【インタビュー】第15回▼都留ラグビースクール(山梨県)

第15回▶モットーは「フェローシップ、フレンドシップ」

15回目のラグネットでご紹介するのは、山梨県都留市で活動する都留ラグビースクールです。2001年に設立された比較的新しいラグビースクールですが、タグラグビーでサントリーカップの全国大会でベスト8になり、ミニラグビーでもヒーローズカップに出場するなどの実績を残しています。今回は、都留ラグビースクールを立ち上げ、現在も校長を務める小俣欽司さん(52歳)にお話をうかがいました。


体ごとぶつけ合いながら規律を学ぶ。

それがラグビーの良いところ


村上 小俣さんがラグビーに出会ったのはいつですか。

小俣 私が高校3年生の頃、山梨で国体が開催されました。その強化もあって、いろんなスポーツが力を入れていました。私は中学(都留第二中学)の頃は柔道部だったのですが、いろんな部から声をかけられて、その中でラグビーを始めたんです。その後、高校(山梨県立桂高校)、大学(東京学芸大学)で続けました。ポジションは、高校の時はFWで、大学ではSO、FBをやりました。

村上 スクールを立ち上げた経緯を教えてください。

小俣 大学卒業後、地元に帰って高校のOBチームでラグビーをプレーしました。当時の桂高校は、梶原宏之先生(日川高校→筑波大学、元日本代表FL)が監督で、めきめき強くなっていて、伝統校・日川高校といい勝負ができるようになっていました。花園(全国高校大会)にも2度行っています。その頃、OBとしてチームに関わり、伝統校に勝つことの難しさを感じました。ジュニア世代からの強化をしないと勝てないと思って、都留市にラグビースクールを作ることを考え始めました。

村上 もともとは母校の強化を念頭に立ち上げたということなのですね。

小俣 そうなんです。私は小学校の教員なのですが、富士吉田のラグビースクールで、学校の先生が運営されているところがありました。高校の恩師の松本純也先生(日川高校→早稲田大学、元日本代表SH)にそのスクールの先生を紹介していただき、お手伝いをしながらノウハウを学びました。そして、2001年に都留ラグビースクールを立ち上げたというわけです。

村上 最初の生徒はどのようにして集めたのですか。

小俣 地元の子供たちにチラシを配りました。タグラグビー教室を開催し、その告知をしたんです。そこに来てくれた子たちに、ラグビーを続ける意思があるかどうかアンケートをとったら20名くらいいたので設立することができました。

村上 設立時から指導の上で大切にされていることはありますか。

小俣 仲間を大切にすることと、ラグビーの面白さを伝えることです。私もラグビーに育てられましたから、その良さを伝えたいのです。都留のチームとしては、地元の学校でラグビーをしてくれることが理想ですが、なかなかそうはいかなくて(苦笑)。地元の桂高校に進んでくれた子もいますが、能力の高い子は、日川高校や國學院栃木高校に行きます。日川高校の今年のキャプテンも都留の出身です。現在、桂高校は統合されて山梨県立都留興譲館高校という名前に代わっていますが、ラグビー部は部員不足です。なんとか盛り上げたいと思っています。

村上 小俣さんはラグビーの楽しさは、どこにあると思いますか。

小俣 ボールを持てば誰でも前に走ることができますよね。バスケットのドリブル、サッカーのドリブルはスキルが必要ですが、小さな子供でもボールを持って走ることはできます。そこがラグビー本来の面白さですし、いざラグビーを始めればチームのため、仲間のために自分の体をはってボールをつなごうとします。一緒にラグビーをすることで信頼関係も築けます。仲間を助け、助けられ、その大切さを感じることができますね。

村上 学校では教えられないことが、ラグビースクールでは教えられるということはありますか。

小俣 学校は規律の部分は厳しく教えますが、身体接触というか、体と体のぶつかり合いを避けますよね。体ごとぶつかり合いながら規律を学ぶというのはラグビーだからできることかもしれません。


タグラグビーとミニラグビー。

二刀流でスキルアップ


村上 都留ラグビースクールは、タグラグビーとミニラグビーの両方の大会に出ているそうですね。

小俣 サッカーなどに比べると競技人口も少ないし、生徒数が少なくなった時期があります。タグラグビーは男女の差がなくできますし、能力を発揮する子もいます。パスなどのスキルも向上できるし、ミニラグビーと両方できるはずだと思って続けています。両方やっているスクールは意外に少ないのですが、うちは両方の良さがあると思って続けています。ミニラグビーはヒーローズカップの予選にも出場していて、タグは山梨県ではずっと優勝していまして、全国大会にも4度出ています。

村上 大きな舞台を体験すると、子供たちは変わりますか。

小俣 変わりますね。田舎の小さなチームですが、頑張れば全国のチームと肩を並べて、同じ土俵で戦えるのは自信にもなります。もともと、このスクールを立ち上げたのは、全国を目指すような高校生を育てたいと思ったからです。全国大会に出場し、試合のためにコンディションを作り、遠征して宿泊し、ミーティングをして試合をする。すごく良い経験になります。緊張感ある体験は、中学、高校と続けていったときに役に立つと思います。

村上 表情も変わりますか。

小俣 変わりますね。能力があるんだけど、なかなか自分を出せなかった子が全国大会の最後の最後に活躍することもあります。本番の数試合で自信をつけ、本来持っている力を出すことができる子もいる。こういう経験は今後の糧になると思います。

村上 大人がそういう舞台を整えることは大事ですね。

小俣 チャンピオンシップスポーツのほうに行き過ぎるのはどうか、という意見もありますし、大差で負けて意味があるのか、という声もあります。それでも大舞台に出ることによって得るものはあります。

村上 ミニラグビーは、どんなプレースタイルなのですか。

小俣 基本はパスラグビーですね。体の大きい子がいませんし、タグもやっているので、スキルを身に着けて小さい子でも勝負できるラグビーですね。

村上 卒業生は遊びに来てくれたりしますか。

小俣 先日、大学4年生の子が、就職が決まったからって手伝いに来てくれました。関東の大学の対抗戦、リーグ戦グループで頑張っている子もいますよ。

村上 OBで一番の出生頭は、佐藤穣司選手(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)ですか?

