【インタビュー】第13回▼東京西多摩ラグビースクール(東京都)

第13回▼「楽しく一生懸命」をモットーに、子供たちの成長を応援

2019年4月に設立された東京西多摩ラグビースクールは、東京の西多摩地区(青梅市、あきる野市、福生市、羽村市、瑞穂町、日の出町、奥多摩町、檜原村)をカバーして活動しています。以前は、あきる野ラグビースクールだったものを再構築したものです。羽村市の大多摩観光グラウンド、青梅市の青梅リバーサイドパークなどで毎週日曜日の午前中に楽しくラグビーをしています。実は、この地域にはラグビースクールがありませんでした。まさにゼロからあきる野ラグビースクールを立ち上げ、現在は東京西多摩RSの校長を務める清水佳忠さん(57歳)にお話をうかがいました。


西多摩地区の8市町村をカバーする

初めてのラグビースクール誕生


村上 清水さんがラグビースクールを立ち上げた経緯を教えてください。

清水 私はもともと八王子ラグビースクールのコーチをしていたのですが、西多摩地区にはラグビースクールがありませんでした。ラグビー協会の方とお話をしているときに、「あきる野市に住んでいるなら、その地区で作ってみませんか?」と打診されて、地域の方と相談した結果、あきる野ラグビースクールを立ち上げました。それが2015年です。運営をきちんとやりたくて、2019年にNPO法人Rugby Friendship Sport Promotion(略称:NPO-RFSP)を設立し、それと同時に西多摩地区をカバーできるスクール名に変更しました。

村上 清水さんは、神奈川県の相模台工業高校でラグビーを始められたのですね。

清水 そうです。その後、関東学院大学、NTT関東でプレーしました、のちにNTT関東とNTT東京が合併してNTT東日本(NTTコミュニケーションズシャイニングアークスの前身)になりました。30歳で引退し、1年間はFWコーチも務めました。会社員として各地に転勤し、東京に帰ってNTT東日本の応援団をしていました。自分の子供がラグビースクールに入ったのをきっかけにコーチングの道に入ったというわけです。

村上 日本ラグビー協会のA級コーチ、SAQレベル1インストラクターなど、さまざまな資格をお持ちですが、ラグビースクールの指導をしようと思ったのはなぜですか。※SAQトレーニングは、スピード、アジリティ(敏捷性)、クイックネスの頭文字由来。身のこなしの速さを身に着けるトレーニング法。

清水 ラグビーの種をまき、競技人口を増やすことが大切だと考えたからです。それが原点だし、子供たちにラグビーを好きになってもらいたいと思いました。

村上 そうやって伝えたくなるラグビーの魅力を清水さんはどう感じていますか。

清水 相模台工業は当時、全国大会の常連で練習も厳しかったので、ラグビーを楽しむ感覚はなかったのですが、関東学院大学で春口廣監督に出会って、ラグビーが大好きになりました。実際にラグビーをプレーして社会に出てみると、社会で役立つスポーツだと実感します。負けたくないという気持ちも鍛えられるし、人として成長できる。コミュニケーション能力も高まります。それを子供たちに味わってもらいたいんです。

村上 練習のコミュニケーションをとる工夫などされていますか。

清水 練習のなかで適宜コミュニケーションをとるようにしていますし、コロナ禍では、オンラインでトレーニング、ミーティングをしています。試合映像を見て、どんなことに気付いたか子供たちに発言してもらうこともあり、年齢層の下のカテゴリーは、コーチがクイズ形式でルールの知識を深めるようにしていて、これは面白いですよ。スクール全体に大人しい子が多いのですが、コミュニケーションについては意識が高くなっています。

村上 指導方法はプレーの原則を大切にされているそうですね。※プレーの原則=ボールの争奪→前進→サポート→継続性→プレッシャー→得点(トライ)

清水 基礎を身に着けるために、まずはプレーの原則からスタートします。子供たちはすぐに覚えますよ。

村上 コンセプトは「楽しく一生懸命」ですね。

清水 簡単な言葉ですが、一生懸命にやらないと楽しくなりません。これをキーワードにしています。試合は勝ちたいからやるのだから、そこは全力を出し切ろう、ということですね。

