【インタビュー】第26回▶滋賀ジュニアラグビースクール(滋賀県)

第26回▶高校への架け橋になる中学生限定のラグビースクール

ラグネット第26回は、これまで紹介してきたラグビースクールとは大きく違っています。滋賀県で活動する滋賀ジュニアラグビースクール(以降、滋賀jr)は、中学校ではラグビー部がなくプレーする場がない子どもたちのために設立されたそうです。ラグビーをしたい中学生の受け皿が不足しているのは、日本ラグビーの長年の課題でもあります。高校ラグビーにつなげるための架け橋となる滋賀Jrについて、コーチを務める宇野隼平さん(29歳)にお話を伺いました。


基本技術と体作りをメインにして

将来に生きるトレーニングをする


村上 宇野さんが、ラグビーを始めたのはいつですか。

宇野 私は東京出身で、東京都立科学技術高校で3年間ラグビーをしました。大学ではラグビー部には入らず、7年ほど離れていたのですが、25歳の時に仕事の関係で滋賀に来て、リゲルサントスというクラブチームで再びラグビーを始めました。

村上 滋賀Jrに関わったきっかけを教えてください。

宇野 SAQトレーニング(スピード、アジリティ、クイックネスの頭文字に由来)を教えてほしいという依頼がありまして関わることになりました。正式には2020年4月からコーチになっています。

村上 トレーング関係のお仕事をされているのですか。

宇野 いえ、仕事とは関係がないのですが、私が個人的にやっているのを見てご依頼があったと思います。滋賀Jrはハードが練習はせず、集まったらまずタッチフットから始めるようなスクールですので。

村上 部員は中学生に限定されてるようですね。

宇野 13歳から15歳です。チームの指導方針は、ラグビーを楽しむことと、高校につなげるための基礎作りです。滋賀県には中学でラグビーをする環境が少ないですし、教員の働き方改革もあって、土日に部活をするのが難しくなってきているそうです。その受け皿でもあると思っています。実際に、中学でラグビー部に所属しながら、滋賀Jrでプレーする選手も多いです。

村上 ラグビー部のある高校との合同練習を多いようですね。

宇野 それも高校につなげるための一環なのですが、去年も光泉カトリック高校、八幡工業高校と合同練習をして、実際にこの学校に4月から入学した子がいます。

村上 ふだんはどんな練習をされているのですか。

宇野 週に一度、2時間くらいの練習ですが、ウォーミングアップから、基本のハンドリングスキル、コンタクトスキル、それからFW、BKに分かれて練習し、最後に合わせる。それが基本ですね。あまり応用練習はせず、基本に忠実に行っています。

村上 試合はあるのですか。

宇野 公式戦が少なくて、試合の機会は少ないのですが、京都などに行ったりしてできるかぎり試合機会を多くしようとしています。

村上 部員募集はどのように行っているのですか。

宇野 Facebook、口コミ、ポスターと貼るなどしていまして、経験者、未経験者にかかわらず、キャパオーバーにならない限り、どんどん受け入れていきたいと思っています。

村上 現在、部員は30名ほどということですか地元の子が多いのですか。

宇野 野洲、草津の子が多いですね。コーチは私と徳重代表と監督が一人、保護者の方にも手伝っていただいて、常時、5,6名で指導しています。


コミュニケーションの一環として

まずは名前を呼び合うことから始める


村上 今後は、どんなスクールにしていきたいと考えていますか。

宇野 高校につなげることを第一にする考え方は継続してこうと思っています。加えて、高校につなげるための体作り、ラグビーIQを上げることもやっていきたいので、私自身はそんな勉強もしていきたいです。ラグビーを通じで人間として成長してほしいし、将来的にはチームが家族のようになるまで信頼関係を築ければ一番良いなと思っています。

