【インタビュー】第1回 芦屋ラグビースクール(兵庫県)

第1回▼ 「一生付き合える仲間を作ろう!」

ラグビーキッズの新企画「ラグビースクール・ネットワークインフォメーション」では、全国各地のラグビースクールを詳しく紹介していきます。第1回目は兵庫県の芦屋ラグビースクール。現在のスクール生は、西日本では最多の396人(女子31人)。全国中学生大会のスクールの部で優勝経験もある強いスクールでもあります。どんな方針でチームが運営されているのか。チームを代表して小西聡校長(46歳)にお話を伺いました。小西校長自身も小学1年生から中学3年生まで芦屋ラグビースクールでラグビーを楽しみ、たくさんの友達を作ったそうです。


大切なのは、次のステージでもラグビーを続けてもらうこと


村上 芦屋ラグビースクールの指導に関わったのはいつからですか。

小西 私は小学1年生から中学3年生まで芦屋ラグビースクールに所属していました。その後、関わっていませんでしたが、16年前に息子(一輝さん)が芦屋ラグビースクールに入ることになって、私が子供の頃に指導を受けたコーチから「戻って来いよ」と声をかけられました。以来、コーチを続けて7年前に代表者になりました。

村上 小西さんが子供の頃に比べて、スクールの雰囲気など変化はありましたか。

小西 雰囲気は変わりませんが、私が小学4年生の時にテレビドラマの「スクールウォーズ」が放送されて一気に生徒数が増えました。しかし、これは一時的なものでした。私が卒業した5年後に阪神大震災があって生徒が減り、16年前にスクールに戻ってきたときは150名くらいだったと記憶しています。増え始めたのはここ10年くらいで、今は関西で一番多いですね。

村上 人気の理由は何だと思いますか。

小西 練習場所が芦屋市の施設なのですが、天然芝と人工芝がありまして、いずれかで練習していることが一つ、それと、友達が友達を呼んでいることも大きいと思います。昔は厳しいコーチもいらっしゃいましたが、今は子供たちが心からラグビーを楽しんでいますね。

村上 チームの理念に「質素で快活」という言葉がありますね。

小西 私が子供のころから伝統として受け継がれています。たとえば、交流試合などで、お昼をまたいで活動するときに持ってくるお弁当は、梅干しのおにぎり、おかずは沢庵だけと決まっています。

村上 え~っ! 

小西 なぜ、そうしたかといえば、今は飽食の時代と言われるくらい、いろんなものを食べていますし、保護者にお弁当作りで苦労をかけないようにという思いで始めたようです。他のスクールの子供たちが、唐揚げと美味しそうなものを食べていても、芦屋RSの子供たちはおにぎりだけなんです。それが当たり前になっています。

村上 指導方針について、アンケートにもありますが、「ラグビー精神、スポーツマン精神に基づき、子供たちの健全な育成」を目指すということですね。

小西 そうです。加えて、コーチ陣が一致しているのは、子供たちを次のステージに上げることで、ラグビーを嫌いにならず、好きな状態で次に進んでほしいという願いです。全国大会で優勝はしていますが、これはスクール生が多いことが大きな要因だと思います。中学生だけで70名ほどいますし、たくさん集まれば生徒同士で切磋琢磨します。コーチはどうしても勝たせてやりたいという気持ちが強くなるものですが、一番大切にしているのはラグビーを続けてもらうこと。たとえば、中学生は12人制なのでFWは5人しか出られません。そこで、コーチは「高校に入ったら、君はフランカー(6番、7番)やな」などと声をかけ、次のステージをイメージできるようにしていますね。



2018年の早明戦に芦屋RSの卒業生が5人

子供たちの成長がコーチの幸せ


村上 人数が多いと、全員に試合を経験させるのは難しいでしょう。

小西 公式戦では難しいのですが、交流戦では試合に出られない子供を作らないようにしています。いま、小学3年生だけで68名いまして、大会で2試合しかなかったら全員を出すのは無理です。ですから複数チームをエントリーさせてもらえる交流大会に参加したり、前後半だけで入れ替えるのではなく、前半の間に一度、後半に一度と、全部で4グループが試合に出られるようにするなど工夫をしています。