小俣 そうですね。彼のことはよく覚えています。小学3年生のときにスクールに入ってきた頃から意識が高かったですね。桂高校で高校日本代表になってほしいと思っていましたが、日川高校から早稲田大学に行きました(笑)。もう一人、HondaHEATの渡邉弐貴(国学院栃木高校→明治大学)もいます。桂高校には行かなくても、能力の高い子が来てくれて今もトップレベルでプレーしているのは嬉しいですよ。最近は、それぞれのレベルでラグビーを好きになってくれたらいいと思っています。トップレベルの選手にならなくても、ラグビーが好きになって、テレビで見てくれるだけでいい。それぞれのラグビーを楽しんでくれたら良いと思います。

村上 生徒数をもっと増やしたいという気持ちはありますか。

小俣 ありますが、子供の数が減っていますし、なかなか思うようにはいきません。ラグビーワールドカップ日本大会のときも体験会を開催したりして、生徒数が増えたのですが、コロナ禍で止まってしまいました。ラグビーはとても面白いスポーツです。都留ラグビースクールは、その楽しさを知ってもらえるような指導をしていますので、ぜひ一度体験においでください。



ラグビーキッズ

ラグビーネットワークインフォメーション(ラグネット)

アンケート

1、ラグビースクールの名前 

 都留ラグビースクール

2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等

3、代表者名

 小俣欽司

4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先

 tsuru.rugbyschool.since2001@gmail.com

5、活動場所・練習場所

 都留市内のグラウンドを中心に活動中。

6、練習場所は天然芝、人工芝、土等

 小中学校のグラウンドがメインなので土です。

7、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等

 今年度は週末(土日)のみです。

8、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの

 協会登録料以外に\1,000/月が会費となります。

9、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等

 今年度は、男子:30人、女子:7人の37人です。

10、コーチ人数、指名、経歴等

 11名で中高校時代経験者です。

 中には大学での経験者もいます。

11、モットー・大事にしている事・理念

 「Fellowship,Friendship」・ラグビーの楽しさを体験する。仲間を大切にする。

12、特徴・全員試合出場など他のスクールとの違い

 ミニラグビーとタグラグビーの二刀流です。

13、歴史・活動実績

 2001年創部、サントリーカップ全国タグラグビー大会ベスト8、ヒーローズカップ出場

14、OB・輩出トップリーガー

 佐藤穣司(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)渡邉弐貴(HondaHEAT)

15、指導方針・教育方針

 一人一人の良さを大切にし、可能性を伸ばす。

16、合宿・場所・期間・参加年齢等

 夏・秋に実施。(夏季は菅平ジャンボリーに参加。)

17、ラグビー以外の行事

 夏にお楽しみイベント(BBQや川遊び、五右衛門風呂など)を実施しています。

18、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか

 掛け持ち可としており、状況把握していません。

19、保護者の活動への参加・サポート

 送迎や合宿時のサポートをお願いしています。

20、どんなスクールを目指すか(将来像)

 地域のラグビー文化の継承、発展のためラグビーの面白さを伝え続けたい。

21、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)

 ラグビーを楽しむ。仲間を大切にする。

22、プレースタイル

 キッキングラグビー

23、交流する他のラグビースクール

 ミニラグビー 山梨県内の各ラグビースクール、裾野ラグビースクール、西東京ラグビースクール

 タグラグビー 七国スピリッツ、小柳ライトニングス、いずみの森ユナイテッドベアーズ

24、交流するラグビー団体(学校・協会・トップリーグ等)

 都留興譲館高校ラグビー部、関東学院大学ラグビー部、都留文科大学ラグビー部

25、自由欄 

 創部20年目、小さな市のスクールですが、ラグビーを通し子どもの可能性を伸ばすべく一丸となって頑張っています。



保護者へのアンケート


1、このスクールを選んだ理由

 基礎体力を身につけさせたかったから。

2、このスクールの良い点

 勝敗だけに拘らないところ。人間性の向上。

3、スクールに改善して欲しい所

 練習環境の向上。

4、お子さんの変化・スクールに入って変わりましたか

 運動が好きになりました。

5、お子さんがスクールに入って生活に変化がありましたか

 早寝早起きが定着しました。

6、スクールを卒業してもラグビーを続けさせますか・続けて欲しいですか

 本人が望むなら続けて欲しい。(親として強制はしません。)

7、ご自身もラグビーをしていましたか

 中学校時代に季節部として経験済。

8、ご自身もラグビーが好きになりましたか

 好きになりました。

9、どんな大人になって欲しいですか

 正直に嘘をつかない努力する事が出来る大人。

10、スクールに入れてよかったですか

 良かったです。



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