【インタビュー】第31回▶江東ラグビークラブ(東京都)

第31回▶みんなで作っていくから「スクール」ではなく「クラブ」

31回目のラグネットは、東京都江東区を拠点に活動する江東ラグビークラブです。1986年創部で、4年前には中学部も新設。現在の生徒数は幼児から中学3年生まで約300名という規模の大きなクラブになりました。チームの愛称「シーホークス」(海の鷹)は、練習場所にもなっている東京海洋大学のラグビー部と同じで江東区からラグビーを発信していこうという思いが込められています。今回は、ミニ(小学部)監督の安田和彦さん(53歳)にお話を伺いました。

ラグビーによる人間形成を重視し

練習は選手自身が考える場面を作る

 

村上 ラグビーにかかわったのはいつからですか。

安田 私には息子が2人いまして、長男は大学1年生になりますが、彼が4歳のころ、江東ラグビークラブに入ってからになります。私はラグビー未経験なんですよ。たまたま長男が通った保育園の同級生のお父さんが江東ラグビークラブのコーチをしている人でした。そのご縁から今に至ります。

村上 他のスポーツの経験はありましたか。

安田 大学ではアメリカンフットボールをしていまして、子どもの頃からいうと、野球、バスケットボール、アメフトですね。アメフトの経験から、スキルなどはある程度分かっているつもりでしたが、実際にかかわってみると似て非なるもので、どんどんラグビーにハマっていきました。

村上 アメフトとラグビーの違いを感じたのは、どのあたりですか。

安田 タックルですね。いまはアメフトでもダメなのですが、僕らがプレーしていた頃のアメフトのタックルは頭を先に入れてから体を入れるという、ラグビーでいう逆ヘッドでした。ラグビーは、逆ヘッドはダメだと教えますよね。「逆ヘッド」という言葉が新鮮でした。

村上 チーム名について伺いたいのですが、なぜ江東ラグビースクールではなく、江東ラグビークラブなのですか。

安田 ラグビーを教え込むという感じではなく、保護者のみなさんも一緒になって、みんなで作っていこうという概念なのです。

村上 幼児から中学3年生まで、生徒数が約300名というのは多いですね。

安田 増えましたね。私の息子が入った頃はもっと少なかったですし、少ないときは60名~70名ほどで、どうやって増やそうかと考えた時期もありました。

村上 増えたのはラグビーワールドカップ(RWC)の影響ですか。

安田 2015年大会で200名くらいになって、2019年大会の後は一気に増えました。毎週20名くらいの見学者が来ていましたね。それ以前にはなかったことです。

村上 クラブの目標、基本方針をアンケートに書いていただきました。読者の皆さんにはそちらも読んでいただくとして、基本方針に、積極性、礼儀、協力、自主性、創意工夫、遵法精神、尊敬とあります。これは、創部当時からあるものなのですか。

安田 1986年の創部で、当時は人数も少なかったですし、基本的な指導方針はありましたが、そこまで細かくは決めていなかったようです。生徒数が増えて規模が大きくなったことで、10年ほど前にきちんとまとめました。

村上 この基本方針を受けて、気を付けていることはどんなことですか。

安田 挨拶は必ずするようにしています。グラウンドに対しての礼もそうですし、他チームと交流するときにしっかり挨拶するのもそう。施設もお借りしていますから、そういうものへの感謝など気を付けて指導しています。ラグビーは人間形成ができるスポーツだと思いますので、礼儀のほか、個人の能力を高めるとともに、チームワークを育てることも大切だと思っています。

村上 ラグビーの指導上で特に大切にしていることはありますか。

安田 子どもたち自身が考えてプレーすることを重視しています。考えさせる場面をできるだけ多く作り、我々大人はなるべく口をはさまないようにしています。練習の合間に、チームトークする時間を作って話し合わせています。自分たちで考えないと成り立たないスポーツですし、それも人間形成の一環だと思っています。

 

勝利至上主義とはならないが

勝利を目指すことも一つの目標とする

 

村上 勝利至上主義にはならないけれども、勝利を目指すという考え方のようですが、このバランスは難しいですね。

安田 どこのスクールも悩んでいると思います。せっかくラグビーをするなら一生懸命やってもらいたい。それがラグビーを楽しむことにつながります。一生懸命やるためには勝つことを目標にするのが子どもにとって分かりやすい。こちらが言うまでもなく、子どもたちは勝ちたいんです。しかし、意識レベル、技術レベルともに子どもたちの中で個々に大きな開きがあります。勝利至上主義にすると、ラグビーがつまらなくなってやめてしまう子が出てきます。我々としては、一番大事なテーマは次のステージでもラグビーを続けてもらうことです。つまらなさそうにしている子がいれば近寄って話しかけるようにしているし、個別で練習してみるなど、そこは気を付けています。試合の時も基本的には全員を出場させる方針です。

