【インタビュー】第23回▶枚方ラグビースクール(大阪府)

第23回▶つくろう!健康な身体と心を

ラグネット第23回目にご紹介するのは、大阪府枚方市で活動する「枚方ラグビースクール」です。今年(2021年)で創立45周年を迎える伝統あるスクールで、校長先生は、啓光学園高校を全国高校大会四連覇に導いた記虎敏和さん。卒業生には山下楽平(神戸製鋼コベルコスティーラーズ)、岸岡智樹(クボタスピアーズ)といったトップリーガーほか、社会人、大学で活躍する選手は名前をあげるときりがありません。それでいて指導方針は、「コーチは怒らない、ほめてほめる」です。どんなスクールなのでしょう。副校長兼運営委員長の山田誠司さん(58歳)にお話を伺いました。


*村上晃一の「ラグネット」インタビュー

安全は全てに優先する

熱中症対策も万全に指導


村上 45周年ということですが、発足の経緯を教えていただけますか。

山田 枚方市に社会人のラグビーチームが4つありました(小松製作所、クボタ枚方製造所、枚方市役所、枚方クラブ)。その人たちがお酒を酌み交わして交流しているときに、引退した後に何かできることはないかという話になり、社会にお返しすることが必要だということでラグビースクールを立ち上げたそうです。

村上 山田さんはいつから枚方ラグビースクールに関わっているのですか。

山田 僕は徳島県の貞光工業高校(現・つるぎ高校)でラグビーをしていました。卒業して小松製作所に入社しました。結婚するときに仲人をお願いした東信男さんが枚方ラグビースクールを立ち上げた人で、当時、副校長をしていました。スクールの活動に誘われ、後を継ぐことになったというわけです。指導者としてスクールに関わって28年、副校長としては20年ほどになります。

村上 スローガンは「つくろう!健康な身体と心を」、ポリシーが「安全は全てに優先する」とありますね。

山田 スローガンはずっとそれですが、「安全は全てに優先する」は僕が関わってからですね。ラグビー界も熱中症や脳震とうといった安全面は特に注意するようになっています。枚方ラグビースクールのホームグラウンドは、小松製作所の大阪工場のグラウンドなんです。企業のスローガンでもあります。

村上 具体的にはどのようなことに取り組んでいますか。

山田 熱中症に関しては他のスクールに先駆けて、ダブルGBT計測器を導入して、夏場は15分おきにチェックして、危険であれば練習を中断するなどしています。

村上 コンタクト練習なども気を付けていますか。

山田 最初はグラウンドに転がるところから始めて、ゆっくりやっています。幼児クラスはラグビーを教えず、鬼ごっこでいいじゃないかという考えです。夏は小学2年生までは水鉄砲を持ってきてもらいます。コーチも一緒になって水を掛け合うんです。幼児は水鉄砲スクールになっていますね。小学校の中学年、高学年になってくるとコンタクトもするようになります。これも安全第一で、逆ヘッドのタックルはぜったいにさせないように配慮して指導しています。

村上 パス、キックのスキルは細かく教えるのですか。

山田 そこはしっかりやりますね。コーチ陣と話しているのは、「低学年はスペースを見つける、中学年はスペースにボールを運ぶ、高学年はスペースを作る練習メニューを考えましょう」ということです。最後は2対1の局面を作って、トライを取ろうということを話します。


チャンピオンシップの大会でも

全員が同じ時間プレーする


村上 ヒーローズカップのようなチャンピオンシップの大会に出場しても、全員の選手を出場させるのがポリシーのようですね。

山田 6年生のコーチには必ず全員を試合に出すようにお願いしています。いまの中学3年生が6年生のときにヒーローズカップで準優勝したことがありますが、その時も、控え選手も含めて全員が均等に同じ時間プレーしました。

村上 勝つことがすべてではないということですね。

山田 毎年4月の開校式で、保護者の皆さんに僕から話すことがあります。「このスクールは、勝たなくていいと子どもたちに話しています。もし、ラグビー選手として有名にしたい、勝ち続けるチームに行きたいということでしたら、そういうスクールに行ってください」。

村上 しかし、卒業生はいろんなチームで活躍していますよね。

山田 これは枚方ラグビースクールのDNAみたいなものだと思います。前副校長の東さんに伺ったのですが、啓光学園の記虎監督や、枚方高校のラグビー部を指導されていた戸田先生に、どんな指導をすればいいのかを聞いてみたら、「とにかく、ラグビーを大好きにさせてください」と言われたそうです。それをポリシーに僕らは指導しています。ラグビーが好きになって卒業すれば、中学、高校でどんどんラグビーにのめり込んで上手くなるということです。記虎先生とは縁があって4年ほど前から校長に就任していただきました。

