ラグビーキッズ特派員レポート

第17回ヒーローズカップ東北大会は11月9日(土)10日(日)岩手県一関市のサッカー・ラグビー場で行われました。東北大会の参加チームは次第に増え、14回大会が9チームだったのが15回は12、16回は16、今年は昨年より1チーム多い17チームが参加して開催されました。初日5グループに分かれて3チームのところはリーグ戦、4チームのところはトーナメント戦を行います。その1位チームが翌日のカップトーナメントに進み優勝チームが来年1月横浜での決勝大会に進むことになります。
さて、初日の天候は大陸からの高気圧が張り出し、朝の気温は2℃ですが快晴。
Aグループ。釜石シ―ウェイブスジュニア、弘前さくらオーバルズ、佐沼プラタナスジュニアラグビーフットボールクラブが対戦しました。釜石対弘前は点の取り合いとなりましたが最後は弘前が2連続トライで引き離しました。佐沼対釜石は佐沼BKがチェンジオブペースを見せるなど変化のある攻撃で大勝。佐沼対弘前は熱戦。佐沼が先制するも弘前が逆転。後半に入り同点となってから佐沼がいいランニングを見せ連続トライで1位を決めました。
Bグループ。仙台ラグビースクール、奥州・滝沢ラグビースクール、高清水ラグビースポーツ少年団が対戦しましたが、仙台が2試合とも30点をあげる快勝。他の2チームは力強いランニングを止めることができませんでした。敗れはしましたが奥州・滝沢はよくパスを回していました。また、高清水もうまいステップをみせてトライを奪っていました。
Cグループ。宮城ノース、青森少年ラグビースクール、盛岡ラグビースクールの対戦。青森対盛岡は接戦が予想されましたが盛岡が大きく展開してトライをあげ、後半に入ってもカットインから外につないできれいなトライを生んでいました。青森もGLDOのカウンターからトライをあげましたが一歩及ばず20-5で盛岡が勝利。宮城は合同チームでしたがチームの雰囲気はよく試合前のにこやかな表情は印象的でした。
Dグループ。北上ラグビースクール、いわきラグビースクール、石巻ライノス、男鹿ラグビースクールはトーナメント戦。北上対いわきは接戦。北上の大型選手が前に出てリードしますがいわきもその圧力に慣れてくるとよくBKが走り最終的には25-20でいわきの勝利。石巻対男鹿は男鹿がクロスで入って前進。石巻ボールのラックもカウンターでマイボールにしていました。石巻は健闘するも65点をとられてしまいました。いわき対男鹿はいわきが早い球出しからロングパスを見せるなどして先制。しかし男鹿がすぐに同点、逆転。力強いランニングでゲインを突破します。いわきも粘りますが30-15で男鹿が1位。
Eグループ。紫波オックスラグビースクール、S.R.C.Jr、八戸少年ラグビースクール、秋田エコー少年ラグビークラブが対戦。紫波対S.R.C.は紫波のスピードあふれる攻撃にS.R.C.がついてゆけませんでした。また、紫波はディフェンスラインの裏にグラバーキックでトライするなど変化もありました。前回代表の八戸対秋田はよく展開する八戸に対し秋田も力強い突進を見せPKからトライを奪います。しかし八戸が徐々にリズムを取り戻すと早い展開を見せ35-15で八戸の勝利。紫波対八戸は両チームスピードあふれるいい試合。紫波が前試合でも見せたオープンにグラバーキックを出してトライにつなげ先制。八戸も集散早く左にトライし前半終わって5-5の同点。後半に入るとぎこちなかったハンドリングも安定した八戸が地力を発揮。自陣G前から走って同点にするとその後もトライを重ね20-5で1位を獲得しました。
1日目を終えカップトーナメントに進む1位グループには佐沼、仙台、盛岡、男鹿、八戸が進むことになりました。
 