村上 そうすると、表情が険しくなって、力が入りすぎるような子もいるのではないですか。

清水 そうでもないんです。コーチも「絶対に勝ってこい!」なんて言いませんし、試合に入るときには、ふわっと入る子が多いです。私が経験してきたラグビーとは違うのですが、おだやかに送り出しています。それでも試合は真剣にやりますし、負けて泣いている子もいます。じゃあ、どうする?と聞くと、「勝ちたい」と答える。そのためにどうする? 「練習します」と、そんな感じで火をつけてあげるくらいですね。ただ、コーチ陣も厳しい言葉を発しないようにしています。


少ない人数だからこそアットホームに

豊かな人間性の獲得を目指して


村上 保護者が運営や指導に携わることはありますか。

清水 コーチは希望される方に手伝っていただくことはありますし、子供たちを送り迎えするお父さん、お母さんも一緒に練習に参加していただくこともあって、そのあたりはフレンドリーにやっています。今の子供たちはガツガツ感を出すのが難しいんですよね(笑)。

村上 保護者の方で昔ラグビーをしていたから、子供にもぜひやらせたい!という人はいらっしゃいますか。

清水 少ないですね。地域柄なのかもしれませんが、西多摩地区の8市町村で高校にラグビー部があるのも東海大菅生高校くらいで、あまりラグビーに関心のない地域なんです。このあたりは、サッカー、野球の熱が高いですね。

村上 2019年のラグビーワールドカップ(RWC)の影響はどうですか。

清水 それは大きかったですね。大会後は問い合わせが多かったし、私のNPO法人が、日本代表とアイルランド代表戦のパブリックビューイングを任せていただいて、青梅市の会館で私が司会しました。これは盛り上がって、関心は高まりましたね。

村上 他のスクールにない特徴はありますか。

清水 メンバーが47名だからこそできるイベントやサマーキャンプ、クリスマス会、ZOOMでの保護者会など行っています。これは、どこのスクールでもやっていることかもしれませんね。あとは、東京都とはいえ、豊かな自然を楽しめます。メインの練習グラウンドが羽村市にある大多摩観光グラウンドなのですが、天然芝の広いグラウンドです。予約制ですが、国の施設で使用料は無料。これを知ったときは嬉しかったですね。ラグビースクールの都大会の第二会場にもなっています。これまでの都大会は江戸川に全スクールが集まっていたのですが、それだと多摩地区の人は遠いのです。会場が選べるのは普及面で大きいです。

村上 今後どんなスクールにしていきたいですか。

清水 中学生がラグビーをする場所が少ないので、中学のカテゴリーの人数を増やしていきたいです。今は中学1年生が4人だけなのですが、この子たちは中学の部活にも入らず、うちのスクール一本でやってくれています。

村上 スクールとは別に、SAQトレーニングの清水塾というのを運営していらっしゃいますね。

清水 土曜日にやっているのですが、ラグビーに特化しない基礎体力アップのトレーニングです。スクールと両方に入っている子もいますし、ラグビースクールの練習のウォーミングアップにも取り入れています。

村上 書いていただいたアンケートに、「将来的には、実力だけではなく日本全国に、あのスクールね!と言っていただきたい」とありますね。

清水 この地域でラグビーといえば「東京西多摩」と皆さんの頭に浮かぶスクールになりたいですね。会員の募集は随時やっています。2019年のRWC後は体験会にも一回で20名くらい来てくれましたが、コロナで止まってしまいましたね。

村上 生徒にどんな大人になってほしいかという質問では、「何事にも感謝の気持ちを忘れず、社会に自立貢献できる人」とあります。

清水 ラグビーだけではなく、いろんなことを発信できる人になってほしいし、感謝の気持ちを持ち、人に優しくなるというところを学んでほしいのです。そして、最終的には、ラグビーをやっていて良かったなと思えるようになってほしいです。



ラグビーキッズ

ラグビーネットワークインフォメーション(ラグネット)

アンケート

1、ラグビースクールの名前

 東京西多摩ラグビースクール

2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等

3、代表者

 特定非営利活動法人Rugby Friendship Sport Promotion 代表 清水佳忠

 NPOの傘下で運営・・・東京西多摩ラグビースクール 校長・コーチ 清水佳忠

4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先

 東京都あきる野市舘谷128-3

 rugby.fsp1@gmail.com

 https://rugbyfsp.com/

 連絡窓口 清水佳忠

5、活動場所・練習場所

 ➀大多摩観光グラウンド〒205-0012 東京都羽村市羽

 ➁青梅リバーサイドパーク〒198-0051東京都青梅市友田町1丁目973-2

 ③東海大菅生高校ラグビーグランド〒197-0801東京都あきる野市菅生1468

6、練習場所は天然芝、人口芝、土等

 ➀天然芝

 ➁人口芝

 ③土

7、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等

 毎週日曜日9:00-12:00

 交流会は不定期(1~2ヵ月に1~2回)

