【インタビュー】第5回▼草ヶ江ヤングラガーズクラブ

第5回▼「21世紀の人づくり」

全国のラグビースクールの特色を紹介する「ラグビースクール・ネットワークインフォメーション」第5回目は福岡県の草ヶ江ヤングラガーズクラブ(YR)をご紹介します。1970年創立で、現存するラグビースクールでは福岡県でもっとも歴史が長くなりました。名選手も多数輩出し、現在も垣永真之介(サントリーサンゴリアス)、鹿尾寛太(ヤマハ発動機ジュビロ)など多数のトップリーガーが活躍中です。生徒数は保育園・幼稚園の年中から中学3年まで約250名。ニュージーランドのクラブとの定期的な交流など魅力的なイベントも多数あります。今回は、本江嘉将事務局長にお話を伺いました。


父親も指導、運営に参加して楽しみ、

礼儀や挨拶もしっかり教え込む


村上 本江(もとえ)さんが草ヶ江YRに関わることになったきっかけを教えていただけますか。

本江 今から6年前、長男・篤識(あつのり)が小学1年生のときのことです。サッカーをしていましたが、祇園山笠に参加する子供たちの仲間に草ヶ江YRでラグビーをしている子がいまして、誘われて体験したところからです。長男もその体験が楽しかったようで、草ヶ江YRに入ることになりました。私もラグビー経験者ではなかったのですが、そこから縁ができました。

村上 草ヶ江YRは保護者の方が運営にかかわる決まりがあるそうですね。

本江 基本的に父親が必ず参加することが前提です。ラグビー経験者はコーチに指名されるのですが、私のような未経験者は、1年目は学年委員になり、息子の学年に付き添って道具の準備などの手伝いをしました。それがコーチになる準備で、2年目からは息子の学年を離れて、別の学年のコーチをしました。

村上 事務局長になられたのはいつですか。

本江 昨年からです。任期は2年。事務局は約30名で構成され、月1回の会議があり、グラウンドの手配や、イベントの調整などを担当します。対外的な試合の調整ほかすべて事務局で行って、コーチにお願いするという形です。

村上 草ヶ江YRの成り立ちについて聞かせてください。

本江 1970年、橋本新八郎という方が、若者の教育に危惧を抱き、もっと逞しく育てなければいけないと考えた。それにはラグビーが良いということで、経験者を募って福岡市の草ヶ江小学校の校庭で始まりました。

村上 入部前に研修期間があると伺いました。

本江 1年目の子たちは、1月~3月に「新人研修」があります。ボールを持たず、柔軟体操や、前転、後転、逆立ちなどで体の使い方を学び、基礎体力を鍛えていきます。寒い時期ですが、シャツ一枚で約3時間、親も参加してトレーニングします。研修が終わると、柔軟と腹筋のテストがあり、それに合格すると、バッヂと背番号付きのジャージが手渡されます。ただし、入学はいつでも受け入れていまして、4月に入った子供は普通に活動したあと、新人研修に臨みます。

村上 自分の子供のコーチはしないようですね。

本江 我が子のいる学年のコーチにはなれません。自分の子供をコーチすると、良くも悪くも他の子供と接し方が変わってしまうからです。草ヶ江のコーチになったら、すべての子供たちが自分の教え子だという目線ですね。また、草ヶ江の父親は全員「先生」と呼ぶことになっていますす。父親同士も「先生」と呼び合います。

村上 なぜ「先生」と呼ぶのですか。

本江 子供たちに礼儀や挨拶、社会人になるために大事なことを教える役割があるからです。学年委員もラグビーは教えなくても、子供たちに礼儀は教える位置づけです。コーチは担当する学年を教育する先生です。


2年に一度はNZのクラブと交流

人間的な成長を大切に考える


村上 卒業生のトップリーガーが指導にいらっしゃることもありますか。

本江 OBの方が、自分のお子さんを連れて帰ってくることが多いですね。もともとはお父さんに連れられて草ヶ江YRに来ていた卒業生が、トップリーガーになり、ご自身の子供を連れて帰ってくることもあります。九州電力キューデンヴォルテクスの監督を務めた川嵜拓生さん(修猷館高校→同志社大学)は、草ヶ江YR出身で、お子さんも中学2年生で所属しています。川嵜さんもコーチをしていますよ。