村上 コーチが132名というのも多いですね。

小西 多くは保護者の皆さんです。ラグビー経験がなくても、みんなで支え合っています。ひとつ決めているのは自分の子供をコーチできないことです。違う学年のコーチをしてもらいますので、我が子よりも自分が担当する学年のことが気になって仕方がないというコーチがほとんどです。できるだけコーチの講習会等に出て資格を取っていただいています。子供のお父さんでお医者さんがいたら、必ずコーチに入ってもらいます。

村上 芦屋RSは有名選手を多数輩出しています。

小西 神戸製鋼コベルコスティーラーズの徳田健太(関西学大)、井上遼(明大)、早稲田大学の古賀由教、小林健太などがいます。2018年の早明戦(12月2日)では、芦屋ラグビースクールのOBが両校合わせて5人出場していました。明大の井上遼が終了間際にタッチライン際を走った時、バシっとタックルに入った選手がいて、それが早大WTBの佐々木尚でした。彼は神奈川県の桐蔭学園出身ですが小学4年生までは芦屋ラグビースクールにいました。それを見て芦屋RSのコーチはみんな喜んでいましたね。その試合後のアフターマッチファンクションで、井上遼たちが芦屋RSの卒業生で集まった写真を送ってくれて、コーチとして幸せを感じる瞬間でした。

村上 小西さん自身も芦屋RSでラグビーを楽しまれた。RSに行って良かったことは何ですか。

小西 一生付き合える仲間ができたことです。私は小学1年生から通いましたが、その中の5人の同級生が現在、芦屋RSのコーチをしています。入校式のとき、子供たちや保護者の方々にはこの話をします。「本当に一生の友達ができますよ」と。ラグビーは責任を果たさないと信頼してもらえない団体スポーツですよね。勇気を振り絞ってプレーするシチュエーションも多々あります。それを仲間たちも見ているし、私も仲間が勇気を振り絞ってプレーする姿を見ていました。その信頼関係があるから、ラグビー以外でも付き合えるのだと思います。ラグビーは専門職が多く、自分ができないことを仲間がしてくれることを実感できます。それが大人になって仕事をしていく上でも役に立つ。自分ができないことは人に任せる。そうして、うまく社会が回って行くという話を聞きます。本当にそうだと思います。

村上 保護者同士も仲が良くなりそうですね。

小西 私の息子が早大の古賀選手の同学年なのですが、この学年のお母さん方は仲が良くて、コロナ禍で難しくなりましたが、それ以前は飲み会もしていました。この学年は子供たちも仲が良く、成人式前に芦屋RSの卒業生で集まるようになったのもこの学年からですね。



ラグビーワールドカップ後に約80名増

大人は温かい目で子供を見守ってほしい


村上 去年のラグビーワールドカップの後、生徒数は増えましたか。

小西 増えました。芦屋市の幼稚園、保育園をまわってラグビーボールを配りました。それをきっかけに来てくれた子供もいます。80名くらい増えました。2015年大会のあとも40名ほど増えましたが、辞める子も多かったです。傾向としては、2019年の大会後は保護者の方が子供にやらせたくて連れて来るという例が多かったです。保護者の皆さんも、ラグビーというスポーツに刺激を受けたようですね。

村上 チームとしての近い目標はありますか。

小西 中学生は全国大会出場が目標になりますし、小学生は秋の県大会を目標にしています。しかし、それを目標に春から取り組むことはありません。みんなでラグビーを楽しむのが基本です。大会への照準を合わせるのは9月の下旬からで、それまではタックルができない子にタックルに行けるようにしようね、と、小さな目標を個々に与えていきます。親御さんで、「我が子がタックルに行けない、どうすればいいですか」とおっしゃる方も

