【インタビュー】第10回▼茨木ラグビースクール(大阪府)

第10回▼ラグビーが好きでたまらないプレーヤーを育てる

茨木ラグビースクールは、創部1976年で大阪では2番目に長い歴史を誇っています。卒業生には、名プレースキッカーとして日本代表、トヨタ自動車で活躍した廣瀬佳司さん、元日本代表FBで現在はクボタスピアーズのアシスタントコーチを務める田邉淳さん他、多数のトップリーガーがいて、日本屈指の名門ラグビースクールといえるでしょう。原則として毎日曜日、大阪府万博記念公園少年球技場で活動しています。副校長の米田聡史さん(54歳)にお話を伺いました。


*村上晃一の「ラグネット」インタビュー

脈々と受け継がれる伝統

子供の夢を大切にする指導


村上 米田さんはどういう経緯で茨木ラグビースクールと関わるようになったのですか。

米田 私もこのスクールの卒業生です。1976年に創部された時、小学4年生でした。大阪府立茨木高校ラグビー部のOBがラグビー部の強化も見据えて立ち上げたようです。我々の世代は子供が多かったし、当時はサッカーよりもラグビーのほうが人気のある時代でした。一学年40名くらいで、全部で200名以上いましたね。その後、私は高校、大学、クラブチームでラグビーを続けました。その後は私の子供が幼稚園になって茨木ラグビースクールに入り、私もコーチとして戻ってきました。それが17年前です。

村上 生徒数に変化はありますか。

米田 各学年のチーム編成に困らない時期が長かったのですが、サッカー、バスケットボール、ダンスなど競合スポーツが多くなって、ここ10年ほどは部員が少なくなっています。ただ、2019年のラグビーワールドカップはインパクトが大きく、各学年20名以上になりました。もし、2020年も通常通りの活動ができていれば、昔の隆盛を取り戻せたと思います。

村上 入部希望者が減ったということですか。

米田 見学希望のメールなどいただくのですが、2週間前から体温を測ってもらうなど感染対策で簡単に来ていただけなくなりました。また、緊急事態宣言が出ている期間は地域の医療機関に負担をかけないという考え方で活動を自粛しています。

村上 総勢157名の生徒数とのことですが、女子選手が16名いますね。多いほうだと思いますが、何か要因はありますか。

米田 女子ラグビーが盛んになっていることと、茨木市には追手門学院があり、高校、大学に女子ラグビー部があります。今は他にも高校の選択肢があって、続けられることが大きいと思います。

村上 コーチも50名と多いですね。

米田 保護者の方が多いです。未経験者でも指導はしていただけますし、お子さんを連れて来て見ているなら、一緒にやりませんか、という感じで引っ張り込んでいます(笑)。それでラグビーを大好きになる方も多いですよ。

村上 OBに数多くのトップリーガーがいますね。これは何か要因がありますか。

米田 卒業生で最初に社会人ラグビーで活躍されたのは、本田技研鈴鹿の上野三四郎さんです。その後は世代を飛び越えて廣瀬佳司さん、伊藤宏明さん、田邉淳さんと続きました。私は、伊藤さんと田邉さんのお父さんにコーチを受けましたよ。廣瀬さんの学年は6年間無敗で1トライしかとられなかったほど強かったようです。良い選手が出る要因は分からないのですが、いい選手が続いた時期はありましたね。

村上 指導方針のなかに「ラグビーが好きでたまらない」というプレーヤーを育てよう、という文言があります。どんな工夫をされていますか。

米田 プレーヤーファーストの指導を心がけています。日本サッカー協会が無料配布している「めざせ ベストサポーター」という冊子があります。「子供自身の夢をゆっくり見守りましょう。あなたの夢ではありません」というような、コーチにも保護者にもとても良いことが書いてあります。それを一年に一回配布して、サッカーをラグビーに置き換えて考えてもらうようにしています。

村上 試合で勝つことは重視していますか。

米田 スポーツは得点を競い合うわけですから、勝ったほうが楽しいですよね。もちろん勝利は目指します。ただし、Aチーム、Bチームという分け方はせず、全員が均等な時間出場できるように心がけています。


40年以上続く定期戦では

遠征、ホームステイで社会勉強


村上 アンケートには、スクール生、コーチ陣、父母会が三位一体で運営しているということが書いてありますね。

米田 そう書くとカッコいいのですが、父母会の皆さんに助けていただいています。各学年2名ずつ父母会から役員を選出していまして、お手伝いいただいています。検温、消毒など最近は特にチーム運営に人手が必要なので大変助かっています。

