【インタビュー】第4回▼練馬ラグビースクール(東京都)

第4回▼「友達をつくろう!楽しもう!」

全国のラグビースクールの特色を紹介する「ラグビースクール・ネットワークインフォメーション」第4回目は東京の練馬ラグビースクール(RS)をご紹介します。東京都練馬区で活動するこのラグビースクールは、1988年創立。現・東京高校ラグビー部監督の森秀胤(もり・ひでつぐ)監督のお父さん、森豊秋さんが創始者です。生徒数は現在約300名(女子40以上)に達する大所帯。51名のコーチが選手たちの自主性を大切に指導にあたっています。卒業生は関東近県を中心に高校、大学でも活躍しています。八木克明校長にお話を伺いました。


とにかくラグビーを続けてもらう仲間が増え、子供たちのプラスになる


村上 八木さんは同志社大学では柔道部だったそうですが、練馬RSとの関係ができたのは、いつなのですか。

八木 長男(頌太郎さん)にラグビーをやらせたいと思って、大学の先輩に相談したら練馬RSを紹介されました。長男が幼稚園の年長だったときに体験に行きました。それから中学3年生までラグビーを楽しみました。

村上 八木さんの大学時代だと、同志社大学が強かった頃ですが、ラグビーはよく見ていましたか。

八木 英語の授業が中尾芳門(同大→本田技研鈴鹿)、綾城高志(同大→神戸製鋼)たちと一緒でした。よくラグビー部の応援に行っていて、大学選手権で国立競技場にも行きましたよ。

村上 校長に就任されたのはいつなのですか。

八木 2019年です。最初は保護者会の副会長を務めて、事務局に入って事務局長になり、前の校長(神崎篤さん)から副校長就任を依頼されました。それで、神崎校長が辞められるときに誰も手を挙げなくて、これではいけないと思って「僕がやります!」と手を挙げたら、「どうぞ、どうぞ」ってダチョウ倶楽部みたいな感じで校長になりました(笑)。

村上 モットーが「友達をつくろう!楽しもう!」ということですね。

八木 スクールを作った森さんのモットーが、ラグビーをやりたい子はみんな入ってもらって、ラグビーを続けてもらおう、ということなんです。コーチがいろいろ言うよりも、子供たちは勝手に仲良くなっていくので、続けさせてあげることが子供たちのプラスになるという発想です。そのためには、幼児と低学年は楽しくやる。ただし、できるだけ休まずに来てもらうことを大事にしています。

村上 アンケートにはスクール生が270名ということで大所帯ですね。

八木 それは2020年7月時点で、今は300名を超えています。

村上 いつ増えたのですか。

八木 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で活動を休んでいたのですが、6月から中学、幼児は8月と徐々に再開したのですが、そこで30名増えました。東京、神奈川、埼玉はラグビーワールドカップ2019でラグビーに魅せられ、関心度も高くなっています。ホームページやFacebookで「体験できます」と告知するだけで毎週1人か2人、多い時は5、6名来てくれますね。

村上 女子も40名と多いですね。

八木 長男が始めた後、幼稚園の年中だった長女(菜摘美さん)も練馬RSに入りました。一学年上に女子が4人いて、その子たちが中学を卒業するまで来てくれたので後が続きましたね。石見智翠館高校ほか、いろんなチームで続けてくれている子が多いです。

村上 スクール生が増え始めたのはいつ頃ですか。

八木 2015年のラグビーワールドカップから急に増え始めた。それまでは幼児から中学3年生まで、130人くらい。2015年に南アフリカ代表から歴史的勝利をあげてから、230くらいをキープしています。東京のスクールは同じような傾向です。1980年代はラグビー人気が高く、それを覚えている世代が今の子供たちの親だということもあると思います。