いますが、「子供はある日突然変わります」と話します。ラグビー経験のない保護者の方には、「タックルって怖いですよ」と説明します。「いつかは行けるようになるし、それを温かい目で見守ってください」とお願いしています。

村上 今後の運営について、どんな考えをお持ちですか。

小西 生徒数が増えてきているのは嬉しいことですし、みんなが試合に出てラグビーを楽しめるようにしたいです。そして、ラグビーに触れあう子供たちがどんどん増えてくれたらいいなと思います。




ラグビーキッズ

ラグビースクールネットワークインフォメーション

1、芦屋ラグビースクール


1、名前 

芦屋ラグビースクール

2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等

赤地に黒の横縞二本・コバノミツバツツジ(芦屋市の市花)

※画像をクリックするとサイトに飛べます。

3、代表者 

小西 聡(こにし さとし)

4、住所・連絡先・担当者等

〒659-0021 芦屋市春日町6-19  090-9614-5287 河原和尚(かわはらかずひさ)

5、活動場所(天然芝・人工芝・土)

主な活動場所は、芦屋市総合運動公園(天然芝)芦屋中央公園(人工芝)

6、活動時間

小学生は日曜日の3時間

中学生は火曜日2時間、土曜日3時間、日曜日3時間

7、入会費・会費・用具費用

年会費10,000円 協会費1,500円/年

8、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人

スクール生 396人(うち女子31人)

9、コーチ人数

コーチ132人(うち女子11人)

10、モットー・大事にしている事・理念

芦屋ラグビースクールの理念の中には「質素で快活」というものが活動の中で現れるように心がけております。

11、特徴・全員試合出場など他のスクールとの違い

交流戦などでは全員が同じように出場するようにしています。

新入校生への健康診断をスクールコーチドクターで行っております。

年会費や合宿費など近隣のスクールに比べて低い金額設定です。

12、歴史・活動実績

1978年芦屋ラグビースクール開校

太陽生命カップ(中学スクールの部)3回出場で優勝1回

ヒーローズカップ 優勝1回、準優勝1回

13、OB・輩出トップリーガー

徳田健太(コベルコスティーラーズ)U20日本代表

井上遼 (コベルコスティーラーズ)U20日本代表

古賀由教 (早稲田大学)U20男子セブンズ代表

小林賢太 (早稲田大学)U17U18日本代表

14、指導方針・教育方針

芦屋ラグビースクールではラグビー精神、およびスポーツマン精神に基づき、保護者の方々の御協力によって、子ども達の健全な育成に役立つようラグビーというスポーツを通じて活動しております。

15、合宿・場所・期間・参加年齢等

夏合宿 兎和野高原 2泊3日 小学3年生~中学3年生

秋合宿 嬉野台研修センター 1泊2日 小学4年生~中学3年生

16、校歌等

スクール歌 「はばたけフィフティーン」

17、ラグビー以外の行事

餅つき・運動会・バーベキュー

18、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか

可能です。数多くいます

19、保護者の活動への参加・サポート

保護者の方がコーチになる事も(ラグビー未経験者も数多く)我が子の学年は担当できません。サポートとしては合宿や日々の活動(メディカル関係や)でご協力いただいております。

20、どんなスクールを目指すか(将来像)

スクール生やコーチそして保護者が仲良く笑いの絶えない楽しい団体

21、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)

他人に対して思いやりが持てる大人に、そしてラグビーを通じて出来た仲間を大切に、そして一生付き合える関係を築いて欲しいです。

22、プレースタイル

基本を大切に、のびのびとしたゲームスタイル。

23、交流する他のラグビースクール

兵庫県ラグビースクール、西神戸ラグビースクールなど兵庫県内のラグビースクール

東大阪ラグビースクール、吹田ラグビースクールなど大阪府内のラグビースクール

24、交流するラグビー団体(学校・協会・トップリーグ等)

コベルコスティーラーズ、兵庫県ラグビーフットボール協会




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