【インタビュー】第1回▼Bring Up Rugby Academy

第1回▼「集団での『学び』から、対人間スキル、集団での問題解決能力を育てる」

今回の「ラグビーアカデミー・ネットワークインフォメーション」は、一般的なラグビースクールとは異なる「アカデミー」をご紹介します。2018年に発足したBring Up Rugby Academy(ブリングアップ・ラグビー・アカデミー)は、東京の調布市、足立区(北千住)、静岡市でウィークデーの夜に活動しています。小学3年生から中学3年生までが所属。楽しく、考える力を育てています。いったいどんな活動なのでしょう。代表は、2011年ラグビーワールドカップの日本代表キャプテンの菊谷崇さん(40歳)です。今回は、指導員の一人で、S&C(ストレングス&コンディショニング)コーチの臼井智洋さん(29歳)にお話を伺いました。


練習はゲームが中心で楽しい

内気な子もどんどん話すようになる


村上 臼井さんは、スーパーラグビーに参戦していたサンウルブズでもS&Cコーチを務めていますね。このアカデミーにはどのようにかかわっているのですか。

臼井 サンウルブズが解散した後、高校生以下の指導がしたくてチームを探していた時に、Bring Up Rugby Academy(BU)の代表である菊谷崇さん(元日本代表FL)に声をかけていただきました。菊谷さんがサンウルブズのスポットコーチを務めていた時に出会いました。もう一人、BUの小野澤宏時コーチ(元日本代表WTB)は、私が早稲田大学ラグビー部でS&Cコーチをしているときにスポットコーチで来てくださってお会いしました。そんな縁でBUのサポートをさせていただくことになりました。BU以外では高校(御所実業、東京など)のS&Cコーチもしています。

村上 S&Cコーチとは、どんな仕事をするコーチですか。

臼井 選手の体を大きく、強く、速く、繰り返し動き続けることができ、年間を通して怪我なくプレーできるよう作っていくのが仕事です。選手の体に関することはなんでもやりますが、一人で完結するのではなく、ラグビーのコーチ、メディカルのトレーナー、メンタルコーチ、栄養士などと連携して、選手の体作りを進めています。

村上 BUでの役割を聞かせてください。

臼井 最初のウォーミングアップを中心にトレーニングニューの組み立てですね。ラグビースキルの練習でも体の使い方をアドバイスしています。

村上 BUについて説明していただけますか。

臼井 正式には、Bring Up Athletic Society(ブリングアップ・アスレチック・ソサエティー)という団体で、アイスホッケー、野球、陸上競技、ラグビーという4つのスポーツで人間形成を目指しています。その中のひとつが、Bring Up Rugby Academyなのです。静岡、北千住、調布の3カ所で開校しています。特徴は特定の試合に対してチームを作るのではなく、ラグビーを通じて集団で学び、対人スキル、集団での問題解決能力、いわゆるコミュニケーションの部分を伸ばしていくアカデミーです。練習のほとんどがゲーム中心で、タッチフットがメインです。どんどんルールを変更し、自分達のチームがどうやって勝つか、子供たち自身が作戦を練り、チームトークをしながら、対人スキルを学んでいます。

村上 どんな世代の子供たちがいるのですか。

臼井 小学3年生から中学3年生です。小学生が100人弱、中学生が30人から40人です。近隣のラグビースクールに所属しながら、水曜と木曜だけBUで練習するという子もいます。小学生は、普段は違う競技をやっている子もいます。ラグビーを知らない子もいて、そういう子には、子供同士でサポートしています。

村上 BU設立の目的を教えてください。

臼井 ラグビーを通じて、集団での問題解決能力を育みたいというのが一番です。ラグビー以外のアカデミーも同じ目的です。ゲームをするときの人数は、そのときどきで違いますが、チームにキャプテンのような立場を作らず、60分のセッションの中でもメンバーを代え、みんなが話す機会を作ります。なかなか言葉が出ない子には、コーチが促すこともあります。みんながリーダーで、みんなで考え、みんなが周りの意見を聞く。そして、集団として考えをまとめることを要求しています。最初は話せない子も、どんどん話せるようになりますよ。

村上 ラグビー以外のスポーツ体験もあるのでしょうか。

臼井 ウォーミングアップのときに、いろんな動作を経験してほしいので、違う競技の要素も入れています。サッカーボールを蹴り、フリスビーを取り入れたこともあります。アカデミーでやっている4競技すべてのコーチが集まって、アイスホッケー、野球、陸上競技を順番に体験することもしました。