2日目は朝の気温5度。昨日よりは暖かい。そのためか早朝から霧が発生し濃霧注意報が出されていました。しかし、試合の始まる10時のグラウンドはカーテンが開くように晴れ、舞台に立つ子どもたちを迎えてくれるようでした。日中も15℃と気温は上昇。暑いくらいのコンディションになりました。
カップトーナメントには前日のトーナメント戦の1位5チームが横浜目指して頑張ります。プレート、ボウル、シールドトーナメントは4チームが戦いました。
 カップの1回戦。仙台対盛岡は仙台の強力なランナーが盛岡のディフェンスに食い込みゲインをはかります。盛岡は仙台の激しいアタックに相手陣に入れず前半終了間際のチャンスも活かせませんでした。ロングパスも交えた攻撃からラックを連取した仙台が30-0と快勝。男鹿対八戸は八戸SHの速い球出しからBKを走らせ先制。しかし、男鹿もSOループを交えたサインプレーでチャンスを作る。そして男鹿がこぼれ球を拾って同点。前半終了前八戸はBKラインの裏に絶妙のグラバーキック。これをトライにつなげ10-5で折り返します。後半に入ると男鹿のFWラッシュで10-10。この日3度目の抽選になるかと思われましたがノーサイド直前八戸BKが走り、振り切ってトライし熱戦に終止符を打ちました。佐沼対仙台も激戦。佐沼が少ない人数で早い球出し。皆の意思が統一されている。サインプレーも多彩で仙台が付け入るスキなく5-0と佐沼リードで前半を終了。しかし、後半は仙台が主導権を握る。キャプテンの大きな声にリードされゴールに飛び込んだかと思われたが、ヘルドインゴール。スキをついて抜け出したが惜しくもタッチ。しかしラックを連取してトライ。5-5の同点に。終了間際もゴールに飛び込んだかと思われたがヘルドインゴール。ここでノーサイド。佐沼もよくあきらめずディフェンスに行きました。抽選を終えて戻ってくるキャプテンを両チームとも円陣を組んで迎える。静寂。歓声。涙。佐沼が決勝戦にすすむことになりました。さて、決勝戦。隣のグラウンドで同時に行われる仙台対男鹿の試合。佐沼と引き分けで決勝戦に進めなかった仙台から佐沼に「佐沼、頑張れよ!」のエール。決勝戦、開始直後は両チームとも緊張感から単純なミスが続く。しかし、スピードに勝る八戸が2分4分と連続してトライし主導権を握ります。佐沼は走力のあるランナーを活かすサインプレーでトライ。前半を10-5で折り返します。後半に入ると八戸がエンジン全開。何度も左右に大きく振って連続攻撃。次第にできる佐沼のディフェンスギャップをついてトライ。BKが流れることなくしっかりとポイントを作るので佐沼がつけこむすきがありません。20-5で八戸が3年連続の代表となりました。敗れはしましたが佐沼はユニットを作ったり、倒れ方に決めごとがあったりと工夫が見られました。関係者に話を聞くと「小さい体でどうしたら勝てるのか普段から考えている。」とのこと。「あっぱれ!」をあげたい。
プレートトーナメントも熱戦。行われた4試合のうち3試合が1トライ差。あと1試合は引き分け。実力が拮抗しています。弘前対青森は後半に青森のFWラッシュで同点となるも最後は弘前が取って15-10。いわき対紫波はいわきが先制するも前半終了前紫波が同点に。こぼれ球を拾って紫波が差を広げますがいわきがPKから飛び込む。まさに一進一退の試合となりましたが結局15-15の引き分け。両チームよくつなぎその激しい動きは目が離せませんでした。抽選で紫波が決勝へ。プレートトーナメントの決勝は紫波対弘前。互いに一本ずつ取り合ったあと、紫波がゴール前飛び込み、さらに右ラックから見事な左展開でリード。最後は弘前の右WTBがうまいフェイントでトライをするも15-10で紫波が優勝。
ボウルトーナメントの1回戦は高清水対北上。北上の速い球出しはよく練習されたものだと思われました。25-5で北上の勝利。秋田対宮城はキックオフから秋田が攻め続け50-10で勝利。決勝戦、北上対秋田はよくつないだ秋田が25-15で優勝。北上もキックをうまく使い攻めていました。
シールドトーナメント。S.R.C.対石巻は接戦。互いに譲らず15-15の引き分け。S.R.Cは最後チャンスがあったのですが惜しくもノッコン。抽選でS.R.C.が決勝戦へ。釜石対奥州・滝沢は奥州・滝沢がよくボールをつなぎ40-10で勝利。釜石も最後に2トライしました。決勝戦は奥州・滝沢がよくつないで、最後はキックカウンターからダメ押しトライでS.R.C.に30-5で勝利。S.R.C.も縦突破で1トライをあげました。
見ている関係者から「毎年、すんごい、レベルあがってるねえ。」と驚く東北大会。参加チームも増え、今後が楽しみです。
閉会式。八戸のキャプテンは「東北代表として頑張ってきます。」と抱負を語りました。決勝大会の舞台、横浜日産スタジアムで八戸少年ラグビースクール、黒と黄色の縞ジャージが躍動することを期待しています。
 

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