【インタビュー】第29回▶武蔵野ラグビースクール

第29回▶「ラグビー楽しかった!」と言ってくれる子供を1人でも多く!

ラグネット第29回目に紹介するのは、東京都武蔵野市で活動する武蔵野ラグビースクールです。1967年開校で武蔵野市教育委員会の主催事業として42年間運営され、2009年からは社会教育団体として活動を続けています。指導方針は、選手育成よりラグビーの楽しさを教えること。さて、どんなスクールなのでしょう。今回は、青山拓校長(58歳)にお話を伺いました。


生徒それぞれに合った教え方で

段階的に成功体験を積み上げる


村上 青山さんがラグビーと出会ったのはいつですか。

青山 私は武蔵野ラグビースクール(武蔵野RS)の卒業生です。当時は小学4年生から中学3年生までのスクールでした。私の家はクリーニング店を営んでいて、近所の横河電機の社員の作業着やラグビー部のユニフォームなども扱っていました。子どもの頃からラグビー部の人に声をかけてもらったりして、「ラグビースクールに入れよ」と言われたのがきっかけです。國學院久我山高校、東京経済大学でラグビーを続けました。家業を継ぐことになって、OBコーチとして武蔵野RSに関わるようになりました。

村上 校長に就任されたのはいつ頃ですか。

青山 11年前ですね。もともとこのスクールは、武蔵野市役所が主催していたのですが、市から離れて民間のスクールになったときに私が校長になりました。

村上 発足の頃の話を詳しく聞かせていただけますか。

青山 1966年、日本で初めてのラグビースクールとして東京ラグビースクールができました。翌年に全国で5つのスクールができたのですが、その一つが武蔵野です。東京は無くなってしまったので、一番古いラグビースクールの一つです。武蔵野市は成蹊大学と横河電機という2つのラグビーの強豪チームがありました。その部長さん2人がラグビースクールを作ろうという話になり、武蔵野市に陸上競技場が使えないか相談に行ったそうです。すると、たまたま当時の教育長が成蹊大学の畠山部長の大学の先輩だったようで、とんとん拍子に話が進み、逆に市が主催することになり、武蔵野陸上競技場が使えるようになったそうです。

村上 2009年から独立したというのはなぜなのでしょうか。

青山 歴代の市長さんがラグビーを好きな人で、42年間この形が継続したのですが、他のスポーツ団体から、なぜラグビースクールだけ市がやっているのかという声もあり、独立の話が出てきました。教育委員会が扱っていると小学1年生からのスクールになるのですが、民間になれば幼児クラスを作ることもできますし、我々としてもメリットはあるということで決断しました。

村上 指導のモットーについて教えてください。

青山 ラグビースクールの役割は、一人でも多くの生徒を高校や大学に上げることだと思います。上手くなるのは、高校、大学の指導者の仕事ですから、我々は変なクセをつけずに上に行かせたいと思っています。これは発足の時からのモットーです。ただし、負けてもいいとは言いません。勝つために頑張るのですが、それは生徒が勝ちたいから頑張るということであって、コーチが勝ちたいと思うのは間違いだと思っています。

村上 現場での指導で心がけていることはありますか。

青山 私がコーチによく言うのは、生徒が10人いたら、10通りの教え方をしてください、ということです。上手い子もいれば、そうでない子もいる。どこかにフォーカスせず、全員がちょっと頑張れば一つ上に上がれるというような目標を段階的に設定して、上手くいけばほめてあげてほしい。そうして成功体験を重ねて行く。そんな指導をコーチにはお願いしています。


卒業生が戻ってコーチになり

良い思い出を伝える流れを作りたい


村上 チームのホームページに指導方針が示されていて、「3つのF」が掲げられていますね。フレンドシップ、ファイティングスピリット、フェアプレー。3つのFを、コーチが理解した上で指導するということですね。

青山 そうです。指導方針は1967年から変わっていません。初代の畠山校長が教育者だったこともありますが、私も教育的な指導を受けました。子どもたちには分かりやすく、友だちのように話して伝えています。また、昔に比べて、生徒の保護者の皆さんにもコーチになってもらわないと、目が行き届かなくなっています。お母さん方にも参加していただいていますし、半分以上が保護者です。多くの方にスタートコーチの講習も受けていただいています。

村上 交流する団体として、横河武蔵野アトラスターズ、横河武蔵野アルテミスターズなどのチーム名がありますね。

青山 現在はコロナ禍で難しいのですが、以前は武蔵野市のラグビー協会のフェスティバルで横河の試合があると、我々のスクールが前座を務めたり、花道を作ったり。毎週木曜日に横河のラグビー部が練習する前に1時間、中学生、高校生に教えてくださることがあって、そこに参加することもありました。今年は緊急事態宣言でフェスティバルも中止になってしまいました。

村上 お母さんのタグラグビーチームもできているようですね。

青山 いくつかのスクールでママさんのタグラグビーチームがあるんですよ。ですから、スクールが交流するときにママさんも交流しています。「子どもを練習に連れて来て、ただ見ているだけではつまらないでしょうということでお誘いして、10名くらいプレーされています。いま、コンタクトプレーは小学3年生からになっているのですが、コンタクトが怖い子の受け皿としても機能させたいと思っています。

