【インタビュー】第105回▶シャトルズラグビースクール刈谷(愛知県)

「豊田自動織機シャトルズ愛知と連携して熱く活動」
愛知県刈谷市で活動するシャトルズラグビースクール愛知は、日本ラグビー最高峰リーグのジャパンラグビー リーグワンに所属する豊田自動織機シャトルズ愛知の下部組織です。2005年、豊田自動織機ラグビー部のOBが刈谷ラグビースクールとして設立し、2020年より中学部を開校、2022年にチーム名を刈谷ラグビースールから現在のものに変更しました。シャトルズの芝生のグラウンドで練習するなど良い環境が整っています。応援の横断幕には「熱心・熱血・熱中・熱闘」とあり、選手、指導者、保護者が一丸となって熱く活動しています。今回は小学6年生のヘッドコーチで、豊田自動織機シャトルズOBの南岳人さん(41歳)にお話を伺いました。(2023年1月取材)


たくさんの試合でラグビーを楽しみ
チャンピオンシップは最強メンバーで


村上 南さんのラグビーキャリアを教えていただけますか。
 大阪の枚方ラグビースクールでラグビーを始めました。中学はラグビー部がなかったのでサッカー部に入り、高校ではラグビーがしたくなって、公立高校のなかで強かった淀川工業高校に進学しました。大阪体育大学でもプレーし卒業後は豊田自動織機に入社し、ラグビーを続けました。

村上 シャトルズラグビースクール刈谷に関わったきっかけを教えてください。
 引退後はラグビーから離れていたのですが、息子が幼児のときに一緒にこのチームに加わりました。

村上 どんな指導方針なのですか。
 ラグビーを通じた人材育成ですね。仲間、チームワークを大切にし、感謝の気持ちを忘れないことはもちろん、試合に出られる出られないということも含めて人材育成の一つだと思っています。子どもたちによく言うのは、ラグビーにはミスはつきもので、ミスを責めるのではなく、ミスをしたら周りがサポートすることが大切だということ、試合が始まったら自分で考え、それが間違いでもいいから、思い切りプレーしてほしいということです。

村上 チームの特色はありますか。
 豊田自動織機シャトルズ愛知の下部組織なので、同じグラウンドで練習させてもらっていますから、最高の芝生、最高の環境で練習できます。夏はシャワーも使えますし、ミーティングではシャトルズのミーティングルームを借りることもできます。プロジェクターで映像を流して反省会をすることもできます。

村上 生徒数も増えているようですね。
 約170名います。私は9年前から5・6年生の担当をしていますが、学年に生徒が1人のこともありました。それが2015年のラグビーワールドカップから一気に増えました。2019年の日本大会でも増え、いまが最多です。指導員の手が足りないほどです。

村上 指導員はシャトルズのOBが多いのですか。
 半分くらいですね。そのほか、お父さん方に手伝ってもらっていますし、ラグビー経験者でラグビーに関わりたいからと来てくださる方もいます。

村上 小学生の全国大会であるヒーローズカップは目標ですか。
 いまは多くのスクールがそうだと思いますが、ヒーローズカップが最大の大会ですし、一番の目標です。大会の出場資格は5・6年生になっていますが、我々は6年生だけでメンバーを組んでいます。

村上 そのメンバーについては、試合で勝てるような細やかな指導になるのですね。
 フィジカルも重要ですが、強いチームに勝つには、スキルや、組織プレーも重要と感じています。

村上 チームを勝たせることと、人材育成のバランスは難しいのではないですか。
 難しいところです。保護者の皆さんには、ヒーローズカップ、愛知県内のチャンピオンを決めるヴェルブリッツカップについてはコーチが選んだ最強の布陣で臨みますという話をしています。それ以外の試合については、実力を縦割りにしてみんなで試合を楽しんでいます。

村上 試合に出られない選手のケアは難しいでしょうね。
 気を配っていますが、今年のヒーローズカップで良かったのは、ファーストステージで6年生全員が試合に出ることができました。結果的にそうなったのですが、そこは良かったです。また、決勝大会もタイトなスケジュールなのでスタメンだけでは勝てませんから、練習中もメンバーをいろいろ変えて準備しています。

村上 練習試合はどれくらいの頻度で組んでいますか。
 距離の近いラグビースクールと、月に2回は入れています。

村上 シャトルズのプレースタイルはどんなものですか。
南 今はチームディフェンス重視です。強いチームには必ずいいランナーがいて、お互いに攻め合ってタイミングよくトライをしてチームが勝つ流れが多いですね。我々も良いランナーに走られて負けることが多いです。試合時間も短いですから、強くて上手い選手をしっかり止めるように練習しています。


ただ楽しむだけではなく、
喜怒哀楽すべて感じてラグビーを好きになってほしい


村上 9年間かかわってきて、印象的な子どもはいましたか。
 記憶に強く刻まれている子がいます。コミュニケーションをとるのが苦手で、学校で友達と上手く接する事ができなかったようです。保護者が学校とは違う環境で子どもらしさを見つけてほしいと連れて来られました。僕は小学5年生から担当したのですが、最初の頃はいろいろ話しかけても、「うん」、「はい」と言うだけで、仲間の輪にも入れないようでした。それが、次第にコミュニケーションが取れるようになり、仲間とじゃれ合うようになって、それを見たときは嬉しかったです。日本で開催されたラグビーワールドカップでは、ボールデリバリーキッズにも選ばれました。いま高校生でラグビーを続けてくれています。先日、練習を見に来てくれたのですが、もう大人ですよ。

