
試合後に肩を組み合うラガールたちの姿に「そうそう、これこれ。この景色。まさにラグビーって感じ」とカメラのシャッターを切りながら一人にやついた。
誰から言われたわけじゃない、教わったわけじゃない。“自然と”そうなる。生まれた場所や所属チーム、言葉や年齢の違いをラガールたちは軽々と超えていく。批判も覚悟。正直、小学生の男の子にはそう簡単に真似できないぞ(笑)。すごいぞガールズパワー!
今回で13回目を迎えた神奈川県海老名市で開かれた「富士フイルムビジネスイノベーション海老名市ガールズ・ラグビーフェスティバル」。今年はいつもとは違う顔があった。南半球のラグビー大国オーストラリア(チーム名はラプターズ)から小学生ラガール13人が参加し、日本のラガールたちと対戦した。

一言でいえば、デカい、速い、上手い。大きな体をいかしたアタックと素早いパス、大きなスライドでピッチを駆け抜けるオージーたちに、日本チームは試合を支配された。レベルの差は歴然だった。ただ、日本のラガールたちも負けてはいない。小さな体で何度もタックルに入り、相手の突進を止めた。最後まであきらめることなく走り続けた。

激しくぶつかり合う両チームの選手たちの心を沈めるように、ノーサイドの笛が鳴る。自然と歩み寄りハグをしあう選手たち。互いの健闘を讃え終えて自陣チームのベンチへと戻ってい………かない。
いかない⁉︎ 普通はコーチや保護者の元へと戻るものだが、ラガールたちはいつまでも笑顔で語り合っていた。英語? 日本語? 彼女たちに言葉は無用なのかもしれない。いつのまにかピッチの脇で女子会がスタートしていた。

彼女たちのコミュニケーション力の高さに脱帽した。
思いを伝えるのに、言葉はそれほど重要じゃない。それよりも、もっと大切なのは相手と向かい合う気持ちだ。ありのままの姿でぶつかり合い、まじわりあっていくラガールたちの景色はお互いを尊重し認め合うラグビーの原風景だ。

ラプターズのキャプテンを務めたソフィア(11歳)は「日本で最高の友達と最高の思い出をつくることができた」とうれしそうに語ってくれた。
閉会式の後、ラプターズの選手たちが荷物を持って立ち上がると日本のラガールたちが誰からともなく見送りの花道を作り始めた。
「ありがとう」「またね」。別れを惜しむようにハグし、再会を約束して握手を交わした。
長く伸びた花道に、いくつもの笑顔の花が咲いていた。






