ラグビーが教えてくれたこと

「お前にあったポジションがある。やればわかるよ」──

それはいつの時代も変わらない未経験者をラグビーの世界へと誘うゴールデンフレーズ。あえてオブラートに包まずに言えば、チビもノッポも太っちょも、足の速いやつも遅いやつも、ラグビーには皆が輝く居場所があるということだ。

138センチの小さな体からビッグタックルを連発した芦屋RSの杉田類

枚方市の常翔啓光学園グラウンドにて行われた第17回ヒーローズカップ関西大会には個性豊かな16チームが出場した。その中でも注目を集めた(目を引いた)のが芦屋ラグビースクールだった。

一言でいえば凸凹。チームの柱は小学生にして身長182センチのビッグマン、アタックの指揮を取るスクラムハーフは137センチのリトルボーイ、突破口を作るのは70キロのタンク。飛んで、走って、ぶつかって。それぞれが輝きを放ちながら楕円球を追いかけた。その姿にラグビーの醍醐味を見た。

182センチの巨体で芦屋RSの攻撃を引っ張った藤井良心(右)、同じく幾度となく突破口を作った70キロの内野俊理

凸凹は悪くない。凸と凹がうまく噛み合えば最強だ。ちょっとやそっとのことでは崩れないONE TEAMになるためには、お互いの強みを掛け合わせていくことが欠かせない。そのためには体格だけではなく性格や性別も含めてたくさんの仲間と関わる“ラグビー”というスポーツは人間力が試される。

自分の強みは何か、そして仲間の長所はどこか。どうすれば凸凹はひとつになるのか。その答えはひとつじゃないはずだ。「やればわかるよ」。先輩のその一言に答えがあるような気がする。

思い返せば高校入学の春、150センチほどのやせっぽっちの私は校門をくぐって3歩目のところで捕まった。先輩に言われるがまま半ば強引に入部させられた。残念ながら身長は163センチで止まった。決して速くは走れなかった。キックはダントツで下手だった。できるのは体を張ることだけだった。低く、強く、何度でも。そうするうちにチームに自分の存在意義が生まれた。初めて自分のポジションを見つけた気がした。自分にはできることがある。その思いで3年間ラグビーを続け、そして今もボールをカメラに持ち替えて楕円球を追いかけてている。


10月から始まった各地での予選大会、関西そして関東大会が幕を閉じ決勝大会に進む全16チームが出揃った。どのチームも個性豊かな面々だ。荒削りで構わない、かっこ悪くても良い。全力で戦う選手を、応援する仲間を、ヒーローズカップに関わる全ての人々を私は写真で残したい。


きっと、やればわかるよ。

持てる力を存分に出し切り、横浜の地を全力で駆け抜けろ。






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