ラグビーキッズ特派員報告

第15回ヒーローズカップ決勝大会は2023年1月28,29日の両日、神奈川県横浜市の日産フィールド小机会場、しんよこフットボールパークで行われました。本来なら横浜スタジアムで行われるところ残念ながら改修工事ということで700m離れた二つのグラウンドでの実施となりました。今大会は15回の記念大会ということで出場枠をそれまでの16チームから予選の各地区から1チーム増やし23チームに、それに加えコミッショナー推薦枠として1チーム加えた計24チームが熱戦を繰り広げました。

一日目の天気は午前中快晴。早朝は冷え込んで氷も張っていましたが、試合が始まるころには風もなく用意してきた防寒具も無用かと思わせる天気でした。しかし、3時ころ風に雪。防寒着、役立ちました。
開会式ではチーム紹介とともに入場行進。山の手ラグビースクールキャプテン藤本意生(おきなり)君の素晴らしい選手宣誓に大きな拍手がありました。
さて、初日のグループ戦は12分ストレート。試合時間の短いことがどのような結果につながるのかこの時点では誰も予測できませんでした。

Aグループは鎌倉ラグビースクールが攻守に安定した力を見せました。個々の力もチームとしての力も関東予選よりワンランクアップした試合内容を見せてくれました。長与ヤングラガーズに1トライを許すものの全勝で1位通過となりました。2位には元気いっぱいのシャトルズラグビースクール刈谷。勢いに乗った時の強さは見ごたえがありました。3位には長与ヤングラガーズ。バランスの取れたチームでした。4位には倉敷ラグビースクール。小柄ながら早い展開をしていました。5位は東大阪KINDAIクラブラグビースクール。実力は成績以上のものがあるのに波に乗れなかった印象がありました。6位は山の手ラグビースクール。相手の早いタイミングの攻撃にも懸命にタックルに行っていました。

Bグループは大混戦。突出したチームがなく、実力も伯仲。結果、上位3チームが無敗。引き分けの数で順位が決まりました。1位は尼崎ラグビースクール。3勝2分け。オーソドックスに皆が走り、タックルに行きしっかりコンタクトをして点を積み重ねていました。2位はりんどうヤングラガーズ。同じく3勝2分けでしたが総得失点で2位となりました。展開力に優れ見ていて楽しめる好チームでした。3位は昨年優勝の江東ラグビーフットボールクラブ。1勝4分け。無敗ながら勝ち点で3位となりました。上位2チームにも1トライづつの引き分け。関係者は「勝ちきれない。」とカップトーナメントを逃し無念の表情。4位には常総ジュニアラグビーフットボールクラブ。突進力があり展開力もありました。5位は北上ラグビースクール。BKの力のある選手がよくゲインラインを突破していました。6位は東海ラグビースクール。結果、全敗となりましたが上位とそれほど差があるとは思えない元気なチームでした。

Cグループは練馬ラグビースクールが1位に。関東大会から一戦一戦力をつけてきました。大きい選手もよく動き、BKの決定力がありました。注目のコミッショナー推薦枠の春日井は期待通りの活躍。決定力のあるランナーには異次元の強さがありました。3位は八尾ラグビースクール。春日井との試合では単純なミスが続き、残念な敗戦となりました。4位から6位は1勝4敗が並び、総得失点で4位に京都プログレラグビーフットボールクラブ。果敢に展開していました。5位は岡山ラグビースクール。八戸との試合では先制するも最後に逆転され残念でした。6位はその岡山に勝った八戸少年ラグビースクール。岡山との試合では最後まであきらめない気持ちが勝利を引き寄せました。

Dグループは横浜ラグビースクールが豊田ラグビースクールとの激戦を引き分けで終えるもののその後は落ち着いた試合運びで強豪ぞろいのグループに快勝で1位に。確実なプレーは選手層の厚さを感じさせました。2位には無敗で3分けの豊田ラグビースクール。初戦は硬さを感じさせましたがSH、SOからの速いパスはWTBの快走を生んでいました。
3位には展開力のあるR&Bラグビークラブ。チャンスで集中力を見せました。4位には1勝1敗3分けのつくしヤングラガーズ。BKのつなぎの妙は思わず「うまい!」との声が出てしまいます。5位は札幌ラグビースクール。大型選手の突進は迫力がありました。6位は芦屋ラグビースクール。前評判もよく展開を試みるも、思うような試合運びができませんでした。
さて初日を終えて試合時間12分で60試合。なんと14試合が引き分け。全国の力が拮抗してきていると感じます。また、引き分けの勝ち点1に笑うもの泣くもの。悲喜こもごものシーンがみられました。
 
