第17回▶熊本ラグビースクール 子供たちの成長と幸せを願って
ラグネット第17回目に紹介するのは、来年創立50周年を迎える熊本ラグビースクールです。日本代表にも選出され、現在、神戸製鋼コベルコスティーラーズで活躍する平島久照選手や、クボタスピアーズの北川賢吾選手ら卒業生のトップリーガーも多数。現在は150名の生徒数で活動しています。今回は、事務局長の新井尊久さん(47歳)にお話を伺いました。
それぞれの「楽しい」を
ともに考え、実現する
村上 新井さんはいつからラグビーを始めたのですか。
新井 私は大学(駒澤大学)からラグビーを始めました。私は埼玉生まれで、通っていた所沢高校では体育の授業でラグビーがあったんです。面白かったのでやってみたいと思っていて、進学した駒澤大学のラグビー部は初心者を歓迎していたので入部しました。
村上 そこから熊本ラグビースクールにどうつながるのですか。
新井 2011年に大学の先輩に誘われて私の子供が世田谷区ラグビースクールに入りました。その頃は保護者として見ているだけだったのですが、2012年に熊本に転勤になり、三人兄弟なのですが全員が熊本ラグビースクールに入ることになりました。私がラグビーの経験者だったことでコーチとして声がかかったというわけです。実は家族はもう東京に戻っているのですが、私だけ単身赴任で残っています。土日のレジャーがラグビーという感じですね(笑)。
村上 お子さんたちは東京でラグビーを続けているのですか。
新井 長男は川越東高校で第100回の全国高校大会に出場しました。三男は練馬ラグビースクールにお世話になっています。
村上 事務局長になったのはいつ頃ですか。
新井 5年ほど前です。組織を見直して辞めていく子を減らしていった結果、生徒数が増えました(現在は150名)。ラグビーワールドカップでの日本代表の活躍の影響も大きいです。2015年効果で100人を越え、2019年効果で150人を越えました。
村上 どんなところを見直されたのですか。
新井 ルールの明確化です。会計規約などもなかったので、保護者の問い合わせにも明確に答えられるようにしました。これまでは事務局長がグラウンドの手配から入部の対応までしていました。それでは重荷になって今後の成り手もいなくなりますから、事務局を7人体制にして役割分担をしました。結果的に保護者の方々も関わるようになって、みんなでスクールを作っているのだという当事者意識が生まれました。保護者の方々には、入部希望の見学に来られた時に「みんな手弁当でやっていますので、皆さんにもお願いすることがありますよ」という説明はしています。
村上 このラグビースクールはどういった経緯で始まったのでしょうか。
新井 熊本ラグビー協会の八田千之・副会長の提案をきっかけに始まったようです。最初は中学生7人、小学生21人、うち12名がラグビー経験者の子供、もしくは弟だったと記録されています。熊本では一番古いスクールで、来年が50周年なので、保護者の皆さんにも参加していただいて50周年委員会を作り、4月から活動する予定です。
村上 指導の上で心がけていることはありますか。
新井 一昨年、コーチング要領を整理して、「楽しい」の定義をしました。高校でも続けてくれる、大人まで続けてくれるラグビー好きを育てることなどです。コーチングは、ステップ・バイ・ステップで、いろんな仕掛けでコーチが子供たちに「できる」を提供できるように考えていこうとしています。
村上 試合に勝つことについては執着をしないという感じでしょうか。
新井 勝つことも「楽しい」の一つなので、子供たちが勝ちたいのであればそれに応えますが、子供たちの成長曲線に合わせて、適切なメニューを考えていきます。
村上 チームとして目標にしている大会などはありますか。
新井 それも各学年で考えることにしています。5年生以下は九州には大きい大会がありませんので、交流、遊びが主体です。中学生は全国大会をターゲットにしていますし、小学6年生はヒーローズカップを目標にしていますね。福岡の宗像市が12月に宗像キッズセブンという大会を開催していて、そこで全勝するのも目標になっています。
村上 ライバルのスクールはあるのですか。
新井 いま、7つのスクールと定期的に交流戦をしていますので、そこで全勝することを子供たちは意識していますね。
みんなが笑顔で練習する
その中で強いチームにもなれるはず
村上 ラグビー以外のイベントでお正月の「ぜんざい会」というのがありますね。
新井 昔からやっているようで、肥後銀行ラグビー部の練習グラウンドをお借りして、みんなで遊んだあと、お昼ごはんとして、ぜんざいと豚汁を食べるんです。おにぎりは各自持参します。
村上 新井さんから見て、熊本ラグビースクールの特徴はありますか。
新井 福岡から転勤で来られた人に言われたのは、「みんなが笑顔でやっているね」ということです。キャッキャ、キャッキャと楽しそうに練習しているのは印象的だったようです。スクールの理念として、『子どもの成長、子どもの幸せ』があり、コーチの幸せにならないように、子供が楽しめる指導は意識しています。
村上 新井さんは東京で世田谷区ラグビースクールの運営も見ていらっしゃいましたね。どんな印象でしたか。
