【インタビュー】第103回▶八尾ラグビースクール(大阪府)

「生涯スポーツに関わる子どもたちを育てたい」
大阪府八尾市で活動する八尾ラグビースクールは1983年の創立です。元日本代表CTB守屋篤さんほか、卒業後に高校、大学で活躍した選手も多いスクールです。大阪桐蔭高校、帝京大学で日本一になった高本幹也選手も卒業生で、子どもたちの憧れです。近年は小学生の全国大会ヒーローズカップで上位進出を果たすなど、競技力は高いのですが、「生涯スポーツ社会に生きる人間形成」を大切に指導し、勝つだけではなく、ラグビーを通じて、スポーツ全般を好きになってもらうように指導しています。チームの代表を務める谷田成生さん(56歳)にお話を伺いました。(2023年1月取材)


地域のラグビーを盛り上げるため
八尾高校ラグビー部OBが立ち上げ


村上 谷田さんと、八尾ラグビースクール(RS)の出会いからお話を聞かせてください。
谷田 このスクールは、大阪府立八尾高校ラグビー部のOBの方が地元のラグビーの競技人口を増やして、公立高校のラグビー部も盛り上げていこうということで立ち上げられました。私も八尾高校のラグビー部だったのですが、26歳の時(1993年)、八尾RSの指導員のチームに誘われて関わるようになりました。

村上 谷田さんが八尾高校でラグビー部に入ったのはなぜですか。
谷田 中学2年生の冬休みの最終日、テレビで全国高校大会の決勝戦(國學院久我山高校対目黒高校)を偶然見ました。その試合に感動して、やってみたいと思いました。地元の八尾高校にラグビー部があったので目指すことにしました。大学は身体が小さいこともあってプレーしなかったのですが、当時は毎年6月に大阪の高校ラグビー部のOBが集まる交流大会があって、それに参加したときに声をかけられたというわけです。

村上 当時は大阪の公立高校は強いチームがたくさんありましたね。
谷田 公立高校も全国大会によく出場していたときで、牧野高校、茨田高校、島本高校、北野高校などと切磋琢磨していました。大阪の全国大会予選に150校以上出ている時期です(現在は約40校)。八尾高校も準決勝までは進出していました。私が3年生の時も準決勝まで行きましたが、清宮克幸さん(日本ラグビー協会副会長)がいた茨田高校に負けました。その茨田は淀川工業に決勝で負けました。清宮さんは3年生の時に全国大会に出場しています。

村上 八尾RSのユニフォームは白地に緑の三本線ですが、これは何か意味があるのですか。
谷田 白色は子どもの純真な心、緑色は河内平野の八尾の自然、そして3本線はスポーツをする者の精神である協力、公正、忍耐の3つを表しています。

村上 どんな年齢層の子どもたちがいますか。
谷田 もともとは小学生を対象にしたスクールでした。以前は八尾市内のほとんどの中学校にラグビー部があったからです。しかし、数年前にゼロになったので、いまは中学生も受け入れています。現在は、幼児から中学生まで約150名。そのうち、女子が25名ほどおります。ただ、女子の場合は多くの選手が中学になると浪速闘球娘というクラブチームでプレーしています。

村上 どんな指導方針で練習しているのですか。
谷田 各学年の担当者に任せているのですが、幼児から小学2年生まではタグラグビーですから、その間は運動能力を上げることに重点を置いています。怪我に強い身体と、スポーツ好きの子どもを育てる方針です。小学3年生からはコンタクトプレーが入ってきますので、身体の使い方を教え、5年生からは実戦的なことも教えていきます。基本的にはラグビーの楽しさを伝えていますが、高学年になると、仲間の為に身体を張るようなことも伝えていますね。


どんなことにも積極的に
関わっていける子になってほしい

村上 近年、ヒーローズカップでは好成績を残していますね。
谷田 勝つことを重視しているわけではありません。2015年のラグビーワールドカップ以降、生徒数が大きく増えました。全体の数が増えれば能力の高い子も増えるということだと思います。

村上 コロナの影響は受けましたか。
谷田 練習場所は八尾市の防災公園を借りています。そこはコロナ禍もずっとグラウンドを開放してくれました。学校や会社のグラウンドを借りているチームは、コロナ禍で使用できなくなったところが多いと思いますが、我々はコロナが落ち着いたところでいち早く再開できたし、それがラグビーから離れていく子が出なかったひとつの要因だと思います。

村上 割合としてはどれくらい増えましたか。
谷田 1.5倍くらいですね。低学年の子どもたちが増えまして、もちろん、大きくなって他のスポーツに行く子もいますが、多くの子が続けてくれました。ヒーローズカップが始まり、小学6年生の目標ができたのも大きいです。そこを目指す意識が保護者も子どもも高くなっています。中学で続ける子は多いですが、私学を受験して部活でプレーする子も多いですよ。

村上 コーチはどういう人が多いのですが。
谷田 保護者が多いのですが、近鉄ライナーズでプレーしていた吉川修司さんが、お子さんを連れてきて指導もしてくださったことがあります。

