芝、人工芝、土等

 人工芝:スポーツ日大稲城ラグビーフィールド、稲城長峰ヴェルディフィールド

 天然芝:成城学園伊勢原グランド、多摩川緑地公園

7、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等

 毎週日曜日9時~12時、第2・4土曜日9時~12時

8、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの

 入校費1,000円(兄弟は免除)、校費1,800円/月、年間21,600円

9、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等

 小学生・幼稚園155名(内女子選手10名)

 ※ジュニア(中学)は、グリーンクラブラグビースクールと合同チーム「神奈川DAGSラグビースクール」として活動

10、コーチ人数、指名、経歴等

 コーチ人数65

11、モットー・大事にしている事・理念

 理念:「次代を背負う若者づくり」

 お互いを認めあい、思いやり、補完しあい、みんなでラグビーを楽しむスクール

 スクールに関わる全ての方にラグビーのファンになって欲しい

12、特徴・全員試合出場など他のスクールとの違い

 スクールマインドの共有

 ティーチング<コーチング

 全員試合出場

 ラグビー憲章についても座学を通して学ぶ機会を設ける

13、歴史・活動実績

 1979年4月 初代福山博寿によって設立されました。

14、OB・輩出トップリーガー

 小野悠太(東京ガス)、古田京(元慶應ラグビー部主将、慶大医学部)

 OB:田中優介(近鉄ライナーズ)、種本直人(NTTコム)、梅原洋平(日本IBMビッグブルー)、佐藤資(東芝ブレイブルーパス)、松村拓海(NECグリーンロケッツ)

15、指導方針・教育方針

 ①お互いの体格や性格などの違い(個性)を認めあう人間性を育む

 ②礼節を学び 気持ちの良い コミュニケーションが取れる人間性を育む

 ③体をぶつけ あうことができる ラグビーという競技を通し心身を鍛える

 ④困難にあえども仲間と助けあいながら立ち向かえる人間性を育む

 ⑤楽しむ姿勢から物事に主体的に取り組むことのできる人間性を育む

16、合宿・場所・期間・参加年齢等

 菅平高原(山光館)、3泊4日、小学3年生から(小学2年生以下は親同伴)

17、ラグビー以外の行事

 八ヶ岳研修(川崎市ラグビーフットボール協会主催)、

 新年餅つき、リサイクルバザー、地域清掃活動、運動会、日大ラグビー部応援

18、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか

 可能

19、保護者の活動への参加・サポート

 あり

20、クラブハウスあれば

 なし

21、どんなスクールを目指すか(将来像)

 ①ラグビーやタグラグビーが気軽に楽しめるオープンな雰囲気のあるスクールであり続けたい

 ②ラグビーという競技、麻生ラグビースクールに出会えたことで自分の人生が少しでも豊かになったと感じてもらえるスクールでありたい

22、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)

 15に記載の通り

 ラグビー憲章を学ぶことで、人生の引き出しを増やして欲しい

23、プレースタイル

 スペースにアタックする、スペースをディフェンスする

 (スペースを見つける癖をつけてあげたい)

24、交流する他のラグビースクール

 ・川崎市ラグビースクール(同じ川崎市内のスクールとして定期的に交流戦を行っています)

 ・グリーンクラブラグビースクールジュニア(中学)では合同チーム「神奈川DAGSラグビースクールとして活動しています」

 ・神奈川県内のラグビースクール、東京のラグビースクール(多摩ラグビースクール、西東京ラグビースクール、R&Bラグビークラブ)

25、交流するラグビー団体(学校・協会・トップリーグ等)

 日本大学ラグビー部、東海大学ラグビー部、リコーブラックラムズ、キヤノンイーグルス、清水建設ブルーシャークス、神奈川県ラグビーフットボール協会、川崎市ラグビーフットボール協会




保護者へのアンケート

1、このスクールを選んだ理由

 高校時代の同級生が、麻生ラグビースクールで小学生の頃からラグビーをしていた事を知り、入校しました。

2、このスクールの良い点

 コーチも父母も子供に対して優しく接している

3、スクールに改善して欲しい所

 なし

4、お子さんの変化・スクールに入って変わりましたか

 ラグビーが好きになりました。

5、お子さんがスクールに入って生活に変化がありましたか

 ラグビーウィークリーを毎週観てる(笑)

6、スクールを卒業してもラグビーを続けさせますか・続けて欲しいですか

 本人は続けると言っているので、尊重したいと思っています。

7、ご自身もラグビーをしていましたか

 はい

8、ご自身もラグビーが好きになりましたか

 見るのは好きです。プレーは怖いです。

9、どんな大人になって欲しいですか

 思いやりの心を持った大人

10、スクールに入れてよかったですか

 はい






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