村上 ラグビーにかかわり始めて、ラグビー独特の雰囲気を何か感じましたか。

安田 かかわっているお父さんたちが熱いですね(笑)。そして、私はいま指導者という立場で、トップリーグの選手や関係者の方々とお話しする機会が多いのですが、皆さん紳士で、優しいです。ラグビーを通じて、子どもたちもそうなってほしいと感じます。

村上 安田さんはいま、小学生の監督なのですね。

安田 そうなのですが、中学生のほうも進路に関しての話には顔を出すようにしています。

村上 中学部は高校のラグビー部からの誘いもあるのですか。

安田 見に来て下さることもありますね。中学部は創部4年目です。一昨年、初めて卒業生が出たのですが青森山田に行きました。昨年の卒業生は東福岡、桐蔭学園、國學院栃木などの強豪高校に進学しています。

村上 それは凄いです。中学部の生徒は小学生の頃から、江東ラグビークラブでプレーしているのですか。

安田 いえ、中学からラグビーを始めた子もいます。いままで野球や水泳をやっていた子が、2019年のRWCを見てラグビーをやりたくなって入ってくれた例もあります。野球をやめてというのは衝撃的でした。ひとつ面白いエピソードがあります。2019年大会のあと、幼児が体験に来たのですが、ご両親はラグビーに関心がなく、その子がRWCを見て「やりたい」と言ったそうです。体験会が終わったら、その子は初対面の私に「コーチ、そこに立って」と言って、オフロードパスの練習をしようとするんです(笑)。お父さんも「家で、こればっかりやらされるんです」って言ってました。RWCのインパクトはそれくらいすごかったということですよ。

村上 面白いですね。プレースタイルは、「ディフェンス(争奪)からアタック(継続)への全員ラグビー」とのことですね。

安田 タックル、ブレイクダウン(ボール争奪戦)のところは「激しい」と周りからよく言われますね。それと、走り込みはしっかりやっています。

村上 基礎体力アップには力を入れているということですか。

安田 ゴールデンエイジのころから中学校までが心肺機能が一番伸びる時期ですし、そこだけは伸ばしてあげたいと思っています。ラグビーを続けてほしいのですが、別のスポーツをする可能性もありますし、基礎体力がしっかりしていれば、どんなスポーツをしようと、子どもたちの未来はハッピーだと思いますので。

村上 部員募集はどのように行っていますか。

安田 いまはSNSの発信が一番効果的ですね。反応も良いです。ホームページからチームの活動を紹介した動画も見ることができますし、Facebookを見ていただいて、練習場所など確認して来てくださる方が多いです。いつでも見学可能ですので、ぜひお越しください。



ラグビーキッズ

ラグビーネットワークインフォメーション(ラグネット)

アンケート


1,ラグビースクールの名前

 江東ラグビークラブ

2,シンボル・ユニフォーム・エンブレム等

 Seahawks、黒地に赤

 

3,代表者名

 海老原 俊行

4,住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先

 HP上に体験・入会申込フォームがございます。江東ラグビークラブ (kotorfc.jp)

5,活動場所・練習場所

 東京海洋大学グランド他(現行、コロナの影響でカテゴリー別で活動)

6,練習場所は天然芝、人工芝、土等

 東京海洋大学グランドは天然芝(雑草)、その他、土のグランドもあり。

7,活動時間、スケジュール、年間スケジュール等

 平常時は、土日の8:30~11:30(幼児は日曜のみ)を基本としてます。

8,入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの

 入会費はなく、年会費¥12,000(ジュニアは¥18,000)、個人用具は別途必要。

9,生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等

 約300名(幼児~中学3年生)、女子は約10名、外国人は0名(ハーフは数名)

10,コーチ人数、指名、経歴等

 コーチ15名、氏名(?)、経歴(資格)等は、HP「クラブスタッフ」をご参照下さい。

11,モットー・大事にしている事・理念

 HPに謳っております下記の指導方針をご参照下さい。

 1-1.目標

 ラグビーフットボールを通じて、子供たちに楽しく運動する機会を与えると共に、常に一貫した指導の下、ラグビーの練習及びルールを通してラグビーに対する正しい理解と関心を高め、併せて健全な心身の発達を図ることを目標とする。