村上 そういうことがあると、指導員をやめられないですね。
 これは一例ですが、子どもたちの成長が嬉しいですね。僕は体育の教師になりたいと思っていたので、なおさらです。

村上 貴スクールは、2005年に開校され、2022年にチーム名が変更されています。2022年以前は独立したラグビースクールだったということですか。
 そうです。独立した組織とはいえ、社会貢献の一環でシャトルズが練習グラウンドを貸していましたので、いまと環境は変わりません。

村上 中学部までやって、高校で続ける子はどれくらいいますか。
 中学部は2020年にできたばかりなので、まだ傾向としてははっきり言えませんが、今の中学3年生の8割が高校でラグビーを続けます。中部大春日丘に4名入りますし、御所実業、東海大翔洋にも行きます。その前には日本航空石川にも行ってますので、卒業生で集まって花園に応援に行ったりしているようです。

村上 子どもたちと現役のシャトルズの選手が交流する機会はありますか。
 月に一度くらい、シャトルズの選手が教えに来てくれます。徳野洋一ヘッドコーチはじめ、シャトルズのコーチ陣が中学生を指導し、選手たちが小学生を指導してくれています。シャトルズで活躍し、今はコーチのトゥシ・ピシさんは、お子さんがスクールに所属しているので保護者としてもいらっしゃいますね。

村上 ラグビー以外のイベントはどんなものがありますか。
南 バーべキュー大会、餅つき大会、シャトルズが開催するフェスタに参加するなど、いろいろあります。

村上 ラグビーを好きになってもらうためにどんな工夫をしていますか。
 特に好きになってもらうための練習というものはないのですが、楽しませるだけではなく、厳しさも伝えないといけないと思っています。喜怒哀楽すべて感じてラグビーを好きになってもらいたいのです。だから、フィットネスの練習は尻を叩いで頑張らせます。でも、終わったら褒めるようにしています。練習後も、「あのプレー良かった」など親の前で言ってあげると、子どもたちも嬉しそうです。その後、親子で会話しているところを見ると嬉しくなりますね。

村上 今後、どんなスクールにしていきたいですか。
 このスクールでラグビーを始めた子どもたちが、中学部でもプレーしてくれて、高校、大学のラグビー部で活躍し、またシャトルズに戻って来てくれたら最高ですね。

村上 この春(2023年4月)、卒業生が初めて豊田自動織機に入社するようですね。
 そうなんです。帝京大学の岡本泰斉君ですが、彼はこのスクールができて数年経ったときに入ってきた生徒で、卒業生で初めてのシャトルズ・プレーヤーになります。いま高校でプレーしている選手も多いので、今後増えてくれると嬉しいです。


ラグビースクールインタビューアンケート

1、ラグビースクールの名前
 シャトルズラグビースクール刈谷

2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等
 豊田自動織機シャトルズ愛知と旧刈谷ラグビースクール、ラグビー無法の地に一夜を投じる原始人のエンブレム


3、代表者名
 日比野 充 校長(シャトルズラグビー部OB)


4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先
 事務局 戸田紀昭(090-2920-0931)


5、活動場所・練習場所
 豊田自動織機グランド(逢妻(シャトルズ本拠地)・大府工場・碧南工場)


6、練習場所は天然芝、人工芝、土等
 逢妻、碧南・・・天然芝、大府・・・人工芝


7、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等
 毎週日曜日、5・6・中学生は土と日曜


8、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの
 年会費10,000円、ユニホーム8、800円


9、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等
 幼児21(2)、1年13(1)、2年17(3)、3年28(5)、4年16(4)、5年23(0)、6年22(3)中1年12(1)、中2年9(1)、中3年14(0)
 (女子内数)
 シャトルズコーチ、ピシさんのご子息5年生、ほかハーフ外国人選手1名


10、コーチ人数、指名、経歴等
 約40名、シャトルズOB、ほか保護者およびスクールOBの保護者など


11、モットー・大事にしている事・理念
 「熱心・熱血・熱中・熱闘」がチームスローガン


12、歴史・活動実績
 2005年開校、2020年より中学部開校、2022チーム名を
 刈谷ラグビースクールからシャトルズラグビースクール刈谷に変更


13、OB・輩出トップリーガー
 2023年4月、シャトルズにOBである帝京大学SH岡本泰斉が入社
 はじめてのトップリーガー


14、指導方針・教育方針
 楽しく、仲間を思いやる(リスペクトする)、ひたむきに、一生懸命


15、合宿・場所・期間・参加年齢等
 8月、岐阜郡上、5・6年、菅平、中学


16、ラグビー以外の行事
 コロナ前は夏のBBQ、冬の餅つき、シャトルズ試合のエスコートや花道キッズ


17、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか
 可能、とくに確認もしていません


18、保護者の活動への参加・サポート
 保護者コーチのお誘い、ほか練習のお手伝いなど快く協力いただけます


19、どんなスクールを目指すか(将来像)
 OBがシャトルズ選手になってほしい、また中学、高校と少しでも長く続けてもらえるよう、ラグビーを好きになってほしい


20、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)
 ラグビーだけではなく、なにか打ち込めるものを、自信になるものを見つけてほしい
 仲間へのリスペクト、ラグビーには努力すれば報われるポジションがある
 (FW1列)、さまざまな特性におうじた役割があることより多様性をラグビーから感じてほしい


21、プレースタイル
 一丸となったチームディフェンス


22、交流する他のラグビースクール
 主に東海、岡崎、豊田、名古屋、春日井、豊橋、岐阜、関、伊賀良、鈴鹿
 ラグビースクールほか愛知県下の各スクール


23、交流するラグビー団体(学校・協会・トップリーグ等)
 シャトルズ愛知


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