二日目。天気は前日同様快晴。気持ちのいい青空。遠くに富士山もきれいに見えました。ボウルトーナメントでは東大阪KINDAIが東北勢の八戸、北上を破り決勝では岡山と対戦。岡山は幸先よく開始からBKが力強く走り連続トライ。このままリズムに乗るかと思われましたが、東大阪がじりじりと差を詰め逆転。密集での圧力が徐々に岡山のディフェンスを下がらせました。結果25-10で東大阪KINDAIクラブラグビースクールがボウルトーナメントを制しました。
プレートトーナメントは左側の対戦ではつくしが長与との九州対決を制し準決勝に駒を進め、八尾との激戦を抽選で上位に来た常総と対戦。今度は15-15で再び抽選となるも今回はつくしが決勝戦に。一方右側の対戦からは江東が倉敷に快勝。R&Bも京都プログレに快勝し準決勝へ。関東でもなじみのある両者の対決は江東の快勝。決勝戦はつくし対江東。江東BKがうまいランニングで先制。つくしもBKがつかまりそうになりながらくるくるとうまく体を回してするりと抜けトライ。また、G前まで攻め込むと展開とみせて空いたピラーのスペースに飛び込みトライ。江東もインタセプトでトライ。目まぐるしい試合展開。最終的に15-15の同点でつくしヤングラガーズ、江東ラグビーフットボールクラブ、両者優勝となりました。
カップトーナメントはいずれもハイレベルの戦い。1回戦、鎌倉対りんどうはりんどうが素晴らしいBK攻撃で先制するもその後は徐々に鎌倉の圧力にブレイクダウンを支配され35-10で鎌倉の勝利。春日井対横浜は組織的なディフェンスに春日井BKが封じられ25-5と思わぬ大差に。しかし、春日井はその後の敗者戦でりんどう、尼崎に勝利しコミッショナー推薦枠の期待に見事応えました。シャトルズ刈谷対練馬は練馬が先制。徐々に地力の差が出て加点。シャトルズも1トライ返すも一つ一つの接点での劣勢は否めず30-5で練馬の勝利。尼崎対豊田は大型の選手をそろえる尼崎に豊田の小柄な選手が懸命の低いタックル。しかし、尼崎は倒れず立ってつなぐ。豊田は大きな展開から2トライ。尼崎も返して1トライ差まで迫るも、最後は豊田のダメ押しトライで15-5、豊田の勝利。準決勝の鎌倉対横浜は互いに手の内がわかっている者同士の好勝負。横浜がタッチ際の快走でトライすると鎌倉もうまいパスワークで得点。特にそこにスペースがあると思えば走らずスタンディングで早いパス回し。前半の2トライはいずれもそのパスから生まれる。前半終わって10-10の同点。後半鎌倉はSOがラインの裏に抜けるとビッグチャンスから飛び込んでトライ。さらに1トライを追加。横浜も最後に1トライ返すもそこまで。20-15で鎌倉が勝利。準決勝第2試合は練馬対豊田。豊田がSOからの長いパス。相手ディフェンスが対応し広くなるところ、BKがうまく裏に抜け先制のトライ。同じようにBKが裏に抜けた後うまくつないで10-0と豊田。練馬も自陣からBKが走り切り10-5とするも豊田はダメ押しトライでノーサイド。
さて決勝戦は鎌倉対豊田。勝てば両者とも初優勝。スタンドは超満員。グラウンドも芝の中には入れないけれどコの字型に三重四重の観客。コロナで声を出しての応援は自粛をお願いするも保護者の熱意はヒートアップ。興奮の中、下井レフリーのホイッスルが鳴りました。開始早々豊田が連続攻撃。鎌倉も必死のタックル。両者ともディフェンスが素晴らしい。激しいタックルの度、湧き上がる歓声。鎌倉G前まで攻め込むもオーバーザトップの反則。0-0で前半のウォーターブレイク。鎌倉は中盤から縦につなぎG前右ラックから左に展開。WTBがうまいステップで切れ込み先制のトライ。後半に入ると豊田のリズムが良くなりテンポよく攻める。鎌倉は防戦に立たされる。キックの処理ミスをうまくつないで右ラックから飛び込んで同点。さらにチャンスがあるも鎌倉の必死のタックルであと数メートル届かない。5-5で終盤を迎え、下井レフリーが最後まで継続させようとするも、互いのノッコンでノーサイド。引き分け。大会始まって以来両チーム優勝。それにしても両チームの完成度の高さ、タックルの激しさには感服。閉会式前には下井レフリーの進行でマイクを使ってのアフターマッチファンクション。両チームのキャプテンスピーチ、コーチコメントは本当にラグビーという競技のすばらしさがわかるいい時間でした。両チーム選手、コーチの皆さんに感謝です。
大会を通して印象に残ったこと。つくしのパスワーク、変幻自在。豊田のタックル、小柄でも確実。春日井のBK、わかっていても止められない。二日間無敗で終わった江東、5引き分け。
今大会は東海地区代表が大活躍。ここしばらくは関東、関西のチームが頂点に立ちましたが新たな流れが生まれたような気がします。16回大会に期待しましょう。

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