We are ラガール(前編)


みんなたくさん友達できたかな? ハーイッ!

NPO法人ヒーローズ、西尾容子会長の問いかけにたくさんの手があがった。4月27日、神奈川県海老名市で開かれた「富士フイルムビジネスイノベーション海老名市ガールズ・ラグビーフェスティバル」での閉会式。初夏の日差しでほんのりと赤ら顔のラガールたちがうれしそうに笑っていた。

「私はラガール」です。から「私たちはラガールです」へ。

ラグビーが子どもたちの心と心をつないでいく。
仲間としての絆が生まれていく。
そんな素敵な一日だった。


誤解を恐れずいえば、女の子がラグビーを続けるのは難しい。小学生までは男子とともにプレーする環境があるが、その後の競技を続けていくためにはいくつものハードルがある。女子選手を受け入れてくれるチームの有無や女子ラグビーのための大会。それは男子と比較にならないほど少ない。

一月のヒーローズカップ決勝大会、準優勝に輝いた春日井ラグビースクールの折金葉梛(はな)さんは「ラグビーは続けたいけど、まわりでプレーしている女子が少ないので…」と頭を悩ませていた。ともに汗をながす仲間の存在がラグビーには欠かせない。少しずつプレー環境は整いつつあるものの、まだまだ厳しいのが現実だ。


ハード(環境)はすぐには変えられない。でもハートは変えられる。

「私はここにいるよ。私もラグビーが大好きだよ」

そんな熱い思いを胸に秘めたラガールたちが集い、楕円球を追いかける中でお互いの存在を確かめあい、つながり、高め合っていく。海老名での出会いが未来への扉を開く鍵になるかもしれない。


この日は神奈川を中心とした一都六県に加えて新潟、福島、山梨、栃木からも小学生ラガール約200人が海老名へ集った。この日だけのスペシャルチームを組み、いくつもの試合を楽しむ。最初はもじもじ…だった選手も、試合を重ねるごとに仲間と打ち解け、はじけるような笑顔へと変わっていた。

今は男の子と一緒にプレーできる。でもいつかは女の子だけでプレーする日が訪れる。成長の過程で必ずその現実と向かい合う時がやってくる。そんな時「私にはたくさんのラガール仲間がいる」と思えたら、どれだけ目の前が明るくなるだろう。


思いっきりラグビーをプレーしたい。その思いを叶える場所。海老名はラガールたちにとって最高の出会いと思い出の場所になるはずだ。

ファインダー越しのピッチ。小さなハドルを組むラガールたちの中から桜のジャージーをまとって世界と戦う選手が生まれる気がした。










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