 1-2.基本方針

1) 積極性

 自ら進んで積極的にそして楽しく練習できる子供を育てる。

2) 礼儀

 挨拶や返事がきちんとできる子供を育てる。

3) 協力

 ラグビーの個人技能(スキル)を高めると共に、チームプレーの重要性を理解させ、全員が協力 して戦うチームワークを育てる。

4) 自主性

 各個人それぞれが、またチーム全体が自らの考えを持ち、それをプレーできる環境を作り、積極的なチームを育成する。

5)ソウイクフウ

 勝利至上主義とはならないが、勝利を目指すことも一つの目標とする。勝利は各個人の練習への意識を高める大きな要素であり、またチームの結束を強めることも事実である。勝つ為に考え、工夫できる子供を育てる。

6) 遵法精神

 ラグビーは闘技である。ラグビーを通じ闘う精神を育てると共に、ルールを理解し、遵法精神の重要性を理解できる子供を育てる。

7) 尊敬

 相手チーム、レフリーを尊敬できる子供を育てる。

12,特徴・全員試合出場など他のスクールとの違い

 名前の通り、スクールではなくクラブであり、ご父兄の参画を促し、みんなで作って行くことをモットーにしております。

 (※指導者にはC級以上の資格を求めております)

13,歴史・活動実績

 1986年創設、2019年ヒーローズカップ決勝大会出場、シャイニングアークスカップ優勝x2回

 栃木カップ優勝x4回

14,OB・輩出トップリーガー

 千葉太一(リコー)、川田修司(セコム)

15,指導方針・教育方針

 「11」にて記載と同じです。

16,合宿・場所・期間・参加年齢等

 ミニ、ジュニアともに菅平高原

 ミニ:7月の海の日の3連休、ジュニアは翌週(ジャンボリー、ラグマガカップ参加の為)

 ミニ:3年生以上(但し、3年生は保護者帯同必須)、ジュニア:1~3年生全学年

17,ラグビー以外の行事

 クリスマス会、3月のBBQ大会 

18,他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか

 基本、掛け持ちはOKです。(個人の自由を妨げるものではないという認識です)

19,保護者の活動への参加・サポート

 「12」にて記載と同じです。

20,どんなスクールを目指すか(将来像)

 ラグビーの育む人間形成に優れ、地元地域から愛されるスクールとなり、江東区からラグビー盛り上げの発信ができるようになりたいと考えてます。

21,生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)

 基本方針に述べたように、積極性、礼儀、協力、自主性、創意工夫、遵法精神、尊敬を身に着け

 1人の魅力ある人間として、愛すべき存在となって欲しいです。

22,プレースタイル

 ディフェンス(争奪)からアタック(継続)への全員ラグビー

23,交流する他のラグビースクール

 世田谷RS、練馬RS、葛飾RS等の都内スクール多々。

 その他、横浜RS、相模原RS、田園RS、藤沢RS、常総RS、浦和RS等の関東圏のスクールや

 東大阪RS、KIWI‘S等、幅広く交流しております。

24,交流するラグビー団体(学校・協会・トップリーグ等)

 中学校のクラブ、他府県協会所属スクール、進路先高校、トップリーグではNTT Com

 クボタ等との交流をさせていただいております。



保護者へのアンケート


1,このスクールを選んだ理由

 ・自分自身は経験者では無いがラグビーが好きで子供にやってほしいと思ったときに近隣(江東区内)にミニラグビーチームがあった。

 ・友達が参加していた

 2,このスクールの良い点

 ・スクール形式ではなく、保護者も一緒に練習に参加して子供の成長を実感できるところ

 ・会費が安い

 3,スクールに改善して欲しい所

 ・いまのところありません。

 4,お子さんの変化・スクールに入って変わりましたか

 ・すべてにおいて活発になったと感じます。

 5,お子さんがスクールに入って生活に変化がありましたか

 ・週末は朝が早いので普段の生活でも早寝早起きが出来るようになった。

 ・ラグビーに関する会話が増えて嬉しい。

 6,スクールを卒業してもラグビーを続けさせますか・続けて欲しいですか

 ・もちろん本人が希望すれば続けれるようサポートしたい。

 7,ご自身もラグビーをしていましたか

 ・未経験者です。

 8,ご自身もラグビーが好きになりましたか

 ・もともとラグビー(観戦)は好きなスポーツです。

 9,どんな大人になって欲しいですか

 ・何事にも積極的に取り組める大人

 ・仲間を大事にし、また大事にされる仲間がいる大人

 10、スクールに入れてよかったですか

 ・大人も子供も楽しめて大変満足しています。


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