 公式戦(都大会5月・11月/ヒーローズカップ)

8、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの

 年会費3.000円

 月会費1,000円×12ヵ月=12,000円 ※兄弟姉妹50%割引有

 合宿やイベント(卒業式等)の臨時会費徴収有

 ジャージや短パンなどスズキ、スポーツ・シンコースポーツと提携有

9、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等 (2021年1月末現在)

 中学4人、6年8人(女子2人含む)、5年3人、4年5人(女子1人含む)、3年4人(女子2人含む)、2年7人、1年8人(女子1人含む)、幼児8人

10、コーチ人数、指名、経歴等

 コーチ11人

 中学と高学年⇒清水(相模台工→関東学院大→NTT)、河野(報徳学園→東海大学→NTT)、栗林、石原

 中学年⇒鈴木(保善→法政大)、畑下(相模台工→関東学院大)、日比野

 低学年⇒古井、杉浦

 幼児⇒福島(相模台工→山梨学院大)、草間

11、モットー・大事にしている事・理念

 【目的】

  ラグビーフットボールを通じて、自ら考え課題を解決し、成長し続けることを学び、また、多様なヒューマンスキルを学ぶことによって、「社会に自立貢献できる人材」に成長する事を目的とする。

 【活動理念】

  ①身心ともに質を高める。

  ②安全第一のもと取り組む。

  ③一生懸命取り組む。

  ④最後まであきらめない。

  ⑤感謝の心を忘れない。

  ⑥仲間をつくり仲間を大切にする。

  ⑦ルールを守り地域社会へ貢献する。

 【コンセプト】

  「楽しく一生懸命」を基本とし、人間性を豊かにするための仲間づくりをしていきながら、子供たちの成長を応援していきます。

12、特徴・全員試合出場など他のスクールとの違い

 基本全員試合出場、NPO-RFSP主催サマースクール・クリスマス会開催

 社会貢献活動により地域清掃(ゴミ拾い)

13、歴史・活動実績

 2015年10月創立、現在6年目突入

14、指導方針・教育方針

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15、合宿・場所・期間・参加年齢等

 実績ですと春合宿GWの3日間、檜原村総合グランド等(小学生)

16、ラグビー以外の行事

 基本全員試合出場、NPO-RFSP主催サマースクール・クリスマス会開催

 社会貢献活動により地域清掃(ゴミ拾い)

17、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか

 可能

18、保護者の活動への参加・サポート

 保護者会やイベントでのサポート

19、どんなスクールを目指すか(将来像)

 人間性の向上とラグビースキルの向上

 将来的には実力だけでなく日本全国に「あのスクールね‼」と言っていただきたい

20、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)

 何事にも感謝の気持ちを忘れず、社会に自立貢献できる人

21、プレースタイル

 まだ確立できていません

22、交流する他のラグビースクール

 R&Bラグビークラブ、すみだラグビースクール、西東京市にしはらラグビークラブ、昭島ラグビースクール

23、交流するラグビー団体(学校・協会・トップリーグ等)

コム・シャイニングアークス(一部の選手)、東海大菅生高校ラグビー、明大中野八王子高校ラグビー部



東京西多摩ラグビースクール保護者6名によるアンケート


1、このスクールを選んだ理由

 A1:体験時に、他の子供達が楽しくラグビーの練習をしていたので、自分の子供に合っていると思ったから。

 A2:あきる野市在住として、あきる野発祥のスクールだったから入りました。

 A3:清水校長のSAQトレーニングに入っていたから

 A4:近場で探していたので

 A5:チームの雰囲気が良い。

 A6:子供がスクールに入っている友達に誘われたため

2、このスクールの良い点

 A1:勝つ事だけにこだわらず、子供達の特性を考えた指導をしてくれている。

 A2:ラグビーの楽しさを教えてくれる、優しいコーチがたくさんいるところ。

 A3:小さい子たちも楽しそうにのびのびと練習しているところ

 A4:保護者の方々の雰囲気もよく、何かあれば協力的な所

 A5:スクール生同士が仲が良く色々な子を仲間として受け入れてくれる。上の子が下の子の面倒を見る。コーチ達が優しく子どもを認めてくれる。

 A6:コーチの皆さんの情熱・人柄・青梅リバーサイドパーク

3、スクールに改善して欲しい所

 A1:対外試合を増やして欲しい。(コロナが終息したら)