村上 守屋篤さんほか、大学、社会人で活躍している選手も多いですね。
谷田 最近では帝京大学の高本幹也君がいます。子どもたちにとってのスターですよね。高本君は3兄弟なのですが、長男が私の息子と同級生で直接指導もしていました。幹也君に八尾RSでバザーをするという連絡をしたら、練習着にサインをして送ってくれました。子どものころは天才肌で型にはまらないプレーで、よく驚かされました。幹也君は一番下ですが、3兄弟ともまじめで明るい子でしたよ。

村上 谷田さんは30年にわたってスクールに関わられていますが、印象的な子はいましたか。
谷田 お父さんに無理やり連れてこられて、嫌々ラグビーをしている子がいました。小学校から中学校に上がる時に辞めてしまったのですが、新聞を読んでいたら、その子が砲丸投げで近畿大会に出場していました。ラグビーを続けなくても、スポーツが好きでいてくれていたのが嬉しかったですね。

村上 性格的に変わっていく子はいますか。
谷田 幼児、小学1年生の頃は、練習が休憩になると、お父さんの横に行って水を飲んでいたような子が、仲間に「こっち来いよ」と呼ばれているうちに中心的な存在になることもあります。私はどんなことにも積極的に関わる子が育ってくれたらよいと思っています。

村上 チームで大切にしているイベントなどありますか。
谷田 重きを置いているのは合宿です。子どもたちがみんなで宿泊することで仲良くなることを重視しています。コロナの前は幼児から中学生までみんなで行っていました。2泊3日で奈良県吉野郡にある施設に行くのですが、川にアユを放してつかみ取りをしたり、バーベキューをしたり、ラグビーだけにとらわれず、仲間を大切にする気持ちを養い、みんなで協力して活動していくことを大事にしています。進学してラグビーから離れる子がいても、何かあったときは連絡を取り合えるような、生涯の仲間を作ることが大事だと思っています。

村上 保護者の方はどのように関わっていますか。
谷田 指導員だけでは人数が足りませんので、水分補給の管理をしていただいたり、夏はテントを立てるのを手伝っていただいたりしてます。できる範囲でお願いしていますが、保護者の皆さんの中で自主的に役割分担していただいていますね。

村上 創立40周年を迎えられたということで何か考えていらっしゃいますか。
谷田 2022年の6月に花園ラグビー場の第2グラウンドを借りて記念試合を開催しました。2023年3月に記念式典を予定しています。

村上 今後の目標を聞かせてください。
谷田 競技力が強い、弱いということは、学年によって変わると思いますが、何事にも積極的になり、生涯、スポーツの社会で生きるような子を育てていきたいです。ラグビーが自分に合わないと思ったら違うスポーツをしてもいい。スポーツを嫌いにならず、何かに関わってほしいのです。子どもたちが身体を動かす場所を、これからも提供し続けていいきたいです。

村上 入会は随時受け付けていますか。
谷田 はい、いつでも受け付けています。コロナの前は直接来ていただいても良かったのですが、いまはホームページから問い合わせいただいて、体験に来ていただくようにしています。入会金は月割りにして、いつでも入っていただけます。ご検討ください。


ラグビースクールインタビューアンケート

1、ラグビースクールの名前
 八尾ラグビースクール

2、シンボル・ユニフォーム・エンブレム等
 白地に緑の三本線

3、代表者名
 谷田 成生

4、住所・連絡先・担当者等入校希望者や問合せ先
 事務局 090-1229-0767 青山   

5、活動場所・練習場所
 八尾市南木ノ本防災拠点(旧八尾南高校)他

6、練習場所は天然芝、人工芝、土等
 土等

7、活動時間、スケジュール、年間スケジュール等
 基本 日曜日

8、入会費・会費・用具費用等、活動に必要なもの
 入校金 3000円
 年会費 18000円

9、生徒人数・女子選手の構成比等・外国人対応等
 約150名

10、コーチ人数、指名、経歴等
 約40名

11、モットー・大事にしている事・理念
 仲間を作り協力して課題を克服していく
 ラグビーを楽しむ


12、歴史・活動実績
 1983年創立   

13、OB・輩出トップリーガー
 守屋 篤          
 大橋 普
 藤原 恵太
 川端 正樹
 高本 幹也

14、指導方針・教育方針
 克服することから生まれる成功体験を通じ
 生涯スポーツ社会に生きる人間育成

15、合宿・場所・期間・参加年齢等
 奈良県吉野郡下北山村にて
 幼児~6年生(近年はコロナ禍の為高学年のみ)

16、校歌等
 あり

17、ラグビー以外の行事
 バーベキュー・餅つき等
 (近年コロナ禍の為自粛中)

18、他の習い事との掛け持ちが可能か・何人いるか
 可能

19、どんなスクールを目指すか(将来像)
 地域密着で子供達に気軽に運動する機会を提供し続ける

20、生徒にどんな大人になって欲しいか(教育観)
 何事にも積極的に参加しチャレンジする大人

21、プレースタイル
 フェアープレー

22、交流する他のラグビースクール
 大阪府下ラグビースクール他

23、自由欄(付け加える事があれば)
 今年40周年です


関連記事