村上 それは宇野さんがラグビーをしたことによって仲間が増えたという経験が大きいのでしょうか。

宇野 大きいと思います。ラグビーをしたことで、人とのつながりの大事さを改めて理解しました。一人ではできないことが、みんなでやればできるということを子どもたちにも伝えていきたいです。

村上 高校時代に具体的なエピソードはありますか。

宇野 私がラグビー部に入った高校は弱小チームで、人数も集まりませんでした。4校での合同チームで試合にも出ていて、みんなで練習するのが週に一度か二度だけでした。とにかく噛み合わなかったんです。そこをどう嚙み合わせるのかが課題で、コミュニケーションをとる技術は少しずつでも上がっていったと思います。

村上 最後はまとまったのですか。

宇野 合同チームとしては、最後はまとまったのではないかと思います。3年生になって、科学技術高校のキャプテンが単独チームを作りたいと言い始めて、他の部を引退した選手なども集めて、なんとか単独チームで公式戦に出場することができました。チーム作りは選手で話し合って自由にやらせてもらったのですが、部員同士がぶつかり合って、ケンカも絶えませんでした。公式戦は1回戦敗退で終わりましたが、ぶつかり合ったからこそ悔いは残りませんでした。とてもいい経験でした。

村上 ぶつかりあったからこそ、仲良くなれたのですね。

宇野 はい、本音でぶつかり合えたから仲良くなったと思います。ラグビーはいろんなポジションがあって、個性的な人の塊だし、そこが一番面白いところです。僕が中学生の指導で最初に言ったのは、みんなの名前を覚えよう、ということです。名前を言いながらパスをして、名前を呼んだ人以外にはパスを出してはダメというルールにして、名前を覚えさせました。コミュニケーションの一環として名前を覚えることを徹底させています。

村上 卒業生が来てくれることはありますか。

宇野 来てくれます。昨年度の全国高校大会に出場した光泉カトリック高校に森寛大(もり・かんた)という選手がいたのですが、彼が滋賀JrのOBで帝京大学に進学したのですが、一度来てくれました。そういう形でファミリーが築かれていくのは、とても嬉しいです。

村上 中学ラグビーの特徴はありますか。

宇野 12人でプレーするので、ディフェンスの範囲が広いですね。スクラムは5人で組み、ノンコンテスト。FW戦というよりも、とにかく走るのが大きな特徴ですね。

村上 中学生世代は指導する難しさも多い気がします。

宇野 僕は中学生を教えるのが初心者で始めましたので、最初はかなりぶつかりました。思春期でもあり、何かと反抗されることもあります。上から目線では話を聞いてくれないので、目線を同じに、僕も練習にまざる感じでやってみました。少しうまく回り始めたかなと思います。また、コーチングクリニックを受ける機会があって、コーチングのことをいろいろ学ぶことができたので、今はフィードバックを大事にしています。毎回のセッションで、3かいくらいの区切りがあるのですが、毎回、いいところ悪いところを言い合ってもらうようにしています。コーチ自身もフィードバックするように心がけています。

村上 入部はいつでも可能ですか。

宇野 はい、いつでも来てほしいです。Facebookなどで確認の上、連絡をいただければと思います。




ラグビーキッズ

ラグビーネットワークインフォメーション(ラグネット)

アンケート


1、ラグビースクールの名前

 滋賀ジュニアラグビースクール

2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等

 

3、代表者

 徳重

4、活動場所・練習場所

 野洲市

5、練習場所は天然芝、人工芝、土等

 天然芝

6、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等

 毎週日曜日、9:00~12:00

7、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等

 現在30名ほど、女子選手はなし

8、コーチ人数、指名、経歴等

 3人

9、モットー・大事にしている事・理念

 チームの存在意義として、ラグビーを楽しむこと高校に繋げるための橋渡しとしての役目

10、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか

 ほとんどの生徒が学校で部活動を行いながら、チームに参加しています。

11、どんなスクールを目指すか(将来像)

 家族のようなチーム

12、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)

 私個人としては、何事も前向きに考えられる大人になってほしいです。



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