【インタビュー】日本テレビ放送網株式会社 取締役副社長執行役員 福田 博之 〜その2


2019年のラグビーワールドカップ、
私はいつ泣くのかと思ったら…


村上 あの試合から、日本代表を見る目が変わりましたよね。
福田 初めて、ラグビーを提案し続けていたことを褒められました。

村上 そして、2019年の日本大会につながるわけですね。
福田 大成功で嬉しかったです。視聴率は想像を超えていました。日本代表戦ではない試合まで視聴率が高かったのです。覚悟を決めてやらないと視聴者もついてきてくれないと思ったし、19試合生中継しました。本当に良かったと思います。

村上 日本代表がスコットランド代表に勝った最後の瞬間視聴率が50%を超えていましたよね。20%を超えるだけでもすごいことなのに。
福田 そうです。ずっと視聴率は一けた台でしたから。2011年のニュージーランド大会も戦績は振るわず、2015年の勝利までは本当にどうなることかと思っていました。日本でのRWCにはリスクもありました。夜のプライムタイムに編成することになり、民間放送でコマーシャルも入るので、営業的にもリスクがありました。どうなることかと思っていましたが、2015年の勝利でこれは行けると確信しました。

村上 大会直前のTBSのノーサイドゲームというドラマの影響も大きかったですね。福田 あれは面白かったし、TBSの佐々木卓社長(当時)とも、いろいろ話しをさせていただいて、「応援しているからね」と声をかけていただきました。

村上 2019年の大会で、ご自身で一番の思い出はどんなことですか。
福田 自分はいつ泣くのだろうと思っていました。2015年は南アフリカに勝って泣いたのに、2019年はいくら勝っても涙が出てこないのです。自分でも、いつ泣くのだろうと思っていたら、すべてが終わった時でした。

村上 放送が全部終わった時ってことですか。
福田 決勝戦が終わって、優勝した南アフリカの選手がカップを掲げたときに涙が止まらなくなりました。仕事がようやく終わったということだったのかもしれないですね。「ここで泣くの?」と、笑われました。恥ずかしいくらい涙が止まらなくて、もう本当に幸せでした。

村上 改めてラクビーという競技がいいと思ったことはありましたか。
福田 それは皆さんと同じで、日本代表が勝って、ビクトリーロードを歌ったときですね。ラグビー協会さんのご厚意でロッカールームの映像をいただいて、中継の中で流すことができたのもありがたかったです。

村上 これからもラグビーを中継していくのですか。
福田 ラグビーを戦略的競技と位置付けています。できる限り頻度を上げて、リーグワンも応援したいと思っています。昨シーズンはファイナルも中継し、国立競技場がいっぱいになって、すごい試合をしてくれて嬉しかったです。

村上 2023年のRWCは現地で観戦されましたか。
福田 イングランド代表戦だけ行きました。実は私が海外のRWCを見に行くのはそれが初めてでした。私はRWCの素晴らしさを知っていますから、一人でも多く理解者、応援してくれる人を増やしたいと思っていたのです。案の定、ラグビーにまったく興味のなかった人間が、みんな虜になって帰ってきました。

村上 観客の雰囲気なども影響を与えているのでしょうか。
福田 みんなで一緒に応援しますよね。ラグビーの雰囲気は独特です。互いのプレーを称え合い、ビールで乾杯し、笑いながら見ている。ラグビーだけです。素敵ですね。

村上 今後、ラグビーをどういうふうに取り上げていきたいと考えていますか。
福田 ラグビーキッズさんもそうでしょうけれど、もっと競技人口を増やしたいし、子どもたちにラグビーを知ってもらいたいです。ラグビーを好きになってもらう機会を多く作っていきたいなと思っています。

村上 最後に保護者の皆さんにメッセージをお願いします。
福田 私自身もラグビーをプレーし、ラグビーを愛して、ラグビーの仲間をたくさん作ってきました。実は息子も幼少期からラグビーをしていて、西東京ラグビースクールへ一緒に通いました。子どもたちと一緒にラグビーすることは楽しかったし、息子も楽しそうでした。私のような大人になるのが良いことなのかわかりませんが(笑)、ぜひ、子どもたちにラグビーをやらせてあげてください。私は自分の立場でお手伝いできることはやっていきたいと思います。

~END
日本テレビ放送網株式会社
福田 博之

1961年7月9日生

職 歴
1985年 4月 日本テレビ放送網(株)入社
2007年 7月 同社 営業局営業推進部長
2010年 7月 同社 編成局編成戦略センター編成戦略部長
2011年 7月 同社 編成局編成部長
2012年 6月 同社 編成局次長(兼)編成部長
2013年 6月 当社 制作局次長(兼)CP
2014年 6月 当社 制作局長
2016年 6月 当社 執行役員 編成局長
2018年 6月 当社 取締役執行役員 編成局長 情報・制作、スポーツ担当
2021年 6月 当社 取締役常務執行役員 編成、情報・制作、スポーツ担当
2023年 6月 当社 取締役専務執行役員 コンテンツ戦略、経営戦略統括
2024年 6月 当社 取締役副社長執行役員 経営戦略、コンテンツ戦略(現)

現在の兼職
2023年 6月 HJホールディングス(株) 取締役
2023年10月 (株)スタジオジブリ 代表取締役社長
2024年 6月 日本テレビホールディングス(株)取締役執行役員
(2021/6~執行役員、2022/6~上席執行役員)
(公財)読売日本交響楽団 評議員(2020/6~理事、2022/6~常任理事)
※ 2012 年10 月1 日付けで、「(旧)日本テレビ放送網(株)」は「日本テレビホールディングス(株)」に、
「日本テレビ分割準備(株)」は「(新)日本テレビ放送網(株)」に、商号変更しております。

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