ラグビーの上達よりも

人間的成長に重きを置く


村上 入会方法を教えていただけますか。

臼井 ホームページから申し込めるのですが、まずは体験に来ていただいて入会するかどうか決めてもらっています。ただ、調布校が定員いっぱいの学年がありまして、入れないケースがあるかもしれません。静岡と北千住は空きがあります。

村上 保護者の皆さんから、子供たちの変化についてどんな声がありますか。

臼井 「週末のラグビースクールでよくしゃべるようになった、周りが見えるようになったという声はよく聞きます。ただし、人間的な成長に一番の重きを置いてやっています。ラグビーを通じての教育なので、ラグビーも上手くなってほしいですが、それが最優先ではありません。

村上 臼井さんが感じる、最近の子供たちの特徴はありますか。

臼井 身体のことに関して言えば、巷で言われている通り、運動能力が落ちている子が多いです。外で遊んでいないのでしょうね。「外で鬼ごっこばかりしていました」、「公園でサッカーばかりしてました」という子が少ないのです。ラグビーボールはキャッチできるが、テニスボールがキャッチできない。野球のボールを高く投げ上げると、どこに落ちてくるか分からない。サッカーボールもどう弾むか予測がつかない。そういった運動に慣れていないようです。「馬飛び」も分からない。最近は学校でもやらないので、どれくらいの間隔で並べば次々に飛べるのかが分からないのです。

村上 筋力も落ちているのでしょうか。

臼井 そういう子もいますね。ちょっとした運動でへとへとになってしまう子もいます。だから、僕らコーチもウォーミングアップの中でボールを蹴る動作を加え、馬飛びレースで、お互いの距離感を知るようなことは意識的に取り入れています。

村上 運動能力や筋力が落ちると、日常生活にはどんな弊害が考えられますか。

臼井 ちょっとしたスポーツ活動で怪我をしてしまうかもしれません。運動が嫌いだという感情も出てくるでしょう。また、乗っている自転車が倒れて大怪我をしてしまうとか、そういう心配は当然出てきます。少しでもいいので、毎日外で運動してほしいです。そうなると、それぞれのスポーツで活躍する子供たちの分母が増えてくると思います。

村上 最後に、BUから保護者の皆さんや、子供達へのメッセージをお願いします。

臼井 僕らが大事にしている対人コミュニケーション、問題解決能力というのは、学ぶ機会が少ないのが現状です。ぜひ、BUで体験していただきたいです。子供たちにすれば、仲間と楽しく話していたら、自然にそういう能力が育まれていたということになります。私が所属した早稲田大学ラグビー部も、勝てない時期がありました。その時はコミュニケーション能力を高めることが出来ていなかったと思います。子供たちが自ら考え、主体的に行動する訓練をすると、日常生活でも主体的に動き、集団の中で物事を解決することが習慣化されます。それができるようになって、早稲田大学も勝てるチームになり、昨年は優勝、今年は準優勝できたと思います。大学生からではなく、小さな頃から、自然に当たり前のようにできるようになっていくのが理想的です。集団でラグビーを楽しむことで、コミュニケーション能力が高まることを、ぜひ皆さんに体験していただきたいです。



ラグビーキッズ 

ラグビーアカデミーネットワークインフォメーション 

アンケート

                       

1. ラグビーアカデミーの名前 

 Bring Up Rugby Academy

2. シンボル・ユニフォーム・エンブレム等 

 



3. 代表者名

 菊谷崇

 4. 住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先  HP参照

 https://www.bu-as.com/

5. 活動場所・練習場所  

 東京:調布市・足立区    静岡県:静岡市

6. 練習場所

 天然芝、人工芝、土等  人工芝

7. 活動時間、スケジュール、年間スケジュール等  

 年間40回

8. 入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの 

 HP参照
  https://www.bu-as.com/

9. コーチ人数

  2~4人 

10. モットー・大事にしている事・理念 

  一度の人生における最高な決断をするための人間形成を創造する!

11. 指導方針  

 集団での『学び』から、対人間スキル・集団での問題解決能力を育てます。

12. ラグビー以外の行事  

 マルチスポーツ体験会

13. 他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか

 可能

                                                           



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