子供たちを型にはめない自分で考えるクセをつける


村上 保護者のアンケートで、練馬RSの良い点は「仲が良くて試合でも声を掛け合う姿がとても素敵です」とあります。

八木 うちの長男の代があまり声を出さなくて(笑)、意識的にコーチが「声を出そう」と言うようになりました。それが実ってきて仲間同士的確な指示を出すようになってきました。ラグビーはコミュニケーションをとらないと上手くいかないスポーツです。練馬RSの子供達も仲が良いですし、いろんな学校から来ているスクールの友達と普段から遊ぶような感じになっていますね。

村上 他のスポーツと掛け持ちでやっている生徒もいるのですか。

八木 小学校のうちはサッカー、野球、バスケットボールなどと並行している子が多いです。中学の部活も制限はしていませんので、部活でバスケットを選択する子も多いですね。バスケットはディフェンダーとの間合いのとり方が学べるようで、ラグビーでも頼りにされている子が多いです。凄い子は、平日はレスリングをやって、土曜日はサッカー、日曜日はラグビーと休みなく運動していますよ。過去には、ラグビーからサッカーやバスケットに転身した子もいました。好きなスポーツをするのが一番なので、止めることはしません。

村上 規律とマナーを大切にされているようですね。

八木 他のスクールに学んだことですが、練習の始まりと終わりにはグラウンドに礼をしています。各自の荷物も整頓して並べて置く。だんだん身についてきています。小さな子はお兄さん、お姉さんの真似をします。保護者の皆さんにも家庭でのしつけをお願いしていますが、窮屈にはしないでくださいとは言っています。

村上 OBもいろんなチームで活躍していますね。

八木 大学では早稲田大、慶應義塾大、大東文化大、日大、日体大、武蔵大、高校も桐蔭学園、東福岡、早稲田実業、川越東、昌平、東京ほか、さまざまな学校でラグビーを続けてくれています。卒業生の7割が続けますし、小学生から中学生に上がるときにも、ほとんど辞めませんね。

村上 八木さんご自身はラグビーというスポーツの魅力をどう感じていますか。

八木 僕は柔道、レスリングという個人競技しか経験がありませんでした。仲間と一緒に試合を組み立ててプレーするというのは同じスポーツでもまったく違いますよね。一人が突出していても勝てない。逆に突出した選手がいなくても勝てる。試合中に仲間をどれだけ信じて、信じられた方はどれだけ自分の役割を果たせるか。協調、協同することで力が何倍にもなる。そのパワーは凄いと思います。

村上 ラグビーによって子供たちは変わりますか。

八木 最初はぶつかり合うのを怖がっていた子供が、豹変することがあります。先日も交流戦で練馬の女子選手が相手の女子選手にタックルされて思い切り倒されました。怪我はなかったけれど泣いていました。それは悔しくて泣いていたんです。少し退場した後、もう一度プレーすると、エンジンがかかったみたいに、どんどんタックルに入っていました。悔しがったり、仲間に声をかけてもらって励まされたりして、力が引き出されるのですね。

村上 練馬RSの特徴を改めて教えてください。

八木 創立者の森さんの意志が大きいのですが、子供たちを型にはめないですね。いろんなことを提示して、子供たちに決めてもらう。自分で考えるクセをつけるのがコーチたちの目標でもあります。その後、どんな道に進んでも、自分で考えるクセをつけておけば上手くやれるのではないかと思いますので。

村上 今後、どんなチームにしていきたいですか。

八木 コーチたちと常々言っているのは、スクールは通過点だということです。通過していく中で総じていい思い出を持って卒業してもらおうということです。甘い思い出ではなく、試合に負けた悔しさや、自分で工夫すればどうにかなったんだろうという問題意識を持って、ラグビーだけではなく、他のスポーツでも生かして活躍するような子になってもらうのが一番の願いです。



ラグビーキッズ

ラグビーネットワークインフォメーション(ラグネット)

アンケート

    

1、ラグビースクールの名前
 練馬ラグビースクール

2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等
 紅白段柄(以前の日本代表イメージです)

※画像をクリックするとサイトに飛べます。

3、代表者
 代表  小林みつぐ 校長  八木克明

4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先
     nrs.oshima.mki@gmail.com 事務局長 大嶋

