【インタビュー】第3回▼滋賀ガールズラグビーアカデミーBREEZE(滋賀県)

第3回▼滋賀県の女子ラグビー強化、普及・育成を目指して

一般的なラグビースクールとは異なる「アカデミー」をご紹介する「ラグビーアカデミーネットワークインフォメーション」。今回は、2013年に設立された滋賀ガールズラグビーアカデミーBREEZEの登場です。滋賀県では2025年に国体が行われます。県内の女子ラグビーの普及と県を代表する選手の育成を目的として誕生したのがこのクラブです。現在は、高校生以上の「トップ、中学生の「ユース」、小学生の「ジュニア」と3つのカテゴリーのチームで構成されるまでに成長しています。小学校教諭で、滋賀県ラグビー協会女子委員会の委員長を務める小堀文雄監督(36歳)にお話を伺いました。


ラグビーの魅力に男女差はなし。

主体性を重んじ、楽しくプレー


村上 小堀さんのここまでのラグビー人生について聞かせていただけますか。

小堀 本格的にラグビーを始めたのは京都教育大学に入学してからです。卒業して一般企業に入社し、地元のクラブチーム「レイクサイド」でプレーを続けました。ラグビーリーグ(13人制ラグビー)でもプレーし、日本代表候補に選ばれてオーストラリアにも行きました。怪我をしてリーグは辞めたのですが、海外の選手たちとプレーする楽しさに目覚めて、ニュージーランド南島のネルソンに行って、約一年、地元のクラブでプレーしました。ラグビーのポジションは、WTB、FBです。いずれレイクサイドに戻るつもりだったので練習メニューなどはメモしていましたね。

村上 そこからブリーズの監督にどうつながっていくのですか。

小堀 帰国して小学校教諭になり、レイクサイドでラグビーを続けているときにブリーズでのコーチの話をいただきました。僕の膳所高校時代の恩師で、大学の先輩でもあるの上田恭平さんが声をかけてくださったんです。上田さんは滋賀県ラグビー協会の強化委員長で、2025年に滋賀県で国体があるので、強化のために女子ラグビーチームを立ち上げるということでした。

村上 上田さんもチームには関わっていらっしゃるのですね。

小堀 アドバイザーというポジションで、チーム運営のこと、強化のこと、いろいろ教えていただいています。

村上 最初はどのようにして選手を集めたのですか。

小堀 滋賀県には女子チームがなかったので、ラグビースクールにいる女子選手に声をかけました。また私は小学校教諭ですので、学校でタグラグビーを取り入れて子供たちにチームができたことを伝えるなど、少しずつ広げていきました。

村上 女子チームの指導は初めてだったと思います。難しいことはありましたか。

小堀 小学生に教えるのは仕事と変わりませんし、女子だからということはあまり気にしませんでした。気にしすぎると選手にも伝わるし、かえって良くないと思います。ただ、コミュニケーションをとりやすい関係性は築くようにしています。

村上 国体に向けての強化という目的もありますよね。

小堀 そうなのですが、実際には、普及・育成のほうが割合は大きく、9:1、8:2くらいです。年齢層は小学1年生から大学1年生までと幅広いのですが、小・中学生が多く、高校生以上は少ないからです。

村上 なぜ高校生は少ないのですか。

小堀 力をつけた選手は、京都成章、石見智翠館などラグビーをする環境の整った高校に行きます。今の滋賀県の環境では、高校生世代はそういうところでプレーしたほうが良いかもしれません。レベルアップして国体の時に戻ってきてくれることを期待しています。

村上 指導の際に気を付けていることはありますか。

小堀 コーチが教え込まないということです。選手の主体性を重んじるというのは、小学生から大学生まで意識しています。スキルについてはしっかり教えて、ゲーム内容の振り返りなどは一緒に行います。

村上 どんなプレースタイルを目指しているのですか。

小堀 目指すのは、見てもやっても面白いラグビーです。無理にパスをつなごうとするプレーがあれば、それをやめさせるのではなく、そのプレーができるようにしたいと思っています。「そのプレーを狙うのなら、このスキルを覚えよう

と、そう持って行きたいです。

村上 国体で行われるのはセブンズ(7人制ラグビー)ですね。

小堀 はい。ですから、ブリーズもセブンズばかりやっています。大会にも出場していて、2年前の国体には他県に出ている選手に戻ってきてもらってチームを編成しました。


小学生から大学生までが一緒に練習

それが、お互いの成長につながる


村上 チーム発足8年目ということですが、入ってきた選手たちはラグビーを続けていますか。

小堀 だいたい続けてくれていますね。中学生は部活で陸上部やバスケットボール部に所属しながらブリーズでも活動しています。瀬田北中学は滋賀県の中学ラグビーの古豪ですが、ここの男子の部に入部している女子選手もいます。瀬田北を卒業して京都成章高校に進学した選手が3名いて、そのうちの一人は日本一メンバーにもなりました。

村上 今後はクラブをどのように発展させていこうと考えていますか。

小堀 滋賀国体が2025年なので、それに向けて県も強化を支援してくれています。国体を目標にブリーズのメンバーを増やしていきたいです。ただし、クラブとして勝利至上主義にはしたくありません。小学生から社会人まで同じ場所でラグビーを楽しめる環境を作ることが一番の目標です。