村上 卒業生が来てくれることはありますか。

山田 去年、山下楽平が金正奎選手(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス)と来てくれました。金選手は体験会で1日だけ来たことがあるんです。山下楽平は小学2年生から来ていました。また、4年前の全国高校大会の決勝で対戦した東海大仰星の三村と大阪桐蔭の奥井が決勝戦の翌週に来てくれました。ラグビー界で頑張ってくれているのは有名選手だけではなく、北野高校ラグビー部の昨年度のキャプテン野澤智仁も卒業生で、北野でリクルート活動をして単独チームで大会に出られるように復活させました。今年、京都大学に現役で合格しました。お父さんはスクールコーチで 現在、運営副委員長をされています。

村上 生徒数が約170名ということですが、コーチが110名というのは多いですね。

山田 コーチの数は日本一かもしれないですね(笑)。8割がた毎週来ていますし、選手2人にコーチが1人という感じです。同級生で指導委員長をしている坪井彰と話して、できるだけ多くしようとしています。パパコーチも一緒に成長していくと家庭環境も良くなるし、大人が多いことで安全面にも目配りできる。多くの目で子どもたちを見守ろうということです。

村上 長く指導されていて、ラグビーというスポーツが子どもたちに与える影響についてはどう感じていますか。

山田 仲間意識、協調性、責任感が養われますね。低学年のときに、自分の思い通りにならなくて泣く子がいますが、それが、3、4年になると我慢できるようになってくる。成長を感じます。

村上 保護者の方のアンケートの答えで「スクールに入って、自分というものがしっかり作られました」というものがありますね。

山田 このアンケートをお願いした保護者の方はラグビー未経験者ですが、子どもが変わったことを実感されているようです。グラウンドをトラクターで整地するなど、子どもたちのために、よくお手伝いしていただいていますね。

村上 今後の目標はありますか。

山田 今は非常に恵まれた環境で練習できています。小松製作所のグラウンドは、横100m、縦120mの大きさがあり、日曜日の朝9時から11時の2時間は無条件で使わせていただいています。タックルバッグやボールの保管も、会社が倉庫を提供してくださっています。普通ではありえない環境を大切にしていかなくてはいけないので、みんながこの環境に感謝して活動していただきたいと思っています。今年で45周年ですが、50年、100年と続くスクールになるために、この環境を次代に引き継いでいきましょうという話をしています。



ラグビーキッズ

ラグビーネットワークインフォメーション(ラグネット)

アンケート

1、ラグビースクールの名前

 枚方(ひらかた)ラグビースクール

2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等


黄色(市花:菊)と緑(市木:柳)の段柄

3、代表者

 校長 記虎 敏和(きとら としかず)

4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先

 大阪府枚方市岡東町3-9 枚方スポーツ

 大嶋 072-843-1546

5、活動場所・練習場所

 ㈱小松製作所大阪工場グラウンド

6、練習場所は天然芝、人工芝、土等

 ホームグラウンド 土

7、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等

 毎週日曜日 9:00-11:00 GW、夏、冬、春休みあり

 ※コロナ感染により 分散開催も実施 9:00-10:30、11:00-13:00

8、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの

 入学金:なし 年会費:20,000円(幼児10,000円) その他 合宿参加費用他は都度

9、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等

 生徒 幼児・小学生 約170人 女子選手 5名

10、コーチ人数、指名、経歴等

 110人 経験者(トップリーガー、社会人、学生時経験者)、未経験者(パパコーチ)

11、モットー・大事にしている事・理念

 スローガン「つくろう!健康な身体と心を」、ポリシー「安全は全てに優先する。」

12、特徴・全員試合出場など他のスクールとの違い

 勝敗にこだわらない チャンピオンシップのゲームでも全員出場させる。

 ワンサイドゲームにならないメンバー構成する。

13、歴史・活動実績

 1976年設立

 2021年創立45周年

14、OB・輩出トップリーガー

 OB 現役トップリーガー 

 山下楽平(コベルコスティーラーズ)

 金正奎(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス)1日だけスクール生

 岸岡智樹(クボタスピアーズ)

 森本 潤(三菱重工ダイナボアーズ)

 指田宗孝(NTTドコモレッドハリケーンズ)  

 野中翔平(近鉄ライナーズ)

 野中亮志(清水建設)

 佐久間隆(マツダ)、鳥飼誠(中国電力)

 OB(引退)渡海谷保(クボタ)、南岳人(豊田自動織機)、河本明哲(ヤマハ)