村上 ラグビー以外の行事はどんなものがありますか。

米田 春は練習終わりにみんなで花見をして懇親会ということもあります。昔は、大人はお酒を飲んでいましたが、今はコンプライアンス重視でジュースです(笑)。お正月には餅つきもあり、年に何度か不要になったラグビー用具などを持ち寄ってバザーもやります。しかし、こうしたこともコロナ禍ではできなくなっています。ラグビースクールの小学生は友達と遊びたくて来ている子もいますから、イベントもやってあげないと可哀そうなのですが。

村上 他のスクールと、どんな部分が違いますか。

米田 それぞれに良い取り組みをされていますので、私たちだけの特徴というのは思い付きませんが、恵まれていると思うことがあります。茨木、吹田、大阪の3つのラグビースクールについては、万博記念公園少年球技場をホームグラウンドとして使わせていただいているんです。費用は払っていますが、倉庫があって用具を置いておくことができます。ボールやコンタクトバッグを毎回持ち帰らなくて良いのは負担が少ないです。

村上 ユニフォームのデザインとエンブレムの由来を教えてください。

米田 ユニフォームは白地に細い緑の2本線が入っていますが、実は大阪の古いラグビースクールはこのパターンで色違いなんです。コマツスポーツというメーカーの子供向けのユニフォームが当時はこれだったのかもしれないですね。エンブレムは、茨木市の花の薔薇です。イングランド代表のパクリかも(笑)。

村上 年間でターゲットを絞っている大会はありますか。

米田 6年生はドコモカップとヒーローズカップを目標にしています。ただ、担当するコーチによって考え方も違うし、全員が同じ時間出場して負けたら、それでいいじゃないかという考えと、ノックアウトトーナメントは一軍メンバーで行こうという意見が、せめぎあいます。実は、40年以上前から岐阜ラグビースクールと豊中ラグビースクールとの定期戦を実施しています。我々より世代が上のコーチの先生方は、ラグビーは定期戦が伝統だということもあって、茨木ラグビースクールとしてどこに重きを置いているかと言えば、この定期戦になりますね。

村上 日程も決まっているのですか。

米田 例年9月23日は豊中ラグビースクールとの定期戦があり、6月は岐阜へ遠征します。選手はホームステイします。逆に11月には岐阜ラグビースクールさんが大阪に来て、ホームステイする。在来線で移動し、相手チームの家庭にお世話になって一緒にご飯を食べて泊めていただく。そういう経験もラグビー以上の財産になると思います。

村上 米田さんご自身はラグビーの魅力をどう感じていらっしゃいますか。

米田 45年前にラグビーを始めて、関わり続けていますが、ラグビーでできた友達がこの年になっても付き合いがありますし、ラグビーは命がけの部分もあって、分かり合える部分がある。マイナースポーツゆえの濃さもあるかもしれませんが、子供たちに同じような体験をしてほしいと思っています。

村上 2021年は創部45周年ですね。何か計画はされているのですか。

米田 40周年ではOBにも帰ってきてもらってイベントをしました。今回もいろいろ考えていたのですが、コロナ禍でできなくなりました。次は50周年で何かしようと考えています。今は大変な時期ですが、みんなで協力してコロナを終息させて元通りの生活が一日も早く訪れることを願っています。そして、またみんなでラグビーを楽しめるように頑張りたいですね。



ラグビーキッズ

ラグビースクールネットワークインフォメーション

アンケート


1、ラグビースクールの名前

 茨木ラグビースクール

2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等

2、代表者

 校長 橋本 忠幸

3、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先

 住所:大阪府箕面市小野原西1-10-16

 スクール代表携帯番号:090-7115-5337

 スクールホームページ:http://ibaraki-rs.com/

 スクール問い合わせメールアドレス:ibarakirs@gmail.com

 問い合わせ先担当者:松山又は豊田

4、活動場所・練習場所

 大阪府万博記念公園少年球技場

5、練習場所は天然芝、人工芝、土等

 天然芝+土

6、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等

 通常練習は毎週日曜日実施(時間は都度)

 年間スケジュールはスクールホームページに掲載 http://ibaraki-rs.com/schedule/

7、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの

 入会費 5,000円

 年会費 15,000円(入校月により減額あり)

 ジャージ、ヘッドキャップ、ストッキングはスクールより購入。

 短パン、スパイクは市販のものを購入。

 その他、年齢(カテゴリー)により必要なものがあり。

8、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等

 幼年、小学部、中学部 総勢157名(2021年2月9日時点)

 女子選手 16名

 外国人対応 特に制限なし(現在も複数人在籍)