村上 ラグビー以外のイベントも充実しているようですね。

本江 春はお花見、夏は合宿、冬は「修学旅行と称して、中学1,2年生が大阪旅行をします(※今年度はコロナで行けず)。年末年始に行くのですが、花園ラグビー場で全国高校大会を観戦して、予定が合えば大阪のラグビースクールと交流します。一番大きなイベントは、ニュージーランドのオークランドのワイテマタラグビークラブとの交流です。創立まもない時期からスタートしており、2年に一度、ニュージーランドに遠征するか、向こうが来日するかで交流しています。期間は約10日。小学5、6年生、中学1、2年生が対象です。

村上 息子さんはラグビーをして変わりましたか。

本江 サッカーをしていたのですが、すっかりラグビーが一番になりました。「サッカーは軟弱で嫌だ」と言います(笑)。ラグビーの仲間を大事にしていますね。体もがっちりしたし、コーチに対してリスペクトする気持ちも強く、逞しくもなりました。小学6年生の選手が、ある試合で肋骨を痛めたのですが、何も言わずに2試合出場していたんです。その話を息子にしたら、「俺もそうすると思う。みんなそうするんじゃないかな」と。みんな精神的なタフさを身に着けたのだと感じました。

村上 本江さんご自身は変わりましたか。

本江 私のほうがラグビーにハマっていますね。テレビを録画してラグビー観戦するのが最優先の趣味になりました。ラグビーワールドカップも楽しみました。2019年の大会直前にニュージーランドのクラブの子供達が来日したのですが、私の家にもホームステイしてもらいました。息子も仲良くなっていましたし、ワールドカップイヤーは、私にとっても草ヶ江YRにとっても思い出に残る年になりました。

村上 最後に、ラグビーを始めようかなと思っている子供達、その保護者の皆さんに草ヶ江YRの魅力を伝えていただけますか。

本江 良い選手もたくさん育っていますが、ラグビーを楽しむのが第一のクラブです。特に低学年は楽しくやっていますし、高学年になっても一生懸命やることで楽しもうというスタンスで取り組んでいます。ラグビー選手を育てることだけが目的ではなく、仲間づくりや、ラグビーを通じて人として成長することを大切にしています。お子さんをラグビースクールに入れようかを思っている親御さんがいたら、ぜひ教育の一つとして取り組ませようと考えていただきたいです。父親が中心に関わることも草ヶ江YRの特徴です。厳しさと寛容さをもって子供たちに接していくという意味では、親にとっても勉強になるクラブです。ホームページに問い合わせフォームがありますので、そちらからお申し込みください。ホームページに練習場所も掲載しています。福岡市西区小戸公園という場所が多いのですが、直接、グラウンドに来ていただいても大丈夫です。ぜひ、声をかけてください



ラグビーキッズ

ラグビーネットワークインフォメーション(ラグネット)

アンケート


1、名前

草ヶ江ヤングラガーズクラブ

2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等

「芙蓉の花」

※画像をクリックするとサイトに飛べます。


3、代表者

合屋 栄太郎


4、住所・連絡先・担当者等

住所  〒812-0054 福岡市東区馬出4-8-16 合屋 栄太郎

連絡先 〒815-0075 福岡市南区長丘3-8-7  本江 嘉将(担当者)


5、活動場所・天然芝・人工芝

小戸公園(土+雑草)、雁ノ巣等(基本専用グランドはありません)


6、活動間

日曜日 9:00~12:00 (中学は土・日 主に9:00~12:00)


7、入会費・会費・用具費用

入会金:5,000円  年会費:20,000円 用具費:15,000~20,000円程度


8、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人

総人数 約250名 (内女子:12名、外国人:数名)


9、コーチ人数

150名程度


10、モットー・大事にしている事・理念

「21世紀の人づくり」を理念として、ラグビーを通じた人づくり、人格形成が目的


11、特徴・全員試合出場など他のスクールとの違い

・ボランティア団体なので、専門のコーチではなく父兄の協力を基本とする。

・専門性の高い中学は例外として、基本自分の子供の学年以外のコーチをお願いする。

・日常の練習から親子共々「規律」を重んじる。合宿・修学旅行・NZ国際交流等子供達の体験等を重視。


12、歴史・活動実績

・1970年6月設立。今年(2020年)で50周年を迎える。

・福岡県中学ラグビーフットボール新人大会 クラブ通算 優勝12回 準優勝6回

・福岡県中学ラグビーフットボール県大会  クラブ通算 優勝9回 準優勝13回

・新島杯九州ラグビーフットボール大会   クラブ通算(Aグループ) 優勝 12回 準優勝 5回


13、OB・輩出トップリーガー

村田 亙、淵上 宗志、川嵜 拓生、北川 賢吾、鹿尾 貫太、垣永 真之介、月田 伸一、鬼束 竜太、

三角 公志、森田 啓介、山本 英児、川嵜 耕大、有馬 昌宏、和田 耕二


14、指導方針・教育方針

・ラグビーを通じた「21世紀の人づくり」

・変化にとんだ楕円急を通して組織だったラグビーの技能を身に着け、筋力、持久力、敏捷性等の基礎体力を養うとともに、集団の中での自己の役割を自覚させ、自主的、協力的に行動できる青少年の育成。