 A2:練習の厳しさ。もっとハードにやっても良いと思う

 A3:もう少し試合に向けた実践的な練習を積極的に行なってほしい

 A4: 保護者の意見を聞いたり、もっと周りに耳を傾けて欲しいです。

 A5:コーチと保護者の意思疎通。

 A6:特にありません

4、お子さんの変化・スクールに入って変わりましたか

 A1:ありました。

 A2:友だちとの関わり方が変わったように感じる。リーダーシップをとれるようになりました。

 A3:苦手なことも練習すればできるという自信を持てるようになった

 A4:もっとラグビーが好きになりました。

 A5:人の事を考えることが出来るようになった。運動が苦手だが体を動かす楽しさを知る事が出来た。

 A6:チームのためにがんばる、ということを覚えた

7、お子さんがスクールに入って生活に変化がありましたか

 A1:ありました。

 A2:体幹トレーニングを自主的にやり始めました。

 A3:親としてはよく話を聞けるようになってほしいと思っているが、まだいまいち変化が見られない

 A4:声出しの部分で、学校でも周りに声をかけるようになり、担任の先生から褒められました。

 A5:親子共に休みはラグビー中心の生活になりメリハリがつき一緒に体を動かす機会が増えた。

 A6:ラグビーに全く興味の無かった我が家のテレビに毎週ラグビーウィークリーが流れている

8、スクールを卒業してもラグビーを続けさせますか・続けて欲しいですか

 A1:続けて欲しい。

 A2:続けて欲しいです。

 A3:本人に任せます。

 A4:させたい気持ちはありますが、本人の気持ちを尊重したいと思います。しかし、せっかく見つけた大好きなスポーツなので、ずっと続けて欲しいです。

 A5:出来たら続けて欲しい。

 A6:続けてほしいですが、中学生になったら自立心も大事なので、本人がやりたいことを尊重します

9、ご自身もラグビーをしていましたか

 A1:いいえ。

 A2:主人が高校から大学までやっていました。

 A3:いいえ

 A4:経験はございません。

 A5:していない。

 A6:全く興味ありませんでした

10、ご自身もラグビーが好きになりましたか

 A1:はい。

 A2:大好きです。

 A3:W杯で好きになりました。

 A4:お陰様で、とても好きになりました。

 A5:好きになった。

 A6:ラグビー関連のサイトやYouTubeの動画を見ない日はありません

11、どんな大人になって欲しいですか

 A1:ラグビーの試合中の時のように、自分で考え行動ができるようになって欲しい。

 A2:人の痛みがわかり、仲間を思いやる気持ちをもってほしいです

 A3:自分の意見をしっかり伝えられる、相手を思いやることができる大人になってほい

 A4:やりたい事を失敗を恐れずにチャレンジしてほしい。感謝の気持ち、優しい気持ちを忘れない人になって欲しいです。

 A5:自分の意見を持ち仲間を大切にする大人

 A6:自分のケツを自分で拭ける範囲で、やりたいことをやってもらいたいです

12、スクールに入れてよかったですか

 A1:はい。

 A2:コロナでなかなか練習が出来ない日々ですが、確実に心身ともに大きく育っていると思います。

 A3:まだ少しですが、スポーツに対して自信が持てるようになったと思うので、ラグビーをやらせてよかったです

 A4:よかったと思います。たくさんの試合に出させていただきました。本人は歯がゆい、悔しい思いばかりだったと思いますが。いい経験をさせていただけたと思います。

 A5:色々な習い事をさせましたがラグビースクールで人との関わり方を学び認められる喜びを知る事が出来たと思う。スクールに入れ本当良かった。

 A6:子供本人は気軽な気持ちで入ったので、「えらいところに入ってしまった」と思っていると思いますが、この先どこかで、とても大切な時間だったと振り返ってくれると思います。私個人は、子供と過ごす時間や会話の話題が増え、感謝しても仕切れない思いです。昨年さいたま市に引っ越し、スクールを変える選択肢もありましたが、引き続きお世話になっています。




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