5、活動場所・練習場所
 練馬総合運動場、大泉中央公園陸上競技場グランド、大泉さくら多目的運動場

6、練習場所は天然芝、人工芝、土等
 練馬総合、大泉さくらは、人工芝、 大泉中央は土グランドです。

7、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等
 主に、日曜日・祝日に3h程度。月1~2回土曜日3h程度。

8、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの
 年会費、月例会費合わせて16,000円程度(U8以下は安価)

9、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等
 U6~U15合わせて270名 うち40名女子選手

10、コーチ人数、指名、経歴等
 U15 15名 U12 12名 U10 10名 U8 10名 U6 4名
 合計51名 ラグビー経験者7割

11、モットー・大事にしている事・理念
 友達をつくろう! 楽しもう!(スクール生)
 スクールは通過点。子供達がラグビー好きで卒業させましょう(コーチ、保護者)

12、特徴・全員試合出場など他のスクールとの違い
 基本試合は全員出場します。ノビノビと、規律とマナーはキビキビと!

13、歴史・活動実績
 1988年創立

14、OB・輩出トップリーガー
 須藤元樹(サンゴリアス)、堀米航平(ブラックラムズ)、島田悠平(スピアーズ)
 その他、トップイースト、ウエストに数名在籍あり

15、指導方針・教育方針
 少年少女たちにラグビーフットボールの楽しさを体験させるとともに健全な心身の発育発達を促し、好ましい社会性の涵養を助成する。 練習や試合を通してラグビースピリットを身につけさせ、将来有為な社会人として成長することを期す。

16、合宿・場所・期間・参加年齢等
 菅平7月下旬 2泊3日 U10~U15

17、校歌等
 ラグビーソングが有った様子ですが、歌い継がれていません。

18、ラグビー以外の行事
 クリスマス会、豚汁会、BBQ大会(今年度はコロナで中止)

19、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか
 詳細データは取っていませんが、30~40%サッカー、レスリング、ピアノ等

20、保護者の活動への参加・サポート
 保護者向け体操教室(来年度は指導者が居なくなるため休止見込)

21、どんなスクールを目指すか(将来像)
 チームスピリットが知らず知らずのうちに身に付くスクール

22、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)
 自身で考えて、行動していける大人になって欲しい

23、プレースタイル
 当たり前の事をきちんとこなせる愚直なストロングスタイル!

24、交流する他のラグビースクール
 杉並RS、早稲田クラブ、葛飾RS、世田谷RS、小金井RS、府中BPjr、川越RS、その他

25、交流するラグビー団体(学校・協会・トップリーグ等)
 練馬区ラグビーフットボール協会 練馬クラブ




保護者へのアンケート

1、このスクールを選んだ理由

 既に在籍していた学校の友達に誘われて

2、このスクールの良い点

 仲が良く練習でも試合でも声を掛け合う姿がとても素敵です。体験の子や新しく入ってきた子に対して優しい。

3、スクールに改善して欲しい所

 情報伝達が整備されてきたのでさらに良くなることを期待しています。

4、お子さんの変化・スクールに入って変わりましたか

 変わりました。協力することの大切さを学び友達を思いやる気持ちが生まれました。

5、お子さんがスクールに入って生活に変化がありましたか

 外で運動する機会が増えました。よく笑い、よく食べて、ぐっすり眠るようにもなりました。

6、スクールを卒業してもラグビーを続けさせますか・続けて欲しいですか

 ぜひ続けて欲しいです。

7、ご自身もラグビーをしていましたか

 息子が始めるまでラグビーに関する知識は0でした。

8、ご自身もラグビーが好きになりましたか

 家族全員ラグビーに魅了されました。

9、どんな大人になって欲しいですか

 笑顔を大切に何事にも全力で取り組み、成功しても失敗してもそれを糧にできるような大人になって欲しいです。

10、スクールに入れてよかったですか

 正直ラグビーをしていなかったら、どうなっていたんだろう?と思うほどに良い方向へ向かっています。考え方、ここで得た仲間、などかけがえのない経験をさせていただいております。



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