15、合宿・場所・期間・参加年齢等

・8/13-16 大分県鯛生スポーツセンター 小学1年~中学2年生迄


16、校歌等

『紺碧の空』

(歌詞)

「おお草ヶ江ヤングラガーズ  

紺碧の空のもと 僕らの血は踊る 友と手を取り 肩を組み 力強く 駆けようよ おお草ヶ江ヤングラガーズ

太陽のように 僕らは逞しい 心と心の ふれあいを 夢と希望を 求めあう おお草ヶ江ヤングラガーズ


17、ラグビー以外の行事

・ニュージーランド国際交流 基本2年に1回ホーム&アウェイ方式でニュージーランド・オークランド所属:ワイテマタラグビークラブとホームスティ&交流試合。

・大阪修学旅行(花園観戦と関西のチームとの試合)  12/31-1/3  対象:中学生

・年末餅つき総会 対象:全員


18、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか

・基本小学迄日曜のみの練習のため、可能。むしろ他のスポーツの経験を推奨。(人数把握してない。)


19、保護者の活動への参加・サポート

・基本、全員協力要請。

「コーチ」ラグビー経験者は全学年対象、未経験者も特に小学低学年コーチを協力要請。

・コーチ以外として、事務やその他雑用をする「学年委員」、全体を統括する「事務局」をお願いする。


20、クラブハウス

・福岡県城南区東油山3-21-26


21、どんなスクールを目指すか(将来像)

・独自グランド・クラブハウスを所有し、社会人チームを有するヨーロッパ型のクラブチーム。


22、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)

・集団の中での自己の役割を自覚させ、自主的、協力的に行動できる人間。

・将来の日本、そして世界を担う人間


23、プレースタイル

・特に定めていない。時代・学年毎の傾向・特性等で変わる。


24、交流する他のラグビースクール

・長崎ラグビースクール、ワイテマタラグビークラブ、りんどうヤングラガーズ、中鶴少年ラグビークラブ等 その他福岡県内のラグビークラブ


25、交流するラグビー団体(学校・協会・トップリーグ等)

・(グランドをお借りする)コカ・コーラレッドスパークス、九州電力キューデンヴォルテクス、福岡歯科大学等



保護者へのアンケート


1、このスクールを選んだ理由

・歴史ある大きなクラブで規律も取れており、クラブの目指す「21世紀の人作り」に共感しました。また、クラブの雰囲気も活気があり、他学校の友達が出来るなど交流の幅が広がる良い機会だと思い入部しました


2、このスクールの良い点

・コーチや学年委員、事務局員などクラブ運営スタッフを保護者やOBがボランティアで運営しており、利害関係がなく楽しく練習に参加できる事です。また、試合に勝つことよりも、子供達の人材育成に力を入れているところです。


3、スクールに改善して欲しい所

・小学生と中学生が別々のグランドで練習しており、交流が少ないので機会を増やして頂きたいです。


4、お子さんの変化・スクールに入って変わりましたか

定期的な交流試合や夏合宿等を通じて、着替えの準備など自分の事は自分で出来るようになりました。


5、お子さんがスクールに入って生活に変化がありましたか

週末も午前中練習なので、平日同様早起きの習慣がつき、規則正しい生活が出来るようになりました。


6、スクールを卒業してもラグビーを続けさせますか・続けて欲しいですか

・クラブを通じて学んだ規律やラグビーのチームプレイを大切に今後も続けて欲しいです。


7、ご自身もラグビーをしていましたか

・私自身はラグビー未経験ですが、チームに関わる事ができ良い経験になりました


8、ご自身もラグビーが好きになりましたか

・チームの為に体を張り一体となって勝利を目指す、そしてゲーム終了後はノーサイドの精神を掲げるラグビーの魅力に惹かれました。


9、どんな大人になって欲しいですか

・チームの為、そして社会の為に尽くせる大人になって欲しいです。


10、スクールに入れてよかったですか

・たくさんの大人から指導を受ける事で、学校以外で子供の成長に必要な躾や教育をして頂きました。また、共に過ごしたメンバーは仲間と呼べる一生の財産となりました。親子共々本当に成長させて頂き、素晴らしいクラブの一員となれた事に感謝しております。




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