 三原亮太(近鉄)猪村優仁(ドコモ)

 大学  奥井章仁(帝京大学) 隈元添太(摂南大学) 他 明治大、同志社大、関大、筑波大、天理大等多数

 高校  野中健吾(東海大大阪仰星) 中村豪(常翔学園) 他多数

 女子選手 田中智絵(日本代表) 黒川碧(U20日本代表)、永岡萌(日本代表) 

15、指導方針・教育方針

 コーチは怒らない、ほめてほめる。 なぜなぜの問いかけ 無理せず無理させず

 挨拶、礼儀は伝えるが押し付けない。 

16、合宿・場所・期間・参加年齢等

 ここ数年 天理詰所(尾道詰所) 天理大学グラウンド 9月初旬(土日1泊2日)

 小学校1年から参加

17、ラグビー以外の行事

 マラソン大会、安全祈願祭

18、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか

 掛け持ち可能  人数不明

19、保護者の活動への参加・サポート

 学年ごとに当番制で諸事手伝いあり。

 道具係、清掃当番、交通立ち番等

20、どんなスクールを目指すか(将来像)

 リターン枚方

 スクールを故郷として 毎週日曜日にグラウンドに来ればいつでもラグビーに関われる環境がある。

 将来子供が出来たときに戻ってこれる場所がある。現在 3世代で参加家庭もある。

21、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)

 他人と自分を大切にし、人を思いやり、失敗を恐れず挑戦できる人間になって欲しい。ラグビーを永遠に愛して欲しい。継続は力なり。

22、プレースタイル

 応援者(コーチ、保護者)が見ていてワクワクする高速展開(パス)でボールをスペースに運び最後は2対1でTRYを取りきるラグビー

23、交流する他のラグビースクール

 大阪北河内地域のラグビースクール

24、交流するラグビー団体(学校・協会・トップリーグ等)

 コマツイエローブルズ(トップウェストC所属)、

 東海大大阪仰星ラグビー部、常翔啓光学園ラグビー部、天理大学ラグビー部、

 同志社大学ラグビー部、大阪国際大ラグビー部、関西外大ラグビー部




保護者へのアンケート

1、このスクールを選んだ理由

 枚方ラグビースクールはオープンな環境でいつでも子供達が楽しくラグビーを学べ、教えて頂くコーチや先輩の人数も多く、子供だけでなく保護者も一緒になって楽しめる所です。何よりも子供が自分の意志でスクール体験後に習いたいと言った事から選ばせて頂きました。

2、このスクールの良い点

 現役の方から先輩方やOBの方まで毎週参加してくださり、子供達一人一人に目を向け、楽しいラグビーを伝えて頂けることで、将来もラグビーを続けたい、今まで続けてきて良かったと思える活動を続けているところです。

3、スクールに改善して欲しい所

 改善という点ではありません。進化する時代の流れにもうまく沿わせながら進んでいると思います。やりたいことも都度色々取り入れてくれています。特にラグビーは学年毎で出来る内容が変わってくるため、その学年に応じた大きな目標が明確に見えていれば高学年になってくる子供達の意識も徐々に変わってくると思います。そこにコーチ・保護者の協力が加わればより子供は楽しめると思います。

4、お子さんの変化・スクールに入って変わりましたか

 はい変わりました。自分というものがしっかり作られました。今までは周りに流されるところ、とりあえず進んでいたものも、しっかり自分で考え行動に移すことも出来るようになりました。仲間意識も芽生え集団生活においてもリーダーシップも取れるようにもなってきました。

5、お子さんがスクールに入って生活に変化がありましたか

 はい。友達の輪が広くなりました。他の学校の友達とも話す機会ができたことで色々経験も増え、色々な所に場所に遊びに行くようにもなりました。何より礼儀や挨拶が自分からできるようになりました。

6、スクールを卒業してもラグビーを続けさせますか・続けて欲しいですか

 第一に子供の意思を尊重したいと思っています。今の所はラグビーを続けたいと言っていますので出来る環境を準備していきたいと思います。将来もそのままラグビーに携わってほしいと思います。

7、ご自身もラグビーをしていましたか

 私自身はしていませんでした。

8、ご自身もラグビーが好きになりましたか

 はい、家族でラグビーを好きになりました。

9、どんな大人になって欲しいですか

 ラグビーで学んだチームワークや行動力で、しっかりと自分で考え仲間と共に行動に移せる大人になってほしいです。

10、スクールに入れてよかったですか

 良かったと感じています。子供自身が夢中になれる事が見つかったこと。違う学校の友達もでき、それは将来もどこかで出会うかもしれない仲間であり、かけがえのない財産になると思います。


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