新井 規模が大きいこともあって、運営がてきぱきとして洗練されている印象を受けていました。熊本はわきあいあいとのんびりやっている感じがしました。運営はしっかりしなくてはいけませんが、牧歌的な部分もなくしていけないところだと思っています。
村上 ラグビースクールに入って子供たちはどのように成長していきますか。
新井 周りが見えるようになり、やるべきことをしっかりできる子になっていきますね。今年度卒業する中学3年生は、小学1年生から見ているのですが、最初はわがままだった子たちが、最後は後輩のことを思いやり、チームのことを考えるようになりました。ラグビーだからこそだと思いますね。
村上 新井さんがラグビーに関わり続けているのはなぜですか。
新井 戦略性が高いというか、フィールド上での自由度が高い中で、何かを作り上げていくっていう部分ですね。コーチングも、プレーでもそうですけど、自由度が好きです。メンバーが15人もいて、それが有機的に動かないと勝てない。戦略的なことを考えるのが好きということもあるのかもしれません。
村上 今後はどんなスクールにしていきたいですか。
新井 楽しく練習する中で全国大会に行けるようなコーチングスキルを高めていきたいですね。それは我々の成長の部分でもありますし、全国大会を目標に掲げている子もいますから、それに応えられるようなスクールになっていきたいですね。楽しくやりながらも強いチームにもなれるはずですし、周りが見えて、コミュニケーション能力が高いチームは強くなると思います。それを子供たちにうながすことができたら、社会に出たときに、仲間もたくさんできるでしょうし、人生の成功も得やすい子に育つのではないかと思います。そんな流れを思い描いています。
村上 最後に生徒募集の一言をお願いします。
新井 明るく楽しくやっているスクールです。ぜひ、遊びに来てください。随時受付中です。
ラグビーキッズ
ラグビーネットワークインフォメーション(ラグネット)
アンケート
1、ラグビースクールの名前
熊本ラグビースクール
2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等
カンガルー
3、代表者名
金森 大次郎
4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先
電話090-6565-9131
事務局長 新井
5、活動場所・練習場所
運動公園ラグビー場、陸上自衛隊健軍駐屯地、
6、練習場所は天然芝、人工芝、土等
天然芝
7、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等
小学生 日曜日9:00~11:30
中学生 土曜日日曜日9:00~12:00
8、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの
入会金3,000円
年間維持費27,000円
ヘッドキャップ/ユニフォーム/スパイク他
9、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等
150人
女子7人
外国人OK
10、コーチ人数、指名、経歴等
コーチ30人、保護者を中心としたボランティアコーチ
11、モットー・大事にしている事・理念
「子供の成長と子供の幸せ」
12、特徴・全員試合出場など他のスクールとの違い
機会均等で競争は中学からちょっと入ってくる。
子どもの幸せは「楽しい」と定義し、子どもがラグビーを楽しいと思えるチームを目指しています。
13、歴史・活動実績
1972年創立 来年50周年を迎えます
14、OB・輩出トップリーガー
平島久照、北川賢吾、積賢祐、橋本法史、石田一貴、石田大河
15、合宿・場所・期間・参加年齢等
阿蘇青少年交流の家、5月4日5日、全員参加
16、ラグビー以外の行事
ぜんざい会(お正月にみんなでぜんざいや豚汁を食べます)
17、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか
多いと思います。確認してません。
18、保護者の活動への参加・サポート
基本ボランティアチームなので、役割分担を毎年発行のスクール冊子で明示し入校前に理解いただいてから入校してもらっています。
事務局仕事や各学年の役員も持ち回りで分担しています。
19、どんなスクールを目指すか(将来像)
熊本のラグビー好きが高校生や大人になっても集まれる中核となれる組織になれたら良いなと思っています。
20、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)
高いリーダーシップ、きつい状況でもえがおで乗り越えていける強い人間になってもらいたいと考えています。
21、プレースタイル
体が小さいので展開ラグビーを志向しています。
22、交流する他のラグビースクール
筑紫丘RCJrS、中鶴少年RC、春日LR、みやけYR、りんどうYR、大分RS、宮崎RS、他
23、交流するラグビー団体(学校・協会・トップリーグ等)
県内の中学とは定期的に試合をしています。