村上 武蔵野RSならではの活動はありますか。

青山 小学3年生から参加する夏合宿で、部屋長を6年生にして、5年、4年、3年と4学年がひとつの部屋に入るようにしています。練習は学年別ですが、練習が終わったら部屋単位で活動して、上の学年が下の学年の面倒をみて、いろんなことを学ぶ。30年以上、このスタイルです。たとえば、3年生の子はお母さんに荷物を詰めてもらって持ってくるので、帰りは詰められなくなるんです。それを6年生の子が詰めてあげたりしていますね。

村上 今後は、どんなスクールにしていきたいですか。

青山 多くの卒業生が子どもを連れて戻ってきてくれています。将来的には、スクールの卒業生がみんなコーチになっていてほしいです。スクールの卒業生は、自分たちが良い思い出を作ったことを、今の生徒に伝えたいという思いがある。卒業生のコーチが増えるといいなと思いますね。

村上 卒業生はよく顔を出してくれますか。

青山 よく来てくれますよ。高校生は試験休みにたくさん集まってきます。大学生も就職が決まった時期に来てくれます。だから、私が辞められないんですよ(笑)。知っている顔がいないと、来てもつまらないでしょうから。

村上 生徒数は現在200を超えているようですが、最近増えているのですか。

青山 増えていますよ。私が子どもの頃は、100人前後でした。2009年に市から離れて独立してからは、150名くらいで推移していましたが、2019年のラグビーワールドカップでどかんと増えまして、今年200名を超えました。どんどん増えています。コロナ禍で密にならないように、時間制にして人数を分散させて練習をしています。なので、いまは小学4年生以下の募集を止めています。安全を第一にやっていますので、子どもたちが感染対策に慣れるまではコーチの目が届く範囲の規模にしたいのです。落ち着いてくれば4年生以下の募集も再開しようと思っています。武蔵野市にお住まいでない方も大歓迎です。ホームページに体験参加の手順など書いていますので、ご確認ください。



ラグビーキッズ

ラグビーネットワークインフォメーション(ラグネット)

アンケート


1、ラグビースクールの名前

 武蔵野ラグビースクール

2、代表者

 校長 青山 拓(あおやま ひろし)

3、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先

 東京都武蔵野市中町1-23-5ルネス武蔵野801 青山拓気付

4、活動場所・練習場所

 東京都武蔵野市八幡町 都立武蔵野中央公園スポーツ広場

5、練習場所は天然芝、人工芝、土等

 土(学校の校庭とほぼ同じ)

6、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等

 毎週日曜日午前中(グランド確保は9時~13時)

 5カテゴリー(幼児・小学低中高学年・中学)を各1時間程度にて活動

 交流試合、夏合宿(小学3年以上)、中学公式戦、鎌倉スクール交歓試合

 卒業イベント、その他

7、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの

 保険・協会登録料2,000円と加入月からの会費

 月会費1,000円(年間12,000円) 兄弟2人目半額、3人目以降1,000円

 幼児(未就学児)は年会費1,000円(合計3,000円)

8、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等

 幼児43名(女子6名)、小学生165名(女子25名)、中学生29名(女子4名)

9、コーチ人数、指名、経歴等

 在籍55名、コーチ資格保持者はもちろんいますが、初心者保護者コーチもいます

10、モットー・大事にしている事・理念

 上手くさせることが目的ではなくそれぞれのレベルに応じてちょっと頑張れば超えられるハードルを課してそれを乗り越えることで達成感を与えさらに次に挑戦させる

 勝ち負けには拘らない(勝ち負けは時の運)が悔しさとどうすれば勝つことができるかを考えさせる

安易に答えを与えず考え理解するように導く

11、特徴・全員試合出場など他のスクールとの違い

 上手い下手で生徒を分けない、選手は作らない

12、歴史・活動実績

 1967年に武蔵野市教育委員会の主催事業としてスタート、2009年独立民営化

13、OB・輩出トップリーガー

 長尾岳人(東京ガス引退)、長尾健太郎(横河武蔵野引退)、清水雅也(豊田織機引退)

 望月鉄也(現セプター社長)

14、指導方針・教育方針

 安全を最優先に指導を行う

15、合宿・場所・期間・参加年齢等

 長野・菅平高原「菅平プリンスホテル」7月最終週(ジュニアジャンボリー)

16、校歌等

 創立25周年時に制定

17、ラグビー以外の行事

 卒業を祝う会(卒業式)、ランチ会(練習後に保護者と芝生で懇親会)、

18、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか

 特に制限をしていない、他のスポーツと兼ねている生徒もいる

19、保護者の活動への参加・サポート

 イベント時のお手伝い、幼児クラスのサポート

20、どんなスクールを目指すか(将来像)

 たくさんの卒業生がコーチとして参加しているスクール

21、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)

 ラグビーの競技精神を理解して社会生活に活かしてほしい

22、プレースタイル

 ポジションを固定せず色々なことにチャレンジさせる

23、交流する他のラグビースクール

 神奈川・鎌倉ラグビースクール(約50年毎年交流を行っています)

24、交流するラグビー団体(学校・協会・トップリーグ等)

 横河武蔵野アトラスターズ、横河武蔵野アルテミスターズ、武蔵野市ラグビー協会

25、自由欄(付け加える事があれば)

 ママのタグラグビーチームが毎週幼児クラスのサポートと自分たちの練習をしている




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