9、コーチ人数、指名、経歴等

 約50名(2021年2月9日時点)ラグビーの経験有無を問わず在籍

10、モットー・大事にしている事・理念

 目的)小学生・中学生及び未就学児を対象とし、社会体育の一環として、ラグビーフットボールにおける「練習」「ゲーム」「夏期合宿」などを通じ、将来ある子供達の心身の健全育成、仲間作り、相互信頼の醸成に努め、スクール生にラグビー競技の楽しさを覚えてもらうことを目的とする。

 基本理念)保護者と連携し、すべての子ども達にラグビーの指導を通して健全な人間育成をはかる

11、特徴・全員試合出場など他のスクールとの違い

 在籍するスクール生の試合への出場機会に対する平等性

 スクール生・コーチ陣・父母会の三位一体となった運営。

12、歴史・活動実績

 昭和51年(1976年)に大阪で2番目のラグビースクールとして開校、2021年は創立45周年。

 毎年、協会主催試合参加、夏合宿、特定スクールとの40年以上に渡る定期交流戦など。

13、OB・輩出トップリーガー

 主なOB

 廣瀬 佳司(ひろせ けいじ)島本高校→京都産業大学→トヨタヴェルブリッツ

 伊藤 宏明(いとう ひろあき)大阪工大高校→明治大学→サントリーサンゴリアス→ラクイラ・ラグビー→福岡サニックスボムズ→クボタスピアーズ→NTTドコモレッドハリケーンズ

 田邊 淳(たなべ あつし)シャーリーボーイズ高校- クライストチャーチ教育大学[NZ]→パナソニックワイルドナイツ→サンウルブズコーチ→クボタスピアーズコーチ

 宇薄 岳央(うすずき たけひさ)東海大仰星高校→同志社大学→東芝ブレイブルーパス

 小檜山 樹(こひやま しげる)関西学院高校→関西学院大学→栗田工業ウォーターガッシュ→NTTドコモレッドハリケーンズ

 小原 政佑(こはら せいゆう)東海大仰星高校→東海大学→トヨタ自動車ヴェルブリッツ

 清水 晶大(しみず あきひろ)京都成章→関西学院大→神戸製鋼コベルコスティーラーズ→豊田自動織機シャトルズ

 礒田 凌平(いそだ りょうへい)京都成章→立命大→リコーブラックラムズ

 川井 太貴(かわい たいき)常翔学園→近畿大学→日野レッドドルフィンズ

14、指導方針・教育方針(スクール定期総会資料より抜粋)

 1.「ラグビーが好きでたまらない」というプレーヤーを育てよう。

 2.ゲームをエンジョイできるプレーヤーを育てよう。

 3.上手になりたいと思い、そのために自ら挑戦し、努力するプレーヤーを育てよう。

 4.勝つために考え、工夫できるプレーヤーを育てよう。

 5.大人のプレーヤーを育てよう。

 6.コミュニケーション能力の高いプレーヤーを育てよう。

 7.プレーすることに誇りを持つプレーヤーを育てよう。

 8.相手とレフリーを尊敬するプレーヤーを育てよう。

 9.ノーサイドの精神を大切にするプレーヤーを育てよう。

15、合宿・場所・期間・参加年齢等

 創設以来各地で、ここ数年は岡山で実施。8月盆前後で2泊3日。小学部+中学部。

16、校歌等:スクール校歌

 あり。

17、ラグビー以外の行事

 春の懇親会、バザー、餅つき、運動会など

18、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか

 他のスポーツ、習い事、学校の部活等掛け持ちについては問題なく可能。

 実態の調査をしたことはないが半数以上は掛け持ちしている。

19、保護者の活動への参加・サポート

 父母会を立ち上げて頂いており練習や試合時のサポート対応をして頂いています。但し、他のスポーツで聞くようなコーチへのサポートは求めておらずスクール生に対するサポートに主眼を置いて頂いています。

20、クラブハウスあれば

 ホームグラウンドには公共施設ですがあります。

21、どんなスクールを目指すか(将来像)

 地域の皆様から愛されるラグビースクール

22、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)

 ラグビーが大好きな子供の気持ちをもった健全な大人

23、プレースタイル

 その時の子どもたちの特徴に合わせ、勝ちにのみこだわらない、楽しめるスタイル

24、交流する他のラグビースクール

 関西を中心に各地のラグビースクールと随時、交流試合実施

 40年以上定期戦を行っているのは岐阜ラグビースクール様、豊中ラグビースクール様

25、交流するラグビー団体(学校・協会・トップリーグ等)

 地域の公立・私立の各高校ラグビー部


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