村上 年齢層はもっと幅を広げたいのですね。

小堀 お母さんのチームを作っていた時期もあります。コロナ禍で活動できなくなりましたが、女子に特化し、世代を問わずにできる場所は少ないので、いつでもブリーズに来ればラグビーができるという環境を作りたいですね。現在は週2、3回の練習ですが、もっと頻度を増やしたいと思っています。

村上 今後、滋賀県で女子ラグビー人口が増加する可能性はありますか。

小堀 可能性は十分にあります。中学生、高校生からラグビーを始めるのはなかなか難しいので、小学生の頃からラグビーに触れてもらうことが大事だと思っています。

村上 ラグビーによって子供たちはどんな影響を受けますか。

小堀 小学生の段階では、チームスポーツで何かを成し遂げる経験をしている子は少ないです。ブリーズでは、小学生は安全面を考慮してタグラグビーしかしていません。しかし、タグを獲られるという犠牲を払いつつ、仲間を生かすという自己犠牲の精神を味わうことはできます。中、高校生は身体をぶつけ合うコンタクトがあるので、仲間のために体を張る、チームのために戦うことを学ぶことができます。痛い、怖いという感覚を乗り越えてチームに貢献することは人としての成長に大きな影響を与えると思います。また、ラグビーは各ポジションの役割に特色があり、自分の良さ、仲間の良さを見出しやすいスポーツです。僕はWTB、FBですから、スクラムは組めませんが、自分の良さを生かすことはできますよね。

村上 そこに男女の差は関係ないですね。ブリーズというチームの良さはどんなところですか。

小堀 上の子が下の子の面倒をよく見ることでしょう。毎回、練習の最初は小学1年生から大学1年生まで全員で円陣を組み、「きょうも頑張ろう」と声をかけます。ウォーミングアップも一緒にやります。練習の最後は、みんなで障害物リレーをしたりします。後片付けもみんなでする。年代の垣根を超えるところは良いと思います。小さな子は、お姉さんみたいになりたいと思うだろうし、お姉さんたちも教えることで気付きがある。幅広い年齢層の選手達が関係性を築けるのは良いと思います。

村上 希望者は随時受け付けているようですが、レベルアップできれば、将来、国体に出場することもできるということですね。

小堀 入団はいつでも歓迎です。国体出場のチャンスは十分にありますよ。まだまだ人材は足りませんから、ぜひ挑戦してみてください。



ラグビーキッズ

ラグビーアカデミーネットワークインフォメーション

アンケート


1、ラグビーアカデミーの名前 

 Shiga  Girls Rugby Club  BREEZE    

2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等      

   

 滋賀に女子ラグビーのそよ風を吹かすという意味をBREEZEのBが帆の形をしている。

3、代表者

 代表 : 松田  満  監督

 ヘッドコーチ(監督) :  小堀  文雄

4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先

 〒520-0011滋賀県大津市南志賀一丁目17-29-705 080-3102-52273(小堀携帯)

 問合せ BREEZEのHP http://shiga-breeze.com

 アドレス info@shiga-breeze.com

5、活動場所・練習場所

 草津三ツ池公園、瀬田公園体育館

 練習場所は天然芝、人工芝、土等

6、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等

 2〜3回/週間

 2時間/1回

 セントルセブンズ4回/年、国体(8月)、美作セブンズ(9月)

 U18全国大会予選(9月)

 太陽生命カップ(関西大会)6月

 サントリーカップ(11月)  

7、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの

 年間費用:19,000円(小学生) 23,000円(中学生) 24,000円(高校生以上)

 スパイク、マウスピーズ、ヘッドキャップ

8、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等

 約30人 全員女子

9、コーチ人数、指名、経歴等

 9人

10、モットー・大事にしている事・理念

 主体性、挨拶など礼儀

11、特徴・全員試合出場など他のアカデミーとの違い

 女子に特化したチーム

 勝利至上主義にならない→ 全員試合に出る

12、歴史・活動実績

 2013年に発足

13、OB・輩出トップリーガー

 成章高校(日本一)、智翠館高校

14、指導方針・教育方針

 教え込まない、選手主体

15、合宿・場所・期間・参加年齢等

 朽木、8月、小学生以上

16、ラグビー以外の行事

 BBQ、納会、花火(合宿)、水鉄砲大会(合宿)

17、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか

 ほぼ全員掛け持ち

18、保護者の活動への参加・サポート

 基本的になし

19、どんなアカデミーを目指すか(将来像)

 小学生から大人まで同じ場所でお互いに交流をしながらラグビーを楽めるチーム

 地域に愛されるチーム

20、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)

 何事にも主体性を持って行動する人。礼儀を重んじる人。

 仲間と切磋琢磨して、成長していける人。

21、プレースタイル

 スタンディングラグビー

22、交流する他のラグビーアカデミー・ラグビースクール

 大阪のクレイジーガールズさん

 京都ジョイナスさん

 大阪KINDAIさん



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